関ヶ原ゴーストウォー 富山城
関ヶ原ゴーストウォー 富山城


●これまでの関ヶ原ゴーストウォーは
 東海道新幹線の大規模脱線事故は、関ヶ原に誕生する新たな大妖によるものであった。
「大妖は関ヶ原大合戦とその波及戦における無数の怨霊が集まって生まれる。だが日本各地を巡り波及戦の怨霊を鎮めていくことで、この誕生を回避できる」
 ファイヴに蓄積した技術と他大学共同研究チーム・レイヴンの協力によって、妖化を促す方法が見つかっている。これを用いて大妖の力をそぎ落としていく――『関ヶ原作戦』が実行された!

●届かなかった無念
「今回皆に行って貰うのは北陸の富山城だ! 関ヶ原で北陸といったら前田家だな!」
 前田家。関ヶ原の合戦に駆けつけようと兵を率いるも敵の策に翻弄されついに合戦に参じることができなかったという歴史をもつ。
「いくら無念が残っていても、大妖の栄養にさせるわけにはいかない。ここで鎮まってもらおう」

 発生するのは勿論、心霊系妖。
 心霊系妖とは霊魂をベースに発生する妖のことで、新規に生成されるため史実や死者の意志とは無関係に人を襲う。
「現われる妖も予知できてるぞ。
 鎧を着た巨大な馬、刀や火縄銃で武装した複数の武将、そして無数の兵隊だ」

 妖が発生した後は専用スタッフによる雷獣結界で隔離するため、敗北しない限り周辺住民に影響はないだろう。
「妖が死者の意志と無関係とはいっても、霊魂に妖をつけて発散させてるんだ。きっと死者の魂だってスッキリするはずだ。彼らを救って、そして未来の日本も救うんだ!」


■シナリオ詳細
種別:通常
難易度:普通
担当ST:八重紅友禅
■成功条件
1.妖軍の撃破
2.なし
3.なし
ご好評につき第二弾とあいなりました、関ヶ原シリーズ。
歴史背景つきの純戦タイプがどうやらお好みっぽいのでカラーリングを整えております。

【戦闘の補足】
●敵戦力(すべて心霊系妖)
・鎧馬 R3
 武者鎧を纏った巨大な馬。物近列貫の攻撃が豊富。
・武将妖 R2
 3体しかいないが、そのぶん強力な妖。刀や火縄銃で武装している。
 特攻型、物理型、スピード型の三つ。連携されると厄介。
・兵隊 R1
 槍や弓を備えた兵隊たち。
 数が多く武将たちの盾になるため、早めに一掃しておこう

●立地
 富山城跡広場と隣の公園を利用。
 広場は芝生で整った広いヤード。公園はやや木々があるが見通しのよい広さ。
 そばに改築された富山城がある。
 結界でカバー済み。

●戦術選択
・Aプラン『あめあめ作戦』
 束になった敵軍に対してこちらも束になって全体攻撃を打ち込みまくる作戦。
 ひたすらにシンプルだがこちらの消耗も激しいので、回復手が2枚以上、かつMP回復手段が豊富で燃費のいいチームに推奨。
 でなければ命数を沢山削ってごり押しすることになる。
・Bプラン『わけわけ作戦』
 鎧馬を第一班(2~3名)が引きつけ、第二班(3~4名)が武将たちを引きつけ分断する。
 兵隊はその途中で蹴散らせばOK。厄介な列貫の利を消せるのがポイント。
 ベテラン2~3名が必要になるがバランス次第で自由に組める。
 できれば武将たちも個別に分断したいので、自分の得意分野をもつ武将に目をつけて取っ組み合いに持ち込もう。
 あとは得意分野を活かして戦えば充分に勝てる。
 ただし誰かが負けると大変。

【おまけ】
●妖化を促進させる方法
 宿命館大学との共同研究で見つかった技術。
 妖化しやすい環境を擬似的に再現するもので、その場に合った妖化しやすいあれこれを撒いたり組んだり祈ったりと何十時間も儀式を続けることで妖化を促進する。発酵倉の原理。
状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
(1モルげっと♪)
相談日数
6日
参加費
100LP[+予約50LP]
参加人数
5/6
公開日
2017年12月29日

■メイン参加者 5人■

『天を翔ぶ雷霆の龍』
成瀬 翔(CL2000063)
『天を舞う雷電の鳳』
麻弓 紡(CL2000623)
『エリニュスの翼』
如月・彩吹(CL2001525)
『歪を見る眼』
葦原 赤貴(CL2001019)

●人間の強さは、わかり合えること
 大妖が生まれる未来を予測し、その発生源となるエネルギーを予め解消することで大災害を未然に防ぐ。それがこの関ヶ原プロジェクトである。
「可能な範囲のことを積み上げ、より大きな脅威へ対策するというわけか。しかもそれが、あんたたちの協力によって成り立ってる」
「別にそんな大層なことじゃないよ。CO2排出量の削減とか、森林伐採の低下とか、そういうアレと一緒。違うのは、放置した時の被害がハッキリしてるってことかな」
 眼鏡、白衣、くわえ煙草といういかにもさの際立つ、ボブカットの女性。能登と名乗る彼女は、『歪を見る眼』葦原 赤貴(CL2001019)の話に口の端だけで笑って返した。
「こういうのはキライ?」
「いや、是が非にでも望むところだ。だから、オレも協力することにした」

 富山城はその大半が喪われ、改築されたお城が残るのみである。
 その殆どは公園となり、歴史の名残になっていた。
「……だって」
 スマートホンでそれらの話を読み上げていた桂木・日那乃(CL2000941)は、片手に持ったパンフレットに目を落とした。似たような、そしてちょっとだけマニアックなことが書いてある。その内容は富山観光に来た際に改めてご覧頂くとして……。
「今回の妖は前田家の霊体がモトなんだっけ? 無念になるほど戦いたかったのかなあ」
 『天を翔ぶ雷霆の龍』成瀬 翔(CL2000063)は頭の後ろで手を組んでぼんやり考えてみた。自分が参加しなかった戦いでファイヴが壊滅して何もかも終わったら、確かにやりきれないかもしれない。
 生き残る不幸せ、というやつである。
「ねえ翔、いぶちゃん。マエダ家ってなあに? あと関ヶ原ってどういうハナシだったの?」
 その辺の屋台で買ってきたドーナツをもふもふする『天を舞う雷電の鳳』麻弓 紡(CL2000623)。
 『ニュクスの羽風』如月・彩吹(CL2001525)はいちどキョトンとしたが、すぐに肩をすくめてみせた。
「そっか、紡は異国育ちだもんね。関ヶ原合戦は日本じゃ教科書にのるくらい有名な戦いなんだよ」
 彩吹はコホンと咳払いして、ちょっとだけお仕事モードになった。覚者としての、ではなく、博物館案内役としてのである。
「日本1600年代、徳川家康と石田三成で東西にわけた大戦争が起こったの。キッカケとしては、豊臣秀吉が死んだことで乱れた主権を奪い合う、天下争奪戦ってカンジかな」
「オダとかトヨトミはわかるけど、イエヤスってそういうのだったんだね。ああ、それで勝ったのって……」
「そ、家康側。けどそれ以前に日本は北から南まで統治されてたから、戦争の影響は全国規模だったわけ。ここ富山……正確には金沢から都へのラインで、前田家はその争いに参戦してたんだね。ちなみに前田家の資料館は金沢駅のそばにあるんだよ。そこには家紋の変遷表が残されるんだ。前田の梅鉢紋は五つの円形で囲むっていう共通点をもってて富山城にも同種の――」
「ストップストップ、すごいところにギアはいってる!」
 公園の看板(分かりやすく家紋が書いてあるスポット)を指さして熱弁を始めた彩吹を、紡がガッと羽交い締めにした。
「ふう、ふう……ごめんごめん、つい説明に熱が……」
「その熱は妖相手に発散しとこうぜ。なんだか、そろそろっぽいしな」

●馳せること叶わず
 真っ黒な大馬を前に、青銅剣・沙門叢雲を出現させる赤貴。
 馬はいななき、突進を仕掛けてくる。
 周囲の武将たちや大量の足軽もまた、一斉に突撃を仕掛けてきた。
「流石に大きいな。オレの担当は敵将の抑え役だった筈だが、機能できるか怪しいぞ」
 前情報によれば鎧馬の攻撃方法は物近列貫。よほど上手に取り囲まない限りは前~中衛までダメージを受けることになる。鎧馬だけ綺麗に切り離せればいいが、今回の作戦ではかなり無理がありそうだった。
 メンバー集めに時間がかかったのでしょーがない面もあるが、今回は正面からどかどか打ち込みまくってダメージレースで勝つ『あめあめ作戦』である。もっというと定員から一名分欠けているのでダメージレースをするにも若干キツい部分もあった。
「どうにもなんないか?」
「いや、『物近単』系の攻撃くらいあるはずだ。そいつを引き出すように努力してみる。今回はあまり期待するなよ」
 予想通りと言うべきか、鎧馬の突撃は大地がひっくりかえったのかと思うほど凄まじいものだった。ひっくり返った翔はすばやく立ち上がり、タブレットPCに陰陽文字をスワイプしていく。
「オッケー、それ込みで勝てばいいんだろ! いざ尋常に勝負だぜ!」
 突撃してくる兵隊めがけて雷獣を発動。空を覆う暗雲から次々と雷が落ち、足軽たちがひっくり返っていく。
「もう一押しだ、やれるか?」
「ああ」
 剣を振りかざし、大地に突き立てる赤貴。
 ひびの走った大地をおうように、炎の波が突撃する足軽たちを吹き払う。
「火力で主導権くらいは握れそうだ。追撃を休めるな」
「ん……わかった」
 日那乃が本の表紙をぽんぽんと叩き、水龍牙の術式を発動。
 どこからともなく生まれた神秘の水竜が高く高く首を伸ばし、起き上がりざまの足軽たちに襲いかかった。
 たちまちの内に消滅していく足軽たち。
 しかし消し去れたのは前衛の連中だけだ。もう一列むこうの足軽たちが突撃を仕掛けてくる。
 数が数なのでブロックがろくに機能しないが、ここは火力でゴリゴリ行ける場面だ。
「いぶちゃん!」
「準備OK」
 紡は高く飛翔し、スリングショットに凝縮した術式弾をかけた。
 しぼってしぼって、力強く発射。
 足軽たちの中央に着弾した術式弾は、巨大な鳳凰を形作った。稲妻によって形成された鳳凰は羽ばたきによって足軽たちをまあるく薙ぎ払う。
 そうしてできた空白地帯にズドンと着地した彩吹は、大槍をぐるんと回転させて詰め寄る足軽たちを更に薙ぎ払った。
「さあて、戦国気分で無双しちゃおう」
 三方向から敵武将が飛びかかってくる。
 彩吹はギラリと目を光らせ、槍の先端から無数の火蜥蜴を放った。

●無念の昇華
 戦場を舐めるように旋回する竜や鳳凰。
 その中を、炎を纏って突っ切る彩吹。
 次々と爆発し、消滅していく足軽たち。
 豪快な炎纏回転斬りによって足軽を打ち払った赤貴は、それを耐えきった武将妖に視線を走らせた。
「オレを押さえ込むつもりか?」
 位置的な偶然ではあるが、前衛に出て味方へのブロッカーとなっていた赤貴に、日本刀で武装したやや強力な妖たちが目をつけていた。
 むろんこちらも一人ではない。空を飛んでいた彩吹がスタンと隣に着地し後衛から適度に距離を保った日那乃が競り合いに加わっていく。
「一人受け持つよ。スピード型が得意そうかな」
 くいくいと手招きをして横歩きしていく彩吹。
 それに伴って集団を離れるスピード型の武将妖。小太刀を逆手に握り、彩吹へと突っ込んでくる。
 対する彩吹は槍の猛攻で中距離レンジを確保。間合いを必要以上に近づけない……とみせかけて、槍を相手にぽんと投げ渡した。
 それなりに重い棒である。思わずキャッチした武将妖の眼前で、彩吹は既に跳躍していた。
 炎を纏い、豪快な飛翔蹴りが武将妖にクリーンヒット。爆発四散させていく。
 一方で赤貴は刀を執拗に打ち込んでくる武将妖と火縄銃を連射する武将妖に手を焼いていた。
 刀のほうは鍔迫り合いに持ち込んでくるが、火縄銃のほうはここぞとばかりに日那乃を狙ってくるのだ。
 別に回復担当を先に潰そうという知能が(R2妖程度に)あるとはちょっと思えないので……。
「奴の指示か。高ランクはこれだから厄介だな」
 R3妖、鎧馬をにらむ赤貴。
 一方で日那乃はダメージのかさんだ自分の回復に集中するが……。
「ぬん……!」
 鎧馬の突撃が再び赤貴たちを襲った。
 大きく吹き飛ばされる赤貴や彩吹。
 日那乃はそのダメージをひっくり返そうと全体回復術式に集中。火縄銃の武将妖によるごり押しを防ぐべく回復を行き渡らせると、直撃した銃撃によって突き倒された。
「大丈夫か! ちょっと下がってろ!」
 翔がタブレットから霊力槍を出現させると、やり投げの要領で投擲。
「これでもくらえ!」
 槍は火縄銃の武将妖を貫き、鎧馬へと突き刺さった。
 ハッとして振り返る刀の武将妖。
 その隙を、赤貴は逃さなかった。大胆な斬撃を叩きこんでいく。
 ずばん、という派手な音と共に刀と火縄銃の武将妖が爆発四散。
 咄嗟の反撃によって腹をさかれた赤貴は舌打ち混じりによろめいた。
 再びの突撃をしかけてくる鎧馬。
 ここで退けば強引に吹き飛ばされて終わりだ。
「日那ちゃんは下がってて、ここはまかせてもらおーか……なんて」
 ロッドを斜めに構える紡。
 よろりと起き上がる彩吹と、急いで術式を形成する翔。
 そんな中で誰より早く動けたのは、紡だった。
 傷ついた身体をそのままに、ロッドに雷を纏わせた。
 飛び出す鳳。ぶつかる鎧馬。
 激しいスパークがはしり、大爆発が起きた。

 思わず吹き飛ばされた翔や紡たち。
 もくもくとあがる煙の中にあったのは、小さな家紋が彫り込まれた銅板だけだった。
「ふはー、勝った……」
 ぱたんと倒れるように原っぱに寝転がる翔であった。

 こうして、今回の作戦を辛くも成功させたファイヴたち。
 戦闘の疲れを癒やしたあとは、ちょっぴり富山観光をして帰ったという。

■シナリオ結果■

成功

■詳細■

MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし




 
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