【if】いまここに二人の道が開かれる
【if】いまここに二人の道が開かれる


●しあわせのかたち
 覚者の力が世界に流布し、同時に古妖と呼ばれる古くからの隣人の存在もある程度認知されるようになった。
 そうなるとまた新たな交友関係が生まれる。事、人型且つ友好的な古妖に関しては密接な関係となった人間も生まれ始める。具体的に言うと、肉体関係を結んだり子を為したりと言った関係である。
 その動きを予測していたのか、あるいは世論がそういうふうに動いたか。ともあれ結婚に関する規則が大きく揺れる。古くからのしきたりに従うコミューン。時代の改革に対応するコミューン。騒乱を避けるために早急な住み分けが為された。
 異類婚姻譚――人間と違った種の婚姻ケースは、実のところ古くから伝承が残っている。神話系においては神と人間の間に生まれた子供のケースは多く、グリム童話の『かえるの王さま』や日本の『鶴の恩返し』など様々だ。その時代の倫理や文化を現代にそのまま当てはめるわけにはいかないが、遥か過去から存在していたケースと言えるだろう。
 そして日本でも婚姻の門を広げることになった。異類婚姻や同性婚などを一気に認め、養子縁組などをサポートする体制だ。
 それを機に、日本では爆発的な結婚ブームとなった。

 貴方も、これを機会に結婚してみませんか?



■シナリオ詳細
種別:イベント
難易度:楽
担当ST:どくどく
■成功条件
1.結婚しましょう
2.結婚する人を見て微笑みましょう
3.結婚式を守りましょう
 どくどくです。
 ……まあ、ギリシア神話のゼウスとか悪例もありますが。

●説明!
 結婚しましょうそうしましょう。
 互いの了承があれば結婚できます。異種間だろうが同性だろうが構いません。そういうふうに法律と世論が変わりました。イフ世界ですからね!
 そういうわけで結婚式です。好きな人と一緒に出ると、甘々な感じになります。どくどくのNPCは基本了承します。フリー素材です。
 あるいはそういった人を眺めたり、そういう時代になったことに関する感想を述べるのもありです。
 異類婚姻に未だ反対する過激な人が、結婚式を襲うかもしれません。そういう人から式を守る為に戦ってもいいでしょう。
 式の種類は様々です。教会での西洋式、神社の和式、思い出の場所で、誰にも見られずひっそりと、国外もありです。
 望めば苗字が同じになるかもしれません。……イフシナリオなのであくまでこのシナリオのみですが。

 それでは、お幸せに。

状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:1枚
(0モルげっと♪)
相談日数
6日
参加費
50LP
参加人数
6/∞
公開日
2019年12月25日

■メイン参加者 6人■

『想い重ねて』
蘇我島 恭司(CL2001015)
『想い重ねて』
蘇我島 燐花(CL2000695)
『星唄う魔女』
秋津洲 いのり(CL2000268)
『ファイブブラック』
天乃 カナタ(CL2001451)

●秋津洲 いのりの今日のお仕事
「今日もお式の予定が立て込んでいますわね」
『星唄う魔女』秋津洲 いのり(CL2000268)はファイルを前に小さく息を吐く。ため息、と言うものではない。気合を入れる為の儀式のようなものだ。びっしり詰め込まれた式典のスケジュールを見ながら、どう人を動かしていくかを思考していく。
 ここはいのりの祖父が経営する結婚式場。そこを任されたいのりは毎日てんてこまいであった。
「同性婚に異類婚。少し前までなら冷笑されていた出来事ですのに」
 いのりは式に出た人や古妖達の顔を思い出しながら、笑みを浮かべる。愛を誓う二人のしあわせそうな笑顔。それを祝福する人達の歓声。どれも幸せな未来を願った華やかな式典。それらを滞りなく運営しなくては。
「いつかいのりにも、そういう方が現れるのかしら?」
 だがそれはまだ先の話だ。今日は今日の仕事が待っている。いのりは気持ちを切り替え、仕事に勤しむ。

●天乃 カナタと天乃 茉莉?
「ウェディングドレスか、和装か。それが問題だ……!」
『ファイブブラック』天乃 カナタ(CL2001451)は究極の二択を前に悩んでいた。
 茉莉と付き合って数年、プロポーズのころ合いを見計らって指輪を渡し、赤面しながらも受け取ってくれた彼女。そしてあれよあれよと結婚式の準備を進め、この問題に突き当たる。
「やはり和装だろう! 茉莉ちゃんだもんね!」
 ――という事で神社での和式である。白無垢の姿に身を包んだ茉莉は例えようがないほどに美しかった。幸せそうに笑みを浮かべ、カナタの隣を歩く。それだけで結婚する実感がわいてきた。
 だがこれがゴールではない。これから幸せな未来が待っているのだ。杯を傾け、いざ口づけを交わそうと――
「いつまで寝てるんだよ、起きろー!」
「わぶぅ!」
 布団をはがされ、目を覚ますカナタ。仁王立ちする茉莉を前に、思わず叫んでしまった。
「夢オチかよー!」

●賀茂 たまきと賀茂 奏空
(……つ、遂に、この時が……)
『陰と陽の橋渡し』賀茂 たまき(CL2000994)は広い畳の間で着物に袖を通しながら、信じられないという顔をしていた。
(私がお嫁さんに行くつもりでしたが、まさか、奏空さんが、婿養子さんに、来て下さるなんて……!)
 FiVEの活動を終えてから数年後、陰陽師として家を継ぐたまきの家に嫁ぐ形で『探偵見習い』工藤・奏空(CL2000955)と結婚することになったのだ。
『一緒に家を守ろう!』
 手を取りそう言ってくれたあの日を、たまきは忘れない。
「たまきちゃん!」
 花嫁を迎えに来た奏空が目の前に現れる。黒五つ紋付き羽織袴の奏空は、想像していたよりも綺麗だった。男性に使う表現としては些か不適切かもしれないが、正しい姿勢で立てば映える様に着物は作られている。
 だが、それ以上にたまきの心に染み入るものがあった。
(結婚……するんですね、私達)
 自分が来ている白無垢。奏空が来ている袴羽織。それが明るい未来を想起させる。
「いや、えーと違うか……」
 奏空は咳払いをして、深呼吸をする。怪訝に思うたまきに手を刺し伸ばし、はっきりと告げる。
「行こう、たまき。これからも一緒に」
 思えば、こう呼ぶのは初めてだったと奏空は気付く。
「は、はわわわわ…………」
 たまきは顔を隠すようにして、崩れ落ちる。隠している状態でもわかるほどに赤面していた。
「あのー、メイクが崩れるんで顔を隠さないでください」
「そんなこと言われましても……! はうぅぅぅぅぅぅぅ!」
 白粉を塗る巫女の言葉に、しかしたまきは手をどける事ができないでいた。
 ――などという事があり式の開始が少し遅れたという。この事は賀茂夫婦の語り草となり、子供達に語り継がれていくのであった。

●蘇我島 恭司と蘇我島 燐花
 真っ赤なカーペットを歩く『想い重ねて』蘇我島 恭司(CL2001015)と『想い重ねて』柳 燐花(CL2000695)。恭司は白いタキシードを着て、燐花は純白のドレスを着ていた。
 祝福の鐘を聞きながら二人は牧師の前まで歩いてくる。
「新郎恭司、あなたはここにいる燐花を、病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、妻として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」
「はい。誓います」
「新婦燐花、あなたはここにいる恭司を病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、夫として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」
「っ、はい、誓い、ます」
 牧師の言葉に応える二人。燐花の反応を見て、恭司は苦笑した。
(あー、燐花ちゃんガチガチかな)
(う、上手くやれているでしょうか? 顔、強張ってないでしょうか?)
「それでは、誓いのキスを」
 恭司の手が燐花のベールをあげる。予想通り平静を装うとしている燐花の顔がそこにあった、
「綺麗だよ、燐ちゃん」
「そ……蘇我島さんも、素敵ですよ」
 何とか緊張を押さえて答える燐花。
「違うよ。今日から燐ちゃんも『蘇我島』だ」
「…………はい」
 頷き、その事実を噛みしめる燐花。結婚する。その意味を理解しているつもりで、だけどその事実が胸を満たしていく。
 ゆっくりと、二人の唇が重なった。如何なる時でも互いを愛し、敬い、慈しむ誓いのキス。
 教会の鐘が鳴る。二人の未来を祝福する、高らかな音を立てて。


 それでは、お幸せに――

■シナリオ結果■

大成功

■詳細■

MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
『結婚指輪』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:賀茂 たまき(CL2000994)
『結婚指輪』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:工藤・奏空(CL2000955)
『結婚指輪』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:蘇我島 恭司(CL2001015)
『結婚指輪』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:柳 燐花(CL2000695)



■あとがき■


■■運営追記■■
最後のクリスマスに小さな奇跡を。
納品お待たせいたしました。




 
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