《聖夜2017》雪降る聖夜
《聖夜2017》雪降る聖夜



 空は厚い雲に覆われたが、地上は賑やかな光が聖夜の日を祝福していた。
 星や蝶を型どった光が七色に点いたり消えたりを繰り返し、ツリーを彩るオーナメントが風に揺れ、光の反射できらきらと姿を変える。
 白い吐息が出るほど寒い夜なのに、子供達は賑やかな声をあげながら、赤色のプレゼントボックスを大事に抱えて走っていった。

「争いも無いし、魔法も無い。
 特別なことなど、何も無いのだが。
 聖夜に雪が降ると聞いているのだ。
 風邪をひかぬように、暖かくするのだぞ。

 しゃんしゃんしゃーん、しゃんしゃんしゃーん。
 めりーくりすますだぞ」


■シナリオ詳細
種別:イベント
難易度:楽
担当ST:工藤狂斎
■成功条件
1.イベシナを楽しむ
2.なし
3.なし
 工藤狂斎です

●状況
 日常パート
 依頼の雰囲気は綺麗めですが、限りではないです。

●このイベシナでは何ができるの?
 自由です
 五麟市内。街はクリスマス一色、白い雪が降っております。

●その他
 タグや相手指定するほどでもなく、
 適当な誰かと絡んでもいいよっていう方のみ、EXプレで【絡みOK】と書いてください
 それが鉢会える状況で、絡めそうであれば描写します。ご縁が無いときもあります

●NPC
・樹神枢、大神シロ、逢魔ヶ時氷雨の3名、プレイングで指定があれば絡みます

●イベントシナリオのルール
・参加料金は50LPです。
・予約期間はありません。参加ボタンを押した時点で参加が確定します。
・獲得リソースは通常依頼難易度普通の33%です。
・特定の誰かと行動をしたい場合は『御崎 衣緒(nCL2000001)』といった風にIDと名前を全て表記するようにして下さい。又、グループでの参加の場合、参加者全員が【グループ名】というタグをプレイングに記載する事で個別のフルネームをIDつきで書く必要がなくなります。
・NPCの場合も同様となりますがIDとフルネームは必要なく、名前のみでOKです。
・イベントシナリオでは参加キャラクター全員の描写が行なわれない可能性があります。
・内容を絞ったほうが良い描写が行われる可能性が高くなります。

 それではご縁がありましたら、よろしくお願いします
状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:1枚
(2モルげっと♪)
相談日数
7日
参加費
50LP
参加人数
9/∞
公開日
2017年12月31日

■メイン参加者 9人■

『緋焔姫』
焔陰 凛(CL2000119)
『聖夜のパティシエール』
菊坂 結鹿(CL2000432)
『鬼灯の鎌鼬』
椿屋 ツバメ(CL2001351)
『天衣無縫』
神楽坂 椿花(CL2000059)
『在る様は水の如し』
香月 凜音(CL2000495)


 菊坂 結鹿は今年もおうちのお手伝いである。向日葵 御菓子も一緒であり、……とは言え、洋菓子店の子供のクリスマスは大体お店のお手伝いになるのだとか。
 違うのは、樹神枢もいることだ。
「お手伝い楽しそうなのだ。ボクも手伝う故、頑張ろう」
「うん!」
 いつもの着物にエプロンを着た枢が、結鹿に笑いかけた。なんでだろうか、結鹿の頬が嬉しさに朱に染まったか。もじもじするような気持ちも込上がっていた。
 これが楽しいという気持ちなのなら、そうなのであろう。
「最初は申し訳ないなって思ったけど……」
 御菓子は枢の姿をみて、子供はやはりクリスマスはクリスマスらしく遊んでいて欲しいとは思うのだが。しかし楽しそうにお手伝いする結鹿と枢をみて、申し訳ない気持ちが吹っ飛んでいく。
 私も頑張らなければと、御菓子は両拳をぎゅっと握った。なんといっても、お店の看板娘第一号は御菓子であるから(後ほど、母親に一号は私!と怒られたそうな)
「御菓子の演奏とっても素敵だったのだ」
「ね! お姉ちゃんのコンサート素敵だったね!」
 後々、御菓子と結鹿と枢で、サプライズのプレゼントを交換してみたりと文句無しのクリスマスに仕上がっていく。
 来年もまたみんなでお祝いできるといいな、わたしの心からの願いです。と結鹿はひとりごちた。

 焔陰 凛はシロの後ろ姿を見つけると、呼び止めた。
『こんにちは、僕に御用ですか』
「シロ、暇やったら姉ちゃんに付き合わんか?」
『ひまなので、お付き合いします』
 凛も毎年なんらかの予定を入れる時期ではあったが、今年は巡り合わせが悪く。どうしてもひとりのようだ。公園で歌おうと思っていたところで、シロがイイタイミングで歩いていたというところだ。
 公園はこの時期だからか、やはりカップルが多かった。男性のシロと女性の凛ではあるが、ひとりと一匹ではカップルというよりは姉弟のよう。
 早速公園の花壇に腰掛け、国内外の歌と、クリスマスソングを歌い始める凛。シロも手拍子を始めながら、小さな音楽として混ざる。
 ふと気づいたときには見物客が増えていた。やはりカップルがほぼ、といったところか。
(羨ましいでまったく)
 しばらくして歌い終わり、片付けをしている中で。最後まで付き合っていたシロの頭を凛は撫でた。
 せめて今日という日の思い出になれば――と。公園のモニュメント前でシロと撮った写真をひとつ渡し、凛はシロと別れた。

 大辻・想良は夜のお散歩で、ビルの屋上。肌を撫でる風は冷たいが、見える景色は七色の灯り。
 この五麟市でクリスマスを過ごすのも、想良は2度目である。
 守護使役の天を抱えて、その僅かな体温は想良の心さえ温めるほどだ。ふと背中に暖かいものが擦り寄っていた。シロだ。小さな狼の身体で想良を温めるようにしていた。
「シロさん」
 今日は月が見えない夜。けれど、シロには別の何かは見えている。これに関してはまた今後の展開で見えることもあるだろう。
「まんまるは平気?」
『まんまる、落ちてきてる』
「この前は変なこと言って、ごめんなさい。でも、愚痴聞いてもらったから、ちょっと回復したかな……ありがとう」
『想良が回復したのなら、ボクも嬉しいです』
「へへ……あ、えっと、フライドチキン食べる?」
『食べたいです』
 クリスマスならではのチキンを差し出したら、シロは大きな口でぱくぱくばりばりと食べ始めた。夢中になって食べるシロの頭を撫でながら、彼の幸せを願う。
 想良と天は暖かいお茶を飲みながら、その湯気は空へとのぼっていく。
「……メリークリスマス。また来年ものんびりできるといいね……」

 工藤奏空は賀茂たまきと一緒にいるのだが、なんだかいつもとは違う雰囲気である。
 なぜかといえば、奏空がこの場所に来るとき、急ぎすぎて前を歩く女性とぶつかり、豊満な女性の胸の谷間へダイブ。男の子ながら、正直にやぁらかかった! なんて言ったものだから。
 巡り合わせ悪く、目の前にたまきがおり、女性と心にフィットしない行動は彼女の柔らかそうな心をトゲだらけにしたのだとか。
(やはり奏空さんは胸の大きな方が……)
 そんな一抹の不安もあるのだが、そんな事よりも心を埋める黒いものの名前を知らぬたまきが、表情を鋭くするのは言わずもがなで。
 デート中ではあるのだが、ケーキの味も無機質な味だ。街に人が流れる音が大きく聞こえるほどに。
 何度奏空が謝っても、言葉はたまきの心を滑ってしまう。
 結局、何もなく帰り道。今までで一番苦しい時間のようにも感じる、長い時間であった。このまま終わるのだろうか、すれ違う2人は同じことを不安に思いながら、今や近くて遠い距離。
 人混みの電車の中で、奏空は彼女が押しつぶされないようにドア側へたまきを置き、彼女に触れる人の手を避けるように手を置く。その行動に驚いたたまきは、奏空をじっと見つめてしまう。いくら離れても、矢張りたまきは奏空を目で追ってしまうのだ。
 ふと、2人の距離は近くなっていた。それに気づいた奏空は、恥ずかしさを忘れて、軽く彼女を抱き締めた。まるでその両腕に、彼女をしまい込むように。
「俺はたまきちゃんが一番好きだから……」
 そういって静かにキスを落とす。
「ごめんなさい、です」

 椿屋 ツバメはクリスマスにシロへプレゼントを用意していた。
 シロの小さな首に巻いたのはふわふわのマフラー。これはツバメが編んだもの。他にも色々作りたかったが、シロのサイズをしらなかったのが難点だ。この機会にとシロの手の大きさを把握しようと、ツバメはシロの手を握る。そういえば、シロはこう見えても子供。
「シロ、また怖い気持ちになったら私に言え。私がシロを守ってやる」
『怖い気持ち』
 ツバメはシロを抱っこしながら歩いていく。その身体は、今は震えてはいないが。戦場となれば震えてしまうこともある、年端も行かぬ少年と何が違うというのか。ツバメはそのぬくもりを大事にしたいと願う。
「シロは一年いい子にしていたから、今日は私がサンタだ。欲しい物を言うといい」
『ええと……』
「流石に星も月もとなると私でも落とせないが、こういうのはどうだ?」
 ツバメはシロを一度おろしてから、星のブローチをシロの帽子につけた。赤い大きな帽子に、一番星のように輝くそれを、シロはキラキラした瞳で見つめて、嬉しそうに感謝を述べた。
「うん! キラキラしていて格好良くなったぞ、シロ!」
『わあ、ありがとう!』
 シロが笑顔だと、私も笑顔になってしまうな。来年もこの笑顔が続いて欲しい。その願いはシロにも届いたことだろう。二人は輝く夜道を手を繋いで歩いて行く。

 神楽坂 椿花と香月 凜音はイルミネーションを見に来た。凍りつくような寒さではあるが、それを吹き飛ばすように椿花は、はしゃいで行く。凜音の手を引っ張り、早く早くとせがむ彼女の姿を親心に近い目線で見つめる少年。
「凜音ちゃん、見えてきたんだぞ!」
「光の洪水とはよく言ったものだ。で、お前もう体は大丈夫なのか?」
「うん、身体はもう大丈夫なんだぞ! それに、クリスマスなのに家で大人しくは寂しいから!」
 先の戦いで負傷した彼女が気になる凜音。それもそうか、自分よりはるかに護られるべき存在である椿花に護られ、そして怪我をさせるのは凜音の心としては許せない領域。償いか、詫びか、それに似た気持ちさえ膨れ上がるのは当然のこと。
 椿花は彼を守れた事が誇らしい。彼の不安とは裏腹に、凜音を守れる力がある事や、彼が無事なことは少女としてはこの上ない喜びと成長たが、凜音の心とはフィットしない螺旋の様な難題。
「はいはい。疲れたらちゃんと言えよ」
 ふと、すごい人ごみだ。少しでも間違えれば、彼女は人の波に攫われて探せなくなってしまうほどに。
「こっち」
「……そっちに何かあるの?」
 期待しながらついていき。凜音の引く手に力がこもった。
「会場からは少し離れるが、こっちの方が楽だしな……よっと」
「わっ!? ……おぉ、綺麗に見えるんだぞ!」
 突然抱えられて、ちょっと驚いた椿花だが。見えた景色は、宝石箱のよう。凡ゆる色の光が少女の瞳を七色に輝かせていく。
「凜音ちゃん、ありがとうなんだぞ!」
 彼女を落とさないように抱き抱えた凜音。その小さな身体を落とさぬ様に、しっかりと守る様に抱えていた。

■シナリオ結果■

成功

■詳細■

MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし




 
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