行く年来る年
●
今年ももうすぐ終わろうとしている。
年が変わるその前後、貴方は何をしてすごしていますか。
今年ももうすぐ終わろうとしている。
年が変わるその前後、貴方は何をしてすごしていますか。

■シナリオ詳細
■成功条件
1.年末年始を過ごす
2.なし
3.なし
2.なし
3.なし
何気ない日常を切り取ります。
年末、年始、それぞれの過ごし方でお過ごしください。
●ロケーション
ご自由にどうぞ。自宅でも学校でも、誰とでも。
一緒に行動したい方がいる場合はその方を記名いただくか、共通のタグをご利用ください。
●イベントシナリオのルール
・参加料金は50LPです。
・予約期間はありません。参加ボタンを押した時点で参加が確定します。
・獲得リソースは通常依頼難易度普通の33%です。
・特定の誰かと行動をしたい場合は『御崎 衣緒(nCL2000001)』といった風にIDと名前を全て表記するようにして下さい。又、グループでの参加の場合、参加者全員が【グループ名】という タグをプレイングに記載する事で個別のフルネームをIDつきで書く必要がなくなります。
・NPCの場合も同様となりますがIDとフルネームは必要なく、名前のみでOKです。
・イベントシナリオでは参加キャラクター全員の描写が行なわれない可能性があります。
・内容を絞ったほうが良い描写が行われる可能性が高くなります。
ご参加お待ちしております。
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:1枚
金:0枚 銀:0枚 銅:1枚
相談日数
10日
10日
参加費
50LP
50LP
参加人数
12/30
12/30
公開日
2018年12月28日
2018年12月28日
■メイン参加者 12人■

●
「こらちょっと買いすぎたかな?」
『緋焔姫』焔陰 凛(CL2000119)は両手に沢山の食材を抱えて商店街を歩いていた。
毎年元旦に行われる恒例行事。焔陰流道場で行われる新年会用のものだ。
あいつら、ほんとよう食うからなぁ……これでも足らんかも。凛は去年の事を思い出し苦笑いする。
「そういや今年もおとん帰ってきよるんかな」
凛の父親は一年中放浪しているが、毎年この時期だけは道場に戻ってくる。母親の御節を食べないと年が越せないと笑いながら。
先の戦いで七星剣が首領、八神は倒れた。ただこれで終わりではない。人同士の戦いが終わり、いよいよ大妖との戦いが始まるのだ。
今度こそおとんと戦っておとんを超える。凛は拳をぎゅっと握りしめる。
真に焔陰流を継ぐ者としてこれからの戦いに臨む為に。
「とするとあたしも仰山食って力つけなな」
そういうと凛は食材を更に買い込むのであった。
●
大晦日。
『意志への祈り』賀茂 たまき(CL2000994)と『探偵見習い』工藤・奏空(CL2000955)は程近いお寺へ参拝に来ていた。
たまきは着物姿。そんなたまきにドキっとしている奏空はマフラーにコート姿。
2人は除夜の鐘が鳴るまでの間、温かい飲み物を飲みながら談笑していた。
(今、たまきちゃんを独占してるよね)
さりげなく振舞いながらも状況をかみしめる奏空。
ふと、会話が途切れ静寂の時間が訪れる。
奏空がたまきのほうを向くとどうも様子がおかしい。
(二人きりで、夜遅くまで出掛けるのは初めてで、ドキドキしてしまいます。でも、奏空さんは、いつもと変わらない様子で……)
たまきは頬の火照りをごまかすようにふるふると顔を振って俯いた。
「どうかした?」
「ドキドキしているのは、私だけ…でしょうか…?」
奏空に聞こえるか聞こえないかわからないほどの小声でたまきは呟く。
「……俺も同じだよ」
たまきが顔をあげ、奏空のほうを見る。奏空は笑っていた。
ゴォォォーーーーーーーーーーン
「……あ、奏空さん、鐘が鳴り始めましたね!」
照れを隠すようにたまきが奏空に除夜の鐘の始まりを告げる。
「実はね、これ、こうしようと思って」
するとそっと奏空が隣にいるたまきを自分のコートの中へ。
「へへ、どう? 温かいでしょ?」
得意顔で照れくささを隠しながらそう話す奏空の温かさに驚きつつも、たまきはそっと身体を預ける。
二人の体温がお互いを温める。心地よい除夜の鐘を聞きながら時刻は0時を回る。
「あけましておめでとうございます。今年も、どうぞ、宜しくお願い致しますね」
たまきが笑顔でそういうと、
「こちらこそ明けましておめでとうだよ、たまきちゃん」
奏空も笑顔で答える。
やがて除夜の鐘は鳴り終わる。再び訪れる静寂の時間。
「初日の出も見に行きませんか…? もう少しだけお傍に居たいです……」
たまきが勇気を振り絞る。
奏空はたまきを手のぎゅっと握り締め歩き出す。
日の出を見れる場所へ向かう2人の笑顔は初日の出にも負けじとも劣らない清清しく眩いものだった。
●
同大晦日──。
そこには二年参りに来た覚者のグループの姿があった。
(オレと歩以外みんな大人のはずなのに……そわさんが引率に見えるの何でだろう?)
『天を翔ぶ雷霆の龍』成瀬 翔(CL2000063)はメンバーを見渡すながらそんな事を考えていた。
「お兄ちゃんもすみちゃんも、あゆみのことぐるぐる巻にしすぎー!」
そういってぷぅとなるのは『モイ!モイ♪モイ!』成瀬 歩(CL2001650)。
その姿は『居待ち月』天野 澄香(CL2000194)とおそろいのファーコートにマフラー、ショール。凡そ考えられる防寒具をすべて身につけている。むしろ装備が重厚すぎて顔が半分見えない。
「歩きにくそうだなあ…しゃーねえ、手繋いでやるから離すなよ」
翔はすっと歩の手を握る。歩の手が温かい。
「ふふっ寒さ対策はバッチリみたいですね」
澄香はそんな兄弟のやり取りを見てにこにこ顔に。
「年末は騒がしかったけれど……正月は穏やかに迎えられてよかった。これからどうなるかわからないけれど、今は皆で過せることを素直に喜ぼうか」
つい先日の七星剣との戦いを思い出しながら『エリニュスの翼』如月・彩吹(CL2001525)は『今』この時を楽しむ。
歩ほどではないが防寒もばっちり決めて皆の様子を微笑みながら眺めている。
(女の子や小学生がいるので 僕は引率というか保護者役かな)
そんな事を考えるのは『地を駆ける羽』如月・蒼羽(CL2001575)。この中ではいつも自然と頼られる存在になっている。蒼羽にとっては、それも心地よいものだった。
「ほら、歩ちゃん 人が多いから迷子にならないよう気を付けて。つーちゃんもちゃんとついてきているかい?」
皆に声をかけながら他のメンバーの歩調に合わせゆっくりと歩く。蒼羽は自然と他人を思いやる。そんな彼だからこそ頼れるのだろう。
そんな中唯一、振袖を着ているのは『天を舞う雷電の鳳』麻弓 紡(CL2000623)。
うなじを見せるよう束ねられた美しいブロンドの髪が裏葉色の花七宝と紗綾形の振り袖によく似合っている。思春期真っ只中の青少年達なら見ただけで惚れてまうやろ、となる事だろう。いや絶対になる。
着物姿の紡を他の女子が囃し立てる。みな大絶賛だ。
「ふふふ、皆もかわいいよーっ」
そういいながら紡は澄香と歩をぎゅぅーっと抱きしめた。
そんな様子を翔もまた少し照れくさそうに見ている。翔にだけはわかるどこかで見たようなマフラーと手袋。紡は嬉しそうにそのマフラーや手袋を身につけて笑っている。
「似合ってるぜ!」
翔の言葉は月並みかもしれない。でもその言葉の本当の意味は紡にちゃんと伝わっている。
紡は翔を見つめて今日イチの笑顔を見せた。
その後、紡が迷子になって、蒼羽が見つけ出したり、歩がおいしそうな屋台に気を取られて全く歩かなくなったりと色々ありながらも、一行は神社の境内へ。
「あ、あっちで甘酒配ってるみたいですね」
甘酒の配布に気づいた澄香と彩吹が列に並び、皆に配る。
「澄香、熱いから気を付けて。紡は猫舌じゃなかったっけ」
先ほど人ごみで迷子になりかけた紡は、少しげんなりしながらも彩吹から手渡された甘酒を受け取る。
「ふぅふぅーふぅー」
やはり猫舌のようだ。
(※この神社の甘酒は酒粕でなく米麹を使ったアルコール度0%の優しい味の甘酒です)
ほっとする味だ。皆が甘酒のほのかな甘みと温かさを堪能する。
(甘酒飲んだら眠くなってきちゃった……)
初めての二年参りや手を繋いでの皆での参拝に興奮気味だった歩。いつもならとっくに寝ている時間。この楽しい時間をいつまでも続けたいと頑張っていたのだが──。
「でも、がんばる……みんなに、おめでとう、いうんだもん……」
「歩?眠いなら…おんぶするか?」
ぽと。と飲み終えた甘酒の紙コップが地面に落ちる。
「おっと」
寝落ちしそうな歩を支えたのは蒼羽。
「って、そわさん?」
「大分はしゃいでいたからね。僕でよければおんぶしようか?」
「大丈夫、オレだって男だし覚醒すれば大人になれるし!」
そういうと翔は大人の姿になろうとしたのだが。
「翔くん、こんな所で覚醒しちゃダメですってば」
「大丈夫だよ翔 大人の姿にならなくても」
2人がそっと翔を促す。
「彩吹さんと澄香姉ちゃんとそわさんに宥められちゃしゃーないな。そわさん任せたー!」
そんなやり取りにくすりとしながら蒼羽は歩のを背負った。
(歩ちゃんはまだまだ軽いね。彩吹の小さい頃を思い出すな)
そんな事を蒼羽が思っていると
「むにゃ……おとうさん……だいすき……」
歩のちいさな寝言。きっと父親に背負われている夢を見てるのだろう。
そんな様子に皆が笑顔になる。少し悔しそうな翔以外は。
「慌てて大人にならなくても 翔くんは男らしいよ」
蒼羽は翔の頭をぽんと撫でた。
「3! 2! 1! あけましておめでとう!!」
「あけおめー!みんな、今年もよろしくなー!」
「あけましておめでとうございます」
「あけましておめでとう」
皆の笑顔と共に年が明ける。
帰り道。
「で、兄さん 本当にお父さんになるご予定は?」
彩吹が蒼羽へ悪戯っぽく尋ねる。
「さあ、どうだろう?」
蒼羽ははぐらかすも、その顔は笑顔。
完全に寝てしまった歩以外のメンバーは帰り道でも楽しげだ。
そんなやり取りの中、紡は兄としておんぶ役を担う事が出来なかった翔の手をとる。
「妹ちゃんの代わりに相棒の面倒みてもいいんだよ?」
その顔はどこかチェシャ猫を思わせる。少しだけ意地悪なスマイル。
翔と紡の関係はこれからも、色々な事を経験しながら強く結びついていくのだろう。
●
『月々紅花』環 大和(CL2000477)は久々に実家に戻っていた。
その手には沢山の両親へのお土産を携えて。
先の五麟市での八神との戦いは壮絶を極めた。両親の心配はひとしおであっただろうと思ったためだ。
「京のお土産、この戦いで限られたものしか買えなかったけれども喜んでもらえるかしら?」
「お前が無事ならそれでいいんだ」
帰ってきた愛娘を両親が抱きしめる。
「お父様、心配しなくてもわたしはうまくやっているわ」
まだ戦いは続いているけれども古妖も人間も平和に過ごせるように尽くすだけよ──。
先の大戦では大きな被害が出た。だが大和はすでに未来を見据えている。
離宮院・太郎丸(CL2000131)、離宮院・さよ(CL2000870)の2人もきっと兄妹仲良く空の上から覚者達を見守っているに違いない。
こうして覚者たちの激動の2018年は幕を閉じる。
2019年は如何なる事態が待ち受けているのか──それは誰にも分からない。
「こらちょっと買いすぎたかな?」
『緋焔姫』焔陰 凛(CL2000119)は両手に沢山の食材を抱えて商店街を歩いていた。
毎年元旦に行われる恒例行事。焔陰流道場で行われる新年会用のものだ。
あいつら、ほんとよう食うからなぁ……これでも足らんかも。凛は去年の事を思い出し苦笑いする。
「そういや今年もおとん帰ってきよるんかな」
凛の父親は一年中放浪しているが、毎年この時期だけは道場に戻ってくる。母親の御節を食べないと年が越せないと笑いながら。
先の戦いで七星剣が首領、八神は倒れた。ただこれで終わりではない。人同士の戦いが終わり、いよいよ大妖との戦いが始まるのだ。
今度こそおとんと戦っておとんを超える。凛は拳をぎゅっと握りしめる。
真に焔陰流を継ぐ者としてこれからの戦いに臨む為に。
「とするとあたしも仰山食って力つけなな」
そういうと凛は食材を更に買い込むのであった。
●
大晦日。
『意志への祈り』賀茂 たまき(CL2000994)と『探偵見習い』工藤・奏空(CL2000955)は程近いお寺へ参拝に来ていた。
たまきは着物姿。そんなたまきにドキっとしている奏空はマフラーにコート姿。
2人は除夜の鐘が鳴るまでの間、温かい飲み物を飲みながら談笑していた。
(今、たまきちゃんを独占してるよね)
さりげなく振舞いながらも状況をかみしめる奏空。
ふと、会話が途切れ静寂の時間が訪れる。
奏空がたまきのほうを向くとどうも様子がおかしい。
(二人きりで、夜遅くまで出掛けるのは初めてで、ドキドキしてしまいます。でも、奏空さんは、いつもと変わらない様子で……)
たまきは頬の火照りをごまかすようにふるふると顔を振って俯いた。
「どうかした?」
「ドキドキしているのは、私だけ…でしょうか…?」
奏空に聞こえるか聞こえないかわからないほどの小声でたまきは呟く。
「……俺も同じだよ」
たまきが顔をあげ、奏空のほうを見る。奏空は笑っていた。
ゴォォォーーーーーーーーーーン
「……あ、奏空さん、鐘が鳴り始めましたね!」
照れを隠すようにたまきが奏空に除夜の鐘の始まりを告げる。
「実はね、これ、こうしようと思って」
するとそっと奏空が隣にいるたまきを自分のコートの中へ。
「へへ、どう? 温かいでしょ?」
得意顔で照れくささを隠しながらそう話す奏空の温かさに驚きつつも、たまきはそっと身体を預ける。
二人の体温がお互いを温める。心地よい除夜の鐘を聞きながら時刻は0時を回る。
「あけましておめでとうございます。今年も、どうぞ、宜しくお願い致しますね」
たまきが笑顔でそういうと、
「こちらこそ明けましておめでとうだよ、たまきちゃん」
奏空も笑顔で答える。
やがて除夜の鐘は鳴り終わる。再び訪れる静寂の時間。
「初日の出も見に行きませんか…? もう少しだけお傍に居たいです……」
たまきが勇気を振り絞る。
奏空はたまきを手のぎゅっと握り締め歩き出す。
日の出を見れる場所へ向かう2人の笑顔は初日の出にも負けじとも劣らない清清しく眩いものだった。
●
同大晦日──。
そこには二年参りに来た覚者のグループの姿があった。
(オレと歩以外みんな大人のはずなのに……そわさんが引率に見えるの何でだろう?)
『天を翔ぶ雷霆の龍』成瀬 翔(CL2000063)はメンバーを見渡すながらそんな事を考えていた。
「お兄ちゃんもすみちゃんも、あゆみのことぐるぐる巻にしすぎー!」
そういってぷぅとなるのは『モイ!モイ♪モイ!』成瀬 歩(CL2001650)。
その姿は『居待ち月』天野 澄香(CL2000194)とおそろいのファーコートにマフラー、ショール。凡そ考えられる防寒具をすべて身につけている。むしろ装備が重厚すぎて顔が半分見えない。
「歩きにくそうだなあ…しゃーねえ、手繋いでやるから離すなよ」
翔はすっと歩の手を握る。歩の手が温かい。
「ふふっ寒さ対策はバッチリみたいですね」
澄香はそんな兄弟のやり取りを見てにこにこ顔に。
「年末は騒がしかったけれど……正月は穏やかに迎えられてよかった。これからどうなるかわからないけれど、今は皆で過せることを素直に喜ぼうか」
つい先日の七星剣との戦いを思い出しながら『エリニュスの翼』如月・彩吹(CL2001525)は『今』この時を楽しむ。
歩ほどではないが防寒もばっちり決めて皆の様子を微笑みながら眺めている。
(女の子や小学生がいるので 僕は引率というか保護者役かな)
そんな事を考えるのは『地を駆ける羽』如月・蒼羽(CL2001575)。この中ではいつも自然と頼られる存在になっている。蒼羽にとっては、それも心地よいものだった。
「ほら、歩ちゃん 人が多いから迷子にならないよう気を付けて。つーちゃんもちゃんとついてきているかい?」
皆に声をかけながら他のメンバーの歩調に合わせゆっくりと歩く。蒼羽は自然と他人を思いやる。そんな彼だからこそ頼れるのだろう。
そんな中唯一、振袖を着ているのは『天を舞う雷電の鳳』麻弓 紡(CL2000623)。
うなじを見せるよう束ねられた美しいブロンドの髪が裏葉色の花七宝と紗綾形の振り袖によく似合っている。思春期真っ只中の青少年達なら見ただけで惚れてまうやろ、となる事だろう。いや絶対になる。
着物姿の紡を他の女子が囃し立てる。みな大絶賛だ。
「ふふふ、皆もかわいいよーっ」
そういいながら紡は澄香と歩をぎゅぅーっと抱きしめた。
そんな様子を翔もまた少し照れくさそうに見ている。翔にだけはわかるどこかで見たようなマフラーと手袋。紡は嬉しそうにそのマフラーや手袋を身につけて笑っている。
「似合ってるぜ!」
翔の言葉は月並みかもしれない。でもその言葉の本当の意味は紡にちゃんと伝わっている。
紡は翔を見つめて今日イチの笑顔を見せた。
その後、紡が迷子になって、蒼羽が見つけ出したり、歩がおいしそうな屋台に気を取られて全く歩かなくなったりと色々ありながらも、一行は神社の境内へ。
「あ、あっちで甘酒配ってるみたいですね」
甘酒の配布に気づいた澄香と彩吹が列に並び、皆に配る。
「澄香、熱いから気を付けて。紡は猫舌じゃなかったっけ」
先ほど人ごみで迷子になりかけた紡は、少しげんなりしながらも彩吹から手渡された甘酒を受け取る。
「ふぅふぅーふぅー」
やはり猫舌のようだ。
(※この神社の甘酒は酒粕でなく米麹を使ったアルコール度0%の優しい味の甘酒です)
ほっとする味だ。皆が甘酒のほのかな甘みと温かさを堪能する。
(甘酒飲んだら眠くなってきちゃった……)
初めての二年参りや手を繋いでの皆での参拝に興奮気味だった歩。いつもならとっくに寝ている時間。この楽しい時間をいつまでも続けたいと頑張っていたのだが──。
「でも、がんばる……みんなに、おめでとう、いうんだもん……」
「歩?眠いなら…おんぶするか?」
ぽと。と飲み終えた甘酒の紙コップが地面に落ちる。
「おっと」
寝落ちしそうな歩を支えたのは蒼羽。
「って、そわさん?」
「大分はしゃいでいたからね。僕でよければおんぶしようか?」
「大丈夫、オレだって男だし覚醒すれば大人になれるし!」
そういうと翔は大人の姿になろうとしたのだが。
「翔くん、こんな所で覚醒しちゃダメですってば」
「大丈夫だよ翔 大人の姿にならなくても」
2人がそっと翔を促す。
「彩吹さんと澄香姉ちゃんとそわさんに宥められちゃしゃーないな。そわさん任せたー!」
そんなやり取りにくすりとしながら蒼羽は歩のを背負った。
(歩ちゃんはまだまだ軽いね。彩吹の小さい頃を思い出すな)
そんな事を蒼羽が思っていると
「むにゃ……おとうさん……だいすき……」
歩のちいさな寝言。きっと父親に背負われている夢を見てるのだろう。
そんな様子に皆が笑顔になる。少し悔しそうな翔以外は。
「慌てて大人にならなくても 翔くんは男らしいよ」
蒼羽は翔の頭をぽんと撫でた。
「3! 2! 1! あけましておめでとう!!」
「あけおめー!みんな、今年もよろしくなー!」
「あけましておめでとうございます」
「あけましておめでとう」
皆の笑顔と共に年が明ける。
帰り道。
「で、兄さん 本当にお父さんになるご予定は?」
彩吹が蒼羽へ悪戯っぽく尋ねる。
「さあ、どうだろう?」
蒼羽ははぐらかすも、その顔は笑顔。
完全に寝てしまった歩以外のメンバーは帰り道でも楽しげだ。
そんなやり取りの中、紡は兄としておんぶ役を担う事が出来なかった翔の手をとる。
「妹ちゃんの代わりに相棒の面倒みてもいいんだよ?」
その顔はどこかチェシャ猫を思わせる。少しだけ意地悪なスマイル。
翔と紡の関係はこれからも、色々な事を経験しながら強く結びついていくのだろう。
●
『月々紅花』環 大和(CL2000477)は久々に実家に戻っていた。
その手には沢山の両親へのお土産を携えて。
先の五麟市での八神との戦いは壮絶を極めた。両親の心配はひとしおであっただろうと思ったためだ。
「京のお土産、この戦いで限られたものしか買えなかったけれども喜んでもらえるかしら?」
「お前が無事ならそれでいいんだ」
帰ってきた愛娘を両親が抱きしめる。
「お父様、心配しなくてもわたしはうまくやっているわ」
まだ戦いは続いているけれども古妖も人間も平和に過ごせるように尽くすだけよ──。
先の大戦では大きな被害が出た。だが大和はすでに未来を見据えている。
離宮院・太郎丸(CL2000131)、離宮院・さよ(CL2000870)の2人もきっと兄妹仲良く空の上から覚者達を見守っているに違いない。
こうして覚者たちの激動の2018年は幕を閉じる。
2019年は如何なる事態が待ち受けているのか──それは誰にも分からない。
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし
