集まりし 人と古妖にアドバイス
●FiVEの旗に集う人達
七星剣を制し、覚者と隔者の戦いを終わらせたFiVE。
その快挙に喜び、手を貸そうとする者は多い。何せこの国には人を殺める脅威がいまだ残っているのだ。
妖、そして大妖である。
これら脅威の排除及び対策に、FiVEに期待が寄せられている。そして同時にそれに貢献しようと様々な人が協力しようとしていた。
例えば、今までフリーで活動していた覚者。
例えば、因子発現していないけど何かできるかもと立ち上がった一般人。
例えば、人とは関わりたくないけどFiVEに力を貸したい古妖。
彼らの力を借りれば妖に対抗するための団結力が高まり、大妖及びそれらの裏にいる者へ力を注ぐことができるのだ。
当然だが、彼らの動きはFiVEの覚者ほど精錬されていない。ただ力があるだけ。ただ勇気があるだけでは意味がない。ただいたずらに戦い、命を散らすだけだ。
彼らにどう教育し、どう動いてもらうか。それを歴戦のFiVEから教わることで彼らの戦い方は大きく変わってくるのだ。
●中からの頼み
「――基本的なことは教えこんだ。連絡相談報告の徹底や集団活動における常識や注意事項。だが彼らは実戦に対する知識がない」
中 恭介(nCL2000002)は集まった覚者に対して、説明を開始する。
戦いにおいて一番怖いのは、危険に対する知識不足だ。一度恐慌状態に陥れば、良くて逃亡、最悪同士討ちになりかねない。
「こればかりは俺がどうこう言うよりも、実際に前線で戦ってきた皆の方が適任だろう。戦いの経験を始めとしたどういうことを注意すればいいか。戦いの時にどうすればいいのか。それを教えてやってくれ。
口頭でもいいし、実際に体を動かしてもいい。やり方は任せる」
何せFiVEの覚者は七星剣を廃しただけではなく、この国最大の脅威である大妖との戦闘経験さえある。集まった人たちのFiVEの覚者に対する敬意は、非常に高い。よほど酷いことを言わない限りは、信用してくれるだろう。
予想外の中の頼みに、貴方は――
七星剣を制し、覚者と隔者の戦いを終わらせたFiVE。
その快挙に喜び、手を貸そうとする者は多い。何せこの国には人を殺める脅威がいまだ残っているのだ。
妖、そして大妖である。
これら脅威の排除及び対策に、FiVEに期待が寄せられている。そして同時にそれに貢献しようと様々な人が協力しようとしていた。
例えば、今までフリーで活動していた覚者。
例えば、因子発現していないけど何かできるかもと立ち上がった一般人。
例えば、人とは関わりたくないけどFiVEに力を貸したい古妖。
彼らの力を借りれば妖に対抗するための団結力が高まり、大妖及びそれらの裏にいる者へ力を注ぐことができるのだ。
当然だが、彼らの動きはFiVEの覚者ほど精錬されていない。ただ力があるだけ。ただ勇気があるだけでは意味がない。ただいたずらに戦い、命を散らすだけだ。
彼らにどう教育し、どう動いてもらうか。それを歴戦のFiVEから教わることで彼らの戦い方は大きく変わってくるのだ。
●中からの頼み
「――基本的なことは教えこんだ。連絡相談報告の徹底や集団活動における常識や注意事項。だが彼らは実戦に対する知識がない」
中 恭介(nCL2000002)は集まった覚者に対して、説明を開始する。
戦いにおいて一番怖いのは、危険に対する知識不足だ。一度恐慌状態に陥れば、良くて逃亡、最悪同士討ちになりかねない。
「こればかりは俺がどうこう言うよりも、実際に前線で戦ってきた皆の方が適任だろう。戦いの経験を始めとしたどういうことを注意すればいいか。戦いの時にどうすればいいのか。それを教えてやってくれ。
口頭でもいいし、実際に体を動かしてもいい。やり方は任せる」
何せFiVEの覚者は七星剣を廃しただけではなく、この国最大の脅威である大妖との戦闘経験さえある。集まった人たちのFiVEの覚者に対する敬意は、非常に高い。よほど酷いことを言わない限りは、信用してくれるだろう。
予想外の中の頼みに、貴方は――

■シナリオ詳細
■成功条件
1.集まった人や古妖にアドバイスをする
2.なし
3.なし
2.なし
3.なし
技術や経験を伝えること。これもまた戦いなのです。
●説明っ!
FiVEに力を貸そうと集まってきた人(及び古妖)達。しかし彼らは妖との戦闘経験がFiVEの覚者ほどありません。彼らの思うままに戦わせれば、いざ実戦となった時にパニックや犠牲が出るでしょう。
そう言った人達に自分達の経験や心構えを伝えることで、戦いに対する精神的な指針を与えてください。
方法は自由です。口で説明してもいいし、体を動かして教えてもいいです。基本的に彼らはFiVEの覚者を尊敬しており、好意的に受け止めてくれます。
どのグループに教えるかを、プレイングの冒頭及びEXプレイングに書いてください。それ以外の行動をとる場合は【4】で(例:【4】皆のためにお茶を用意する等)
【1】:フリーの覚者
今までFiVEに参入しなかった在野の覚者です。それなりに強いのですが一匹狼だったため、集団戦での行動経験があまりありません。一人突出してしまうでしょう。
【2】:一般人
徒党を組んで戦う人達です。集団戦での戦いには長けますが、作戦通りにいかなければ脆いです。不意を突かれればパニックを起こしてしまいまうでしょう。
【3】(人間のフリをする)古妖
見た目は普通の人の姿をした古妖(ネコマタ、入道等)です。人間は嫌いですが、FiVEに恩がある古妖達。人への不信を消すことで、人と協力しようとするかもしれません。
●場所情報
五麟学園内。そこに作られた特別キャンプ場。広い敷地と体育館があり、学校にある大抵の物や施設は揃えることができます。
時刻は昼。夕方には解散の形です。
●イベントシナリオのルール
・参加料金は50LPです。
・予約期間はありません。参加ボタンを押した時点で参加が確定します。
・獲得リソースは通常依頼難易度普通の33%です。
・特定の誰かと行動をしたい場合は『御崎 衣緒(nCL2000001)』といった風にIDと名前を全て表記するようにして下さい。又、グループでの参加の場合、参加者全員が【グループ名】という タグをプレイングに記載する事で個別のフルネームをIDつきで書く必要がなくなります。
・NPCの場合も同様となりますがIDとフルネームは必要なく、名前のみでOKです。
・イベントシナリオでは参加キャラクター全員の描写が行なわれない可能性があります。
・内容を絞ったほうが良い描写が行われる可能性が高くなります。
皆様からのプレイングをお待ちしています。
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:1枚
金:0枚 銀:0枚 銅:1枚
相談日数
7日
7日
参加費
50LP
50LP
参加人数
7/∞
7/∞
公開日
2019年02月03日
2019年02月03日
■メイン参加者 7人■

●フリーの覚者へ
「いくら覚者が強くても、妖ってのは大体単体ではこちらを大きく上回る。それを覆せるのが、協力プレイってやつだ!」
「どんな強くても数で押されれば負ける。逆にチーム組んでやればそれだけ勝率が上がるよ」
フリーの覚者達の指導を買って出たのは『雷切』鹿ノ島・遥(CL2000227)と『探偵見習い』工藤・奏空(CL2000955)だ。二人の言葉に頷いたり、メモを取ったりする覚者達。
「一足す一が二になるんじゃない。チームで戦うことで増えるのは戦略という選択肢だ。
前に出て殴る者、チームの要を守る者、チームを支える者。それぞれがその役割を果たすことで、戦闘で取れる選択肢は増えてくるんだ」。
「百聞は一見に如かず! オレとソラの、マブダチタッグでもって、コンビネーションの威力を『体験』してもらおう!」
という遥の提案で模擬戦を行うことになった。覚者達のおおよその実力を把握し――
「先ずはオレと戦ってもらおう! 骨の2、3本は授業料かな?」
「やりすぎるなよ、遥」
遥と覚者とのタイマンバトルとなった。相応に戦闘経験がある覚者達だが、遥の実力には及ばない。五人ほど連戦したが、遥のごぼう抜きだった。
「今度はソラの指導の下、オレとお前ら五人との勝負だ!」
「んー……。君は体力があるから前に立って攻撃を受ける役。君は付与で彼を強化して、貴方はバッドステータスで足止め。適度に傷ついたら前衛と中衛を交代。タイミングは遥の行動後で、後一撃受ければ倒れるかモノラインを目途に」
奏空は五人の覚者にテキパキと指示を出す。各個人の特性を見て、自分だったらこうするという指示を出した。
「ガチだなソラ! いいぜ、こいよ!」
手のひらを拳で叩き、覚者達を向かえる遥。ぎこちないながらも奏空の動きに合わせる覚者達。
体験を伴った教育は、その練度を大きく引き上げていく。
●一般人へ
「無理に頑張っても大けがをしてしまうだけなの。強い相手は強い人にお任せして、サポートをするのも立派なお仕事だと思うの」
因子発現していない人達に向けて、野武 七雅(CL2001141)はそう切り出す。武器をもって挑む事だけが戦いではない、と。
「力が足りない人を遠ざけてあげるとか励ましてあげるとか。そいうのも立派な戦いだと思うの」
戦いは力で制して終わり、ではない。戦いで傷ついた傷は源素で戻るかもしれないが、心はそう簡単にはいかない。喪失は戻らず、埋めることは容易ではない。それでも人が人と接することで癒えない傷ではない。
「なつねも前に出て戦えなくて歯がゆいときあるけど、自分の出来ることを理解して自分のできる最大限の頑張りができればそれで嬉しいって思うの」
癒し手としてできること。前に立てないからこそ分かる事。七雅は胸に手を当て、静かに告げた。
「わたしたちと普通のひとたち、助けてほしい」
挨拶と自己紹介の後、桂木・日那乃(CL2000941)は目の前の人達に告げる。
「わたしたちは、依頼に行くとき。FiVEの後方支援のひとたちに、移動とか避難誘導とか戦闘のあとのこととかやってもらってる。自分たちだけじゃできない」
妖との戦いは、突発的だ。夢見の予知があるからこそ先だって動けるが、それでもすべてに対応できるわけではない。どうしても万全の体制では戦えないことがある。
「特に避難誘導。普通のひとたち、まだ覚者が嫌いなひとも怖いひともいっぱいいると思う。でもあなたたちなら、聞いてもらいやすい、と思う」
覚者とそうでない者の溝。それはまだ存在している。それはどうしようもないことで、それを嘆いたり責める事に意味はない。それでもこうして信じてくれる人がいるなら、その溝は埋められると信じてる。
「あとなるべく戦闘には近寄らないでほしい。攻撃範囲より外に落ち着いて移動して、ね」
淡々とした日那乃の言葉。しかしその中に含まれる想いは強く、だからこそ聞く人も深く頷いていた。
(本来であれば民間人を戦闘に巻き込むなどという事は極力避けたいのでありますが)
元AAAである篁・三十三(CL2001480)は心の底で深くため息をつく。戦うのはそれを覚悟した者の役目で、そうでないものを戦火に入れるのは忍びない。
「戦う意思を持って集まった者達を放置する訳にもいきません。正しく知識を教えて生き延びられるよう指導していきましょう」
白板を前に三十三はそう告げる。箇条書きに書かれた項目は、二つ。
「先ずは『単独行動をしないこと』です。もう少し踏み込んで言えば、指揮する者の指示に従う事ですね。
これは上下関係や主従関係ではありません。指揮者は全体を見て命令を出す役割。指示を受ける者はそれを信じ、役割を全うすること、です」
古今東西、あらゆる軍事において指揮の重要性は欠かせない。命令が正しく行き届くことを前提として、軍略は講じられる。誰かが意思統一しなければ、各個人の思うままに動くことになり各個撃破のいい的になる。
「あとは自分からですが『無理をしない事』。引き際を見極め撤退する事も大事です」
死ねば生き返らない。命の代わりはない。逃げることは悔しいかもしれないが、今生きることに意味がある。逃げることで次に生かせる勝機が生まれる。
軍人的に、そして人道的に。三十三の講義は続いていく。
●古妖へ
「やあ民のみんな、余だよ! まずはこれ見てね」
『アイラブニポン』プリンス・オブ・グレイブル(CL2000942)が古妖達に見せるのは、FiVEが活動していた記録動画だ。そこには廃村を復興させていく人と古妖の姿がドキュメンタリー風に映し出されていた。
「こっちがFiVEの本来の仕事。古妖の民も人間の民もオモシロおかしくやるニポンにすることなのさ」
平和というのは平和を害する敵を排除することではない。そこにいる者達が手を取りあることができる環境を作ることが平和なのだ。その観点を持ち、その為に尽力する。その在り方はまさに人を統治する王の思考だった。
古妖であれ人であれ、大事なのはどうあるべきかを定めること。
「村に移住したいものは受け入れるよ。さあ、サインはここに!
条件は一つ。民を助ける事を最優先する事、なお自分もこれに含む事。どこに何が生えてても、みんな余の民だからね」
少しずつ、古妖の輪は広がっていく。それが如何なる未来を紡ぎ出すか。日本を愛する王として、プリンスの期待は少しずつ膨らんでいく。
「ありがとう。みんなも協力してくれるのであればとても嬉しいわ」
『月々紅花』環 大和(CL2000477)は戦うことを決めた古妖に深々と頭を下げる。人に対して思う所がある古妖達。それでも今は協力すべきだとFiVEの門をたたいてくれたのだ。その行為に礼をする。
「人はどうしても人を優先して守るもの。
けれども古妖だってこの土地の住人。小さな古妖達を一番に守ることができるのは同じ古妖であるあなた達だと思うわ」
助けることができる人数が限られれば、どうしても優先順位をつけてしまう。その順位が同族だからという事で優先されても、それは仕方のない事なのだ。
だがその手が増えればその限りではない。人が人を、古妖が古妖を助ける。先ずはそこからだ。そして――
「もちろんわたし達も協力するわよ。共に頑張りましょう」
FiVEの覚者は人も古妖も両方助ける。そして皆もそうしてくれるなら、どんな危機でも助け合うことができる。
大和はそう信じている。その瞳を見た古妖達も――
●未来へ
一度の教育や訓練で全てが変わるわけがない。この集まりを無駄と言う意見も存在する。素人を育てるよりは、国外から歴戦の兵士一個師団をよこした方が効率的だというのはある意味正しい。
だがそれはただ武力を増しただけだ。力を力で制することで得られる平和などない。
戦う下地を作り、次につなげる。その為の教育。
覚者達の目は、確かに未来を見ていた。
「いくら覚者が強くても、妖ってのは大体単体ではこちらを大きく上回る。それを覆せるのが、協力プレイってやつだ!」
「どんな強くても数で押されれば負ける。逆にチーム組んでやればそれだけ勝率が上がるよ」
フリーの覚者達の指導を買って出たのは『雷切』鹿ノ島・遥(CL2000227)と『探偵見習い』工藤・奏空(CL2000955)だ。二人の言葉に頷いたり、メモを取ったりする覚者達。
「一足す一が二になるんじゃない。チームで戦うことで増えるのは戦略という選択肢だ。
前に出て殴る者、チームの要を守る者、チームを支える者。それぞれがその役割を果たすことで、戦闘で取れる選択肢は増えてくるんだ」。
「百聞は一見に如かず! オレとソラの、マブダチタッグでもって、コンビネーションの威力を『体験』してもらおう!」
という遥の提案で模擬戦を行うことになった。覚者達のおおよその実力を把握し――
「先ずはオレと戦ってもらおう! 骨の2、3本は授業料かな?」
「やりすぎるなよ、遥」
遥と覚者とのタイマンバトルとなった。相応に戦闘経験がある覚者達だが、遥の実力には及ばない。五人ほど連戦したが、遥のごぼう抜きだった。
「今度はソラの指導の下、オレとお前ら五人との勝負だ!」
「んー……。君は体力があるから前に立って攻撃を受ける役。君は付与で彼を強化して、貴方はバッドステータスで足止め。適度に傷ついたら前衛と中衛を交代。タイミングは遥の行動後で、後一撃受ければ倒れるかモノラインを目途に」
奏空は五人の覚者にテキパキと指示を出す。各個人の特性を見て、自分だったらこうするという指示を出した。
「ガチだなソラ! いいぜ、こいよ!」
手のひらを拳で叩き、覚者達を向かえる遥。ぎこちないながらも奏空の動きに合わせる覚者達。
体験を伴った教育は、その練度を大きく引き上げていく。
●一般人へ
「無理に頑張っても大けがをしてしまうだけなの。強い相手は強い人にお任せして、サポートをするのも立派なお仕事だと思うの」
因子発現していない人達に向けて、野武 七雅(CL2001141)はそう切り出す。武器をもって挑む事だけが戦いではない、と。
「力が足りない人を遠ざけてあげるとか励ましてあげるとか。そいうのも立派な戦いだと思うの」
戦いは力で制して終わり、ではない。戦いで傷ついた傷は源素で戻るかもしれないが、心はそう簡単にはいかない。喪失は戻らず、埋めることは容易ではない。それでも人が人と接することで癒えない傷ではない。
「なつねも前に出て戦えなくて歯がゆいときあるけど、自分の出来ることを理解して自分のできる最大限の頑張りができればそれで嬉しいって思うの」
癒し手としてできること。前に立てないからこそ分かる事。七雅は胸に手を当て、静かに告げた。
「わたしたちと普通のひとたち、助けてほしい」
挨拶と自己紹介の後、桂木・日那乃(CL2000941)は目の前の人達に告げる。
「わたしたちは、依頼に行くとき。FiVEの後方支援のひとたちに、移動とか避難誘導とか戦闘のあとのこととかやってもらってる。自分たちだけじゃできない」
妖との戦いは、突発的だ。夢見の予知があるからこそ先だって動けるが、それでもすべてに対応できるわけではない。どうしても万全の体制では戦えないことがある。
「特に避難誘導。普通のひとたち、まだ覚者が嫌いなひとも怖いひともいっぱいいると思う。でもあなたたちなら、聞いてもらいやすい、と思う」
覚者とそうでない者の溝。それはまだ存在している。それはどうしようもないことで、それを嘆いたり責める事に意味はない。それでもこうして信じてくれる人がいるなら、その溝は埋められると信じてる。
「あとなるべく戦闘には近寄らないでほしい。攻撃範囲より外に落ち着いて移動して、ね」
淡々とした日那乃の言葉。しかしその中に含まれる想いは強く、だからこそ聞く人も深く頷いていた。
(本来であれば民間人を戦闘に巻き込むなどという事は極力避けたいのでありますが)
元AAAである篁・三十三(CL2001480)は心の底で深くため息をつく。戦うのはそれを覚悟した者の役目で、そうでないものを戦火に入れるのは忍びない。
「戦う意思を持って集まった者達を放置する訳にもいきません。正しく知識を教えて生き延びられるよう指導していきましょう」
白板を前に三十三はそう告げる。箇条書きに書かれた項目は、二つ。
「先ずは『単独行動をしないこと』です。もう少し踏み込んで言えば、指揮する者の指示に従う事ですね。
これは上下関係や主従関係ではありません。指揮者は全体を見て命令を出す役割。指示を受ける者はそれを信じ、役割を全うすること、です」
古今東西、あらゆる軍事において指揮の重要性は欠かせない。命令が正しく行き届くことを前提として、軍略は講じられる。誰かが意思統一しなければ、各個人の思うままに動くことになり各個撃破のいい的になる。
「あとは自分からですが『無理をしない事』。引き際を見極め撤退する事も大事です」
死ねば生き返らない。命の代わりはない。逃げることは悔しいかもしれないが、今生きることに意味がある。逃げることで次に生かせる勝機が生まれる。
軍人的に、そして人道的に。三十三の講義は続いていく。
●古妖へ
「やあ民のみんな、余だよ! まずはこれ見てね」
『アイラブニポン』プリンス・オブ・グレイブル(CL2000942)が古妖達に見せるのは、FiVEが活動していた記録動画だ。そこには廃村を復興させていく人と古妖の姿がドキュメンタリー風に映し出されていた。
「こっちがFiVEの本来の仕事。古妖の民も人間の民もオモシロおかしくやるニポンにすることなのさ」
平和というのは平和を害する敵を排除することではない。そこにいる者達が手を取りあることができる環境を作ることが平和なのだ。その観点を持ち、その為に尽力する。その在り方はまさに人を統治する王の思考だった。
古妖であれ人であれ、大事なのはどうあるべきかを定めること。
「村に移住したいものは受け入れるよ。さあ、サインはここに!
条件は一つ。民を助ける事を最優先する事、なお自分もこれに含む事。どこに何が生えてても、みんな余の民だからね」
少しずつ、古妖の輪は広がっていく。それが如何なる未来を紡ぎ出すか。日本を愛する王として、プリンスの期待は少しずつ膨らんでいく。
「ありがとう。みんなも協力してくれるのであればとても嬉しいわ」
『月々紅花』環 大和(CL2000477)は戦うことを決めた古妖に深々と頭を下げる。人に対して思う所がある古妖達。それでも今は協力すべきだとFiVEの門をたたいてくれたのだ。その行為に礼をする。
「人はどうしても人を優先して守るもの。
けれども古妖だってこの土地の住人。小さな古妖達を一番に守ることができるのは同じ古妖であるあなた達だと思うわ」
助けることができる人数が限られれば、どうしても優先順位をつけてしまう。その順位が同族だからという事で優先されても、それは仕方のない事なのだ。
だがその手が増えればその限りではない。人が人を、古妖が古妖を助ける。先ずはそこからだ。そして――
「もちろんわたし達も協力するわよ。共に頑張りましょう」
FiVEの覚者は人も古妖も両方助ける。そして皆もそうしてくれるなら、どんな危機でも助け合うことができる。
大和はそう信じている。その瞳を見た古妖達も――
●未来へ
一度の教育や訓練で全てが変わるわけがない。この集まりを無駄と言う意見も存在する。素人を育てるよりは、国外から歴戦の兵士一個師団をよこした方が効率的だというのはある意味正しい。
だがそれはただ武力を増しただけだ。力を力で制することで得られる平和などない。
戦う下地を作り、次につなげる。その為の教育。
覚者達の目は、確かに未来を見ていた。
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし
