器具『ファクター』の製造工場へ
【闇企業】器具『ファクター』の製造工場へ


●器具の製造元とは……
 英雨建設なる建設会社がある。
 先日、AAAの鬼頭三等の指導の元、この事業所へとF.i.V.E.の覚者達が踏み込み、非発現者の社員らに不当な労働を強いたということで、隔者の社員、幹部の拘束に至った。
 その後、英雨建設の就業実態が監査され、社員に月200時間を越える違法残業を強いていたということが発覚。さらに、社長、海音寺・米蔵以下幹部2人は傷害容疑も含めた容疑で逮捕、英雨建設は建設業許可の取り消しに至った。

 そんな中で、覚者達が気にかけていたのは、2つ。
 まずは、この会社に、黒霧の構成員が紛れていたこと。黒霧は七星剣幹部、霧山・譲の擁する、諜報などを得意とする組織だ。
 残念ながら、社長らの抵抗による交戦に紛れて姿を消していたが、黒霧はこの会社にも何らかの働きかけをしていたと見られる。だが、就業実態にもその消息は残されてはおらず、目的は明らかになってはいない。
 そして、もう1つ。非発現者の作業員や社員らが装着していたという、背中に背負って装着する半球状の器具。
 覚者が回収してきた器具を非発現者のF.i.V.E.のスタッフがつけてみると、確かに水礫など弱い術式を使えたとのこと。もっとも、一度に使えるのは1種のみというスペックしかないようだったが。
「まあ、皆が使うには、少し頼りない器具じゃがの」
 『薄幸の男の娘』菜花・けい(nCL2000118)も試しに使おうとしたものの、副作用などが否定できぬ為、スタッフには止められていたようだ。
「この器具、小規模ながらに、一般販売もされておるようじゃの」
 けいが示す資料には、購入者の中には労務系の一般企業の他、憤怒者集団もあるとのこと。
 覚者の力を擬似的に使える器具。もしかしたら、このデータ収集が黒霧の狙いだったのではないだろうか。

 ところで、器具の下部には、「BANZEN」とメーカー名が印字されてある。
 実際にその名の会社は存在し、「当社の製品に間違いない」とF.i.V.E.のスタッフが電話で裏も取ったのだという。
「そこで、この製造元へと器具の視察を頼みたいのじゃが……」
 けいが言うには、すでにF.i.V.E.の名前も出し、表向きは工場見学といった形で出向くことになっている。
 ただ、彼の夢見によると、F.i.V.E.の名前を出したことが裏目に出てしまうことが発覚してしまう。
 その工場に、カーヴァ生体工学研究所の関連事件で指名手配されているはずの、静永・高明という男が現れるというのだ。
「こやつは技術顧問という形で、会社を牛耳っておるようじゃな」
 表には現われず、静永は裏から会社を操っている。
 彼の所在はまだ予知でしか分かっておらず、AAAの鬼頭が動くには状況証拠が足らない。この為、危険ではあるが、視察にこのまま向かうのが最良だろう。
 また、「BANZEN」の社員自体は違法労働を強いられてはいないし、工場長もまた温厚で、社員に慕われる性格の持ち主だ。
 だが、会社に多大な利益をもたらした静永の指示には逆らえず、工場視察に訪れたF.i.V.E.の覚者達へと襲い掛かることとなる。
 予知によって、だまし討ちに合わずに済むのはよいが、静永の指示で襲い来る工場の社員らを倒すのも気が引ける。
「残念じゃが、視察が終わったら、工場からの離脱を考えて欲しいのじゃ」
 相手は器具によって多少身体能力、戦闘能力が上がっていても、非発現者でしかない。社員の数が多いとはいえども倒すのは難しくはないが、本心で戦うのを望まぬ者達だ。
 彼らを救出したいのは山々だが、今回は器具の視察に留め、速やかに工場から離脱を願いたい。
「……以上なのじゃ。無理はしないようにの」
 けいは最後にそう告げ、ブリーフィングを終了したのだった。


■シナリオ詳細
種別:シリーズ
難易度:普通
担当ST:なちゅい
■成功条件
1.器具についての調査
2.無事に工場から脱出すること
3.なし
覚者の皆さん、こんにちは。なちゅいです。

●状況
ちらほらと依頼で見受けられる『器具』。
これを製造している工場の見学と称した潜入を行います。

工場内は器具を作る為の機械が稼動しており、
それほど通路は広くありません。
なお、いくつか製品を作る為の生産ラインがあるようです。

ある程度それらの見学を行った後、
現われた静永の指示で襲い来る社員から逃れ、
工場から脱出することになります。

●敵…「BANZEN」社員。
 元は、小型家電を製造する中小企業ですが、
 黒霧に裏から乗っ取られ、
 擬似因子使用、因子の増幅といった目的の器具を主に製造しております。

○工場長……発現者。械×土、のこぎりを所持。
 隔者というわけではないようです。
 本意ではないですが、技術顧問の静永に逆らえず襲い掛かってきます。
 ほぼ人体実験さながらに、
 新タイプの器具を装着されて試されている状況です。

○作業員……25名。非発現者。スパナ、ハンマーなど工具を所持。
 工場の労働者です。上司の指示で襲ってくることとなります。

 各自背中に装着した器具で多少の身体能力を向上させた上、
 術式に似た攻撃を行うことが出来ます。
 行う攻撃は、以下の内1種のみです。
 木・深緑鞭、火・火炎弾、土・無頼、天・召雷、水・水礫

○静永・高明(NPC登録予定です)
とある研究所で因子の発現の研究をしていた男ですが、
それは仮の姿であり、実際は黒霧構成員の1人です。
「BANZEN」で技術顧問を行っているようです。
なお、静永は姿を見せますが、戦いません。

それでは、よろしくお願いいたします。
状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
(2モルげっと♪)
相談日数
6日
参加費
100LP[+予約50LP]
参加人数
4/6
公開日
2017年07月25日

■メイン参加者 4人■

『赤き炎のラガッツァ』
ラーラ・ビスコッティ(CL2001080)
『探偵見習い』
賀茂・奏空(CL2000955)

●『BANZEN』と静永という男
 4人のF.i.V.E.メンバーはスタッフが運転するバンへと乗り込み、事前にアポイントを取り付けたという工場見学へと向かう。
 そこは、『BANZEN』という会社で販売されている器具製造工場だ。
「器具の製造過程でどんなものが組み込まれているのか、自分なりに見ておきたいです」
 これまで、『赤き炎のラガッツァ』ラーラ・ビスコッティ(CL2001080)はいくつかの事件で器具を装着した、あるいはされた人々を見てきた。
 仮に、おかしな物が器具に組み込まれているとして。それがラーラにとって一目で判別できないものであったとしても、こうして直に確認しておきたいと考えていたのだ。
「ファクター、とても素晴らしいものだわ」
 『霧の名の鬼を咎める者』エメレンツィア・フォン・フラウベルク(CL2000496) はそんな感想を器具『ファクター』に抱く。
 それは、非発現者にも微量の力を与え、擬似的ではあるが、覚者が使うスキルに似た力を行使できるようにするという器具。
 確かに、これがあれば、覚者の人手不足も解消するかもしれないし、一般人と覚者の確執が緩和されるかもしれない。
「……表向きだけ見れば、ね」
 エメレンツィアもそうだが、メンバー達は皆、この器具に様々な思惑があるのではないかと訝しんでいる。
「器具の臨床実験、ちゃんとやったのかな?」
 まず、『探偵見習い』工藤・奏空(CL2000955)はその点を考える。
 憤怒者集団が購入している器具は、憤怒者が力とすべく購入しているという。
 購入する人の目的は様々なのだろうが……。
「憤怒者集団が購入してるとならば、もはやそれは兵器の扱いと一緒だよね」
 使うもの次第ではあるが、それ次第で厄介な代物となってしまうのは間違いない。
「コレに黒霧が関わっているのだとすれば、決してそんな良い事ばかりではないでしょうね」
 そして、これに携わる七星剣の目論みは恐らくデータの収集だと、奏空、エメレンツィアは見ている。
「より確実に、強力に、能力の底上げが出来る器具を作ろうとしている?」
 これも、自分達の組織の更なる強化の為といったところか。
 それに絡んでいるのが、七星剣、霧山・譲配下の「黒霧」所属、静永・高明だと夢見で予見されている。
「カーヴァの一軒以来何処に潜んでいたのかと思いましたが、静永はこんな所にいたのですね」
 『星唄う魔女』秋津洲 いのり(CL2000268) は静永の存在を気にかけるが、彼はこの会社を技術顧問として牛耳っているという。下手に静永を叩こうとすると、彼は工場の作業員全てを盾として襲わせようとしてくる。
「静永に強いられて戦うこの人達と、私達はどう向き合ったらいいでしょう?」
 彼らを少しでも痛みなく、傷つく人を少なくする為には……ラーラはそれに頭を悩ませる。手数が多ければ、それもまた違った形で出来たのかもしれないが、難しいところだ。
 その時、現場に到着した車が停止する。メンバーはそこから降り、工場を見上げた。
 一刻も早く静永を捕らえたいところだが、罪のない作業員達を静永の為に犠牲とするわけにもいかない。
「口惜しいですが、ここは情報収集のみに留めましょう」
 いのりは歯噛みしながらも、仲間と共に工場内へと入っていくのだった。

●器具『ファクター』
 覚者達を出迎えてくれたのは、その製造工場における工場長だった。
「ようこそ、お越しいただきました」
 見た目は人の良いおじさんという印象。やや頭が薄くなりかけていたが、彼はF.i.V.E.の覚者達へと笑顔を見せた。
「今回は見学の受け入れ、感謝いたしますわ」
 エメレンツィアがF.i.V.E.一行の年長者として、礼儀正しく接する。
「今日は宜しくお願いしますわね」
 頭を下げるいのり。彼女は小学生らしく工場見学に臨む。
 相手が単なる作業員ならば、魔眼も考えた彼女だが、工場長は残念ながら覚者とのこと。やむを得ず、いのりは何をせずに通すことにしていた。

 まず、メンバー達が訪れたのは、器具の生産ライン。
 そこでは、半球型の器具『ファクター』が続々とベルトコンベアーで運ばれており、作業員がせっせせっせと作業をしている。
「器具の詳細を伺ってよろしいかしら?」
 いのりは合わせて、外に出る道順も合わせて尋ねると、工場長は快く非常口をいくつか示した後、器具の説明を始める。
 まず、器具は、『因子』を意味する言葉を製品名として、『ファクター』と名づけたとのことだ。
「現在、我々が生産しているのは、大きく2種ありまして……」
 工場長の説明の最中、奏空はスマホで写真や動画を収める。
 生産されているのは、A、Bタイプの2種。
「Aはアディション(付与)タイプ。非発現者用ですな」
 元々ない力を行使させる為に、器具がそれなりに大きくなったということ。半球状の器具をリュックのように背負って使う。
 覚者の力を使うといっても、擬似的なものでしかない。
 若干の身体能力向上は見込めるものの、器具にセットした五行を1つだけしか利用できず、しかも、利用できるのは、深緑鞭、火炎弾、無頼、召雷、水礫だけという状況だ。
「なるほど、覚者の力を抽出したわけではないのね」
 この辺りの技術について、気になっていたエメレンツィアが相槌を打つ。
 あくまで擬似的なものだが、それでも非発現者としては、発現者との差を埋める活気的な器具と言えるだろう。
「Bはブースト(増幅)タイプ、弱発現者の力を一定値まで強めるタイプですな」
 半球型は変わらないが、小型化され、指でつまめるほどの大きさの器具。それを、それぞれの因子の発現箇所周辺に貼り付けるように装着する。
 例えば、暦、獣、現は右のこめかみ付近に。彩は刺青周辺、翼は背中の羽根の間、械は機械化部分、そして、怪の因子は第三の目付近に貼り付ける形で装着する。
「ただ、これらは量産化が難しいのが現状です」
 因子ごとにプログラムを作るということで、生産ラインは十分に整っていないとのことだ。
「もちろん、実験には合格したから、販売に至ったのですよね?」
 奏空がワーズ・ワースを発動しながら、そんな疑問を口にする。
 一般人が使う物であれば、安全性を重視するのは当然のこと。健康被害の臨床実験、そうした資料の提示を、奏空は工場長へと要求する。
 だが、工場長は苦い顔をしてしまって。
「私はそう聞いているのですが……」
 一応の研究資料を彼は提示してみせた。一応はそれらしきデータが示されているが、その出所など、黒いラインで潰されている部分も多いと言う。
「我々は元々健康器具を製造しておったのですが、ある日、上がこのファクターの製造に方針転換しましてな……」
 そこで、エメレンツィアの目つきが鋭くなる。彼女は、それまで静永の痕跡を見つけられずにいたのだが。
(技術力と資金力で、日本を牛耳るつもりなのかしら?)
 黒霧の目的を探っていた彼女は、工場長の言葉に何か引っかかりを感じたのだ。
「そうですよ、F.i.V.E.」
 低い声が聞こえた方向をメンバーが見上げると、上部の通路に見た事のある人影がいた。
 同時に、工場内の作業員が覚者達を取り囲む。その手には、スパナやハンマーといった攻撃できそうな工具を、そして、その背に器具を背負っていて。
「ようこそ、覚者の皆さん。くくく……」
 不敵な笑みで見下ろしている白衣の男。そいつの名は、静永・高明といった。

●この場からの脱出を……!
 人身売買された子供を平気で人体実験してのけ、さらに、黒霧の一員として暗躍する男、静永。
「相変わらず、卑怯な真似を致しますのね」
 いのりは覚醒し、高校生の姿を取る。奏空も髪を金に染め、静かに静永に目線をやった。
「別に一般人の工場見学なら問題ないのですが、F.i.V.E.となれば話は別でしてね」
 静永は作業員や工場長へと見下ろし、指示を飛ばす。
「生産ラインを止めたくなくば、彼らを捕らえるのですよ」
 これまで、にこにこと笑みを浮かべていた工場長は、作業員から半球状の器具を渡される。彼は覚醒しながらも、それを装着した。
「う、おおおおおっ!!」
 両脚と右腕を機械とした工場長。背中の器具が淡く光る。
「さて、私は工場長の装着した新タイプのデータを確認させていただきますよ」
 そうして、静永が合図すると、徐々に、作業員達が覚者達の包囲網を狭めてゆく。
(実は、こうなる事は知ってたよ)
 2本の忍者刀を抜いて構える奏空は全く驚く素振りすらなく、送受心・改を使いつつ、いつもの口調で作業員達へと告げた。
 どこから聞こえるかも分からぬ声に作業員達は動揺するが、工場長だけは息を荒くしつつも黙って奏空を見つめる。
 そうした間に、ラーラはハイバランサーを働かせつつ、じっと超視力で作業員達を見つめ、直後の戦いに活かそうとする。
 その間も、奏空の呼びかけは続く。この工場の作業員全てが望まぬ戦いを強要させられていること、自分達も作業員との交戦を望んでいないことを念話で伝えていく。
 命令どおりにしないと、静永に咎められる可能性を指摘した奏空は思いっきり、
(だから、本気でかかってきてくれていいですよ!)
 傷つけないよう、ちょっとだけ眠ってもらいますねと、奏空が作業員達へとお願いすると。
「どうしたのですか、早く捕まえるのですよ」
 そこで、工場内に響く静永の声。作業員も、工場長もやむなしと首を振って工具を握りしめる。
(その前に、もし分かっているのなら、器具の真の目的を教えて欲しい!)
 奏空の言葉に、工場長は苦しそうな顔をしつつ告げる。
(器具そのものは、純粋な願いから発案されたはずですな……。悪用する者がいるだけで)
 戦いの中、聞き逃しそうになるような声で呟いた工場長が、真っ先にのこぎりを手に突っ込んできた。
 髪を銀色へと変色させたラーラが煌炎の書を右手に持ち、左手で焔を走らせて。
「良い子に甘い焼き菓子を、悪い子には石炭を……イオ・ブルチャーレ!」
 4人の覚者はこの場から切り抜けるべく、覚者の力を行使していく。
 素早く、奏空が眠りへと誘う空気で作業員達を包み込むと、いのりもまた、同じようにこの場の男性達をしばし夢の世界へと招待する。
 20数人いた作業員。しかし、2人の隙によって、その数は7人にまで減ってしまう。
「いのり達は、貴方達を傷つけたくないのですわ!」
 工具を手に殴りかかってくる作業員達へと、いのりが退くよう呼びかけた。
 されど、奏空の言葉を信じ、工場長ものこぎりで襲い来る。
「通してください、私達はあなた達と戦いたくないんです。分かってください」
 この場から離脱したくとも、眠りの空気に抵抗した作業員達が立ち塞がり、手にする工具で殴りかかり、あるいは背中の器具を使って攻撃してくる。
 いのりも仕方なく作業員の眼前に雷を起こし、作業員達を威嚇していく。
 また、先程工場長が説明したとおり、作業員らは器具より伸びた噴出口から、炎や水礫を、または、振動を発してプレッシャーを与えるなどして攻撃してくる。それらは確かに覚者のスキルを模していた。
 離脱の妨げになる彼らへ、ラーラはやむなく炎の塊を作業員達に飛ばす。狙うは、背中の器具。狙いづらくはあるが、彼女は作業員をかき分けながらも相手の無力化をはかっていく。
「なるべく、社員達を傷つけたくはないものね」
 エメレンツィアもまた側面や背中から水礫を発し、1人1人の『ファクター』を破壊していった。

 静永が高みの見物を行う工場内で、望まぬ者同士の交戦が繰り広げられる。
 確実に、覚者達は立っている作業員を1人ずつ無力化していたが、工場長がかなり面倒な相手。淡い光を放つ背中の器具が彼に力を与えているようにも見える。
「Cタイプ……てん、か……」
 奏空が工場長ののこぎりを2本の忍者等で受け止めながら、その奪取を目指そうとするが、簡単には取らせてはくれない。
「全力移動を駆使して、撤退しましょう!」
 炎を操るラーラが仲間へと訴えかける。退路はすでに、敵対している工場長から示されている。後は出来る限りスムーズに撤退するのみ。
 いのりは波動弾を飛ばし、作業員の器具を大きく変形させる。そこから伸びていた蔓がだらりと力なくしなだれていた。
「うおおおおっ!」
 先程の穏やかさが嘘のように工場長は叫び、機械となった右腕でのこぎりを振り回す。
 英霊の力を引き出したエメレンツィアが工場長へと水竜を浴びせかけ、彼が怯んだところで仲間に叫ぶ。
「長居は無用よ。速やかに脱出しましょう」
 工場長のつけたファクターにどういう効果があるのかは気になるが……、このままでは眠った作業員が目を覚まし、離脱が遅れる一方だ。
 非常口を目指し走り始めた覚者達。奏空もやむなく、仲間と共に工場内を駆け抜ける。
(すまない……)
「ふむ、まあ、仕方ありませんか……、くくく」
 悲痛なる念話での一言と静永の笑い声が聞こえたが、覚者達は悔しそうに口をつぐみながらも、工場の外へと脱出して行った。

●次は作業員の解放を……!
 覚者一行は避難していた車を発見して、それに乗り込む。
「作業員の方々、大丈夫でしょうか?」
 バンが走り始めたのを確認し、いのりは背後を振り返る。
 一刻も早く、彼らを静永の魔の手から解放してあげなくては。彼女はそう決意を新たにする。
「次こそは、黒霧のしっぽを掴んで見せるわよ!」
 黒霧打倒に燃えるエメレンツィアもまた、その組織の全容解明に意欲を見せるのだった。

■シナリオ結果■

成功

■詳細■

MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし



■あとがき■

その身を張った視察と脱出、
本当にお疲れ様でした。

静永の潜伏先が分かったことで、
AAAも動くことが出来そうです。

器具『ファクター』については、
現在、AタイプのみF.i.V.E.にもありますが、
うまく改造すれば、
皆さんの力となるかもしれませんね……!

参加していただき、
本当にありがとうございました!!




 
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