【古妖狩人】中継点を撃破せよ
【古妖狩人】中継点を撃破せよ


●『古妖狩人』の中継点
「おら! さっさと入れ!」
 お世辞にも治安が良いとは言えぬ通り。
 その一画に建つ、十階建てのビル。憤怒者組織『古妖狩人』の中継点の一つが、ここにあった。
「うん? 今度捕えてきた古妖は、そいつらか?」
「ああ、座敷童どもだ」
 古い民家に住みつくといわれる、座敷童達が十人。
 それぞれ傷を負った子供姿の古妖が、憤怒者達の手により檻へと入れられる。
 このビルそのものが、捕まえた古妖達を一時的に徹底的に痛めつけ。無力化してから、根拠地へと運ぶ役目を担っていた。
「こいつらは、三日後に届ける予定だ」
「なら、その前に反抗の意志を挫いておかないとなあ……存分に」
 憤怒者達の目に暴力的な光が宿る。
 小さき古妖達は、陰鬱な牢の中でいつまでも震えた。


「最近、問題になっている古妖狩人の中継点の一つが判明しました」
 久方 真由美(nCL2000003)が覚者達に説明を始める。
「どうやら、古妖達を一時的に捕まえておく檻のような役割をしている場所のようですね。ここを潰すことができれば、本拠地への古妖の供給を止めることができますし。敵の戦力を減じることにもなります」
 ただし。
 中継点とはいえ、敵の拠点だ。
 かなりの戦力が重装備を持って、待ち構えているに違いない。
「皆さんには、捕まえられている古妖の救出。及び、憤怒者の殲滅をお願いします」
 現場は、『古妖狩人』が所有している十階建てのビル。
 古妖達が閉じ込められているのは、八階の牢屋のようだ。敵の戦力は憤怒者が20人ほど。出入口や、牢は見張りがついていると思って間違いない。
「今回の仕事が成功すれば、憤怒者組織『古妖狩人』の本拠地へのダメージに繋がります。危険な任務ですが、皆さんよろしくお願いしますね」


■シナリオ詳細
種別:通常
難易度:普通
担当ST:睦月師走
■成功条件
1.古妖の救出
2.憤怒者の殲滅
3.なし
 睦月師走です。
 今回は、憤怒者組織『古妖狩人』が相手となります。

●憤怒者組織『古妖狩人』の戦力
 憤怒者20人が、現場に散らばっています。
 主な攻撃手段は以下の通り
 ナイフ 物近単 〔出血〕〔毒〕〔痺れ〕
 電磁警棒 物近単 〔鈍化〕〔弱体〕
 機関銃 物遠列
 手榴弾 物遠敵全 〔溜め1〕
 毒ガス 特遠敵全 〔毒〕〔痺れ〕

●中継点
 十階建てのビル。捕まっている古妖の座敷童達は、八階に閉じ込められている模様。出入口は一つ。階段とエレベーターがビル内にあり。

●重要な備考
 この依頼の成功は、憤怒者組織『古妖狩人』の本拠地へのダメージとなります。
 具体的には古妖狩人との決戦時に出てくる憤怒者数や敵古妖数が、成功数に応じて減少します。

 それでは、よろしくお願いします。
状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
(0モルげっと♪)
相談日数
6日
参加費
100LP[+予約50LP]
参加人数
10/10
サポート人数
1/4
公開日
2015年12月14日

■メイン参加者 10人■

『花屋の装甲擲弾兵』
田場 義高(CL2001151)
『便利屋』
橘 誠二郎(CL2000665)
『聖夜のパティシエール』
菊坂 結鹿(CL2000432)

■サポート参加者 1人■



「確認します。私達11人、全員で見張りを倒したら【8階に行く班】と【出入り口を封鎖する班】に分かれるんでしたね」
 納屋 タヱ子(CL2000019)が、仲間の顔を見回した。
 件のビルから少し離れた物陰にて。覚者達は、身を寄せ合い集まっている。周囲の通りはスプレーで書かれた落書きと、ゴミが散乱していて不穏な空気が漂う。
「出入り口の見張りの状況を確認した。見張りが、三人いるな」
 始めに『BCM店長』阿久津 亮平(CL2000328)は、送受心で自分経由で仲間同士の伝達を行えるようにしてある。守護使役のていさつで見えているものは、ビルの外で衛兵のように直立不動している黒服の男達。気付いた事や気になる箇所は、逐一味方に伝える。
「わたしは、正直に言って戦闘はあまり得意ではないので、基本的には支援役に回らせていただきますね」
「まずはばれないように入り込まないといけないな」
「はやく座敷童さんを助けてあげたいけど、焦っちゃいけないですね」
 『音楽教諭』向日葵 御菓子(CL2000429)、『家内安全』田場 義高(CL2001151)、菊坂 結鹿(CL2000432)がステルスを使う。
(ただ、移動してるときは「ステルス」の効果は薄まるっちゅうから、そっと脇から近づくんだぜ)
 三人は、慎重に見張り達へと近づく。
 周囲の風景に同化して、一般人には容易に見分けがつかない。
(憤怒者たちは古妖狩りなんてして何がしたいんだろ? 憎い覚者を狩るってなら分かるけど、何か被害を出したわけでもない妖怪さんを狙うのは許せないことだね)
 強い決意を胸にして。
 全く足音を立てずに移動。京極 千晶(CL2001131)も、守護使役のしのびあしで、死角となってる場所から不意打ちを狙う。
「っ! お前達は……」
「何が目的かわからないですけど、女の子襲うなんて……怖い思いさせるなんて……変態ですっ!! もぅ、許しませんっ!!」
 隠密性を上げた結鹿が、密かに接近して。
 見張りの口を押さえて、気絶をさせるように強襲する。
「そういうことで、憤怒者狩りとしゃれこみましょうか」
 ――もちろん殺しはしないけどね。
 しのびあしで音もなく。千晶が一気に相手の懐に入って、仲間が口を封じた相手に急所を外した攻撃を一閃。騒がれる暇を与えない。
(とにかく手早く、暴れさせないってのが肝心だ)
 こちらも、口を押さえて頭と延髄を一撃。
 義高が迅速に、見張りを片付けようとする。御菓子もアシストを行い。黒服の一人が、抵抗も出来ぬまま倒れる。
「ちっ。どこの誰か知らないが」
「我々の拠点に襲撃を仕掛けるとは、命知らずなっ」
 だが、憤怒者達も黙ってやられたままではない。
 奇襲は成功したが、残り二人がナイフを振るい。機関銃を乱射する。薄暗い通りに、不穏な発砲音がこだました。
「弾除けに私を使ってください」
 そこに、タヱ子が盾を構えて真っ先に吶喊する。
 容赦なく降り注ぐ弾丸に、怯む色を見せず。重量感のある片手盾で受け、味方の突破口を作り上げた。蔵王、蒼鋼壁で強化された彼女は、まさしく自身そのものが盾の役割を果たす。
 他の面子が、怒涛の勢いで続く。
「一気に倒す」
 壁となってくれた仲間の陰から、亮平が飛び出て召雷を見舞う。銃を撃ってくる相手には、『アグニフィスト』陽渡・守夜(CL2000528)も積極的に応戦する。
「射って良いのは、射たれる覚悟のある奴だけだ」
 火炎弾。
 拳ほどの大きさの火の塊が揺らめき。真っ直ぐに敵へと、炎の弾が直撃する。肩口が引火した憤怒者は、機関銃を思わず手から落とし。
「それでは、橘流杖術橘誠二郎、推して参ります」
 名乗りと同時。
 『便利屋』橘 誠二郎(CL2000665)の、飛燕による目にも止まらぬ連撃が炸裂。敵の黒服は、たまらず杖術の餌食となって気を失う。
「くっ! 中の連中に、連絡を」
「んー……困ったねえ。とりあえず、撃破で良いってことなんで」
 不死川 苦役(CL2000720)が、残りの一人がビル内に逃げようとするところで退路を塞ぐ。出立前に、夢見にきちんと確認はしてある。今回は、特に相手を殺す必要はないので。血生臭いことはしなくて良さそう、であると同時に手加減はせず。思い切り指捻撃で、相手の肉体へと指をめり込ませる。
「こ、の!」
 黒服の敵は、身体をよろめかせながらナイフをふるう。薬を塗ってある白刃が、覚者達へと破れかぶれに煌めく。ほとんど、ヤケクソ気味であるが。少しの傷から毒と麻痺をもたらす、凶器は侮れない。
「しっかりとサポートさせて頂きますねっ」
 離宮院・太郎丸(CL2000131) は結界を使用して、人を近付かせまいとする。纏霧で相手を弱体化させて、各種回復に専念した。苦役と亮平も、バッドステータスを随時ケアすることを欠かさない。千晶の刀が、ナイフを斬り飛ばし。残りの一人も程なくして、片がついた。
「制圧完了ですね」
「思ったより時間が、かかったな」
「そうそう、気絶させた奴は菊理媛に【すいとる】させて、襲われたって記憶を奪っとかないと」
 義高が植物系の守護使役の力を使って、転がった者達へ処理を施しておく。
 工藤・奏空(CL2000955)は、黒服達を拘束した。古妖狩人は不殺で、すべてこうしておくつもりだ。
「ったくほんと許せない奴らだよな……古妖狩人って……いくら覚者が憎いからって……あいつらがやってる事ってただの犯罪じゃん」
 曇天の空のもと。
 憤怒者達の拠点の一つである武骨な建物を前にして。奏空は、覚悟とともに敵地を仰ぐ。
「……絶対捕まってる古妖助けて拠点なんてぶっ潰してやる!」


「エレベーターの細工は、上手くいきそうか?」
「制御盤は大抵一番上にありますし、簡易な細工しか出来そうもないですね」
 ビルに入って、すぐ目の前にエレベーターはあった。
 エレクトロテクニカの能力を持つ誠二郎が、器用に操作盤を開いて配線を弄って作業をする。
「とりあえず内部のスイッチを全て動かないようにしましょう。それくらいなら、いけるでしょう」
 技能を駆使して、細工を施す。
 これでエレベーターは使い物にならないはず。あとは、上り下りには階段を使うしかない。
「はい。とりあえず、仕掛けは終了です」
「なら、後は上まで行くだけだな」
 覚者達は二つの班に分かれる。
 先に述べられたように【8階に行く班】と【出入り口を封鎖する班】の二班。
「もしもの場合に備えて……わたし達は出入り口から古妖を連れた憤怒者が逃げ出さないよう、見張ります」
「ここは死守するから」
 出入り口を封鎖する班。
 タヱ子、奏空、千晶は、上階へと向かう者達を見送る。
(ビル内でも「ステルス」は有効だろう)
 義高が超直観を働かせて、古妖狩人の構成員がいないと感じたなら階段を駆け上った。
 周囲を確認しつつ、慎重に覚者達は目的地へと登っていく。
(なにしろ座敷童達に危害を加えられたり、人質にとられたり、まさかと思うが連れられたまま逃亡されちゃたまらんからな)
 嫌な感じがしたらすぐに足を止める。
(常に敵の撃破数を確認して、倒し損ねないよう注意だ)
 亮平は上と下の階の様子も警戒し。
 ていさつで後方を見て貰う。捕縛用ロープが詰まったバッグが揺れる。
「ジト目君(阿久津君)、目がどんどん険しくなっていっているね」
 そんな亮平の隣りにいるのは苦役だ。
 基本的には同じ位置にて行動している。
「おい、何か下が騒がしくなかったか?」
「ちょっと、様子を見て来い」
 ビル内では敵の幾人かが、不審に思っている者がいるようだった。
 階段を駆け上がりながら、御菓子の鋭聴力が憤怒者達の声を察知する。義高の超直観も危険を告げた。敵の存在が濃厚な証だ。結鹿が頷いて様子を窺いに先行して、周囲の状況の確認に行く。
「クロには期待してます。あとでご褒美にとっておきの鰹節あげるからね」
 猫系の守護使役の力である、しのびあしに助けてもらい。
 結鹿は三階の廊下に無音で躍り出て、様子をうかがう。
 まだ、覚者達の存在そのものには気付かれていないようだが。遠目に敵数人の黒服の姿が、こちらに向かって来ており。仲間達に急いで報せる。
(そうでした。声に出したらばれてしまうので……ハンドサインでしたっけ、あれでみなさんに知らせないと)
 待て。
 と、偵察役として皆にサインを送る。
 憤怒者の一団は、まっすぐに階段の方へと近付いて。皆が戦闘の準備をする……が。
(ん?)
 直前で一団は角を曲がる。
 階段ではなく、エレベーターを使うつもりのようだ。無論、今は覚者達の細工により動かないのだが。それも、まだ知られていないのだろう。
 結鹿はオーケイの合図を出して。
 更に覚者達は、上へ上へと走って八階へと急ぐ。
「何だ、エレベーターが動かないぞ」
「どうなっている?」
 時間が経つごとに、敵側も怪しみ始める。
 ちょっとのタイムロスや油断が決定的な事態を引き起こしかねない。
(先行する仲間や偵察の結果にあわせて、単独行動や無謀な突出はしない)
 先に行く結鹿が、隠れろのサインを出す。
 守夜は迷彩を使って、息を潜んで身を周囲と同化させる。覚者には見破られるが、憤怒者には有効な手だ。黒服の男が一人、守夜のすぐ傍を通るが気付いた様子もなく通り過ぎていく。


「待って。敵の匂いがします」
 誠二郎がかぎわける能力で、通路の角で複数の相手が待ち構えていることを見抜く。
 覚者達は目的の階、八階まで来ていた。上手く索敵をすることが出来たおかげで、今の所は戦闘や敵との遭遇は避けてここまで辿り着く。
「どうやら、あそこが目的の部屋のようですね」
「罠……ではなさそうだな」
「そうですね。憤怒者と……座敷童達と思わしき声が中からも聞こえます」
 部屋の前に居るのは二人の黒服。
 義高が、超直観で働かせておき。一応見張りのいる部屋が罠ではなさそうだ、と結論が出る。御菓子の鋭聴力によるお墨付きだ。
「逆にこちらから奇襲し速やかに制圧しましょう」
 あの扉の向こうに、檻が。
 捕まった座敷童達が、居るのは間違いない。
 覚者達は頷き合い。一気呵成に、武器を携えて飛び出す。
「!」
 いきなり現れた侵入者達に、男達は虚を突かれる。
 反応が遅れ。
 覚者達の襲撃を、成す術もなく受けるのを許した形だった。
 義高と結鹿が、相手の口を素早く塞ぎ。
 仲間が連携して取り押さえ。的確な攻勢を叩きこんで、見張り番を無力化する。
「こいつらの記憶も奪っておくぞ」
 相手を縛り上げておいて。
 出入口でやったのと同じ要領で、義高が処置を行う。
「ドアは、俺が開ける」
 扉にかかっていた鍵も。
 ピッキングマンを持つ苦役には無意味なことだ。覚者達は、そのまま牢のある部屋へと雪崩れ込む。中には多くの檻と。五人の憤怒者がいたが、突然のことに事態を把握し損ねたようであった。
「座敷童さんを放して下さい! この変態っ!!」
「へ、変態?」
「な、何だっ」
 蔵王を使ってから。
 重突の鋭い突きを、結鹿が素早く同時に放つ。
「ぜったい、許しません! 女の子襲うような変態さん達は撲滅してさしあげます!!」
 想いを込めた強烈な突き技に
 憤怒者達は、バラバラに散らされる。
「由来はなんであれ、カルトのテロリストでしかないだろ」
 これまで憤怒者による非道な事件に関わり。
 守夜は怒りを覚えていた。醒の炎で自身を強化して正拳で攻撃。
「侵入者か!」
「見張りは何をしていた!」
 憤怒者達は、銃を取り出して発砲。
 弾丸が飛び交う戦場にて、それでも赤の刺青を持つ覚者は退かずに立ち向かう。
「何の!」
 盾で弾丸を防ぎ。
 ナックルを敵の頬にめり込ませて。そのまま盾で殴りつけた。
「ぐ!」
 吹き飛ばされた憤怒者の一人が、檻に激突。
 そのまま、潰れた顔は白目を剥いており。明らかな戦闘不能だ。
 敵は叩きのめしても、殺害はしないし。こちらも殺されてやる気は毛頭ない。
「目的は、どうやらこのチビどもか!」
「まさか、古妖を助けに来る馬鹿がいるとはなっ」
「こういうクズどもは心込めて殴ってあげよう」
 電磁警棒の攻撃を、蔵王と蒼鋼壁でいなし。
 義高が、思い切り拳をカウンターでやり返す。
「ちっ! なら、これでどうだ!」
 憤怒者の一人が、銃を檻へと向ける……動きを見せる前に。
 超視力によって、それを察知した誠二郎が瞬時に反応する。
「古妖狩人、いやはや見境のないものです。座敷童など手厚く取り扱うべき妖の代表の様なものだというのに……」
 ダメージ覚悟で射線に飛び込み。
「な」
 その敵を最優先で撃破する。
 鋭い連続攻撃が、敵をこれ以上なく的確に捉えた。
「う、撃て!」
「撃て撃て!」
 憤怒者達も必死だ。
 手榴弾が投げ込まれて。爆発と衝撃音が重なり。銃弾が火を吹く。
「回復なら、ボクに任せて」
 太郎丸が体力回復は癒しの滴、気力回復は填気を使用して戦線を支え。守夜は回復手達をカバーリングをする。
「一時避難といくか」
「だな」
 亮平と苦役の姿が、物質透過で近くの部屋へと移動して消える。
 そして、別の壁を通り抜けて。敵の後ろへと出て、一気に有利な状況を作り上げた。
「い、いつの間に!」
「『悪の栄えたためしなし』ですよ、知りませんでしたか?」
 結鹿の言葉が、さぞや重く圧し掛かったことだろう。
 檻を守っていた最後の憤怒者は、張り倒されて。大口を開けたまま泡を吹いて気を失った。
「檻の鍵が……見当たらないな」
「かなり激しい戦闘でしたからね」
「なら、また俺の出番だな」
 覚者達は敵を縛り。
 苦役が次々と、牢の鍵を開けていく。暗い牢の奥でふるふると震える座敷童達に、御菓子が優しく声を掛けた。
「大丈夫? 痛いところないですか?」
 子供の姿をした古妖達には、生傷が刻まれていた。
 真っ先に傷を回復させる。
「安心して、わたしたちはみんなを助けに来たんだよ」
 座敷童のみんなを抱きしめながら。
「もう少し待っててね。安全にでられるようになったら、こんなところから直ぐにでていくからね」
 頭をなでながら。
「もし……こんな嫌な記憶なくしたいという方がいたら、教えてね。どなたかに頼んで、この捕まって怖い思いした記憶を消してもらうからね」
 涙こぼしながら頭を下げる。
「私たち以外の人が皆こんなのばかりと思わないでね。みなさんと仲良くしたい、仲良くできる人もたくさんいるんです……ただ、人は時として妖以上に残酷にも、恐ろしくもなれるんです……本当にゴメンなさい」
 そんな覚者の顔をじっと。
 座敷童達は見やる。
「俺たちは君達を助けに来た、信じられないかもしれないが信じて欲しい」   
 守夜が、しゃがんで笑顔で目線を合わせ。
 小さき者達は、おずおずと顔を合わせて――
「ありがとう……覚者のお兄ちゃん、お姉ちゃん」


「ほら、こっちこっち」
 千晶が憤怒者たちが上に行かないように挑発をして足止めをする。
 基本、人は殺さない。
 醒の炎で自己強化、切れた場合はかけ直して。飛燕で攻撃を重ねた。
「覚者が!」
「遅い」
 回復は人に任せ。
 味方をガードして、ナイフの一撃を受け流し。返す刀の剣閃が冴える。
「誰一人も逃がさないよ」
 奏空達は、出入り口に陣取り。
 集まってくる憤怒者達を、隠密に足止めを続けていた。
『目的の古妖達は確保した』
 そこへ、送受心で亮平から連絡が入る。
『こちらは座敷童をガードする者と、他の階にいる連中を倒す者とに分かれる。そちらも、後は予定通りに頼む』
 奏空は了解と笑って、頷く。
「出て来い古妖狩人! お前らの企みはまるっとお見通しだ!」
 騒ぎを立てて陽動。
 敵を分散させるのが狙いだ。
「おっさんら! 痛いだろ! 痛めつけられたら痛いんだ!」
「ぐっつ!」
 錬覇法で自身の基礎攻撃力をあげ。
 纏霧で敵の弱体化を図る。
「それをあんた達はやって来たんだぞ! 身をもって知れ!」
 召雷が轟き。
 複数の敵が撃たれる。近づく敵には苦無が威力を発揮した。
(……怖かったろ……ごめんな……)
 憤怒者への怒りと、古妖への想いが。
 奏空をどこまでも奮い立たせる。
「人だからだとか、妖だからだとかは関係ありません。相手を一方的に嬲って……物のように扱う憤怒者は許せません」
 タヱ子も味方をガードしながら。
 自分の胸の内に従って、憤怒者を撃破する。
「こ、こいつら化け物か!?」
「構わん! ガスを使え!」
 自棄になったように、憤怒者達は毒ガスを室内に充満させる。
 それに対し、蒼鋼壁で対策して。自爆覚悟の相手を、隆槍で駆逐する。
「生身の相手に力を使うのは気が引けますが、古妖にあなた達がした仕打ちは……もっと痛かったはずです。痛みのわからない人にはじっくりと反省していただきます」
 ――狩人も覚者も同じ人間です。古妖さん、この度はご迷惑を……。
 槍のように隆起した地面が、憤怒者を蹴散らし。一人残らず、仕置きをこなす。最早、憤怒者達に組織だった抵抗は不可能であり。掃討はごくスムーズに進んだ。
「逃がしたりなんか……ぜぇ~~~ったいしませんっ!」
「救いがたいクズ揃いだなお前ら、女の子襲って粋がるなんざ男のすることじゃねぇぜ」
 上階の方でも覚者達が、AAAに引き渡すために憤怒者を逃さない。仲間の活躍を、安心して眺め。誠二郎はガードについた古妖達と話す。
「良ければ、いつか僕達の所へ遊びに来ませんか?」
 座敷童達は、迷ってから。
 最後には、小さくこう答えた。
「……うん」
「いつか、人間が怖くなくなったら」

■シナリオ結果■

成功

■詳細■

MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし




 
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