<南瓜夜行>びっくらこかせるゾ!
●これならびっくりさせられるゾ!
ハロウィン。
本来は秋の収穫を祝い悪霊を追い出すケルトの祭りだが、巡り巡って今では仮装行列のようになっている。
悪霊に見つからないようにするための仮装なのだが、「別に悪霊を倒してしまっても構わないのだろう?」とばかりに、ヒーローヒロインの仮装も多い。
さて、そんな仮装の中に古妖が混じっていることもある。人に似た古妖は、この時期人間の仮装を装って――変な言葉だがそれはともかく――町に混じっている。本番前の練習と言ってしまえば、多少奇異な目で見られるが素通りされるらしい。
問題は、古妖の中には人に悪戯するものもいるわけで……。
一つ目小僧と呼ばれる古妖がいる。文字通り、顔に目が一つしかないというのが特徴的だ。
基本的には害の少ない存在ではあるのだが、彼はとにかく人を驚かすのが大好きという困った趣味と言うか、生きがいを持ってしまっている。
「今日はどうやっておどろかせようかな」
一つ目小僧はにやにやしながら歩いていく。そこで彼が見つけたのは、ハロウィンのコスプレ会場だった。
「ふふん、いいこと思いついちゃったゾ!」
彼はそう言って、ペロリと舌を出すのである。
●悪戯好きの古妖を懲らしめろ!
「トリック、オア、トリート!」
可愛らしい魔法使い風の衣装に身を包んだ久方 万里(nCL2000005)が叫ぶと、会議室へと集まった覚者達は持っていたお菓子を彼女へと差し出す。そうでもしないと、本気で万里に悪戯をされてしまいかねないと考えたからだ。
だが、そんな覚者の考えなどつゆ知らず。次に万里から出た言葉は。
「万里はね、悪戯はいけないことだと思いまーす!」
普段、彼女が兄へと行っている行為は悪戯とは言わないのか。そんな言葉を飲み込みつつ、覚者達は何があったのかと万里に尋ねる。
「よくぞ、聞いてくれたね!」
万里は張り切って説明を始めた。
10月も下旬に入り、あちらこちらでハロウィンパーティーが開催されている。
「でね、岡山県某市のハロウィンパーティーの会場に古妖が現れて、皆に悪戯しちゃうんだって!」
現れる古妖は一つ目小僧であることが確認されている。基本的には害のない古妖のようだが、相手をびっくりさせるのが大好きという困った存在だ。
「倒さなくてもいいけれど、ちょっと懲らしめてあげてほしいんだよ」
彼はコスプレを行う人々に紛れ、自らもコスプレを行っているのだという。何になったのかは万里も確認できてはいないが、よくよく見ればすぐ発見できるはずだ。
「発見よりも、どうやって懲らしめるかが大変かもしれないよ!」
一つ目小僧を発見し、お仕置きをしたいのは山々だが、会場はたくさんの一般人がいる。下手に彼に接触すれば、一般人に紛れて逃げるかもしれないし、場合によっては一般人を盾にする恐れすらある。また、下手にことを荒立てれば、組織の名前を伏せたい『F.i.V.E.』にとって、いい方向には決して働らかないだろう。
「一つ目小僧をうまく、懲らしめる状況が作れるといいよね!」
そう語った万里。ふうと一息ついた彼女は最後に一言。
「それじゃ、よろしくね。さてさて、万里はお兄ちゃんで遊ばなくっちゃ!」
にこにこと会議室を出ていく万里に、覚者達は溜息をつかずにはいられないのだった。
ハロウィン。
本来は秋の収穫を祝い悪霊を追い出すケルトの祭りだが、巡り巡って今では仮装行列のようになっている。
悪霊に見つからないようにするための仮装なのだが、「別に悪霊を倒してしまっても構わないのだろう?」とばかりに、ヒーローヒロインの仮装も多い。
さて、そんな仮装の中に古妖が混じっていることもある。人に似た古妖は、この時期人間の仮装を装って――変な言葉だがそれはともかく――町に混じっている。本番前の練習と言ってしまえば、多少奇異な目で見られるが素通りされるらしい。
問題は、古妖の中には人に悪戯するものもいるわけで……。
一つ目小僧と呼ばれる古妖がいる。文字通り、顔に目が一つしかないというのが特徴的だ。
基本的には害の少ない存在ではあるのだが、彼はとにかく人を驚かすのが大好きという困った趣味と言うか、生きがいを持ってしまっている。
「今日はどうやっておどろかせようかな」
一つ目小僧はにやにやしながら歩いていく。そこで彼が見つけたのは、ハロウィンのコスプレ会場だった。
「ふふん、いいこと思いついちゃったゾ!」
彼はそう言って、ペロリと舌を出すのである。
●悪戯好きの古妖を懲らしめろ!
「トリック、オア、トリート!」
可愛らしい魔法使い風の衣装に身を包んだ久方 万里(nCL2000005)が叫ぶと、会議室へと集まった覚者達は持っていたお菓子を彼女へと差し出す。そうでもしないと、本気で万里に悪戯をされてしまいかねないと考えたからだ。
だが、そんな覚者の考えなどつゆ知らず。次に万里から出た言葉は。
「万里はね、悪戯はいけないことだと思いまーす!」
普段、彼女が兄へと行っている行為は悪戯とは言わないのか。そんな言葉を飲み込みつつ、覚者達は何があったのかと万里に尋ねる。
「よくぞ、聞いてくれたね!」
万里は張り切って説明を始めた。
10月も下旬に入り、あちらこちらでハロウィンパーティーが開催されている。
「でね、岡山県某市のハロウィンパーティーの会場に古妖が現れて、皆に悪戯しちゃうんだって!」
現れる古妖は一つ目小僧であることが確認されている。基本的には害のない古妖のようだが、相手をびっくりさせるのが大好きという困った存在だ。
「倒さなくてもいいけれど、ちょっと懲らしめてあげてほしいんだよ」
彼はコスプレを行う人々に紛れ、自らもコスプレを行っているのだという。何になったのかは万里も確認できてはいないが、よくよく見ればすぐ発見できるはずだ。
「発見よりも、どうやって懲らしめるかが大変かもしれないよ!」
一つ目小僧を発見し、お仕置きをしたいのは山々だが、会場はたくさんの一般人がいる。下手に彼に接触すれば、一般人に紛れて逃げるかもしれないし、場合によっては一般人を盾にする恐れすらある。また、下手にことを荒立てれば、組織の名前を伏せたい『F.i.V.E.』にとって、いい方向には決して働らかないだろう。
「一つ目小僧をうまく、懲らしめる状況が作れるといいよね!」
そう語った万里。ふうと一息ついた彼女は最後に一言。
「それじゃ、よろしくね。さてさて、万里はお兄ちゃんで遊ばなくっちゃ!」
にこにこと会議室を出ていく万里に、覚者達は溜息をつかずにはいられないのだった。

■シナリオ詳細
■成功条件
1.古妖、一つ目小僧を懲らしめること。
2.なし
3.なし
2.なし
3.なし
ハロウィンの時期がやってまいりました。ただ、それに乗じて悪戯をする古妖がいるようです。程々に懲らしめてあげてください。
●古妖
○一つ目小僧……小学生くらいの体型の坊主です。普段は小坊主といった服装ですが、今回はコスプレをしており、自身の容姿を隠しています。
さすがにお仕置きされるのは嫌なのか、以下の攻撃で抵抗をはかります。
・おどかし……特近単・混乱
・舐め回し……物近列・虚弱
・睨み付け……特全・痺れ
・お豆腐……自・体力回復
倒しても問題はありませんが、後味はよろしくありませんので、程々のところで止めてげて下さい。
●状況
ハロウィン会場の中に、コスプレした一つ目小僧が紛れ込んでいます。
何のコスプレをしているかは、以下の証言を参照にしてください。
・証言1:「最初は女の子と思ったんだけどね、びっくりしたわ」
・証言2:「にゃんだゾって言われて振り向いたらさ、なんで猫耳に一つ目?」
・証言3:「すごく……ちんちくりんです……」
・証言4:「ばあさん、ワシのカツラはどこかいのう……」
なお、この証言は『情報収集する』というプレイングがあった方にのみ得られる情報です。それがなくとも、発見は容易かもしれませんが……。
見つけても、会場には多数の一般参加者がいますので、接触にはくれぐれもご注意を。また、お仕置きをせずに逃げられると失敗となってしまいます。
●コスプレ
ご自由にどうぞ。可能な限り、描写させていただきます。
それでは、今回も楽しんでいただければ幸いです。よろしくお願いいたします!
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
相談日数
6日
6日
参加費
100LP[+予約50LP]
100LP[+予約50LP]
参加人数
6/8
6/8
公開日
2015年11月05日
2015年11月05日
■メイン参加者 6人■

●古妖の仮装とは?
会場へと到着した覚者達。ハロウィンパーティーの会場ということで、メンバー達もまた、仮装をしてから会場に潜り込む。
「ハロウィンだな! 漫画でみたぞ! 楽しいものらしい!」
会場に到着した指崎 心琴(CL2001195)はワクワクしながら、辺りを見回す。彼は狼男の仮装をした上で、看護師の保護者にねだってもらったお菓子を手にしている。重傷の体でも、彼はハロウィンパーティーを楽しみたくてこの場へとやってきていた。
「時間も決めた方がいいかな……30分くらいしたら、ここに戻ってくる感じで動こうぜ」
和泉・鷲哉(CL2001115)も狼男の格好をしていたが、心琴は可愛らしい姿だったが、大学生の鷲哉はそれらしく見える。耳や尻尾を髪の色に合わせ、爪は付け爪で人を傷つけないようにと先を尖らせないよう配慮していた。ちなみに、服装はカジュアル目の物を選んである。
そんな彼が気にしているのは、『浅葱色の想い』志賀 行成(CL2000352)の仮装。大きな布を被った彼は、丸っこい体型の守護使役もちまるに扮していた。
(志賀のは……あれ柔らかいのかな……)
鷲哉が気になってツンツンとつつくが。その手には、行成の身体の感触が強く伝わったそうな。
(鳴神、アイドルオーラくらいしかないけど、これが役に立つだろうか)
そんなことを考えていた『裏切者』鳴神 零(CL2000669)。やってみなきゃ分からないと、コスプレしてみた結果。彼女が選んだのは。
「サキュバス衣装、えっちいぞ」
大人の魅力を感じさせる、露出多めなボンテージ風の衣装。アイドルオーラも合わせ、どこか引き付ける魅力を感じてしまう。
「これで一つ目くんが私を狙ってくれたら、手っ取り早いんだけどなあ」
相手は古妖。これで引き付けられるものかどうか……。
さて、メンバー達は情報収集を開始する。要望もあった為、予め会場の隅の一角を集合場所と決めたメンバー達は聞き込みを行うべく散っていく。
しっかりと集合場所をチェックした心琴は、まず、参加者に着飾られた猫を発見して以心を試みる。
(早く帰りたいにゃ……)
飼い主に振り回される可愛そうな猫の頭を優しく撫でた彼は、今度はちんちくりんな子に脅かされたという少女と接する。驚いた表紙に怪我をしてしまっていた彼女を、心琴は医療知識を利用して応急手当てをしていたようだ。
「……ところで、この会場の仮装してる人達で印象に残ってる仮装ってある? すげえ凝ってるのから、逆にすげえ珍妙な仮装なのとか、あったら教えてくんない?」
鷲哉は適当に参加者へと声を掛けていた。印象に残っている仮装などんなのだったかと。
聞いたところだと、悪魔のようなコスプレをしていて、露出がすごく高い女性が印象的だったという。
それって……、鷲哉は溜息をつく。おそらくは零のことだろう。
やや注目を浴びている零は一つ目の顔の少年を探す。パッと見が女の子ならば、長髪だろうか。
「どうして見た目が女の子で男の子だとわかったんだろう」
ううんと考えながら探す零。彼女は念の為、危険予知を合わせて人気のなさそうなところを探し始める。
「あまりこういった事はしないので少々恥ずかしいですが、これも任務です」
座敷わらしの衣装を着ていた離宮院・太郎丸(CL2000131)は、その恰好を意識しながらも、情報収集を開始する。どうやらすでに、悪戯をする古妖、一つ目小僧がいるそうなのだが……。
「……猫耳?」
素っ気ない女性のレイヤーさんに言われたその一言を元に、彼はねこまた、ねこ娘の仮装をした一つ目の人物探すことにする。彼はジェスチャーを使うことで、その情報を仲間達へと伝えることにしていた。
「猫又? 猫娘?」
『BCM店長』阿久津 亮平(CL2000328)も変装した一つ目小僧の格好を考えつつ、仲間達の情報を元にして鷹の目と守護使役のていさつの力を合わせて捜索を行う。そんな彼は目と口の穴を開いたシーツを被っていた。一般的な白いお化けを彷彿とさせる格好だ。
(……猫娘あたりだろうか?)
行成は鋭聴力を使い、何か疑問の声が上がるのを聞き分ける。おそらくはその近くに目標となる古妖がいるはずなのだ。
スキルも手伝い、割とすぐに相手の目星を付けたメンバー達は、とりあえず集合場所へと各自向かっていくのである。
●ワッショイワッショイ!
さて、その一つ目小僧は密かに会場内で暗躍していた。
「ワッ、だゾ!」
後ろから近づいてトントンと背中を叩き、振り向きざまに自分の顔を見せつけて驚かせるという行為を繰り返し、彼はひそかにほくそ笑んでいる。
「やっぱり、ここはすっごくいいゾ」
くすりと笑う一つ目小僧。どこからかき集めたのか、猫耳に女の子の可愛らしい衣装。一見女の子に見える外見ではあるのだが、悲しいかな、適当に持ってきたカツラが可愛らしい衣装を台無しにしている感がある。
「ひょっとしたら、あのカツラって……」
太郎丸はふと考える。後で探そうと思っていたお爺さんのカツラは、あれなのでは、と。
「悪い子には見えないんだけどな」
作戦決行前に零はそう呟く。なんとも愛嬌のある子供に見えるのだが。
ともあれ、悪戯をするというのなら、お仕置きはせねばならない。てくてくと歩くそれらしい人物目がけ……、メンバー達は一気に近寄る。
まずは、行成が仮装の布を大きくはためかせながら、無言で舞い踊る。退路と視界を塞ぐのと、突発イベントと周囲に錯覚させるのが狙いだ。
「危ないから近づいたら駄目だよ!」
零もとうせんぼしつつ、一般人が近寄るのを遮る。
「お、こんな所にいたのか! 探したぜー? ほら、追加の仮装すんだろ?」
「な、なんだゾ!?」
一つ目小僧に近寄ってきたのは、鷲哉と亮平の2人。彼はそれにびっくりしていたが、鷲哉がさらにまくしたてる。
「持ってきたから着替えに行こうぜ。そーれ、ワッショイワッショイ!」
「ワッショイワッショイ」
「何するんだゾ!?」
2人は慌てる一つ目小僧を持ちあげ、人気のない場所へと運んでいる。だが、それはかなり一目についてしまう行為で。
「お祭りなんだぞ!」
「今日が誕生日の仲間内でのサプライズなんです」
心琴が運ぶ後ろから叫びつつ追いかける。太郎丸も合わせてごまかしていたようだ。
「おー! はろうぃん、とりっくおあとりーとだぞ!」
心琴が叫びつつ、一団は人が多い場所から離れていく。その間も行成が一つ目小僧を担ぎあげる2人の周りを舞っている。
(……恥ずかしいが、周りに顔が見えなければ、まぁ……)
行成を知る者にとって、そんな彼の様子はすごく新鮮で。
(貴重な姿を目にした気がする……)
亮平はそれを見て、思わずしみじみしてしまっていたのだった。
●おしおきだゾ!
あらかじめ、零が確認しておいてくれた場所へと一つ目小僧を強引に連行した一行。そこは、外壁と建物に挟まれた会場の建物裏手だった。
担いでいた2人は、一つ目を地面へと降ろす。
「なんだゾ? なんなんだゾ!?」
一つ目小僧は人からの思わず反撃を受けてびっくりしてしまっている。カツラが取れて、坊主頭と、顔の大きな1つの目が露わになる。
「イタズラしたらダメだよ」
「悪いことをしたら、お仕置きされるらしいぞ」
亮平は窘めるように、心琴は聞いた話を伝えるように、古妖へとそう告げる。すると、彼は急に表情を変え、構えをとる。
「お仕置きはいやなんだゾ!」
彼はそう言って、前衛にいるメンバー達の体を舐め回してくる。それは古妖としての力も加わり、メンバーの体を虚弱状態へと陥らせてしまう。
「あまり手荒な事はしたくないのですが……、わかっていただけないのなら致し方ありませんね」
太郎丸はやむを得ないと、結界を発動させる。
「トリックオアトリート」
行成も一つ目を逃がさぬようにと位置取っていた。
亮平も仕方ないと、少しだけ後ろに下がった位置から、雷雲を起こして一つ目に雷を落とす。
「うぎゃぎゃだゾ!!」
雷に痺れる一つ目。それが落とした当の亮平に何かを彷彿とさせた。
(何だか雷親父みたいで、これがすでにお仕置きっぽいな……)
あくまでも、懲らしめるのが目的。亮平は刃物を使わずに戦うことにする。
メンバー達はとりあえず、抵抗する一つ目の動きを止めるべく、攻撃を行う。
太郎丸、心琴は絡みつく濃霧を発して一つ目の弱体化を図る。
そこで、零が一つ目の頬をつねる。彼女も他のメンバー同様、目の前の古妖を倒す気も、殺す気もない。だからこそ、彼女は武器も、覚者としての力も使わずに一つ目へと語りかける。
「鳴神零だよ。身体痛いから君に痛い事しないし、されたくないんだ」
そう語る零。しかし、彼女は1つだけ嘘をつく結果となってしまう。彼女の傷はすでに完治していたからだ。
「嘘は良くないんだゾ!」
一つ目はそう叫び、覚者全員を1つの目で睨み付ける。古妖としての魔力が、覚者達の体に痺れを覚えさせた。
それでも、メンバー達は手加減しつつ、お仕置きを行う。鷲哉も基本的には通常攻撃で攻めていたし、行成は水の滴と飛ばして牽制を続ける。
「に、逃げるんだゾ!」
一つ目小僧はなおもこの場から逃げ出そうと、周囲を見回して脱出経路を探していたのである。
●お仕置きはこれまで!
睨む付けてくる一つ目。
抵抗するのを止めようと、零は彼の眉間をぐりぐりとする。眉毛のない彼の場合、実際には眉間と呼ぶのが難しいのだが。おでこの中央を零は人差し指の尖端に力を入れる。
「ハロウィンは仮装して騒ぐお祭りだから、びっくり要素はいらないんだって!」
驚かせるのが大好きな一つ目。でも、楽しい一時に水は差されたくないと彼女は力説する。
だが、一つ目はなかなか聞き入れてはくれず、彼女へと攻撃を続ける。その間も、零の体には傷が刻まれてしまう。
「鳴神、あんまり君にイタイことしたくないから、やめてほしいなーって思うよ」
「…………」
一つ目は何かを考えていたようだったが。そこで、零はそうだと提案する。
「あ、なんなら、鳴神驚かせてみてよ! 鳴神なら別になにしてもいいよ」
にやりと微笑む一つ目はいきなりその場から消える。あれと零が周囲を見回していると、彼は突然背中から大きな声で驚かせてきた。
「これならどうだゾ!?」
不意を突いて零に声を掛ける一つ目。彼女は一つ目が何か仕掛けてくると構えていたから驚かないつもりだったが。古妖としての魔力がプラスされ、零を混乱させてしまう。
彼はこの場から必死になって逃げようと抵抗し、覚者を苦しめる。睨み付ける彼の眼力はまたも、メンバー達に痺れを覚えさせていた。
「逃げるんだゾ!」
だが、行成を始め、一行は彼の退路を断っていた。
亮平も、太郎丸も回復を優先させつつ、何とか一つ目を抑えようとする。
亮平は回復に若干戸惑っていたようにも見える。その一手が若干回復を後手にさせていたこともあったが、太郎丸の回復もあり、ある程度は仲間の傷をカバーできていたようだ。
その上で、鷲哉も通常攻撃で攻めたてる。彼はやや他のメンバーよりは攻めが強く、苦無で一つ目を牽制していたようだ。
行成も薙刀を使って仕掛ける。彼もやはり刃を当てぬようにと配慮しており、石突を使って突いていたようだ。
「悪戯以外はあんまりしたくないんだゾ……」
応酬が続く中、一つ目の表情に陰りが見えてくる。古妖である彼はかなりの強さだが、その力を使うことにはかなり躊躇いを見せていた。
両者についていく傷。一つ目とてただでは済んではいない。
それを確認した心琴が皆に止めるよう促した。
「こうやって傷つけ合って痛いのって、あんまお互いいい気分しないよな」
これ以上やると、一つ目もただでは済まないし、覚者にも戦闘不能者が出てしまいかねない。だから。
「痛いのは、うん。やっぱやだな、そろそろやめよーぜ! おまえそんな古妖じゃないだろ、知ってるぞ」
「…………」
完全に動きを止めた一つ目へ、亮平も優しく声を掛ける。
「もうイタズラしないか?」
「うんだゾ……」
一つ目は抵抗を止め、座り込んでしまう。ようやく彼が話を聞いてくれる体勢となったことで、メンバー達もホッと一息ついたのだった。
●ハロウィン記念にチーズ!
メンバー達は互いの傷を気遣いながら、一つ目の傷も気遣う。
「まさか、ハロウィンを一方的に悪戯する場だと思っていた訳でなかろう」
「知らなかったゾ」
行成が尋ねるも、一つ目小僧は西洋から来たイベントには疎いようで。本当に知らなかったらしい。
「ハロウィンは驚かすだけのお祭りじゃないんだよ」
そこで、亮平がハロウィンについて簡単に説明する。トリックオアトリートのやり方とお菓子がもらえる事も。
「悪戯するならば、され返される覚悟を持って挑む事だ」
彼は、それを回避する為のお菓子はあるのかと尋ねるが、当然一つ目は何も持ってはいない。
ならばと、行成が差し出す真っ赤なお菓子。何気なく一つ目がそれを口にすると、彼は顔を真っ赤にし、火でも吐きそうな仕草をしていた。
「トリックのあとはトリートだな!」
悶える彼へ、心琴がお菓子を差し出す。
「あのな、このぺろぺろキャンデーすっげーおいしいぞ!」
「……甘いゾ」
驚かせるよりも甘くて美味しい方が良くないかと心琴が聞くと、1つ目は小さく頷いた。
「せっかくだし、一緒にハロウィンを楽しむのはどうかな?」
「……楽しむといい、このイベントをな」
「うんだゾ」
一つ目は可愛らしく頷いた。
「はっぴーはろうぃーん!」
会場へと戻った心琴が愉しそうに叫ぶ。
その後、お仕置きだけで帰らせるのも悪いという亮平の提案もあり、メンバー達は一つ目と一緒にパーティーを楽しむことにしていたのだ。
カツラを探していたおじいさんに太郎丸がカツラを返した後、行成は肩車をして元の姿に戻った一つ目を人目にさらす。すごいメイクだねと、参加者からはその姿を絶賛されていたようだ。
「なんか、すごく照れるんだゾ!」
(楽しい行事なのだと理解してもらえるといいな)
行成ははしゃぐ一つ目を見て、そんなことを考えていた。
楽しい時が過ぎるのは早いもので。あっという間にパーティーは閉幕の時が訪れる。
亮平は最後にバッグから『おばけのメレンゲ菓子』を取り出し、仲間全員と一つ目に、お土産として渡していた。
「折角こんな格好してんだし、記念に撮ろうぜ」
鷲哉の提案もあり、仮装写真を取ることにする。全員で映る為に、一般客からシャッターを切ってもらっていたようだ。
「お家連れて帰るよ。お家どこなの」
戦いで軽傷を負っていた零がそう尋ねるが、一つ目は首を振る。
「いいんだゾ。ホントに楽しかったゾ!」
彼は覚者へと手を振り、晴れやかな顔で去っていく。
反省した一つ目に可愛らしさを覚えつつ、一行は会場から去っていくのだった。
会場へと到着した覚者達。ハロウィンパーティーの会場ということで、メンバー達もまた、仮装をしてから会場に潜り込む。
「ハロウィンだな! 漫画でみたぞ! 楽しいものらしい!」
会場に到着した指崎 心琴(CL2001195)はワクワクしながら、辺りを見回す。彼は狼男の仮装をした上で、看護師の保護者にねだってもらったお菓子を手にしている。重傷の体でも、彼はハロウィンパーティーを楽しみたくてこの場へとやってきていた。
「時間も決めた方がいいかな……30分くらいしたら、ここに戻ってくる感じで動こうぜ」
和泉・鷲哉(CL2001115)も狼男の格好をしていたが、心琴は可愛らしい姿だったが、大学生の鷲哉はそれらしく見える。耳や尻尾を髪の色に合わせ、爪は付け爪で人を傷つけないようにと先を尖らせないよう配慮していた。ちなみに、服装はカジュアル目の物を選んである。
そんな彼が気にしているのは、『浅葱色の想い』志賀 行成(CL2000352)の仮装。大きな布を被った彼は、丸っこい体型の守護使役もちまるに扮していた。
(志賀のは……あれ柔らかいのかな……)
鷲哉が気になってツンツンとつつくが。その手には、行成の身体の感触が強く伝わったそうな。
(鳴神、アイドルオーラくらいしかないけど、これが役に立つだろうか)
そんなことを考えていた『裏切者』鳴神 零(CL2000669)。やってみなきゃ分からないと、コスプレしてみた結果。彼女が選んだのは。
「サキュバス衣装、えっちいぞ」
大人の魅力を感じさせる、露出多めなボンテージ風の衣装。アイドルオーラも合わせ、どこか引き付ける魅力を感じてしまう。
「これで一つ目くんが私を狙ってくれたら、手っ取り早いんだけどなあ」
相手は古妖。これで引き付けられるものかどうか……。
さて、メンバー達は情報収集を開始する。要望もあった為、予め会場の隅の一角を集合場所と決めたメンバー達は聞き込みを行うべく散っていく。
しっかりと集合場所をチェックした心琴は、まず、参加者に着飾られた猫を発見して以心を試みる。
(早く帰りたいにゃ……)
飼い主に振り回される可愛そうな猫の頭を優しく撫でた彼は、今度はちんちくりんな子に脅かされたという少女と接する。驚いた表紙に怪我をしてしまっていた彼女を、心琴は医療知識を利用して応急手当てをしていたようだ。
「……ところで、この会場の仮装してる人達で印象に残ってる仮装ってある? すげえ凝ってるのから、逆にすげえ珍妙な仮装なのとか、あったら教えてくんない?」
鷲哉は適当に参加者へと声を掛けていた。印象に残っている仮装などんなのだったかと。
聞いたところだと、悪魔のようなコスプレをしていて、露出がすごく高い女性が印象的だったという。
それって……、鷲哉は溜息をつく。おそらくは零のことだろう。
やや注目を浴びている零は一つ目の顔の少年を探す。パッと見が女の子ならば、長髪だろうか。
「どうして見た目が女の子で男の子だとわかったんだろう」
ううんと考えながら探す零。彼女は念の為、危険予知を合わせて人気のなさそうなところを探し始める。
「あまりこういった事はしないので少々恥ずかしいですが、これも任務です」
座敷わらしの衣装を着ていた離宮院・太郎丸(CL2000131)は、その恰好を意識しながらも、情報収集を開始する。どうやらすでに、悪戯をする古妖、一つ目小僧がいるそうなのだが……。
「……猫耳?」
素っ気ない女性のレイヤーさんに言われたその一言を元に、彼はねこまた、ねこ娘の仮装をした一つ目の人物探すことにする。彼はジェスチャーを使うことで、その情報を仲間達へと伝えることにしていた。
「猫又? 猫娘?」
『BCM店長』阿久津 亮平(CL2000328)も変装した一つ目小僧の格好を考えつつ、仲間達の情報を元にして鷹の目と守護使役のていさつの力を合わせて捜索を行う。そんな彼は目と口の穴を開いたシーツを被っていた。一般的な白いお化けを彷彿とさせる格好だ。
(……猫娘あたりだろうか?)
行成は鋭聴力を使い、何か疑問の声が上がるのを聞き分ける。おそらくはその近くに目標となる古妖がいるはずなのだ。
スキルも手伝い、割とすぐに相手の目星を付けたメンバー達は、とりあえず集合場所へと各自向かっていくのである。
●ワッショイワッショイ!
さて、その一つ目小僧は密かに会場内で暗躍していた。
「ワッ、だゾ!」
後ろから近づいてトントンと背中を叩き、振り向きざまに自分の顔を見せつけて驚かせるという行為を繰り返し、彼はひそかにほくそ笑んでいる。
「やっぱり、ここはすっごくいいゾ」
くすりと笑う一つ目小僧。どこからかき集めたのか、猫耳に女の子の可愛らしい衣装。一見女の子に見える外見ではあるのだが、悲しいかな、適当に持ってきたカツラが可愛らしい衣装を台無しにしている感がある。
「ひょっとしたら、あのカツラって……」
太郎丸はふと考える。後で探そうと思っていたお爺さんのカツラは、あれなのでは、と。
「悪い子には見えないんだけどな」
作戦決行前に零はそう呟く。なんとも愛嬌のある子供に見えるのだが。
ともあれ、悪戯をするというのなら、お仕置きはせねばならない。てくてくと歩くそれらしい人物目がけ……、メンバー達は一気に近寄る。
まずは、行成が仮装の布を大きくはためかせながら、無言で舞い踊る。退路と視界を塞ぐのと、突発イベントと周囲に錯覚させるのが狙いだ。
「危ないから近づいたら駄目だよ!」
零もとうせんぼしつつ、一般人が近寄るのを遮る。
「お、こんな所にいたのか! 探したぜー? ほら、追加の仮装すんだろ?」
「な、なんだゾ!?」
一つ目小僧に近寄ってきたのは、鷲哉と亮平の2人。彼はそれにびっくりしていたが、鷲哉がさらにまくしたてる。
「持ってきたから着替えに行こうぜ。そーれ、ワッショイワッショイ!」
「ワッショイワッショイ」
「何するんだゾ!?」
2人は慌てる一つ目小僧を持ちあげ、人気のない場所へと運んでいる。だが、それはかなり一目についてしまう行為で。
「お祭りなんだぞ!」
「今日が誕生日の仲間内でのサプライズなんです」
心琴が運ぶ後ろから叫びつつ追いかける。太郎丸も合わせてごまかしていたようだ。
「おー! はろうぃん、とりっくおあとりーとだぞ!」
心琴が叫びつつ、一団は人が多い場所から離れていく。その間も行成が一つ目小僧を担ぎあげる2人の周りを舞っている。
(……恥ずかしいが、周りに顔が見えなければ、まぁ……)
行成を知る者にとって、そんな彼の様子はすごく新鮮で。
(貴重な姿を目にした気がする……)
亮平はそれを見て、思わずしみじみしてしまっていたのだった。
●おしおきだゾ!
あらかじめ、零が確認しておいてくれた場所へと一つ目小僧を強引に連行した一行。そこは、外壁と建物に挟まれた会場の建物裏手だった。
担いでいた2人は、一つ目を地面へと降ろす。
「なんだゾ? なんなんだゾ!?」
一つ目小僧は人からの思わず反撃を受けてびっくりしてしまっている。カツラが取れて、坊主頭と、顔の大きな1つの目が露わになる。
「イタズラしたらダメだよ」
「悪いことをしたら、お仕置きされるらしいぞ」
亮平は窘めるように、心琴は聞いた話を伝えるように、古妖へとそう告げる。すると、彼は急に表情を変え、構えをとる。
「お仕置きはいやなんだゾ!」
彼はそう言って、前衛にいるメンバー達の体を舐め回してくる。それは古妖としての力も加わり、メンバーの体を虚弱状態へと陥らせてしまう。
「あまり手荒な事はしたくないのですが……、わかっていただけないのなら致し方ありませんね」
太郎丸はやむを得ないと、結界を発動させる。
「トリックオアトリート」
行成も一つ目を逃がさぬようにと位置取っていた。
亮平も仕方ないと、少しだけ後ろに下がった位置から、雷雲を起こして一つ目に雷を落とす。
「うぎゃぎゃだゾ!!」
雷に痺れる一つ目。それが落とした当の亮平に何かを彷彿とさせた。
(何だか雷親父みたいで、これがすでにお仕置きっぽいな……)
あくまでも、懲らしめるのが目的。亮平は刃物を使わずに戦うことにする。
メンバー達はとりあえず、抵抗する一つ目の動きを止めるべく、攻撃を行う。
太郎丸、心琴は絡みつく濃霧を発して一つ目の弱体化を図る。
そこで、零が一つ目の頬をつねる。彼女も他のメンバー同様、目の前の古妖を倒す気も、殺す気もない。だからこそ、彼女は武器も、覚者としての力も使わずに一つ目へと語りかける。
「鳴神零だよ。身体痛いから君に痛い事しないし、されたくないんだ」
そう語る零。しかし、彼女は1つだけ嘘をつく結果となってしまう。彼女の傷はすでに完治していたからだ。
「嘘は良くないんだゾ!」
一つ目はそう叫び、覚者全員を1つの目で睨み付ける。古妖としての魔力が、覚者達の体に痺れを覚えさせた。
それでも、メンバー達は手加減しつつ、お仕置きを行う。鷲哉も基本的には通常攻撃で攻めていたし、行成は水の滴と飛ばして牽制を続ける。
「に、逃げるんだゾ!」
一つ目小僧はなおもこの場から逃げ出そうと、周囲を見回して脱出経路を探していたのである。
●お仕置きはこれまで!
睨む付けてくる一つ目。
抵抗するのを止めようと、零は彼の眉間をぐりぐりとする。眉毛のない彼の場合、実際には眉間と呼ぶのが難しいのだが。おでこの中央を零は人差し指の尖端に力を入れる。
「ハロウィンは仮装して騒ぐお祭りだから、びっくり要素はいらないんだって!」
驚かせるのが大好きな一つ目。でも、楽しい一時に水は差されたくないと彼女は力説する。
だが、一つ目はなかなか聞き入れてはくれず、彼女へと攻撃を続ける。その間も、零の体には傷が刻まれてしまう。
「鳴神、あんまり君にイタイことしたくないから、やめてほしいなーって思うよ」
「…………」
一つ目は何かを考えていたようだったが。そこで、零はそうだと提案する。
「あ、なんなら、鳴神驚かせてみてよ! 鳴神なら別になにしてもいいよ」
にやりと微笑む一つ目はいきなりその場から消える。あれと零が周囲を見回していると、彼は突然背中から大きな声で驚かせてきた。
「これならどうだゾ!?」
不意を突いて零に声を掛ける一つ目。彼女は一つ目が何か仕掛けてくると構えていたから驚かないつもりだったが。古妖としての魔力がプラスされ、零を混乱させてしまう。
彼はこの場から必死になって逃げようと抵抗し、覚者を苦しめる。睨み付ける彼の眼力はまたも、メンバー達に痺れを覚えさせていた。
「逃げるんだゾ!」
だが、行成を始め、一行は彼の退路を断っていた。
亮平も、太郎丸も回復を優先させつつ、何とか一つ目を抑えようとする。
亮平は回復に若干戸惑っていたようにも見える。その一手が若干回復を後手にさせていたこともあったが、太郎丸の回復もあり、ある程度は仲間の傷をカバーできていたようだ。
その上で、鷲哉も通常攻撃で攻めたてる。彼はやや他のメンバーよりは攻めが強く、苦無で一つ目を牽制していたようだ。
行成も薙刀を使って仕掛ける。彼もやはり刃を当てぬようにと配慮しており、石突を使って突いていたようだ。
「悪戯以外はあんまりしたくないんだゾ……」
応酬が続く中、一つ目の表情に陰りが見えてくる。古妖である彼はかなりの強さだが、その力を使うことにはかなり躊躇いを見せていた。
両者についていく傷。一つ目とてただでは済んではいない。
それを確認した心琴が皆に止めるよう促した。
「こうやって傷つけ合って痛いのって、あんまお互いいい気分しないよな」
これ以上やると、一つ目もただでは済まないし、覚者にも戦闘不能者が出てしまいかねない。だから。
「痛いのは、うん。やっぱやだな、そろそろやめよーぜ! おまえそんな古妖じゃないだろ、知ってるぞ」
「…………」
完全に動きを止めた一つ目へ、亮平も優しく声を掛ける。
「もうイタズラしないか?」
「うんだゾ……」
一つ目は抵抗を止め、座り込んでしまう。ようやく彼が話を聞いてくれる体勢となったことで、メンバー達もホッと一息ついたのだった。
●ハロウィン記念にチーズ!
メンバー達は互いの傷を気遣いながら、一つ目の傷も気遣う。
「まさか、ハロウィンを一方的に悪戯する場だと思っていた訳でなかろう」
「知らなかったゾ」
行成が尋ねるも、一つ目小僧は西洋から来たイベントには疎いようで。本当に知らなかったらしい。
「ハロウィンは驚かすだけのお祭りじゃないんだよ」
そこで、亮平がハロウィンについて簡単に説明する。トリックオアトリートのやり方とお菓子がもらえる事も。
「悪戯するならば、され返される覚悟を持って挑む事だ」
彼は、それを回避する為のお菓子はあるのかと尋ねるが、当然一つ目は何も持ってはいない。
ならばと、行成が差し出す真っ赤なお菓子。何気なく一つ目がそれを口にすると、彼は顔を真っ赤にし、火でも吐きそうな仕草をしていた。
「トリックのあとはトリートだな!」
悶える彼へ、心琴がお菓子を差し出す。
「あのな、このぺろぺろキャンデーすっげーおいしいぞ!」
「……甘いゾ」
驚かせるよりも甘くて美味しい方が良くないかと心琴が聞くと、1つ目は小さく頷いた。
「せっかくだし、一緒にハロウィンを楽しむのはどうかな?」
「……楽しむといい、このイベントをな」
「うんだゾ」
一つ目は可愛らしく頷いた。
「はっぴーはろうぃーん!」
会場へと戻った心琴が愉しそうに叫ぶ。
その後、お仕置きだけで帰らせるのも悪いという亮平の提案もあり、メンバー達は一つ目と一緒にパーティーを楽しむことにしていたのだ。
カツラを探していたおじいさんに太郎丸がカツラを返した後、行成は肩車をして元の姿に戻った一つ目を人目にさらす。すごいメイクだねと、参加者からはその姿を絶賛されていたようだ。
「なんか、すごく照れるんだゾ!」
(楽しい行事なのだと理解してもらえるといいな)
行成ははしゃぐ一つ目を見て、そんなことを考えていた。
楽しい時が過ぎるのは早いもので。あっという間にパーティーは閉幕の時が訪れる。
亮平は最後にバッグから『おばけのメレンゲ菓子』を取り出し、仲間全員と一つ目に、お土産として渡していた。
「折角こんな格好してんだし、記念に撮ろうぜ」
鷲哉の提案もあり、仮装写真を取ることにする。全員で映る為に、一般客からシャッターを切ってもらっていたようだ。
「お家連れて帰るよ。お家どこなの」
戦いで軽傷を負っていた零がそう尋ねるが、一つ目は首を振る。
「いいんだゾ。ホントに楽しかったゾ!」
彼は覚者へと手を振り、晴れやかな顔で去っていく。
反省した一つ目に可愛らしさを覚えつつ、一行は会場から去っていくのだった。
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
『記念写真』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:全員
カテゴリ:アクセサリ
取得者:全員
