≪聖夜2017≫貴方と開くアドベントカレンダー
●11月末日
「アドベントカレンダーってしってるか?」
久方 相馬(nCL2000004)は嬉しそうに、貴方達に話しかけた。
どん、と出されたのは1から25の数字の書かれた二十センチ四方の小箱が5×5で25個連なるオブジェだ。
緑と赤とそしてリボン。クリスマスカラーに彩られたそれをまじまじと見つめると「箱を作ったのは俺、絵をかいたのは万里。あいつ器用だよなあ」とドヤ顔で説明する相馬。
「12月1日から12月25日まで。この数字の書かれた箱にいろんなプレゼントを入れてほしいんだ! そんで、当日になったら、順番に開けていく。そしたらクリスマスまでのカウントダウンで毎日プレゼントが貰えるって寸法だ!」
言いながらポンポンと数字の書かれた木箱のアドベントカレンダーを叩く。
「お前たちはどの日にプレゼントを入れてもいいし、どの日を開けに来てもいいんだぜ! でもこれだけは約束だ! 数字の書かれた当日までは絶対に開けちゃだめだぜ!」
君は思った。それは相馬が一番心配なんじゃ……と。
●12月某日
貴方はアドベントカレンダーの前にいる。
今日の日付は■■日。対応した日付の木箱を開けた。
――そこには。
「アドベントカレンダーってしってるか?」
久方 相馬(nCL2000004)は嬉しそうに、貴方達に話しかけた。
どん、と出されたのは1から25の数字の書かれた二十センチ四方の小箱が5×5で25個連なるオブジェだ。
緑と赤とそしてリボン。クリスマスカラーに彩られたそれをまじまじと見つめると「箱を作ったのは俺、絵をかいたのは万里。あいつ器用だよなあ」とドヤ顔で説明する相馬。
「12月1日から12月25日まで。この数字の書かれた箱にいろんなプレゼントを入れてほしいんだ! そんで、当日になったら、順番に開けていく。そしたらクリスマスまでのカウントダウンで毎日プレゼントが貰えるって寸法だ!」
言いながらポンポンと数字の書かれた木箱のアドベントカレンダーを叩く。
「お前たちはどの日にプレゼントを入れてもいいし、どの日を開けに来てもいいんだぜ! でもこれだけは約束だ! 数字の書かれた当日までは絶対に開けちゃだめだぜ!」
君は思った。それは相馬が一番心配なんじゃ……と。
●12月某日
貴方はアドベントカレンダーの前にいる。
今日の日付は■■日。対応した日付の木箱を開けた。
――そこには。

■シナリオ詳細
■成功条件
1.アドベントカレンダーの中にプレゼントを入れる。
2.アドベントカレンダーの中のプレゼントをもらう。
3.どちらかを満たす。
2.アドベントカレンダーの中のプレゼントをもらう。
3.どちらかを満たす。
クリスマスまでのカウントダウンをお楽しみください。というわけでこのシナリオのルールを説明いたします。
1:まずプレイング前半で12月1日~25日の箱の中にプレゼントをいれます。こちらは3つまでなら何日に何をいれても構いません。
箱の大きさは20センチ四方ですので大きすぎるものは入れることができません。かぶってもかまいませんし、相談で宣言していただいても構いません。
お菓子やメッセージカード、手編みのマフラーや手袋。ミニカー。小さな贈り物であれば、なんでも構いません。ただしイタズラはご遠慮くださいね!
プレの書き方
12日と13日に金平糖の包をいれておきます。
2:そしてプレイング後半で、開ける日の宣言をしてください。こちらは申し訳ありませんが、一つだけでお願いします。(ロール的に、毎日来ているうちの1日ということで構いません)こちらもかぶっても構いません。もし、その日付に他の覚者さんがプレゼントを入れることを宣言されていなかった場合は夢見の三兄弟がちゃんとプレゼントを詰め込んであるので、ご安心ください。ハズレ無しです。
ペア参加の方々がいらっしゃいましたら、入れた番号と開ける番号を同じにしていただければ、お互いのプレゼントを開けるという形にできますので、ご安心ください。
誕生日などのメモリアルデーにあわせてもらっても構いません。
プレの書き方
12日の箱をあけます。お菓子ならその場で食べます。メッセージカードであれば読んでほっこりすると思います。
贈るプレゼントに対する思い、開けたリアクション(何がはいっているかはわからないので、予想でも大丈夫です。お誘い合わせの場合はそれ相応の対応で問題ありません。)などをお知らせしていただけると嬉しく思います。
もちろん、プレゼントをいれることだけに集中してくださっても構いません。(その場合は不思議な力で日付が入れ替わる可能性があることはご了承ください)
クリスマス当日を楽しむプレイングでも大歓迎ですので、お気軽にお楽しみください。
お一人様参加も歓迎です!
●イベントシナリオのルール
・参加料金は50LPです。
・予約期間はありません。参加ボタンを押した時点で参加が確定します。
・獲得リソースは通常依頼難易度普通の33%です。
・特定の誰かと行動をしたい場合は『御崎 衣緒(nCL2000001)』といった風にIDと名前を全て表記するようにして下さい。又、グループでの参加の場合、参加者全員が【グループ名】というタグをプレイングに記載する事で個別のフルネームをIDつきで書く必要がなくなります。
・NPCの場合も同様となりますがIDとフルネームは必要なく、名前のみでOKです。
・イベントシナリオでは参加キャラクター全員の描写が行なわれない可能性があります。
・内容を絞ったほうが良い描写が行われる可能性が高くなります。
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:1枚
金:0枚 銀:0枚 銅:1枚
相談日数
7日
7日
参加費
50LP
50LP
参加人数
7/30
7/30
公開日
2017年12月28日
2017年12月28日
■メイン参加者 7人■

●
そも、なぜクリスマスにキリストではなく、友人や恋人にプレゼントを贈るのか。
クリスマスとはイエス・キリストの誕生日とされているのはご存知のことだと思われる。
聖書において、イエス・キリストの誕生を予言した占星術師は、彼を見出し生まれたばかりの彼に黄金と乳香、そして没薬を贈ったと書かれている部分からクリスマスにプレゼントを贈る習慣ができたのである。
ならばなおさら誕生日であるキリストに贈らないのか? それは彼が福音書で困っている人を助けたり、人に優しくすることはそれすなわち、彼本人にやっていることであると言ったことにある。つまり、誰かにプレゼントを贈るということはキリストにプレゼントを贈ることと同じなのだ。
閑話休題。
相馬と万里が作ったアドベントカレンダーの木箱の物語が、今回の本題だ。
11月某日。箱の前には数人の覚者たちが集まり、各々の日付のボックスにプレゼントを入れている。
環 大和(CL2000477) は、男女どちらが手にとっても困らぬようにと、クリスマスを模したお菓子を。
向日葵 御菓子(CL2000429) はアクセサリーを。菊坂 結鹿(CL2000432)は雑貨。
ユスティーナ・オブ・グレイブル(CL2001197)はシュトーレンと誰かへの贈り物。成瀬 歩(CL2001650)もまた同じように。
蘇我島 恭司(CL2001015)と柳燐花(CL2000695)はお互いに時間をずらして、秘密の贈り物を。
十分にプレゼントのつまったアドベントカレンダーはまるで宝の山! FiVEの職員たちも面白がっていろいろなものを入れるために、この日はロビーにぱらぱらと人々が集まる日になった。
そして12月に入る。
空気は冷たく、街はクリスマスムードに彩られ、少しばかり浮かれた様相を呈している。
12月10日。
ユスティーナは歩と連れ立ってカレンダーの前に立った。日付は約束の10日。
ドアに手をかけるユスティーナの動向を歩は一瞬でも逃すものかと見つめる。他の日はあけちゃだめだよとユスティーナに言えば、わかってますのよ、ユスも指をおりながら数えていましたもの、と答える。
ドキドキしながら扉をあければそこにはクッキーと可愛らしいラッピング。
「お誕生日おめでとう! ゆすちゃん!」
「Kiitos♪ 覚えていてくださったのね」
嬉しさに白い小狐を抱きしめる。
「中をみてほしいんだよ」
言われてユスティーナがラッピングをあければ、金色と青のビーズで作られた可愛らしいストラップ。
「まあ!! 素敵なアクセサリーですわね!」
春の日差しのような笑顔を向けられれば、手作りの苦労なんて吹き飛んでしまう。
「太陽の金色と、空の青。ゆすちゃんには似合うと思うんだ!」
12月17日。
大和はカレンダーの前にたち、ドアを開ける。いつもはクールな彼女だが、こういったイベントは嫌いではない。むしろ好きな方だ。
「まあ!」
中には鈴のついた組み紐。少し揺らせば鈴の軽やかな音が冬の空気に響く。
複雑に編み込まれた紐は美しい色合いでキラキラと光る宝物のようだ。そうだと思いたち自らの髪を組み紐で結い上げると涼やかな音色がちりんと耳元ではずんだ。
大和ちゃん、よく似合うよ! 可愛いねと、同じようにカレンダーを開けに来た職員が笑う。ありがとうと言った彼女は、クリスマス模様の街に散歩にいくことに決めた。褒められて少しだけ頬は赤らむけれど、だれにも気づかれていないはずだ。街なかで誰かと出会ったら、この髪飾りにきづいてくれるかしらと少しだけ期待しながら。
出口に向かう廊下では、大和さん、スノーマンのチョコ美味しかったよ! 今度作り方を教えてよ。と大和のプレゼントを受け取った職員が声をかける。あと、髪飾りにあってるねと付け足されれば、少しだけの優越感。
プレゼントというものは人を幸せにするものなのだ。
12月18日
結鹿はカレンダーの中に入っていた桃の花を象った貝細工のヘアピンをライトに透かしながら見つめる。向きをかえれば白や青、紅にもみえるその輝きは結鹿の心を掴んで離さない。
こんな素敵なプレゼントをくれたのは間違いない、あの人だと確信できる。
誕生日にくれたヘアピンも大事な宝物だ。この花のヘアピンもまた大切な宝物になるだろう。ありがとう、お姉ちゃんと心でお礼を言いながら胸元でぎゅっと抱きしめる。そうすることでなんとなくお姉ちゃんと近くにいれるような気がしたからだ。
結鹿は24日のドアを見つめる。お姉ちゃんの誕生日。あと一週間後あのドアを開けたお姉ちゃんは喜んでくれるかな? と温かい気分になる。
プレゼントは貰うだけではなく贈ることでも心を温めるものだと結鹿は思った。
12月20日
歩とユスティーナはまた揃って手をつなぎながらドアの前に立つ。今度ドアをあけるのは歩の番だ。
10日前のあの日20日のドアを開けたいという誘惑に打ち勝っての今だ。少しだけ緊張して手が震える。それに気づいたユスティーナはそっと温かい手を歩の手に添えた。
「Ei se mitään」
歩には言葉の意味はわからなかったけれども、温かい言葉というのは伝わってくる。
ドアをあければそこにはふわふわのポンポンとキラキラ輝くハートの形のジュエルがついたヘアゴム。
わぁ……と感嘆の言葉しかでてこない。まるでお姫様のようなその髪飾りに目を奪われていると、隣のユスティーナがそっと三つ編みにつけてくれる。なんだか自分もお姫様になったような気分になって、目をキラキラさせているとユスティーナが笑って「それだけじゃないのですわよ」と促す。ドアの中をみるとジンジャーマンとアイシングクッキーがあった。添えてあるカードを開けば【サンタさんと分けあいっこしてくださいましね】というメッセージ。
大切に包んで持ち帰ろうとした歩は思いとどまり、クッキーをユスティーナに差し出した。
「?」
「あのね、あゆみのサンタさんはゆすちゃんだから」
少し早いクリスマスパーティが始まる。
12月23日
燐花は恭司と共に23日のドアの前に。恭司が開けていいかいと目で問えば、燐花はこくりと頷く。言葉なくてもこれほどまでに通じ合えるようになったのはいつからだっただろう。お互いに何を入れたのかは内緒だった。
恭司の手が燐花のプレゼントを取り出し、添えられたメッセージカードを開く。
今までは直接手渡してきたからカードをかくことはなかった。何をかけばいいのか。書きたい思いはいっぱいになってまとまらない。だから燐花はシンプルにまとめることにした。
『蘇我島さんへ。プレゼントにはマフラーを選びました。マフラーと一緒に、私の気持ちもいつもそばに。メリークリスマスです 燐花』
恭司の目がメッセージを追いかけているのがわかる。変なことはかいていないはずだ。多分。押し付けがましくなってなかっただろうか? 目の前でメッセージを読まれる気恥ずかしさに頬が熱くなっているのを感じる。
カサカサとラッピングが解かれる音に彼を見上げれば、あの人によく似合うと思って選んだ浅葱色が目に映った。
恭司は「ありがとう、燐ちゃん」と微笑みマフラーを巻く。ああ、やっぱり浅葱色がよく似合うと燐花は嬉しくなる。
燐花は取り出したプレゼントとメッセージカードを見つめる。なんとなくすぐに開けてしまうのはもったいなく感じて恭司をみやれば、そんなことは見破られていたらしく、どうぞ。と声をかけられる。
促されメッセージカードを開く。
『メリークリスマス、燐ちゃん! ……って、まだ一日早いんだけどね。今年も、燐ちゃんと一緒にクリスマスを過ごせる……そう考えると、とても幸せな気持ちになれるよ。まだまだ寒い日は続くけど、このプレゼントが燐ちゃんを温めてくれますように』
達筆で書かれたカードに燐花の胸がきゅんと昂る。どうせだったらメッセージをもっとかいておけばよかった。同じことを思っているのに。少しの後悔と同じ思い重なっていることへの嬉しさがないまぜになる。
袋をあければニット帽。猫耳も暖めてくれる猫耳専用のものだ。
「帽子、耳がついています……。ありがとうございます」
普段は耳が折れてしまうからあまり帽子はかぶることはなかった。冬場は寒い思いをしていたのだ。こういうのがあるんだ。ああ、この人はいつだって私のことを考えてくれている。嬉しくてそう返すのが精一杯だった。
もっと、もっと言いたいことはあるのだけれども、頭のなかでうまくまとまらない。
「被ってみせてほしいな?」
「は、はい……!」
青い猫耳ニット帽子は耳まで暖かくしてくれる。それが嬉しくて頬が緩む。
「それじゃ、買い出しにいこうか?」
片手を引かれ、街に向かう。もう片手に持つカードを何処にしまっておこう。大切にしまわないと……!
片手に愛しい相手の温度を感じながら恭司は思う。
浅葱色のマフラーはとても暖かい。メッセージを思い出す。マフラーと一緒に、私の気持ちもいつもそばに。この暖かさは燐花の気持ちだと思うと少しくすぐったくも感じる。この大切な温度がいつまでも冷めぬようにと、少しだけ強く手を握った。
12月24日
クリスマスイブと言われるその日。
御菓子はドアを開ける。予想通り誕生日のプレゼントがそこに鎮座していた。予想してたとは言え、可愛い妹分からのプレゼントが嬉しくないわけがない。
包みをあければ、立体的なバースデーケーキのモチーフのカードが開く。その中心にはオーボエを象った可愛らしい金のピンズ。
音楽関係者であればきっと引き寄せられるようなグッズを選ぶなんて! 生意気! だけど、そのとおりよと思う。相手のことを知り尽くしたこのチョイスに思わず顔が綻ぶ。
とても幸せで嬉しいプレゼントに、お礼を言うために携帯を取り出しメールを書き始めた。
携帯をたたむと、御菓子は買い物の試算を始める。きっと待っているあの子のために早く帰りましょう。揺れるマフラーには金のオーボエが留められ、クリスマスのイルミネーションにキラリと反射した。
●
そして、来る12月25日。
全ての人々に、ベリーベリーメリー・クリスマス! アンドハッピーニューイヤー!
そも、なぜクリスマスにキリストではなく、友人や恋人にプレゼントを贈るのか。
クリスマスとはイエス・キリストの誕生日とされているのはご存知のことだと思われる。
聖書において、イエス・キリストの誕生を予言した占星術師は、彼を見出し生まれたばかりの彼に黄金と乳香、そして没薬を贈ったと書かれている部分からクリスマスにプレゼントを贈る習慣ができたのである。
ならばなおさら誕生日であるキリストに贈らないのか? それは彼が福音書で困っている人を助けたり、人に優しくすることはそれすなわち、彼本人にやっていることであると言ったことにある。つまり、誰かにプレゼントを贈るということはキリストにプレゼントを贈ることと同じなのだ。
閑話休題。
相馬と万里が作ったアドベントカレンダーの木箱の物語が、今回の本題だ。
11月某日。箱の前には数人の覚者たちが集まり、各々の日付のボックスにプレゼントを入れている。
環 大和(CL2000477) は、男女どちらが手にとっても困らぬようにと、クリスマスを模したお菓子を。
向日葵 御菓子(CL2000429) はアクセサリーを。菊坂 結鹿(CL2000432)は雑貨。
ユスティーナ・オブ・グレイブル(CL2001197)はシュトーレンと誰かへの贈り物。成瀬 歩(CL2001650)もまた同じように。
蘇我島 恭司(CL2001015)と柳燐花(CL2000695)はお互いに時間をずらして、秘密の贈り物を。
十分にプレゼントのつまったアドベントカレンダーはまるで宝の山! FiVEの職員たちも面白がっていろいろなものを入れるために、この日はロビーにぱらぱらと人々が集まる日になった。
そして12月に入る。
空気は冷たく、街はクリスマスムードに彩られ、少しばかり浮かれた様相を呈している。
12月10日。
ユスティーナは歩と連れ立ってカレンダーの前に立った。日付は約束の10日。
ドアに手をかけるユスティーナの動向を歩は一瞬でも逃すものかと見つめる。他の日はあけちゃだめだよとユスティーナに言えば、わかってますのよ、ユスも指をおりながら数えていましたもの、と答える。
ドキドキしながら扉をあければそこにはクッキーと可愛らしいラッピング。
「お誕生日おめでとう! ゆすちゃん!」
「Kiitos♪ 覚えていてくださったのね」
嬉しさに白い小狐を抱きしめる。
「中をみてほしいんだよ」
言われてユスティーナがラッピングをあければ、金色と青のビーズで作られた可愛らしいストラップ。
「まあ!! 素敵なアクセサリーですわね!」
春の日差しのような笑顔を向けられれば、手作りの苦労なんて吹き飛んでしまう。
「太陽の金色と、空の青。ゆすちゃんには似合うと思うんだ!」
12月17日。
大和はカレンダーの前にたち、ドアを開ける。いつもはクールな彼女だが、こういったイベントは嫌いではない。むしろ好きな方だ。
「まあ!」
中には鈴のついた組み紐。少し揺らせば鈴の軽やかな音が冬の空気に響く。
複雑に編み込まれた紐は美しい色合いでキラキラと光る宝物のようだ。そうだと思いたち自らの髪を組み紐で結い上げると涼やかな音色がちりんと耳元ではずんだ。
大和ちゃん、よく似合うよ! 可愛いねと、同じようにカレンダーを開けに来た職員が笑う。ありがとうと言った彼女は、クリスマス模様の街に散歩にいくことに決めた。褒められて少しだけ頬は赤らむけれど、だれにも気づかれていないはずだ。街なかで誰かと出会ったら、この髪飾りにきづいてくれるかしらと少しだけ期待しながら。
出口に向かう廊下では、大和さん、スノーマンのチョコ美味しかったよ! 今度作り方を教えてよ。と大和のプレゼントを受け取った職員が声をかける。あと、髪飾りにあってるねと付け足されれば、少しだけの優越感。
プレゼントというものは人を幸せにするものなのだ。
12月18日
結鹿はカレンダーの中に入っていた桃の花を象った貝細工のヘアピンをライトに透かしながら見つめる。向きをかえれば白や青、紅にもみえるその輝きは結鹿の心を掴んで離さない。
こんな素敵なプレゼントをくれたのは間違いない、あの人だと確信できる。
誕生日にくれたヘアピンも大事な宝物だ。この花のヘアピンもまた大切な宝物になるだろう。ありがとう、お姉ちゃんと心でお礼を言いながら胸元でぎゅっと抱きしめる。そうすることでなんとなくお姉ちゃんと近くにいれるような気がしたからだ。
結鹿は24日のドアを見つめる。お姉ちゃんの誕生日。あと一週間後あのドアを開けたお姉ちゃんは喜んでくれるかな? と温かい気分になる。
プレゼントは貰うだけではなく贈ることでも心を温めるものだと結鹿は思った。
12月20日
歩とユスティーナはまた揃って手をつなぎながらドアの前に立つ。今度ドアをあけるのは歩の番だ。
10日前のあの日20日のドアを開けたいという誘惑に打ち勝っての今だ。少しだけ緊張して手が震える。それに気づいたユスティーナはそっと温かい手を歩の手に添えた。
「Ei se mitään」
歩には言葉の意味はわからなかったけれども、温かい言葉というのは伝わってくる。
ドアをあければそこにはふわふわのポンポンとキラキラ輝くハートの形のジュエルがついたヘアゴム。
わぁ……と感嘆の言葉しかでてこない。まるでお姫様のようなその髪飾りに目を奪われていると、隣のユスティーナがそっと三つ編みにつけてくれる。なんだか自分もお姫様になったような気分になって、目をキラキラさせているとユスティーナが笑って「それだけじゃないのですわよ」と促す。ドアの中をみるとジンジャーマンとアイシングクッキーがあった。添えてあるカードを開けば【サンタさんと分けあいっこしてくださいましね】というメッセージ。
大切に包んで持ち帰ろうとした歩は思いとどまり、クッキーをユスティーナに差し出した。
「?」
「あのね、あゆみのサンタさんはゆすちゃんだから」
少し早いクリスマスパーティが始まる。
12月23日
燐花は恭司と共に23日のドアの前に。恭司が開けていいかいと目で問えば、燐花はこくりと頷く。言葉なくてもこれほどまでに通じ合えるようになったのはいつからだっただろう。お互いに何を入れたのかは内緒だった。
恭司の手が燐花のプレゼントを取り出し、添えられたメッセージカードを開く。
今までは直接手渡してきたからカードをかくことはなかった。何をかけばいいのか。書きたい思いはいっぱいになってまとまらない。だから燐花はシンプルにまとめることにした。
『蘇我島さんへ。プレゼントにはマフラーを選びました。マフラーと一緒に、私の気持ちもいつもそばに。メリークリスマスです 燐花』
恭司の目がメッセージを追いかけているのがわかる。変なことはかいていないはずだ。多分。押し付けがましくなってなかっただろうか? 目の前でメッセージを読まれる気恥ずかしさに頬が熱くなっているのを感じる。
カサカサとラッピングが解かれる音に彼を見上げれば、あの人によく似合うと思って選んだ浅葱色が目に映った。
恭司は「ありがとう、燐ちゃん」と微笑みマフラーを巻く。ああ、やっぱり浅葱色がよく似合うと燐花は嬉しくなる。
燐花は取り出したプレゼントとメッセージカードを見つめる。なんとなくすぐに開けてしまうのはもったいなく感じて恭司をみやれば、そんなことは見破られていたらしく、どうぞ。と声をかけられる。
促されメッセージカードを開く。
『メリークリスマス、燐ちゃん! ……って、まだ一日早いんだけどね。今年も、燐ちゃんと一緒にクリスマスを過ごせる……そう考えると、とても幸せな気持ちになれるよ。まだまだ寒い日は続くけど、このプレゼントが燐ちゃんを温めてくれますように』
達筆で書かれたカードに燐花の胸がきゅんと昂る。どうせだったらメッセージをもっとかいておけばよかった。同じことを思っているのに。少しの後悔と同じ思い重なっていることへの嬉しさがないまぜになる。
袋をあければニット帽。猫耳も暖めてくれる猫耳専用のものだ。
「帽子、耳がついています……。ありがとうございます」
普段は耳が折れてしまうからあまり帽子はかぶることはなかった。冬場は寒い思いをしていたのだ。こういうのがあるんだ。ああ、この人はいつだって私のことを考えてくれている。嬉しくてそう返すのが精一杯だった。
もっと、もっと言いたいことはあるのだけれども、頭のなかでうまくまとまらない。
「被ってみせてほしいな?」
「は、はい……!」
青い猫耳ニット帽子は耳まで暖かくしてくれる。それが嬉しくて頬が緩む。
「それじゃ、買い出しにいこうか?」
片手を引かれ、街に向かう。もう片手に持つカードを何処にしまっておこう。大切にしまわないと……!
片手に愛しい相手の温度を感じながら恭司は思う。
浅葱色のマフラーはとても暖かい。メッセージを思い出す。マフラーと一緒に、私の気持ちもいつもそばに。この暖かさは燐花の気持ちだと思うと少しくすぐったくも感じる。この大切な温度がいつまでも冷めぬようにと、少しだけ強く手を握った。
12月24日
クリスマスイブと言われるその日。
御菓子はドアを開ける。予想通り誕生日のプレゼントがそこに鎮座していた。予想してたとは言え、可愛い妹分からのプレゼントが嬉しくないわけがない。
包みをあければ、立体的なバースデーケーキのモチーフのカードが開く。その中心にはオーボエを象った可愛らしい金のピンズ。
音楽関係者であればきっと引き寄せられるようなグッズを選ぶなんて! 生意気! だけど、そのとおりよと思う。相手のことを知り尽くしたこのチョイスに思わず顔が綻ぶ。
とても幸せで嬉しいプレゼントに、お礼を言うために携帯を取り出しメールを書き始めた。
携帯をたたむと、御菓子は買い物の試算を始める。きっと待っているあの子のために早く帰りましょう。揺れるマフラーには金のオーボエが留められ、クリスマスのイルミネーションにキラリと反射した。
●
そして、来る12月25日。
全ての人々に、ベリーベリーメリー・クリスマス! アンドハッピーニューイヤー!
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
『LittleCat』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:柳 燐花(CL2000695)
『浅葱色の思慕』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:蘇我島 恭司(CL2001015)
『鈴音色』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:環 大和(CL2000477)
『Symphony』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:向日葵 御菓子(CL2000429)
『桃霞』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:菊坂 結鹿(CL2000432)
『Heart×Memory』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:成瀬 歩(CL2001650)
『蒼空と太陽』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:ユスティーナ・オブ・グレイブル(CL2001197)
カテゴリ:アクセサリ
取得者:柳 燐花(CL2000695)
『浅葱色の思慕』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:蘇我島 恭司(CL2001015)
『鈴音色』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:環 大和(CL2000477)
『Symphony』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:向日葵 御菓子(CL2000429)
『桃霞』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:菊坂 結鹿(CL2000432)
『Heart×Memory』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:成瀬 歩(CL2001650)
『蒼空と太陽』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:ユスティーナ・オブ・グレイブル(CL2001197)

■あとがき■
参加ありがとうございました。
クリスマスは過ぎましたが、皆様が善いお年を迎えれますように。
本年度はありがとうございました。
クリスマスは過ぎましたが、皆様が善いお年を迎えれますように。
本年度はありがとうございました。
