源素とは 語り語って真理へと
源素とは 語り語って真理へと


●源素とは何か
「源素とは何か?」
 源素。二十五年前から因子発現した人間が使う事が出来る能力。木火土天水の五種類が存在し、覚者ごとに得意な属性と使用できない属性が存在する。その力は時に刃となり、時に癒しとなり、時に盾となる。
「源素とは何か?」
 木行……それは春に彩る植物の力。火行……夏に日出る太陽や炎を示す力。土行……季節の変わり目を告げる万物の育成の力。金行……秋の収穫を表す金属の力。水行……冬の冷気を示す生命の泉の力。
「源素とは何か?」
 力。他人を圧倒するモノ。使えない人間を虐げる特別である証。
「源素とは何か?」
 自然の力。万物の力。
「源素とは何か?」
 ――源素とは――

●FiVE
「『源素とは何か?』というディスカッションよ」
『研究所所長』御崎 衣緒(nCL2000001)に集められた覚者達はその言葉に怪訝な表情を浮かべた。
 ディスカッション。『討論』や『議論』と訳される単語である。弁論で相手を遣り込める勝ち負けのあるモノではなく、あるテーマに関して意見交換を行う話し合いの意味が強い。
「今回行ってもらうのは自由討論型ディスカッション……簡単に言えば、みんなが思う事を自由に意見することよ。皆が『源素』について思っていることを語ってちょうだい」
 その後でこのディスカッションを行おうと思った経緯を説明する。
 源素を総べると言われた『一の何か』。これに打ち勝つには、『一の何か』が扱う源素のことを知らなくてはいけない。当然今まで研究しつづけているのだが、それでも決定的な答えは出ない。
 そこで、覚者の意見を聞いて参考にしようという流れになった。
「理論や法則と言ったことは気にしないでいいわ。専門的な知識は研究者の仕事。貴方達は貴方達が思うように語って欲しいの。
 分からない事に関する質問でもいいわ。何が分からないか、をが分かればそこから生まれる事もある」
 顔を見合わせる覚者達。
 かみ砕いていえば、高尚な事を言えばいいのではない。自分が今で源素を使い、感じ、疑問に思ったことを言えばいい。その意見を衣緒が拾い、発展させてくれる。
「それじゃ、席について。飲み物は好きなものを選んでいいわ」
 全員が席に座ったことを確認し、ディスカッションが始まる――



■シナリオ詳細
種別:イベント
難易度:楽
担当ST:どくどく
■成功条件
1.源素の事を語れ
2.なし
3.なし
 どくどくです。
 アラタナルの企画段階で、この話はやろうと決めていました。

●説明っ!
『源素とは何か』という事を語ってください。
 貴方が今まで源素を使い、疑問に思い、そしてこうだと思う事。
 因子、守護使役、術、気力、覚醒時の微弱電波、覚者になる者ならない者……そういったすべて。それを議論し、そしてそこから源素とは何かという事に近づけていきます。
 OPでも御崎が言っていますが、理論や学論と言ったことは不要です……が、研究者キャラ等が独自の理論を持ち出すことを止めるわけではありません。そしてそれらは(よほどトンデモでなければ)受け入れられる可能性があります。
 ディスカッションで出る意見に上下はありません。大事なのは、意見を口にすることです。

●場所
 FiVEの会議室。そこに集められて、討議をします。
 源素の資料などはたくさんあります。今までの依頼の情報もそろっています。

 皆様のプレイングをお待ちしています。
状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:1枚
(0モルげっと♪)
相談日数
7日
参加費
50LP
参加人数
7/∞
公開日
2019年10月08日

■メイン参加者 7人■



 源素とは何か――

「んー。今までよう考えたことなかったな」
『緋焔姫』焔陰 凛(CL2000119)はそう語る。

「源素って言うか因子の力も全部ひっくるめてヒーローの力だと思ってた。まあ、すぐに幻想だって知ったけどさ」
『天を翔ぶ雷霆の龍』成瀬 翔(CL2000063)は目覚めた時の感覚を口にする。

「誰しもが源素を扱う素質と、その受け皿を持っているのかもしれません」
『赤き炎のラガッツァ』ラーラ・ビスコッティ(CL2001080)は静かに口を開いた。

「よく分からない、けど……」
 桂木・日那乃(CL2000941)はそう言って、思っていたことを切り出す。

「私が源素を使う時の感覚ですけど」
『陰と陽の橋渡し』賀茂 たまき(CL2000994)は実際に源素を扱う感覚から説明を開始する。

「オレは空手をやっているんだけど」
『雷切』鹿ノ島・遥(CL2000227)は拳を握り、熱弁する。

「俺達は源素こそ戦う力だと思っていたけど、だけどそれは違うのかもしれない」
『探偵見習い』工藤・奏空(CL2000955)は言いながら、言いたいことを頭の中で整理していく。

 七人の覚者は妖や源素を使うものと戦いながら、同時に源素による抗争を望まない。和を乱す相手に矛を向ける事をいとわないが、自ら源素をもって支配する事を良しとしない。
 だからこそ見える意見。源素を都合のいい力と見ないからこそ言える言葉がそこにあった。


「じゃなんだ、って言われるとよくわからないんだけどさ」
 翔はそう繋げる。分からない、という事は恥ではない。むしろそこからどう考えるかだ。翔は解らないままに、それでも源素を正しい事の為に使った。力は使う者の心次第だと、戦いの中で結論を出している証拠だ。
「因子は元からオレらが持ってる力だって、源素とは違うって言ってたよな。だから因子は人間が忘れてしまった退化した能力。
 源素はそれを刺激する自然の力。あるいは、自然を信仰する人間の思いが結晶化した力
そんな感じかなって思ってた」
 覚者の持つ因子。そして源素。それは同一のものではない。因子発現と同時に源素に目覚めるから同一視されがちだが、それらが別であるのなら――
「夢見は源素を使えない、から、それで正しいと思う」
 翔の言葉を継ぐように日那乃が口を開く。夢見は因子の力で予知をする。だが彼らは源素を使った術式は使えない。因子はあくまで因子であり、守護使役は守護使役であり、源素は源素なのだ。
「そう言えば、覚醒の時の微弱電波とかも、ある、ね。……電波って波、だった? ええと、じゃあ、源素も、物の形? 波、とか?」
 波長。空間を渡る周期的な並のことである。音や光も波長により様々な形となる。赤い信号機と青い信号機の光は異なる波長で、源素もまた波で表現できるのかもしれない。事実、覚醒時に起きる微弱電波が通信を阻害しているのだから。
「夢見さんは、その波が、色々関係しあっているのを、見て未来を見ている?」
「そう考えるとあれやな、前世持ちなんかは『前世の魂』っていう波を受け取ってる感じやな」
 うんうんと前世持ちの凛が頷く。凛は自分の前世を初代の焔陰流だと信じている。だが凛が前世の力を借りる時、その身体が乗っ取られたりはしない。あくまで自分の意志で前世の意識と接し、身体能力を増しているのだ。
「因子が違うんは、遺伝子とかの違い? ちゃうなぁ。そもそも因子発現するもんとそうでないもんもおるし。……あー、知恵熱でそうや」
 言って頭をかく凛。これ以上は無理とばかりに話を切り替える。
「そう言えば『魂』とかどう思う? 二回ほど魂使って力が増したんやけど。これも源素とか因子の関係なんかな?」
「無関係、とは言い切れませんね」
 言葉に応えたのは、ラーラだ。ラーラも過去に一度魂を削ったことがある。その時の感覚を思い出しながら、慎重に言葉を選んだ。言葉通り命を懸けて奇跡を起こす力だ。死に直結する事を軽々には言えない。
「魂にせよ、源素にせよ、誰もが使えるかもしれませんがリスクが存在します。魂は言わずもがな。破綻者は個人の器以上の源素が注がれた状態なのでしょう。
 最近の破綻事件を鑑みるに、源素のコントロールの主導権を握るには力を高めることと、一方で器に余る力の流入を拒絶する何かが必要そうでしょうか」
 破綻者事件のことを思い出しながら、ラーラは意見を口にする。破綻者の状態がラーラの推測通りなら、それを制御できれば問題はない。ではその制御方法は――
「あれだな。体を鍛えずに瓦に正拳突きしても指の骨が折れるってやつだな!」
 ラーラの言葉を自分なりに解釈する遥。武術初心者は派手さやカッコよさを求めてしまいがちだが、最初にやることは基本の型の徹底だ。その下地があって初めて技が放てる。源素も、基本の器があって初めて扱えるのだ。
「オレにとって、源素は自分の体を強化してる何か、だな。身体能力だったり、頑丈さだったり、再生能力だったり。
 オレは空手を通じて源素を扱ってるんだろうな。『手足の武器化』『対象の破壊』空手の持つイメージを、源素が具現化してるのかもしれない」
 かつて夢の中で会った『神』――それは源素そのものなのだが――が告げた言葉を思い出す。イメージが力になる。それは人間も『一の何か』も同じこと。故に遥は拳を握る。遥の思うままに、稲光が拳を纏うように光った。
「イメージ……そうですね。私は『土の力』と『因子』の二つを同調させるイメージです」
 たまきはイメージを脳内で再現しながら言葉を放つ。前世と繋がる暦の因子。作物を生む土の因子。その二つを意識の中で混ぜ合わせ、現在の位置に『戻ってくる』感覚だ。覚醒を説くと同時にその二つを手放し、元に戻る。
「『斬鉄さん』は金の源素を『斬った』と仰って居ましたよね……? 源素は『斬る……切る……事も出来るもの』で……。物理的に『細分化』できて、精神的に『世界との接続を斬れる』のではないでしょうか。
 つまり、源素とは世界に存在するモノで、『一の何か』も私たちと同じように『接続』して源素を扱っている……?」
「うん。たまきちゃんの言う通り、俺も源素とは世界のどこにでも在る自然そのものだと思う」
 たまきの言葉に頷く奏空。以前源素と話をしたときに、同じようなことを教えてくれた。
「源素そのものに正も邪もない。ただそこにあり、そしてそれを使う事が出来るだけにすぎない。
 隔者と覚者と同じようなモノだ。正しい事だろうが悪い事だろうが関係ない。俺達の意志で、俺達の想像通りに扱える力。それは『一の何か』だって同じことなんだ」
 奏空は源素こそ『一の何か』に対抗できる力だと思っていた。或いは力があれば勝てると思っていた。
「源素を総べると言っていたあいつも、ただの源素を扱える者の始まりなんだ。俺達と同じ源素を操るだけの存在で、その『操作量』が大きいだけなんだ」
 争うべきは、扱う力の強弱ではない。
 源素を正しく使おうという精神。イメージ。想いの力。その心の力こそが、源素を扱う力の源なのだから――


 ――源素とは。
 世界に満ちる力。自然にあるただそれだけの力。木火土天水の五つの波をもつ存在
 それを扱うのは心の力。イメージのままに源素は扱われる。

「つまり、『一の何か』に勝るほどのイメージがあれば、あいつよりも源素が扱えることになる」
「『一』の奴は源素を食い物か酒みたいに思ってるんだろうぜ」
「イメージの内容は関係ないんだろうぜ。要は想いの強さだ!」
 想いの強さ。心の強さ。それならFiVEの覚者達だって負けてはいない。今まで戦って来た覚者の精神は、ただ満ちるだけを待っていた『一の何か』に負けなどしない。
 心の中に信念と言う武器を宿し、覚者達は戦いに挑む。
 源素を総べる者――『一の何か』と呼ばれる存在との戦いに。


■シナリオ結果■

成功

■詳細■

MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし




 
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