瓦礫の巨人。或いは、朽ちていく廃村。
●残骸の巨人
数十年前に廃村と化した、山奥の小さな村。
うだるように暑い秋の朝に、そいつは目覚めた。
家屋の残骸が、地面を這いずり寄り集まって、少しずつ人の形を成していく。まずは足、次は地面を擦るほどに長い両腕、それから樽のような胴体。どういうわけか頭部は存在しない。
代わりに、胸の位置と両肩に、ガラスで出来た眼球が、腹部には鉄釘の牙を持つ大きな口が存在している。異形の巨人を構築するのは、木材や煉瓦、コンクリートなどの家屋の残骸。
大きさ5メートルほどの、瓦礫の巨人が声にならない叫び声を上げた。
さらに、巨人の足元には2体の瓦礫の人型が存在している。巨人の半分にも満たない大きさだが、それでも一般的な人間のサイズよりは大きい。
巨人の歩みに合わせ、2体の人型も村をゆっくりと徘徊している。
瓦礫の巨人が探しているのは、人間の姿だ。
本能に任せ人を襲う妖。かつては人の生活を守る、家屋であったことを考えれば、最悪の末路といえるだろう。
さして大きな村ではない。近くに人が居ないと分かれば、巨人達はやがて山を降りて、町へと向かうことが予想される。
それを事前に食い止めるのが、今回の任務である。
●廃墟の攻防戦
「やっほー! 今回の任務の舞台は山奥の廃村。つ・ま・り! 人目を気にせず、思いっきり暴れられるってことだよっ♪」
パチン! と勢いよくウィンクを決めて久方 万里(nCL2000005)は作戦会議を開始した。
村の大きさはさほど広いものではない。住人は100人程度の極々小さな村だったようだ。むしろ、村の外周を覆うように配置された田畑の方が広い。
「ターゲットは3体。全員、廃材で出来た物質系の妖だねっ。身体を一時的に分解して、回避や移動ができるみたいだけど、時間と分解距離に限界があるよ」
得意な攻撃は、物理系の力押し。好戦的で、巨人は特に獰猛な性格をしている。
村の中に、身を隠せそうな場所はない。家屋は軒並み倒壊している。
「だけど、村の西側にある小学校跡地だけは原型を保っているよ。二階建ての小さな学校だし、暴れすぎると倒壊するけど」
巨人の攻撃は、地面を揺らすほどの威力を誇る。足元の廃材を衝撃波で吹き飛ばすため、油断すると視界を塞がれることもあるだろう。
「あまり纏まって動き過ぎると危ないかもね」
それじゃあ行ってらっしゃい。
そう言って万里は、仲間達を送り出した。
数十年前に廃村と化した、山奥の小さな村。
うだるように暑い秋の朝に、そいつは目覚めた。
家屋の残骸が、地面を這いずり寄り集まって、少しずつ人の形を成していく。まずは足、次は地面を擦るほどに長い両腕、それから樽のような胴体。どういうわけか頭部は存在しない。
代わりに、胸の位置と両肩に、ガラスで出来た眼球が、腹部には鉄釘の牙を持つ大きな口が存在している。異形の巨人を構築するのは、木材や煉瓦、コンクリートなどの家屋の残骸。
大きさ5メートルほどの、瓦礫の巨人が声にならない叫び声を上げた。
さらに、巨人の足元には2体の瓦礫の人型が存在している。巨人の半分にも満たない大きさだが、それでも一般的な人間のサイズよりは大きい。
巨人の歩みに合わせ、2体の人型も村をゆっくりと徘徊している。
瓦礫の巨人が探しているのは、人間の姿だ。
本能に任せ人を襲う妖。かつては人の生活を守る、家屋であったことを考えれば、最悪の末路といえるだろう。
さして大きな村ではない。近くに人が居ないと分かれば、巨人達はやがて山を降りて、町へと向かうことが予想される。
それを事前に食い止めるのが、今回の任務である。
●廃墟の攻防戦
「やっほー! 今回の任務の舞台は山奥の廃村。つ・ま・り! 人目を気にせず、思いっきり暴れられるってことだよっ♪」
パチン! と勢いよくウィンクを決めて久方 万里(nCL2000005)は作戦会議を開始した。
村の大きさはさほど広いものではない。住人は100人程度の極々小さな村だったようだ。むしろ、村の外周を覆うように配置された田畑の方が広い。
「ターゲットは3体。全員、廃材で出来た物質系の妖だねっ。身体を一時的に分解して、回避や移動ができるみたいだけど、時間と分解距離に限界があるよ」
得意な攻撃は、物理系の力押し。好戦的で、巨人は特に獰猛な性格をしている。
村の中に、身を隠せそうな場所はない。家屋は軒並み倒壊している。
「だけど、村の西側にある小学校跡地だけは原型を保っているよ。二階建ての小さな学校だし、暴れすぎると倒壊するけど」
巨人の攻撃は、地面を揺らすほどの威力を誇る。足元の廃材を衝撃波で吹き飛ばすため、油断すると視界を塞がれることもあるだろう。
「あまり纏まって動き過ぎると危ないかもね」
それじゃあ行ってらっしゃい。
そう言って万里は、仲間達を送り出した。

■シナリオ詳細
■成功条件
1.ターゲットの殲滅
2.なし
3.なし
2.なし
3.なし
今回の任務は、人の住まない廃墟で発生した妖の討伐任務です。
思いっきり暴れられる反面、ターゲットのサイズも大きなものなので、お気をつけて。
では、以下詳細。
●場所
山奥の廃村。
家屋のほとんどは倒壊し、足場は残骸で埋め尽くされている。
原型をとどめている建物はほとんどないので、視界は良好。ターゲットも、自分達も姿を隠すことはできません。
唯一の例外として、村の西側にある小学校跡地のみ原型を止めています。
校舎内では、姿を隠すことができますが暴れすぎると倒壊します。
●ターゲット
物質系・妖(瓦礫の巨人)×1
ランク2
5メートルを超える瓦礫の巨人。
腕が長く、頭部は存在しない。
胸部と両肩に目のようなものが存在し、腹部には口がある。
銃弾や、短い刃物による攻撃が通用しにくい。
【ノックバックブレイク】→物近単[物防無][ ノックB]
腕に瓦礫を集めて放つ、力任せのパンチ。
【アースクエイク】→物遠全[弱体]
両腕を地面に叩きつけ、衝撃波を放つ。足元に散らばる瓦礫が飛び散るため回避が難しい。
物質系・妖(廃材の人型)×2
ランク1
2メートルほどの人型。人間と同じような形をしている。
巨人の傍を離れて行動することは滅多にない。
一時的に、自分の身体を分解して素早く移動することができる。
【ブロックブレイク】→物近単貫2[貫:100%,40%][負荷]
自身の身体、或いは身体の一部を分解しターゲットに叩きつける攻撃
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
相談日数
7日
7日
参加費
100LP[+予約50LP]
100LP[+予約50LP]
参加人数
8/8
8/8
公開日
2015年10月14日
2015年10月14日
■メイン参加者 8人■

●揺れる廃村
地面が揺れる。ゆっくりと、周囲に散らばった家屋の残骸の中から、何かを探すような動作で巨人が歩く。廃材で組まれた巨躯を揺らして、一歩進むごとに地面が揺れた。
巨人の足元には、2体の人型。これらもまた、その身は廃材で出来ていた。
既に人が住まなくなって久しい廃村だ。家屋のほとんどは倒壊し、無残な残骸が残るのみ。
人の住まなくなった村で、人の姿を探して歩く巨人達だが、いずれ村を出て山を下って、人の住む町へと向かうだろう。
「本来、住む人を守るための家屋が、人を襲う存在になるとは、皮肉なものだな」
それを喰い止め、あるべき姿へと戻すために此処に来た、と『超える力』真田 風次郎(CL2000439)は肩に担いだ大斧を降ろし、そう言った。
「廃材の妖か、付喪神の一種か? 道具の分際で恨み辛みとは小賢しい。せめて有用なサンプルとしてくたばれよ」
鋭い視線で、巨人の全身を隈なく観察しながら赤祢 維摩(CL2000884)が廃材の影から姿を現す。それに続いて『サイクロプス』多々良 宗助(CL2000711)も巨人の眼前へ。
「今回の舞台は廃村か。思いっきり暴れられそうだな!」
巨人の歩みが止まった。値踏みするように3人を眺め、それからゆっくりと瓦礫の塊で出来た、巨大な両腕を頭上へと振り上げた。
巨人が腕を振り下ろす直前、危険を察して人型2体が数歩後退。
それを合図とするように、3人は一気に前へと跳び出した。
「巨人たちが山を降りる前に食い止めようぜ!」
「俺達があるべき姿に還してやろう」
宗助の大槌と、風次郎の大斧が振り下ろされた巨人の腕を真正面から受け止める。服の下で筋肉が膨れ上がり、血管が浮き上がる。歯を食い縛り、耐えることができたのは一瞬。2人の足元で、地面がひび割れる。
直撃を受ける前に、左右へ跳んで巨人の腕を回避した。
跳び散る瓦礫は回避できず、全身に細かい傷を負う。
「ふん、劣化してがたが来たか?」
いつの間にか、周囲には濃い霧が立ち込めていた。維摩の使用した纏霧の効果か、巨人や人型の身体からポロポロと木端が散っている。
後退する3人を追って、巨人と人型が進行を開始。
それを確認した瞬間、3人は踵を返して逃げ出した。
●のどかな野山で暴れる脅威。
「誰もいない廃村で人知れず、ね。初めての実戦にはちょうど良いのかしら」
長い髪が風に吹かれて踊っている。
荒れ果てた田畑の縁に立ち、廃村を眺める『茨の令嬢』榊原・C・レイチェル(CL2000514)の視界に、此方へ向かって走ってくる3人の仲間と、それを追う巨人の姿が映った。
「人のいる地域に出向かれても大変ですし、きっちりとここで止めてしまいましょう!」
小太刀を構えた『Overdrive』片桐・美久(CL2001026)が地面を蹴って駆け出した。
「真っ向勝負…だなんて、あまり得意ではないのだけれど、ね」
杖を片手に、藤 咲(CL2000280)は溜め息を零す。撃ち出した波動弾は、まっすぐ巨人の右を走っていた人型に命中。足を射抜かれた人型は、バランスを崩してその場に転倒した。
地面を転がる人型目がけ、咲はもう1発波動弾を放つ。
だが、今度の一撃は振り下ろされた巨人の腕に阻まれる。腕を貫通し、背後に倒れた人型に命中はするものの、大したダメージを与えられはしなかったようだ。
「わわ、でっかーい!? 大丈夫かな、あんなにおっきいのに殴られたら怪我しないかな……」
巨人の足元を、真横に横切る小さな影。御白 小唄(CL2001173)だ。
巨人を無視し、目指す相手はもう1体の人型。駆ける勢いを拳に乗せ、人型の即頭部に拳を叩きつけた。
小唄と攻撃のタイミングを合わせた美久の小太刀が人型の胴を切りつける。
人型の身体が大きく揺れた、その直後。
「うわわっ!」
「お、っと!?」
バラバラに分散した人型が、その場で竜巻のように回転を始める。回転する廃材が体中に打ちつけられ、小唄と美久は悲鳴を上げた。
「……随分人に飢えてるのね。こんな所で生まれたのが運の尽き、かしら」
回転する廃材の中央を、真空の弾丸が撃ち抜いた。廃材の回転は停止し、元の人型へと組み上がる。
人型の視線の先には、レイチェルの姿。
廃材は、腕を振り上げ声にならない雄叫びをあげた。
咲の波動弾に並走し、『笑顔の約束』六道 瑠璃(CL2000092)が人型へと切りかかる。
巨人の振り回す腕の真下を潜るように駆け抜けて、大きく踏み込み正眼の構えから、まっすぐ、人型の脳天目がけて剣を一閃。
「思い切り暴れられる、ね……。向こうも同じ条件だから、質量の分相当危ない相手になる。いいけど。それじゃ、いこうか」
巨人が暴れまわるせいで、周囲には粉塵が立ちこめていた。視界が霞んでいるが、その中でも瑠璃は超視力と鋭聴力を駆使して、人型の位置を性格に把握する。
しかし。
瑠璃の剣が額に突き刺さったその瞬間、人型の身体は細かいパーツに別れて跳び散った。瑠璃の視力と聴力は、各パーツの位置と動きを性格に捉える。
それが仇となった。
至近距離にターゲットが複数という状態。集中力を分散された瑠璃は、左右に別れた廃材に対応しようと剣を横に一閃。剣撃の隙間を縫って、角材の1つが瑠璃の鳩尾に突き刺さる。
「う、っぐ」
思わず膝を付く瑠璃の頭上から、大量の廃材が降ってくる。
だが、廃材が瑠璃に命中する寸前、粉塵を撃ち抜き飛んできた波動弾が、廃材を複数纏めて打ち砕いた。
瑠璃の上から木端が降り注ぐ。
「一撃一撃に威力は必要ありません。人だって棒で殴り続ければいつか死んでしまうのです」
1発ずつ、正確に狙いを付けた波動弾を咲が放つ。
その隙に、瑠璃は体勢を立て直し再度人型に切り掛かった。
「朽ちるのを待つだけの瓦礫。喜びなさい、私の糧にしてあげるわ」
レイチェルの放った真空の弾丸が、人型の進行を阻む。その間にも、巨人は逃げ回る3人を追って、田畑の中へと突き進んで行く。土砂を巻き上げ、廃材を蹴散らし、時折、獲物目がけて巨腕を叩きつける。
人型2体が付いてきていないことなど、お構いなしだ。
「この方が、やりやすくていいですけどね!」
美久が地面を軽く叩いた。それと同時に、地面から跳び出した植物の鞭が人型を強かに打ち据える。身体を分解するのも間に合わないまま、人型はその場に倒れ込む。
だが、人型が地面に伏すよりも早く、その真下へと潜り込んだ小唄の拳が人型のボディを強打。人型の身体が、宙へと浮き上がった。
「難しく考えない!まっすぐ行ってぶっとばーす!」
さらに小唄は、追撃を放つべく地面を蹴って跳び上がった。
「だめ、止まって!」
レイチェルが叫ぶが、間に合わない。
身体を分解し、地面目がけて突貫した人型の猛攻を、小唄と美久は全身に浴びた。
「サイズがサイズなだけに、必然的に足しか狙えないな」
「俺の筋肉に土の鎧が加われば怖いもの無しだぜ」
田んぼの中心で、急停止した風次郎と、土の鎧で身を固めた宗助がそれぞれの得物を振り上げ、巨人の脚に叩きつけた。
力任せの一撃も、巨人の大きな身体になら余裕で命中する。2人の武器が命中した個所に、深い亀裂が走る。
片足に大きなダメージを受け、巨人の身体が傾いた。
巨人の胸の位置に、バチバチと紫電を撒き散らす雨雲が現れる。
「廃材らしく派手に砕けろよ」
維摩がそう呟いたその瞬間、雨雲は爆ぜ、溜めこんだ雷を一気に放電させる。巨人の胸を、落雷が貫いた。
バラバラと、巨人の身体から廃材が零れ落ちる。
濛々と黒煙を上げながら、巨人の身体が前に向かって倒れて行った。
だが。
ズシン、とダメージを受けていない片足を前に踏みだすことで巨人は転倒しそうになる巨体を支えた。そのまま倒れ込む勢いを乗せ、巨大な両腕を地面目がけて叩きつける。
土砂と共に、風次郎と宗助の身体が宙を舞う。後方に居た維摩にも、土砂や廃材が叩きつけられる。
地面に倒れた3人に、巨人はゆっくりと近づいていった。
人型をその場から逃がさないために、咲と瑠璃は至近距離での戦闘を余儀なくされていた。瑠璃1人では、いつまでも人型を抑え込むことは出来ないだろう。
身体を分解し、宙を舞う人型を2人は1つずつ、しかし確実に撃破していく。
だが、人型の身体を構成する廃材の数は多い。着実にダメージを受けていく2人の表情には、疲労の色が浮かんでいる。
「たとえ弾尽き杖折られようとも……食らい付いて。喰らい、憑いて」
「だけど、この田畑……もう使う人間もいないし、足場としては安定してるだろうけど……なんだか、少し寂しいな」
波動弾と、剣の一閃が恐らく家の支柱として使われていたであろう角材を粉々に粉砕する。直後、2人の背後から数本の釘が跳び上がり、背中に突き刺さった。
跳び散る鮮血の中、反転した瑠璃が剣を一閃。再び宙へと浮き上がった釘を、斬り捨てる。
口元から血を零しながら、咲は杖を掲げた。
残る廃材はそう多くない。
後退する咲を守るように、瑠璃が数歩前へ出た。
2人目がけて襲いかかる廃材を、瑠璃の剣が次々に切って捨てる。
一閃、二閃と剣が閃いた。
その度に、廃材は切り裂かれ、地面へと落ちて行く。
「さぁ、この死ぬまで踊り続ける赤い靴の呪い。或いは色褪せぬ鮮烈な死の舞踏にもう暫し、御付き合いくださいまし?」
その場で回転するように、次々と斬撃を放つ瑠璃の動きは、まるで踊っているかのようだった。
残り少なくなった廃材の中に、人型の頭部だった鉄屑の塊を見つける。
「確実に、一つずつを積み重ねた成果ですわ」
杖から放たれた波動弾が、瑠璃の頬を掠めて人型の頭部へと命中した。パン、と空気の爆ぜる音。飛び散る鉄屑は、地面に落ちてそのままピクリとも動かなくなった。
それと同時に、宙に浮いていた残りの廃材も力を失い地面に落ちる。
ゆっくりと、瑠璃が剣を下げた。
「瓦礫、少しでも片づけていくか。田畑に放置じゃ、可哀そうだと思うんだ」
荒い呼吸を繰り返しながら、瑠璃は地面に落ちた鉄屑を拾い上げた。
淡い燐光を放つ滴が、美久の身体に降り注ぐ。
美久の全身には、打撲や裂傷が無数に見受けられた。滴が降り注ぐ度に、それらの傷が言え、痛みにあえいでいた美久の表情も、幾分和らいでくる。
額の汗を拭い、レイチェルは深い溜め息を1つ。
「……状況を見て回復というのも、案外難しいものね」
視線の先には、先だって治療を受けていた小唄が1人で人型の注意を引き付けている。
立ちあがった美久もまた、小太刀片手に戦線へと復帰して行った。
小唄相手に、両腕を振り回し猛攻を仕掛ける人型の後頭部に、レイチェルの放った真空弾が命中する。人型がバランスを崩した隙に、小唄はバックステップで距離をとって、姿勢を低くし力を溜めた。
「人の目を気にしなくて良いというのは、良いものですね。おもいっきり身体を動かせます!」
人型の背後に駆け寄った美久が、小太刀を一振り。走る勢いをそのまま乗せた斬撃が、人型の右腕を切り落とした。
美久の攻撃は止まらない。人型の薙ぎ払いを回避し、地面を叩く。地面から跳び出した植物の鞭が、人型の下半身を貫き、打ち砕いた。
上半身だけになった人型は、残った左腕をがむちゃらに振り回した。殴られた美久が地面に倒れる。飛行し、急接近したレイチェルが美久の身体を抱き上げ、戦線から離脱。幸い、意識はあるようだ。
離脱した2人と入れ替わるように、小唄が飛び出す。
「殴られたら絶対痛いよね。でも、負けるわけには行かないんだからね!」
一直線に地面を駆けて、力任せに人型の胸を拳で殴りつけた。
獣のような荒々しい一撃。人型の全身に亀裂が走り、人型はその場に崩れ落ちた。
●巨躯が崩れるその後に。
土砂を掻き分け、立ちあがった維摩の周囲に、不気味な霧が湧き出した。
霧は、巨人の身体を包み、廃材で出来たその身を蝕む。弱体の効果を付与する霧だ。巨人が頑丈な身体と高い攻撃力を持つというのなら、まずは弱らせてしまえばいい。
そうすれば、撃退するのも幾分容易くなるだろう。
額から溢れる流血もそのままに、維摩は不敵に微笑んだ。
「鈍い的に当てられん程愚鈍ではないだろう? それに、へばるにはまだ早いな。精々力の限り戦えよ」
さらに、経典を広げて維摩が何事か唱えると、風次郎と宗助の身体の内から、失われていた気力が湧き上がる。増幅させた自信の精神力を2人へ転化させたのだ。一度に対象とできるのは1人なので、維摩は二度連続で、仲間達へと精神力を分け与える。
土砂を掻き分け、得物を振り上げ、風次郎と宗助は巨人目がけて駆け出した。
振り下ろされた巨人の腕を掻い潜り、風次郎は巨人の脚へと肉薄。大斧を大きく振りかぶり、巨人の足首へと叩きつける。
醒の炎で強化した肉体から放たれる、精度の高い全力攻撃。
空気が唸る。
「俺達があるべき姿に還してやろう」
大斧の一撃が、巨人の足首を切断。巨人の巨体は、今度こそ田んぼの中に倒れ込んだ。巨人が腕を伸ばし、風次郎の身体を払いのける。
力任せの一撃は、風次郎の身体を後方へと弾き飛ばした。
「ぐ、っぉぉ! 頼むっ!」
地面を数回バウンドし、土に半ば埋もれるようにして風次郎の身体が止まる。呻き声に似た彼の言葉は、大きく空へと跳び上がった宗助に向けられたものだ。
「筋肉に不可能は無い! もう、静かに眠りな!」
大上段に振り上げた大槌に、重力を乗せて巨人の頭頂部へと振り下ろす。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
宗助の雄叫びが、空に木霊す。筋肉を唸らせ、全体重に重力をプラスした渾身の一撃が、巨人の頭部を打ち砕く。砕け散った頭部の残骸を飛散させながら、巨人は地面に倒れ込んだ。
巨大な人の形を保ったまま、大量の瓦礫が田んぼに散らばる。
「あー、腹減ったなー。この辺の名物ってなんだろ。折角だから皆で飯食って帰ろうぜ」
妖と化したとはいえ、元は家屋。人の生活を守る建物の残骸。
役目を果たした瓦礫の山を、ほんの一瞬寂しげに見やり、宗助は大槌を肩に担ぎあげ、こちらへと歩いてくる仲間達へ向け、笑顔を向けた。
ごく僅かな寂しさを、胸の奥へと押し込めて。
明るい声で笑いながら、仲間達の元へと歩いていった。
地面が揺れる。ゆっくりと、周囲に散らばった家屋の残骸の中から、何かを探すような動作で巨人が歩く。廃材で組まれた巨躯を揺らして、一歩進むごとに地面が揺れた。
巨人の足元には、2体の人型。これらもまた、その身は廃材で出来ていた。
既に人が住まなくなって久しい廃村だ。家屋のほとんどは倒壊し、無残な残骸が残るのみ。
人の住まなくなった村で、人の姿を探して歩く巨人達だが、いずれ村を出て山を下って、人の住む町へと向かうだろう。
「本来、住む人を守るための家屋が、人を襲う存在になるとは、皮肉なものだな」
それを喰い止め、あるべき姿へと戻すために此処に来た、と『超える力』真田 風次郎(CL2000439)は肩に担いだ大斧を降ろし、そう言った。
「廃材の妖か、付喪神の一種か? 道具の分際で恨み辛みとは小賢しい。せめて有用なサンプルとしてくたばれよ」
鋭い視線で、巨人の全身を隈なく観察しながら赤祢 維摩(CL2000884)が廃材の影から姿を現す。それに続いて『サイクロプス』多々良 宗助(CL2000711)も巨人の眼前へ。
「今回の舞台は廃村か。思いっきり暴れられそうだな!」
巨人の歩みが止まった。値踏みするように3人を眺め、それからゆっくりと瓦礫の塊で出来た、巨大な両腕を頭上へと振り上げた。
巨人が腕を振り下ろす直前、危険を察して人型2体が数歩後退。
それを合図とするように、3人は一気に前へと跳び出した。
「巨人たちが山を降りる前に食い止めようぜ!」
「俺達があるべき姿に還してやろう」
宗助の大槌と、風次郎の大斧が振り下ろされた巨人の腕を真正面から受け止める。服の下で筋肉が膨れ上がり、血管が浮き上がる。歯を食い縛り、耐えることができたのは一瞬。2人の足元で、地面がひび割れる。
直撃を受ける前に、左右へ跳んで巨人の腕を回避した。
跳び散る瓦礫は回避できず、全身に細かい傷を負う。
「ふん、劣化してがたが来たか?」
いつの間にか、周囲には濃い霧が立ち込めていた。維摩の使用した纏霧の効果か、巨人や人型の身体からポロポロと木端が散っている。
後退する3人を追って、巨人と人型が進行を開始。
それを確認した瞬間、3人は踵を返して逃げ出した。
●のどかな野山で暴れる脅威。
「誰もいない廃村で人知れず、ね。初めての実戦にはちょうど良いのかしら」
長い髪が風に吹かれて踊っている。
荒れ果てた田畑の縁に立ち、廃村を眺める『茨の令嬢』榊原・C・レイチェル(CL2000514)の視界に、此方へ向かって走ってくる3人の仲間と、それを追う巨人の姿が映った。
「人のいる地域に出向かれても大変ですし、きっちりとここで止めてしまいましょう!」
小太刀を構えた『Overdrive』片桐・美久(CL2001026)が地面を蹴って駆け出した。
「真っ向勝負…だなんて、あまり得意ではないのだけれど、ね」
杖を片手に、藤 咲(CL2000280)は溜め息を零す。撃ち出した波動弾は、まっすぐ巨人の右を走っていた人型に命中。足を射抜かれた人型は、バランスを崩してその場に転倒した。
地面を転がる人型目がけ、咲はもう1発波動弾を放つ。
だが、今度の一撃は振り下ろされた巨人の腕に阻まれる。腕を貫通し、背後に倒れた人型に命中はするものの、大したダメージを与えられはしなかったようだ。
「わわ、でっかーい!? 大丈夫かな、あんなにおっきいのに殴られたら怪我しないかな……」
巨人の足元を、真横に横切る小さな影。御白 小唄(CL2001173)だ。
巨人を無視し、目指す相手はもう1体の人型。駆ける勢いを拳に乗せ、人型の即頭部に拳を叩きつけた。
小唄と攻撃のタイミングを合わせた美久の小太刀が人型の胴を切りつける。
人型の身体が大きく揺れた、その直後。
「うわわっ!」
「お、っと!?」
バラバラに分散した人型が、その場で竜巻のように回転を始める。回転する廃材が体中に打ちつけられ、小唄と美久は悲鳴を上げた。
「……随分人に飢えてるのね。こんな所で生まれたのが運の尽き、かしら」
回転する廃材の中央を、真空の弾丸が撃ち抜いた。廃材の回転は停止し、元の人型へと組み上がる。
人型の視線の先には、レイチェルの姿。
廃材は、腕を振り上げ声にならない雄叫びをあげた。
咲の波動弾に並走し、『笑顔の約束』六道 瑠璃(CL2000092)が人型へと切りかかる。
巨人の振り回す腕の真下を潜るように駆け抜けて、大きく踏み込み正眼の構えから、まっすぐ、人型の脳天目がけて剣を一閃。
「思い切り暴れられる、ね……。向こうも同じ条件だから、質量の分相当危ない相手になる。いいけど。それじゃ、いこうか」
巨人が暴れまわるせいで、周囲には粉塵が立ちこめていた。視界が霞んでいるが、その中でも瑠璃は超視力と鋭聴力を駆使して、人型の位置を性格に把握する。
しかし。
瑠璃の剣が額に突き刺さったその瞬間、人型の身体は細かいパーツに別れて跳び散った。瑠璃の視力と聴力は、各パーツの位置と動きを性格に捉える。
それが仇となった。
至近距離にターゲットが複数という状態。集中力を分散された瑠璃は、左右に別れた廃材に対応しようと剣を横に一閃。剣撃の隙間を縫って、角材の1つが瑠璃の鳩尾に突き刺さる。
「う、っぐ」
思わず膝を付く瑠璃の頭上から、大量の廃材が降ってくる。
だが、廃材が瑠璃に命中する寸前、粉塵を撃ち抜き飛んできた波動弾が、廃材を複数纏めて打ち砕いた。
瑠璃の上から木端が降り注ぐ。
「一撃一撃に威力は必要ありません。人だって棒で殴り続ければいつか死んでしまうのです」
1発ずつ、正確に狙いを付けた波動弾を咲が放つ。
その隙に、瑠璃は体勢を立て直し再度人型に切り掛かった。
「朽ちるのを待つだけの瓦礫。喜びなさい、私の糧にしてあげるわ」
レイチェルの放った真空の弾丸が、人型の進行を阻む。その間にも、巨人は逃げ回る3人を追って、田畑の中へと突き進んで行く。土砂を巻き上げ、廃材を蹴散らし、時折、獲物目がけて巨腕を叩きつける。
人型2体が付いてきていないことなど、お構いなしだ。
「この方が、やりやすくていいですけどね!」
美久が地面を軽く叩いた。それと同時に、地面から跳び出した植物の鞭が人型を強かに打ち据える。身体を分解するのも間に合わないまま、人型はその場に倒れ込む。
だが、人型が地面に伏すよりも早く、その真下へと潜り込んだ小唄の拳が人型のボディを強打。人型の身体が、宙へと浮き上がった。
「難しく考えない!まっすぐ行ってぶっとばーす!」
さらに小唄は、追撃を放つべく地面を蹴って跳び上がった。
「だめ、止まって!」
レイチェルが叫ぶが、間に合わない。
身体を分解し、地面目がけて突貫した人型の猛攻を、小唄と美久は全身に浴びた。
「サイズがサイズなだけに、必然的に足しか狙えないな」
「俺の筋肉に土の鎧が加われば怖いもの無しだぜ」
田んぼの中心で、急停止した風次郎と、土の鎧で身を固めた宗助がそれぞれの得物を振り上げ、巨人の脚に叩きつけた。
力任せの一撃も、巨人の大きな身体になら余裕で命中する。2人の武器が命中した個所に、深い亀裂が走る。
片足に大きなダメージを受け、巨人の身体が傾いた。
巨人の胸の位置に、バチバチと紫電を撒き散らす雨雲が現れる。
「廃材らしく派手に砕けろよ」
維摩がそう呟いたその瞬間、雨雲は爆ぜ、溜めこんだ雷を一気に放電させる。巨人の胸を、落雷が貫いた。
バラバラと、巨人の身体から廃材が零れ落ちる。
濛々と黒煙を上げながら、巨人の身体が前に向かって倒れて行った。
だが。
ズシン、とダメージを受けていない片足を前に踏みだすことで巨人は転倒しそうになる巨体を支えた。そのまま倒れ込む勢いを乗せ、巨大な両腕を地面目がけて叩きつける。
土砂と共に、風次郎と宗助の身体が宙を舞う。後方に居た維摩にも、土砂や廃材が叩きつけられる。
地面に倒れた3人に、巨人はゆっくりと近づいていった。
人型をその場から逃がさないために、咲と瑠璃は至近距離での戦闘を余儀なくされていた。瑠璃1人では、いつまでも人型を抑え込むことは出来ないだろう。
身体を分解し、宙を舞う人型を2人は1つずつ、しかし確実に撃破していく。
だが、人型の身体を構成する廃材の数は多い。着実にダメージを受けていく2人の表情には、疲労の色が浮かんでいる。
「たとえ弾尽き杖折られようとも……食らい付いて。喰らい、憑いて」
「だけど、この田畑……もう使う人間もいないし、足場としては安定してるだろうけど……なんだか、少し寂しいな」
波動弾と、剣の一閃が恐らく家の支柱として使われていたであろう角材を粉々に粉砕する。直後、2人の背後から数本の釘が跳び上がり、背中に突き刺さった。
跳び散る鮮血の中、反転した瑠璃が剣を一閃。再び宙へと浮き上がった釘を、斬り捨てる。
口元から血を零しながら、咲は杖を掲げた。
残る廃材はそう多くない。
後退する咲を守るように、瑠璃が数歩前へ出た。
2人目がけて襲いかかる廃材を、瑠璃の剣が次々に切って捨てる。
一閃、二閃と剣が閃いた。
その度に、廃材は切り裂かれ、地面へと落ちて行く。
「さぁ、この死ぬまで踊り続ける赤い靴の呪い。或いは色褪せぬ鮮烈な死の舞踏にもう暫し、御付き合いくださいまし?」
その場で回転するように、次々と斬撃を放つ瑠璃の動きは、まるで踊っているかのようだった。
残り少なくなった廃材の中に、人型の頭部だった鉄屑の塊を見つける。
「確実に、一つずつを積み重ねた成果ですわ」
杖から放たれた波動弾が、瑠璃の頬を掠めて人型の頭部へと命中した。パン、と空気の爆ぜる音。飛び散る鉄屑は、地面に落ちてそのままピクリとも動かなくなった。
それと同時に、宙に浮いていた残りの廃材も力を失い地面に落ちる。
ゆっくりと、瑠璃が剣を下げた。
「瓦礫、少しでも片づけていくか。田畑に放置じゃ、可哀そうだと思うんだ」
荒い呼吸を繰り返しながら、瑠璃は地面に落ちた鉄屑を拾い上げた。
淡い燐光を放つ滴が、美久の身体に降り注ぐ。
美久の全身には、打撲や裂傷が無数に見受けられた。滴が降り注ぐ度に、それらの傷が言え、痛みにあえいでいた美久の表情も、幾分和らいでくる。
額の汗を拭い、レイチェルは深い溜め息を1つ。
「……状況を見て回復というのも、案外難しいものね」
視線の先には、先だって治療を受けていた小唄が1人で人型の注意を引き付けている。
立ちあがった美久もまた、小太刀片手に戦線へと復帰して行った。
小唄相手に、両腕を振り回し猛攻を仕掛ける人型の後頭部に、レイチェルの放った真空弾が命中する。人型がバランスを崩した隙に、小唄はバックステップで距離をとって、姿勢を低くし力を溜めた。
「人の目を気にしなくて良いというのは、良いものですね。おもいっきり身体を動かせます!」
人型の背後に駆け寄った美久が、小太刀を一振り。走る勢いをそのまま乗せた斬撃が、人型の右腕を切り落とした。
美久の攻撃は止まらない。人型の薙ぎ払いを回避し、地面を叩く。地面から跳び出した植物の鞭が、人型の下半身を貫き、打ち砕いた。
上半身だけになった人型は、残った左腕をがむちゃらに振り回した。殴られた美久が地面に倒れる。飛行し、急接近したレイチェルが美久の身体を抱き上げ、戦線から離脱。幸い、意識はあるようだ。
離脱した2人と入れ替わるように、小唄が飛び出す。
「殴られたら絶対痛いよね。でも、負けるわけには行かないんだからね!」
一直線に地面を駆けて、力任せに人型の胸を拳で殴りつけた。
獣のような荒々しい一撃。人型の全身に亀裂が走り、人型はその場に崩れ落ちた。
●巨躯が崩れるその後に。
土砂を掻き分け、立ちあがった維摩の周囲に、不気味な霧が湧き出した。
霧は、巨人の身体を包み、廃材で出来たその身を蝕む。弱体の効果を付与する霧だ。巨人が頑丈な身体と高い攻撃力を持つというのなら、まずは弱らせてしまえばいい。
そうすれば、撃退するのも幾分容易くなるだろう。
額から溢れる流血もそのままに、維摩は不敵に微笑んだ。
「鈍い的に当てられん程愚鈍ではないだろう? それに、へばるにはまだ早いな。精々力の限り戦えよ」
さらに、経典を広げて維摩が何事か唱えると、風次郎と宗助の身体の内から、失われていた気力が湧き上がる。増幅させた自信の精神力を2人へ転化させたのだ。一度に対象とできるのは1人なので、維摩は二度連続で、仲間達へと精神力を分け与える。
土砂を掻き分け、得物を振り上げ、風次郎と宗助は巨人目がけて駆け出した。
振り下ろされた巨人の腕を掻い潜り、風次郎は巨人の脚へと肉薄。大斧を大きく振りかぶり、巨人の足首へと叩きつける。
醒の炎で強化した肉体から放たれる、精度の高い全力攻撃。
空気が唸る。
「俺達があるべき姿に還してやろう」
大斧の一撃が、巨人の足首を切断。巨人の巨体は、今度こそ田んぼの中に倒れ込んだ。巨人が腕を伸ばし、風次郎の身体を払いのける。
力任せの一撃は、風次郎の身体を後方へと弾き飛ばした。
「ぐ、っぉぉ! 頼むっ!」
地面を数回バウンドし、土に半ば埋もれるようにして風次郎の身体が止まる。呻き声に似た彼の言葉は、大きく空へと跳び上がった宗助に向けられたものだ。
「筋肉に不可能は無い! もう、静かに眠りな!」
大上段に振り上げた大槌に、重力を乗せて巨人の頭頂部へと振り下ろす。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
宗助の雄叫びが、空に木霊す。筋肉を唸らせ、全体重に重力をプラスした渾身の一撃が、巨人の頭部を打ち砕く。砕け散った頭部の残骸を飛散させながら、巨人は地面に倒れ込んだ。
巨大な人の形を保ったまま、大量の瓦礫が田んぼに散らばる。
「あー、腹減ったなー。この辺の名物ってなんだろ。折角だから皆で飯食って帰ろうぜ」
妖と化したとはいえ、元は家屋。人の生活を守る建物の残骸。
役目を果たした瓦礫の山を、ほんの一瞬寂しげに見やり、宗助は大槌を肩に担ぎあげ、こちらへと歩いてくる仲間達へ向け、笑顔を向けた。
ごく僅かな寂しさを、胸の奥へと押し込めて。
明るい声で笑いながら、仲間達の元へと歩いていった。
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし
