指宿温泉郷物語
●
とある温泉郷の露天風呂。
「ほんといいお湯……。カナコ、見て見て! お肌つるっつる」
「遠かったけどやっぱりきてよかったね! サキ、誘ってくれてありがとう」
若い女性が2人温泉を楽しんでいる。
そこに忍び寄る妖しい影。
「誰っ!?」
人の気配を感じたサキが声を出すが誰もいない。
「どうしたの?」
カナコは気づかなかったようだ。
「誰かに見られるような気がしたんだけど」
サキはふと視線を感じたというが周りには誰もいない。
「そろそろ出る?」
「そうね」
2人が脱衣所に向かうと……彼女達の衣服は跡形もなく消えていた。
●
「寒くなると温泉入りたくなるよなっ!!」
久方 相馬(nCL2000004)は集ったメンバーにそう言った。
突然の温泉話に何の事やらわからない覚者の面々。
「それは確かにそうだけど……それがどうしたの?」
突如温泉話を降られた覚者は相馬に当然のように聞き返す。
「実は皆に九州のある温泉に向かって欲しいんだ。ちょっとした事件が起こりそうでさ」
相馬の話を詳しく聞くとその場所は熊本の指宿温泉。
その温泉郷にあろう事か脱衣した服を盗みさる何者かが出るらしい。
ただの盗難ならFiVEの仕事ではない。だがどうもそこには古妖が絡んでいるらしいという。
「これは感覚なんだけど……そんな危ない話じゃない気がするんだ。むしろ皆ならすぐに解決できる気がしてる」
相馬はあっけらかんとしている。
もしかして原因わかってるんじゃ……? 勘ぐる覚者に相馬は続ける。
「せっかくだから温泉、楽しんで来るといいと思うぜっ」
とある温泉郷の露天風呂。
「ほんといいお湯……。カナコ、見て見て! お肌つるっつる」
「遠かったけどやっぱりきてよかったね! サキ、誘ってくれてありがとう」
若い女性が2人温泉を楽しんでいる。
そこに忍び寄る妖しい影。
「誰っ!?」
人の気配を感じたサキが声を出すが誰もいない。
「どうしたの?」
カナコは気づかなかったようだ。
「誰かに見られるような気がしたんだけど」
サキはふと視線を感じたというが周りには誰もいない。
「そろそろ出る?」
「そうね」
2人が脱衣所に向かうと……彼女達の衣服は跡形もなく消えていた。
●
「寒くなると温泉入りたくなるよなっ!!」
久方 相馬(nCL2000004)は集ったメンバーにそう言った。
突然の温泉話に何の事やらわからない覚者の面々。
「それは確かにそうだけど……それがどうしたの?」
突如温泉話を降られた覚者は相馬に当然のように聞き返す。
「実は皆に九州のある温泉に向かって欲しいんだ。ちょっとした事件が起こりそうでさ」
相馬の話を詳しく聞くとその場所は熊本の指宿温泉。
その温泉郷にあろう事か脱衣した服を盗みさる何者かが出るらしい。
ただの盗難ならFiVEの仕事ではない。だがどうもそこには古妖が絡んでいるらしいという。
「これは感覚なんだけど……そんな危ない話じゃない気がするんだ。むしろ皆ならすぐに解決できる気がしてる」
相馬はあっけらかんとしている。
もしかして原因わかってるんじゃ……? 勘ぐる覚者に相馬は続ける。
「せっかくだから温泉、楽しんで来るといいと思うぜっ」

■シナリオ詳細
■成功条件
1.問題を解決し、温泉郷を楽しむ。
2.なし
3.なし
2.なし
3.なし
麺二郎と申します。
熊本は指宿の温泉郷で脱衣した衣服が消えるという事件が発生しました。
この事件を解決し、ついでに温泉を楽しむのが今回の依頼となります。
●ロケーション
熊本の指宿温泉郷。
男女別の地域でも有数の露天風呂にて事件は起こります。
とある古妖の悪戯です。何かしらの古妖を探知する方法を用いれば皆さんであればすぐに解決することが出来ます。
古妖を発見し、すこしお説教をしたらお仕事は完了です。
残りは指宿の温泉を楽しんでいただければと思います。
なおこのイベントシナリオは多少ハプニングが起こる可能性があります。
また【覚悟完了】される方はお覚悟を。
●イベントシナリオのルール
・参加料金は50LPです。
・予約期間はありません。参加ボタンを押した時点で参加が確定します。
・獲得リソースは通常依頼難易度普通の33%です。
・特定の誰かと行動をしたい場合は『御崎 衣緒(nCL2000001)』といった風にIDと名前を全て表記するようにして下さい。又、グループでの参加の場合、参加者全員が【グループ名】という タグをプレイングに記載する事で個別のフルネームをIDつきで書く必要がなくなります。
・NPCの場合も同様となりますがIDとフルネームは必要なく、名前のみでOKです。
・イベントシナリオでは参加キャラクター全員の描写が行なわれない可能性があります。
・内容を絞ったほうが良い描写が行われる可能性が高くなります。
ご参加お待ちしております。
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:1枚
金:0枚 銀:0枚 銅:1枚
相談日数
10日
10日
参加費
50LP
50LP
参加人数
8/30
8/30
公開日
2018年12月03日
2018年12月03日
■メイン参加者 8人■

●
古妖による盗難事件の解決のため、FiVEメンバーは熊本は指宿温泉に来ていた。
男女それぞれが犯人が現れるのを待っている。
「脱衣所の服を盗むなんてなんてやらしー古妖なんだ! たまきちゃんの服は絶対に俺が守る!!」
『探偵見習い』工藤・奏空(CL2000955)は男湯におびき出せるよう、あえて沢山の服を脱衣所に置いて温泉に浸かりその時を待っていた。
「まったく服盗まれるのは困るよなー。すっぽんぽんじゃ温泉から出られねーじゃん」
同じく温泉に浸かりながらその時を待つのは『天を翔ぶ雷霆の龍』成瀬 翔(CL2000063)だ。
「それにしても一体どんな古妖がこの事件を……早くなんとかしなくては皆さんが安心して温泉を利用できないですからね」
清掃人に扮し、施設内を警備していた篁・三十三(CL2001480)も警備を続けるが今のところは動きは無い。
男湯ではないのだろうか。お約束的にも。そんな考えが3人(と麺二郎)の脳裏をよぎる。
一方女湯。こちらもまた古妖の出現を今か今かと待ち構えていた。
「困った古妖さんだね。……もしかして一緒にあそんで欲しいのかなあ? それならちゃんと『遊ぼう』って言わないとダメだよって教えてあげないとね」
『モイ!モイ♪モイ!』成瀬 歩(CL2001650)は足でお湯をぱちゃぱちゃ遊んでいる。
「そうね。服を盗んでどうする気なのでしょうね……?」
その問いに頷きながら返事をするのは『居待ち月』天野 澄香(CL2000194)。
上から見てみましょうか。澄香はそういうとあゆみを抱え、一気に上空へ。
二人が持つ超直感と鋭聴力が付近を探るが今のところは特に異常は無いようだ。
古妖の出歯亀て……どんな理由があるにせよ人を困らせたらいかんな。捕まえたらきつくお説教や!
そんな事を考えているのは『緋焔姫』焔陰 凛(CL2000119)。その時を今か今かと待ち構えている。
──その時だった。
『鬼灯の鎌鼬』椿屋 ツバメ(CL2001351)の因子の能力が僅かに反応する。
「来たぞっ」
脱衣所に同族の気配を感じたツバメが声を上げる。
「待ってたでっ!」
凛が持ち前の俊足で脱衣所の壁をすり抜け、一気に脱衣所へ。
そのまま何者かにタックルする。
「いてて……捕まえたでっ!」
凛の腕の中にいたのは……まだ幼い化け狸だった。
「捕まえたかっ! 一体どんなやつだ!」
騒ぎを聞きつけ、やってきた男子メンバーも合流する。
「ゆ、ゆるしてくださぁぁい」
むんずと摘み上げられた化け狸には抵抗の気配は無いようだ。
メンバーたちは何故このようなことをしたのか理由を聞く。
すると涙ながらに話す化け狸の話はこうだった。
いつ終わるとも知れない暑さだった今年の異常気象。ところが突然寒くなり、冬の準備が全く出来ていなかった化け狸たち。寒さに震えどうにも困った狸たちが思いついたのが、温泉の脱衣所の服を持ち去り、それを寝床に敷き、暖を取るというものだったという。
「言いたい事はわかるで。でもな」
凛が改めて化け狸を諭す。
「お洋服が欲しいのならあげますから……あ、そうです! ここは温泉郷。使わなくなった浴衣やタオルなど無いか聞いてみましょう」
澄香が早速連絡を取る。
こうして古妖による盗難事件は解決。盗まれた衣服は毛だらけにはなっていたものの持ち主の元へ無事返却された。
また澄香の呼びかけにより、温泉郷の組合から使わなくなった服やタオルなどが提供される事になった。元々共存共栄をしていた温泉郷の人たちと化け狸。組合も快く応じたようだ。
これで化け狸たちが凍えることも、盗みを働くことも無くなるだろう。
指宿に平和な日常が戻る。
●
子狸にもしっかりと反省させ、事件を解決したメンバーは改めて温泉を楽しむ。
すっかり日も暮れてしまったが温泉に入るにはおあつらえ向きだ。
歩も澄香姉ちゃんも当然女湯。一人でのんびりしようと思っていた翔だったが。
「お! さとみんだ!」
三十三を見つけた翔は一緒に露天風呂へ向かった。
「はい。これ」
翔が髪を洗おうとすると三十三がとりだしたのはシャンプーハット。
「ん? それってお子様がシャンプーする時に使う奴……オレ、んな子供じゃ─」
そこまで言いかけて三十三のほうを見ると、そこにはそこまでか! と思うほどのしょんぼり顔。
「……分かったよ、仕方ねぇなあ。使うからそんな顔すんなって」
誰も見てないよな? 辺りを見渡す翔。三十三の顔がとたんに、ぱぁと明るくなる。
そうして三十三が翔の髪を毛を洗い、お礼にと翔が三十三の背中をごしごし。
まるで兄弟のようにたわいの無い話をしながら仲の良く温泉を堪能する2人。
弟がいたらこんな感じなのかなぁ。顔には出さないもののひとしきり感動する三十三であった。
「なんか男湯の方からお兄ちゃんの声がするんだよ? お兄ちゃんと話してるの、さとみんの声だね? いいなー、あゆみもさとみんと遊びたいー」
そんな楽しそうな翔と三十三の声を聞いていたのは歩と澄香。
「ふふ、お風呂からあがったら遊んで貰いましょうね」
澄香は歩へ微笑みかける。
「そうだね! お風呂出たら遊んで貰うっ!! そーいえばここって卓球台とかないのかなー?」
歩の気持ちはすっかり温泉を出た後のことで一杯のようだ。
「卓球……歩ちゃんの方が強いかもしれませんね、ふふっ」
その光景を想像して澄香が思わず笑顔を見せる。
「まずはお風呂から出たらフルーツ牛乳を飲みましょう」
「はーい! あゆみも飲むーっ!!」
2人は楽しそうに露天風呂を後にした。
その後、売店では満足げに腰に手を当てフルーツ牛乳を一気に飲み干す集団が目撃されたとかされてないとか。
「はぁぁぁぁああああぁぁぁぁ~~」
普段のクールな印象からは想像もつかないほど、ゆるい表情と悦楽の声をあげるツバメもまた露天風呂を堪能していた。
温泉自体久しぶり。さらには一仕事終えた後とくればその気持ちよさは格別だろう。
「今回は一人だけど……別の温泉に行ったときみたく、知り合いと改めて来るのもいいかもな」
そんな事を考えながら一人湯に浸かる。
「少しクールダウンするか」
ツバメは温泉からあがると置いてあったリクライニングチェアで横になる。そよぐ夜風が心地いい。ツバメはいつしか浅い眠りにいざなわれていた。
さて。お覚悟いただいているのであえて解説を入れよう。
ここは露天風呂である。ゆえにチェアで寛ぐツバメさんはもちろん一糸纏わぬ姿、すっぽんぽんである。
周りには女性しかいない安心感からか、ダンサーとして程よく引き締まった肢体は何者にも隠される事も無い。
だがしかし、ここには登場人物が誰も気づくことの出来ない第三者(読者)の目があるのだ。
「んん……」
体を動かすたびにたゆんと揺れる双丘。本当に立派に育ってくれた。お母ちゃんは嬉しい。
読者サービス枠に相応しい姿しかと見届けました。ありがとうツバメさん!!
「きょ、今日はお疲れ様だよー!」
垣根の向こうには一糸纏わぬたまきがいる。
できる限り平静を保って奏空はたまきに声をかける。ドキドキが止まらない。
「ふふ……! お疲れ様でした」
たまきから返事が来る。奏空はそれだけでもう天にも昇るような気持ちだった。
「温かくて気持ちよくて……今日は、ぐっすり眠れそうですよね。」
「そ、そうだねっ」
「来年は、私も大学生です。奏空さんと出会って、お付き合いをさせて頂いてから、もう少しで四年も、経つのですね……」
「そ、そうだねっ」
「もう少し大人になったら、一緒に温泉旅行をして、温泉に入る事が出来ると……その……良いですよね……」
たまきが勇気を出して大胆発言。だがそれに対しての返事が無い。
「うわっ!! 奏空がぐったりしてるぞ! のぼせたみたいだ!! 水だっ! 水を持ってこーい!」
垣根の向こうから声がする。どうやら奏空はのぼせてしまったようだ。
そんな声を聞きながら、たまきは少しほっとしたような表情も見せる。
「奏空さん……これからも、私の事を、宜しくお願い致しますね」
誰にも聞こえないような小さな声でそう言うと、たまきは微笑みながら夜空を見上げた。
ソラには満天の星がきらめいていた。
一方その頃、凛は一人温泉街を探索していた。
「お湯もええけど……指宿は砂むしも有名や。こっちも体験しとかななぁ」
早速凛は砂むし温泉へ。早速凛には砂が盛られていく。凜を覆う砂山の横にはなぜか立て看板。そこには『覚悟完了』の文字。これは一体なんだろう。
「お、こりゃ気持ちええなぁ」
砂からの柔らかいぽかぽかとした温かみに、目を瞑りすっかりご満悦の凛。
ガールズバンドのヴォーカルとしても活動する凛はその気持ちよさに思わず歌を口ずさむ。
この歌、とても良い振動を発生させる訳です。そう、皆さんもうお気づきですね。この振動が少しずつ凜の砂山を削っていきます。え? 削ったって何も起きない? いえいえ起きてしまうのが覚悟の証。通常砂むし温泉に入るときは専用の浴衣や湯浴み着を着用します。もちろん凜さんも。ただこう、砂をかける際に動いてしまったのでしょうな。着崩れている訳です。さて何が起こるか。
だんだんと砂は削れていきますが、目を瞑って歌を口ずさんでいる凜さんは気づかない。
いつの間にやらこんにちわする訳です。普段はライダースーツの中で窮屈そうにしているふたつのおまんじゅうが。これぞまさしく温泉まんじゅう。
「ん? なんだか胸の辺りがスースーするなぁ……って!? ぎゃぁぁあああーーーっ!?」
凜の叫び声は夜の指宿に響き渡ったのであった。
とまぁこうして指宿温泉郷の平和は守られた。
ありがとう! FiVE!
ありがとう! ツバメサン&凜サン!
古妖による盗難事件の解決のため、FiVEメンバーは熊本は指宿温泉に来ていた。
男女それぞれが犯人が現れるのを待っている。
「脱衣所の服を盗むなんてなんてやらしー古妖なんだ! たまきちゃんの服は絶対に俺が守る!!」
『探偵見習い』工藤・奏空(CL2000955)は男湯におびき出せるよう、あえて沢山の服を脱衣所に置いて温泉に浸かりその時を待っていた。
「まったく服盗まれるのは困るよなー。すっぽんぽんじゃ温泉から出られねーじゃん」
同じく温泉に浸かりながらその時を待つのは『天を翔ぶ雷霆の龍』成瀬 翔(CL2000063)だ。
「それにしても一体どんな古妖がこの事件を……早くなんとかしなくては皆さんが安心して温泉を利用できないですからね」
清掃人に扮し、施設内を警備していた篁・三十三(CL2001480)も警備を続けるが今のところは動きは無い。
男湯ではないのだろうか。お約束的にも。そんな考えが3人(と麺二郎)の脳裏をよぎる。
一方女湯。こちらもまた古妖の出現を今か今かと待ち構えていた。
「困った古妖さんだね。……もしかして一緒にあそんで欲しいのかなあ? それならちゃんと『遊ぼう』って言わないとダメだよって教えてあげないとね」
『モイ!モイ♪モイ!』成瀬 歩(CL2001650)は足でお湯をぱちゃぱちゃ遊んでいる。
「そうね。服を盗んでどうする気なのでしょうね……?」
その問いに頷きながら返事をするのは『居待ち月』天野 澄香(CL2000194)。
上から見てみましょうか。澄香はそういうとあゆみを抱え、一気に上空へ。
二人が持つ超直感と鋭聴力が付近を探るが今のところは特に異常は無いようだ。
古妖の出歯亀て……どんな理由があるにせよ人を困らせたらいかんな。捕まえたらきつくお説教や!
そんな事を考えているのは『緋焔姫』焔陰 凛(CL2000119)。その時を今か今かと待ち構えている。
──その時だった。
『鬼灯の鎌鼬』椿屋 ツバメ(CL2001351)の因子の能力が僅かに反応する。
「来たぞっ」
脱衣所に同族の気配を感じたツバメが声を上げる。
「待ってたでっ!」
凛が持ち前の俊足で脱衣所の壁をすり抜け、一気に脱衣所へ。
そのまま何者かにタックルする。
「いてて……捕まえたでっ!」
凛の腕の中にいたのは……まだ幼い化け狸だった。
「捕まえたかっ! 一体どんなやつだ!」
騒ぎを聞きつけ、やってきた男子メンバーも合流する。
「ゆ、ゆるしてくださぁぁい」
むんずと摘み上げられた化け狸には抵抗の気配は無いようだ。
メンバーたちは何故このようなことをしたのか理由を聞く。
すると涙ながらに話す化け狸の話はこうだった。
いつ終わるとも知れない暑さだった今年の異常気象。ところが突然寒くなり、冬の準備が全く出来ていなかった化け狸たち。寒さに震えどうにも困った狸たちが思いついたのが、温泉の脱衣所の服を持ち去り、それを寝床に敷き、暖を取るというものだったという。
「言いたい事はわかるで。でもな」
凛が改めて化け狸を諭す。
「お洋服が欲しいのならあげますから……あ、そうです! ここは温泉郷。使わなくなった浴衣やタオルなど無いか聞いてみましょう」
澄香が早速連絡を取る。
こうして古妖による盗難事件は解決。盗まれた衣服は毛だらけにはなっていたものの持ち主の元へ無事返却された。
また澄香の呼びかけにより、温泉郷の組合から使わなくなった服やタオルなどが提供される事になった。元々共存共栄をしていた温泉郷の人たちと化け狸。組合も快く応じたようだ。
これで化け狸たちが凍えることも、盗みを働くことも無くなるだろう。
指宿に平和な日常が戻る。
●
子狸にもしっかりと反省させ、事件を解決したメンバーは改めて温泉を楽しむ。
すっかり日も暮れてしまったが温泉に入るにはおあつらえ向きだ。
歩も澄香姉ちゃんも当然女湯。一人でのんびりしようと思っていた翔だったが。
「お! さとみんだ!」
三十三を見つけた翔は一緒に露天風呂へ向かった。
「はい。これ」
翔が髪を洗おうとすると三十三がとりだしたのはシャンプーハット。
「ん? それってお子様がシャンプーする時に使う奴……オレ、んな子供じゃ─」
そこまで言いかけて三十三のほうを見ると、そこにはそこまでか! と思うほどのしょんぼり顔。
「……分かったよ、仕方ねぇなあ。使うからそんな顔すんなって」
誰も見てないよな? 辺りを見渡す翔。三十三の顔がとたんに、ぱぁと明るくなる。
そうして三十三が翔の髪を毛を洗い、お礼にと翔が三十三の背中をごしごし。
まるで兄弟のようにたわいの無い話をしながら仲の良く温泉を堪能する2人。
弟がいたらこんな感じなのかなぁ。顔には出さないもののひとしきり感動する三十三であった。
「なんか男湯の方からお兄ちゃんの声がするんだよ? お兄ちゃんと話してるの、さとみんの声だね? いいなー、あゆみもさとみんと遊びたいー」
そんな楽しそうな翔と三十三の声を聞いていたのは歩と澄香。
「ふふ、お風呂からあがったら遊んで貰いましょうね」
澄香は歩へ微笑みかける。
「そうだね! お風呂出たら遊んで貰うっ!! そーいえばここって卓球台とかないのかなー?」
歩の気持ちはすっかり温泉を出た後のことで一杯のようだ。
「卓球……歩ちゃんの方が強いかもしれませんね、ふふっ」
その光景を想像して澄香が思わず笑顔を見せる。
「まずはお風呂から出たらフルーツ牛乳を飲みましょう」
「はーい! あゆみも飲むーっ!!」
2人は楽しそうに露天風呂を後にした。
その後、売店では満足げに腰に手を当てフルーツ牛乳を一気に飲み干す集団が目撃されたとかされてないとか。
「はぁぁぁぁああああぁぁぁぁ~~」
普段のクールな印象からは想像もつかないほど、ゆるい表情と悦楽の声をあげるツバメもまた露天風呂を堪能していた。
温泉自体久しぶり。さらには一仕事終えた後とくればその気持ちよさは格別だろう。
「今回は一人だけど……別の温泉に行ったときみたく、知り合いと改めて来るのもいいかもな」
そんな事を考えながら一人湯に浸かる。
「少しクールダウンするか」
ツバメは温泉からあがると置いてあったリクライニングチェアで横になる。そよぐ夜風が心地いい。ツバメはいつしか浅い眠りにいざなわれていた。
さて。お覚悟いただいているのであえて解説を入れよう。
ここは露天風呂である。ゆえにチェアで寛ぐツバメさんはもちろん一糸纏わぬ姿、すっぽんぽんである。
周りには女性しかいない安心感からか、ダンサーとして程よく引き締まった肢体は何者にも隠される事も無い。
だがしかし、ここには登場人物が誰も気づくことの出来ない第三者(読者)の目があるのだ。
「んん……」
体を動かすたびにたゆんと揺れる双丘。本当に立派に育ってくれた。お母ちゃんは嬉しい。
読者サービス枠に相応しい姿しかと見届けました。ありがとうツバメさん!!
「きょ、今日はお疲れ様だよー!」
垣根の向こうには一糸纏わぬたまきがいる。
できる限り平静を保って奏空はたまきに声をかける。ドキドキが止まらない。
「ふふ……! お疲れ様でした」
たまきから返事が来る。奏空はそれだけでもう天にも昇るような気持ちだった。
「温かくて気持ちよくて……今日は、ぐっすり眠れそうですよね。」
「そ、そうだねっ」
「来年は、私も大学生です。奏空さんと出会って、お付き合いをさせて頂いてから、もう少しで四年も、経つのですね……」
「そ、そうだねっ」
「もう少し大人になったら、一緒に温泉旅行をして、温泉に入る事が出来ると……その……良いですよね……」
たまきが勇気を出して大胆発言。だがそれに対しての返事が無い。
「うわっ!! 奏空がぐったりしてるぞ! のぼせたみたいだ!! 水だっ! 水を持ってこーい!」
垣根の向こうから声がする。どうやら奏空はのぼせてしまったようだ。
そんな声を聞きながら、たまきは少しほっとしたような表情も見せる。
「奏空さん……これからも、私の事を、宜しくお願い致しますね」
誰にも聞こえないような小さな声でそう言うと、たまきは微笑みながら夜空を見上げた。
ソラには満天の星がきらめいていた。
一方その頃、凛は一人温泉街を探索していた。
「お湯もええけど……指宿は砂むしも有名や。こっちも体験しとかななぁ」
早速凛は砂むし温泉へ。早速凛には砂が盛られていく。凜を覆う砂山の横にはなぜか立て看板。そこには『覚悟完了』の文字。これは一体なんだろう。
「お、こりゃ気持ちええなぁ」
砂からの柔らかいぽかぽかとした温かみに、目を瞑りすっかりご満悦の凛。
ガールズバンドのヴォーカルとしても活動する凛はその気持ちよさに思わず歌を口ずさむ。
この歌、とても良い振動を発生させる訳です。そう、皆さんもうお気づきですね。この振動が少しずつ凜の砂山を削っていきます。え? 削ったって何も起きない? いえいえ起きてしまうのが覚悟の証。通常砂むし温泉に入るときは専用の浴衣や湯浴み着を着用します。もちろん凜さんも。ただこう、砂をかける際に動いてしまったのでしょうな。着崩れている訳です。さて何が起こるか。
だんだんと砂は削れていきますが、目を瞑って歌を口ずさんでいる凜さんは気づかない。
いつの間にやらこんにちわする訳です。普段はライダースーツの中で窮屈そうにしているふたつのおまんじゅうが。これぞまさしく温泉まんじゅう。
「ん? なんだか胸の辺りがスースーするなぁ……って!? ぎゃぁぁあああーーーっ!?」
凜の叫び声は夜の指宿に響き渡ったのであった。
とまぁこうして指宿温泉郷の平和は守られた。
ありがとう! FiVE!
ありがとう! ツバメサン&凜サン!
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
特殊成果
『温泉饅頭』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:全員
カテゴリ:アクセサリ
取得者:全員

■あとがき■
指宿での古妖による連続盗難事件は無事解決しました。
日ごろの戦いの疲れをゆっくりと癒していただけたでしょうか。
ご参加ありがとうございました。
日ごろの戦いの疲れをゆっくりと癒していただけたでしょうか。
ご参加ありがとうございました。
