愛の思い出を取り返せ?
愛の思い出を取り返せ?


●奪われた愛の証

 ――静岡県伊豆市、深夜。
 白い飛沫を立てて流れ落ちる水。その水の溢れる滝壺の周りを、男が何やらうろついている。
 こんな場所には不釣合いな、ダイビングの器具を背負っている。
 男は少し水際で立ち止まった後、辺りを見回して、滝壺に飛び込んだ。

 数分も経たないうちに、男が浮き上がってきた。何か重いものを持っているのか、ゆっくりと、手に持ったものを引きずるように水辺に近づいてくる。
 男はそれを、近くに停めた軽トラの助手席に放り込むと、ダイビングの器具も無造作に荷台に置いて、市街地の方へ走り出したのだった……


 老い故に衰えたのか、人と共に暮らして鈍ったのか。『女主人』が自分の古巣を荒らされ、最も大切にしていた愛の形見が奪われたことに気がついたのは、夜が明けてからのことだったのだ。


●愛を取り返せ!?

「皆さん、今回は物探しのお仕事です」
 久方・真由美(nCL2000003)が、会議室に集まった皆にそう告げた。その横には年齢不詳の着物美女と、その腕に抱かれた猫耳の小さな男の子。
 真由美によるとこの女性は古妖『絡新婦』の結絹。男児は宿木 香糸という名の、縁あって彼女が世話をしている子で、この歳にして覚者なのだそうな。

「人間の皆様に置かれましては、ご機嫌麗しく。絡新婦の結絹と申します。どうぞよしなに。」
 そう挨拶から切り出した彼女は、今回FiVEに協力を願い出た本題を述べる。
「私は今でこそ人里で香糸と二人、人間のように暮らしておりますが」
 足元をうろちょろする香糸が、結絹の着物の裾を引っ張る。
「元は浄蓮の滝という滝壺の池で暮らしておりまして」
「ばーば、おやつ!」
 真由美も慌てて、お菓子を何かあげたものかあたふたしだすも、結絹は気にしないようにそのまま話し続ける。
「一人寂しく暮らしていたところに、ある日池に斧を落とした人がおりまして」
「ばーばー!ばーば!おやつはー!?」
「ばーば、大事なお話してるの。かいちゃんはいい子だから少し待っててね」
 香糸を宥め、抱きかかえてあやしつつ結絹は話を再開した。
「その斧を返そうと、滝壺の淵で出会ったのが、私の亡き夫だったのです……」
 人間と古妖の寿命の違いもあり、悲しい別離もあったが、彼女の元にはいくつかのよすがとなるものが残った。夫の遺品である斧は、夫婦の出会いのきっかけとなった、彼女の大切な宝物である。

「その斧を、何かの価値のあるものだと思った人間に、滝壺から持ち去られてしまったのです!あれは私と夫の宝物ではありますが、何の変哲も無い斧なのに……」
 事件のあった夜は、香糸がお腹を空かせてぐずったので、市街地にある家に篭りきりで、滝壺を確認できなかったのだという。
 横に居た真由美はそれに付け足すように
「斧を盗んだ人はまだ市内にいるようですね。結絹さんのお宅のある場所からは離れますが、その隣町に住んでいて、まだ斧もそこにあるようです」
 同業の骨董屋や博物館などを行脚しては売り込んでいるものの、やはり門前払いか鼻で笑われるかで巧くいっていないらしい。このまま放って置いては無造作に捨てられて、ゴミ処理場で燃やされかねない。それだけは避けなくては。
「ですので、皆さんは盗んだ人が通るポイントで待ち伏せしていただいて、説得でも強奪でもいいので斧を取り返していただくことになります。」
 
「皆様、此度のご助力には何とお礼申し上げれば良いか……。どうか、取り返せるようよろしくお願いいたします」
 結絹は、会議室に集まった覚者達を見、改めて深くお辞儀したのだった。


■シナリオ詳細
種別:通常
難易度:簡単
担当ST:安曇めいら
■成功条件
1.結絹と亡き夫の思い出の斧を取り返す
2.結絹の昔話に付き合う
3.なし
 二度目となります。安曇めいらです。
 今回はミッション半分、遊び半分となります。

●ロケーション
 静岡県伊豆市、時間は昼間です。
 がめつい骨董屋のオッサンが運転する軽トラが、博物館近くの交差点を通過するところからスタートになります。捕まえて斧を取り戻せれば終わります。
 斧を奪還した後は、結絹が切り盛りする和小物のお店で彼女の昔話に付き合いつつ、お店の中を見たりお茶をしたりになります。

●NPC
『絡新婦』結絹(ゆいきぬ)
 何本か白い筋のある黒髪を結い上げた、年齢不詳の着物美女。
 粘着性の糸や、耐久性に優れる糸を手から飛ばせますが、あまり強くありません。
 一般人に紛れて暮らす際は、宿木の名字を使っているそうです。

『ヨコミミベビー』やどりぎ かいと
 もくぎょうでけもののいんし(ねこ)2さい。せんりょくにはなりません。かわいさでみなさんをおうえんします。

●敵?
がめつい骨董屋×1
 浄蓮の滝の悲恋伝説を耳にし、滝壺の斧に目をつけました。なお、斧は実際に鑑定しても何の価値もないただの鉄の塊です。

●備考
 アリースが同行しますので、ご指示があったらプレイングで指定をお願いします。
 また、結絹のお店では和装小物や和風アクセサリーのお土産があります。
状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:3枚
(1モルげっと♪)
相談日数
6日
参加費
100LP[+予約50LP]
参加人数
5/8
公開日
2015年11月02日

■メイン参加者 5人■



●ミッションコード『IKIDAORE』

「ケッ、博物館も買い取ってくれないのかよ。まったくどこもシケたもんだな」

 この地域の伝承を調査し、文献にあった浄蓮の滝。その滝壷にきっと値打ちもののお宝があると踏んで、わざわざダイビングの道具を借りてきてまで取ってきたのに、伝説のものに違いない斧は今のところ『古い鉄塊』以上の価値は見出されていない。

 ダメなら二束三文だがリサイクル資源として売っちまうか、と思っていたところだが……軽トラを走らせる骨董品屋のオッサンは突然ブレーキを踏んだ。なんと自分の進路の上、道のド真ん中に女の子が倒れていたのだ!
 何を隠そう、女の子というのは急病人を装った 賀茂 たまき(CL2000994)である。土の心で周囲を把握し、トラックからの距離を測った上で倒れている。
(う、うまく斧を取り返せるでしょうか……)
 仮病であるのだが、この不安感もあって若干プルプルしており、かなりそれらしく見えている。

「お、おい!大丈夫か!お嬢ちゃん!おい!」
 オッサンが血相を変えて背中を叩いたり、肩を掴んで振り起こす。が、たまきは迫真の演技でゼエゼエと息を浅くし、かけられた言葉にも返事をしない。
 救急車を呼ぼうかどうしたものかと慌てていた所に、なんだかこういう地方都市では見かけない感じのキラキラした感じのオーラを纏った女の子と、やっぱりこの辺には居なさそうなハーフタレントみたいなパツキンギャルが駆け寄ってきた。
「あらあら、まあ…! 大変、発作が起きてしまったのですわねぇ…!賀茂様、お気を確かに!」
 言うまでも無いが、花房 ちどり(CL2000331)とおまけで付いてきた有堂 アリース(nCL2000054)である。

 ちどりのよく響く高い声やアイドルオーラもあり、倒れた(演技をしている)たまきを心配して寄ってくる通行人たち。その中には真庭 冬月(CL2000134)や藤 咲(CL2000280)、さらには今回の依頼人である宿木家の二人も混じっている。
(人と古妖…寿命の異なる者同士の、そうと知って尚貫いた想い。ロマンティックですわ!)
 と、想像しつつ、守護使役の楓に目配せする咲。
 一般人の目撃者が居すぎてはマズいと、冬月や咲がすかさずフォローに入る。
「ここは僕がなんとかしますから、みなさんは離れて貰えませんか、あんまり人が多いと彼女の体に障るでしょうし」
「大丈夫です。ちょっと離れて下さいね。搬送のお邪魔になるかもしれないのでー」

 ちどりは眉を下げ、うつむいてたまきの傍で膝を折る。ついでにアリースも屈み込むが、これだと絶妙にオッサンの視界に胸が直撃する構図である。目を逸らすオッサン。
「おじさま、彼女を背負うお手伝いをして下さる?かかりつけがすぐ傍に御座いますから、連れて行った方が早いのですわぁ」
 果ては大女優か、と今から思わせるちどりの演技で、ハッと我に返ったオッサンが、じゃあ俺がと申し出る。
 
 その隙、オッサンの目を盗むかのようにそろりとトラックに駆け寄る男の子の影は、覚醒で全盛期の姿へ変化した木暮坂 夜司(CL2000644) だ。
「これは結絹殿のご主人の形見じゃ。骨董に銭金の価値しか見出さん俗物には過ぎた宝よ」
 醒の炎で素早さを増している彼がそうこぼしつつ、ササッと助手席を開けると、件の斧をそっと抱えて持ち去る。
「ん……?」
 だれかが自分の車のドアを開け閉めしたか?オッサンはそう思って振り返ったのだが、誰も居ない。強いて言えば着物姿のじいさんが車の向こう側に見える程度。あんなじいさんが何かするわけはないだろう。
「おい!そっちの小さいお嬢ちゃん!この子のかかりつけっていうのはどこなんだ!」
 オッサンは何も気づかず、たまきを肩で支えて立ち上がりながら、ちどりへ叫ぶ。
「こちらですわぁ!」 

 ちどりに案内されたのは、裏路地。しかしオッサンは何も気づいていない。そして先回りしていたのは咲と冬月。すかさず後ろへ回るちどりと、不意に身体が軽くなったたまき。
「な、どうしたんだ!なんだよお前ら!?」
 明らかに怪しい状況に動揺するオッサン。しかし、四方を取り囲まれており、動くに動けない。
 そして、咲の相棒、守護使役の楓がオッサンの頭にちょこんと乗っかり、彼の記憶を『すいとる』
「なんだかマズそうだけど……質より量、たんと召し上がれ」
「な、なんか頭の上に、乗った…よ、うな………」
 事実に気づいたその瞬間に意識も記憶も遠くなる。彼に覚者の素養があれば、とてもキリッと真面目な顔をした楓が見えたであろうが、悲しいことにオッサンは一般人である。
 FiVEからの指導もあり、数日掛けてということはできなかったが、楓の記憶吸い取りはしっかりとかかっており、骨董屋のオッサンは浄蓮の滝のことなんてすっかり頭から消えてしまったのだった。

「道を聞いたら突然倒れるからビックリしましたよ。大丈夫ですか?」
 見知らぬ青年と、少女達が自分の顔を覗き込んでいる。どうしたのだろう、自分はこんな路上で倒れてしまったのだろうか?それすらも思い出せず、何だかあやふやだ。そもそもそんな記憶自体無いのかもしれない。
 明確かつ、理由もわからず、記憶が無い。何だかこの上なく気持ち悪い。
 だが、細かいことは気にしないオッサンなのか、結局は留めてあった空の軽トラに乗って、彼は家に帰った。


●愛の花は枯れても尚

 結絹の営む和装小物の店、『銀絹堂』へと案内されたFiVEの6人。結絹は手早くお茶を沸かし、お菓子を出してくる。
「皆様、本当に感謝いたします。もう、なんとお礼を申したら良いものか……」
 取り返された斧は床の間に丁寧に置かれている。思い出の場所に置いておきたいのも山々だが、これからは手元で大切にするのだそうだ。
 店内へ上がり、畳に置かれた座布団へ、思い思いに腰掛ける面々。
 可愛いものに目が無い女子達&冬月は、そわそわと商品にも熱い視線を送っていたのだが、結絹はそれにすぐ気がつくと
「どうぞ、此度のお礼です。皆様にお好きなものを一つずつ差し上げますわ!」
 と、気前よく大盤振る舞い宣言。

「まぁ…!可愛らしいものばかりですわねぇ。折角ですもの、なにか購っていこうかしらぁ」
 ちどりとアリースは共に簪を手に取り、それぞれ鏡に映して髪に合わせたりしている。
 わたくしにはどれが似合うかしらとあれこれ試すちどりへ、アリースは一つの簪を差し出す。
「ちどりにはコレが似合うんじゃないかな?プラチナブロンドみたいな色だから、強い色は却って悪目立ちしちゃいそうよ」
 アリースが差し出したのは、マザーオブパール――白蝶貝を彫り削って形作った、マーガレットの花を象った簪。大きすぎず小さすぎずの、使いやすそうなサイズだ。
 負けじとちどりもアリースに差し出すのは、紅色のトンボ玉の簪。
「有堂さまには、ほら。この簪などとてもよくお似合いですわぁ。試してみて頂ける?」
 鏡で試すアリースの横で、瞳の色とお揃いですわねと、華やかに笑うちどり。
「イイわ、ラブリーね。ちどりのセンスも、すごくイイかも」
 女子トークの盛り上がる横で、夜司もアリースへ声をかける。
「何か欲しくば遠慮なく言いたまえ、こちとら年金がたんとある。孫ほど年の離れたおなごに施すのも無聊の慰めじゃ」
 ベルさんにも土産を買っていけば喜ぶぞい、と続ける夜司。
「ムッシュー・コグレザカはメメ(おばあちゃん)を助けてもらったしね。じゃあ、これをお願いしようかな?」
 アリースが差し出したのは、ブローチにもなるコサージュで、つまみ細工で桃の花を象っている。
「メメはペッシュの花がお誕生日なの。きっとペッシュ、本当にムッシューに惚れちゃうかも」
 冗談めかしながら、アリースも厚意に甘えてみた……が、先程の結絹の宣言があったとおり今回は出血大サービスとしてタダで貰えてしまうものなのであった。

 ふと、咲が斧を見、視線を結絹に移して問いかける。
「結絹さんと、旦那さんの馴れ初めって」
「私は元々、浄蓮の滝に長いこと住んでいた蜘蛛の妖怪なのよ。虫の身内なのに水の中で暮らすなんて、おかしな話でしょ?それはいいとして、たまたま手が滑って滝壷に斧を落とした人がいて、その斧を届けに水面へ上がった時に……」
 甘く懐かしい思い出に浸るように、しみじみと語る結絹。そんな結絹をまじまじとみつめるたまき
「ときにですか?」
「涼やかな目元、きこりの仕事で引き締まった身体の、あの人に出会ったの……そして、あの人も白い顔に黒い髪の私を綺麗だと言ってくれて……ぽっ」
 このおばあちゃん、なかなかにメンクイであった。なんか身体がくねくねしているのは乙女チックアピールなのだろうか。
 そんな結絹に目元を柔らかく細めつつ、夜司が話しかける。
「その昔 華族の嫡男が呉服屋の一人娘と恋に落ちた。周囲の反対はあったが恋人を諦めるなど考えもせなんだ」
 結絹殿もそうじゃろう?という夜司の問いかけに結絹は深く頷き、
「ええ……恐ろしい妖として周囲には認知されておりましたし、夫側の人だけでなく、近くの山に住んでいる天狗……私にとって父代わりとなっていた御方がやはり強く反対しまして。でも私達はそれでも、この愛を諦めることはできませんでした」
 周囲の反対を押し切って結ばれたものの、夫は結婚後数年で病でこの世を去る。結絹も山を駆け回って薬草を集めたり手を尽くしたものの、人間たちからは『蜘蛛が呪い殺した』『天狗の祟りに遭った』などと噂されたという。
「それでも、夫とのよすがになる色んなものが残りました。斧だけでなくね」
 結絹はふわりと微笑む。その眼差しは香糸だけでなく、壁に掛けられた白黒やカラーの、沢山の写真達にも注がれている。
 幕末か明治と思しき白黒の古びた写真、出征前であろう軍服の少年の写真、比較的最近のものである結婚式の写真。

「そういえばなんですが、なぜこのお店を開いたんです?」
 微笑んだままの結絹へ、冬月が問いかける。彼もいつかは自分の店を開くつもりでいるので、参考になればということらしい。
「実はね、ここは元々ある夫婦がやっていたお店なのですけど、去年その二人が事故で死んでしまって……」
 そこで、その夫婦の妻の育ての母でもあった結絹が、まだ幼い香糸とその姉を引き取って、店の切り盛りも引き継いだのだそうだ。妻の母親として出入りしており、子供たちの祖母としても近所で認知されていたため、その辺りはスムーズだったらしい。
「この子と13歳ほど離れたお姉ちゃんもいますの。今は剣道部でバリバリやっているみたいですわ」
 いきさつは少し予想外であり、参考になるかは怪しいが、冬月にとっては多少なりとも得るものはあったようだ。彼は、普通の人間と寸分違わぬ結絹を見つめて、彼女に小声で伝える。
「正直な話、蜘蛛って苦手なんだけど…結絹さんは素敵な人だね」
「うふふ、ありがとう。私も時折、自分が蜘蛛の古妖だと忘れて、ただの長生きな婆だと思っちゃうわ」

 その長生きな、一応人生経験はこの中で最も積んでいるであろう結絹へ、未だ年若いたまきが問いかける。
「あ、あのっ、恋に落ちるってどういう、感じ、ですか……?」
「そうねえ、ものすごい胸のときめきともに、相手の存在が一気に心に入ってくる感じかしら?」
 あくまでも私はね、と結絹は付け足す。
「話で聞くのと、実際そうなるのは大違いよ。あまり参考にならないかもしれないでしょうね……お嬢さんも、お年頃のようだから今にきっと分かるわ」
 ちなみに今、香糸はそのやりとりを横で聞いていた咲の膝の上にいる。
「ふふ…かいちゃんも、大きくなったらわかるようになりますわ」
「あうー?さーき!さーき!」
 なんだか姉弟のような感じのある構図だ。咲が香糸のもちっとした頬をむにーっとすると、くすぐったいのか香糸がはしゃいで笑う。

「結絹と香糸、宿世の縁を感じる名前じゃ。あるいは親子の証か。おぬしがこの子にとってよき母なのは見とればわかる」
 今度は夜司が香糸を膝に乗せ、まだ横を向いている猫の耳を目で追いながら呟く。
「うー?じじー!」
 夜司の頬に向かって手を伸ばす香糸。
 古妖であり、長年を生きているものの、亡夫へ操を立てている結絹が産んだ子でないのは確かである。おそらくは結絹が母代わりとして育てたという、香糸の母親もそうだろう。
「ふふ、ご想像にお任せはしますが、意外と当たらずとも遠からじかもしれませんわね?」
 結絹は、夜司にあやされる香糸を、優しい銀色の瞳で見つめるのみ。

 最近の大きな争いを忘れるかのように、まだまだこの和やかな時間を過ごしていたいものの、陽も落ちてきた。そろそろ帰らなければならない時間だ。皆の見送りに出てきた結絹と、もう眠たげな香糸。
「斧が奪われたときはどうなるかと思いましたけども、思いがけず楽しい時間を過ごせました。また、近くにいらしたら寄っていってくださいね。」 
 FiVEの面々が視界から、水平線の向こうへ消えるまで、結絹はいつまでも手を振り続けていた。
 

 この日から暫く後に、全寮制の学校に通う、香糸の年の離れた姉が、ある出来事がきっかけでFiVEと出会うのだが、それはまた別の話である。

■シナリオ結果■

成功

■詳細■

MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
『紫丁香花の匂い袋』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:賀茂 たまき(CL2000994)
『木春菊の簪』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:花房 ちどり(CL2000331)
『茜の匂い袋』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:木暮坂 夜司(CL2000644)
『仔猫の根付』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:藤 咲(CL2000280)
『雪輪の根付』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:真庭 冬月(CL2000134)




 
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