切られる縁と消える思い出
切られる縁と消える思い出


●梅雨
 しとしと雨が降る。
「じいさんや、今日は庭に生えた紫陽花と好きなお酒を置いとくね」
 老婆は墓の両サイドに紫陽花を生け、正面には酒が入ってる小さな瓶を置いた。
 傍に大きな木が生えているとはいえ、木が風に吹かれると葉が雨水を弾くと老婆の服に落ちてシミを作った。
(……お嬢さん、忘れたかい? この旦那は意地悪だったじないか)
 枝に止まった鴉は悲しげに鳴いた。
「また、来週会いに来ますねぇ」
 老婆は傘を開き、墓に向かって微笑みながら言うと踵を返し雨の中へと消えていったの。
(あぁ、可哀想に……)
 と、老婆の背中を見つめる鴉の小さな瞳から涙が零れた。
 鴉は赤い着物の裾で涙を拭うと、黒い羽を羽ばたかせながら墓の前に降りた。
「おや、消えそうな『縁』が見える……何が入っているのでしょう?」
 鴉は1本しかない足でぴょんぴょんと、墓の周囲を漂う紐の先を探す。
 紐は、お墓の後ろにある小さな引き出しから伸びていた。
「どれ……」
 鴉は引き出しを開けた。
「指輪……あぁ、あのお嬢さんの『結婚指輪』というヤツか」
 しっかりと保管されていたのだろう、指輪は美しく鴉の顔が鏡の様に映る。
「忘れなされ。お嬢さんは最期の時まで幸せな時を過ごしなさい」
 鴉は指輪から伸びている紐を、クチバシで挟みプツンと切った。
 それから一週間後、老婆は墓の前に現れなくなった。
(この指輪は、ワシが貰っておきましょう)
 雨音が響く霊園の中で鴉は寂しそうに指輪を見つめた後、そっと着物の裾に指輪を入れた。

「返しておくれ! 私と、あの人の思い出を返しておくれ!」
 梅雨なのに珍しく晴れたある日。
 墓の前で老婆は、シワだらけの顔を歪め涙で頬を濡らしながら墓の前でしゃがれた声で叫んだ。
「そうか、お嬢さんはその指輪に強い思いが……しかし、これは返せぬ」
 と、泣き崩れる老婆の目の前には、赤い着物を着た1本足の鴉が居た。
「どういう事でしょうか?」
「この男は意地悪。だから縁を切って、この遺品は頂く……幸せな余生を」
 老婆の問いに答えると、鴉は羽を羽ばたかせ青空に向かって飛び立った。
 遠ざかる鴉に向かって老婆は何かを叫んでいるが、鴉の耳には届かなかった。

●F.i.V.E.
「皆さん、集まっていただきありがとうございます」
 九重 蒼玉(nCL2000157)は会議室に集められたアナタ達を見回した。
「さて、今回の依頼の説明をさせていただにます。場所は長崎県にある霊園。被害は、墓の中から遺品が奪われ『遺品の持ち主の事を忘れてしまう』という事件を古妖が起こしています」
 夢見の情報、被害者からの情報を纏めた資料をアナタ達に配られた。
「夢見により、次に狙われる墓は分かっております。こんな事をする古妖をどうするかは皆さんにお任せします」
 蒼玉はアナタ達に目配せをし会釈した。


■シナリオ詳細
種別:通常
難易度:普通
担当ST:紅玉
■成功条件
1.古妖の『戦闘不能』もしくは『説得』
2.なし
3.なし
3月ぶりの紅玉です。
ちょっぴり切ないシナリオをお届けします。
どうしたいかは皆さんの判断にお任せします。

OPの『●梅雨』の部分は『岡崎家』の『優しい老婆』が生前にあった被害の話です。

●場所
長崎県の霊園(早朝)
墓石が多いので、戦闘する時は破壊しないよう注意してください。

●一般人
霊園の管理者が閉鎖してくれいますので、誰も居ません。

●情報
霊園の中央にある古い大木によく止まっている。
生前、近所から評判の良くなかった人の墓ばかり狙っている。

●夢見より
次に狙うのは『岡崎家』の墓
しかし『岡崎家』で最近亡くなったのは『優しい老婆』

●敵
古妖
『無縁(ムフチ)』1羽
全長1メートルの赤い着物を着た大きなカラス。
普通に話す事も可能。
・縁断ち「物で繋がっている縁を断ちきってしまいます」(特遠単)
※ただし、強い縁で結ばれた物の縁は断ちきる事は出来ません。
・霧「口から霧を吐く」(全)
・赤眼「瞳に移った対象を燃やす」(特遠単)

『無憶(ムオク)』1羽
全長1メートルの青い着物を着た大きなカラス。
普通に話す事も可能。
・想い断ち「断ちきられた縁を取り除き、物に対する記憶を消す」(特遠単)
※ただし、思い入れの強い記憶は消せません。
・冷気「口から冷たい息を吐く」(全)
・碧眼「瞳に移った対象を凍らせる」(特遠単)

●NPC
九重 蒼玉
基本皆様のサポートをしていますが、指示があれば従います。
状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
(3モルげっと♪)
相談日数
7日
参加費
100LP[+予約50LP]
参加人数
8/8
公開日
2017年06月21日

■メイン参加者 8人■

『雷麒麟』
天明 両慈(CL2000603)
『探偵見習い』
賀茂・奏空(CL2000955)
『想い重ねて』
蘇我島 燐花(CL2000695)
『赤き炎のラガッツァ』
ラーラ・ビスコッティ(CL2001080)
『ボーパルホワイトバニー』
飛騨・直斗(CL2001570)
『愛求独眼鬼/パンツハンター』
瀬織津・鈴鹿(CL2001285)

●古烏
「評判の悪い人の遺品を奪って記憶を消すとかけったいな古妖やな。良かれと思っての事かもしれんけど、人の思いってのはそう単純な物やないと思うんやけどなぁ」
 依頼を受けた覚者の一人である『緋焔姫』焔陰 凛(CL2000119)は言った。
「……父さんとお母さんの思い出が無くなったら……。わたしはわたし、なのかな? ね、天?」
 と、亡き両親を思い出しながら大辻・想良(CL2001476)は、鳥系の守護使役の『天』に視線を向けた。
 視線に気が付いた天は、そっと想良の肩に乗り柔らかな羽毛に包まれている体を頬に寄せた。
「古妖の思い違いなのか、余計なお節介になっているのか……何にしても悪気はないような気はするんだよね……」
 『探偵見習い』工藤・奏空(CL2000955)は太陽の様な瞳を伏せ、胸元を掴む手に自然と力が入る。
「大切なものも、それにまつわる思い出も。それは本人たちのものです。良かれと思ったとしても、第三者が好きに触れていい物では……ありません」
 凛とした声で『想い重ねて』柳 燐花(CL2000695)は言った。
「それでも、無縁さんは幸せを願ったのかもしれません」
 『赤き炎のラガッツァ』ラーラ・ビスコッティ(CL2001080)は古妖がしている行動に対し、否定的せずただ『どうして、そんな行動をするのか?』を考えた。
「物の縁を無くしてさらに記憶を無くすねェ……ハッハッハ! こりゃあ、傑作じゃねェか! 確かに忘れたい事や忘れたい奴が居れば万々歳な存在だよ、あの鴉共」
 顔を歪ませ狂った笑みを浮かべる『ボーパルホワイトバニー』飛騨・直斗(CL2001570)は声を上げた。
「だけどさぁ……虫唾走るわ」
 苦虫を噛み潰したような表情になり、直斗は低く唸るような声で呟いた。
「私は古妖さんを説得するの。だって聞いた感じ古妖さんは悪意を持ってやってる訳じゃないの。なら説得すればわかってくれるはずなの」
 と、無邪気な笑顔で言うのは『愛求独眼鬼/パンツハンター』瀬織津・鈴鹿(CL2001285)だ。
 否定する者、肯定する者、様々な思いを胸に覚者達は現地へと向かった。

「そう、ですか」
 『雷麒麟』天明 両慈(CL2000603)はオッドアイの瞳を細めた。
 夢見が見た事が起こる前日、一足先に長崎県に来ていた両慈は聞き込みをしていた。
「天明さん、どうでしたか?」
 同じく聞き込みを終えた奏空が両慈に駆け寄った。
「それが……」
 両慈は聞いた話をゆっくりと語り出した。
 昔、とある県にあった村の地主であった岡崎家の本家に長女として生まれた。
 若い時に早く両親を亡くし、弟が後を継いだものの良縁に恵まれずに長崎県の分家へと嫁入りした。
 その時、飼っていた烏を二羽を飼っていたのだが……。
「黙って旦那が処分したそうだ」
 小さくため息を吐きながら話す両慈。
「……他には?」
「元々、厳しい人柄だったらしい。だが、妻が持っている財産と家柄を知って欲に溺れてしまい、落ちるところまで落ちてしまったそうだ」
 話し終えると両慈は、力に溺れてしまった自分の父親の姿と欲に溺れていく男の姿をタブらせる。
「昔から住んでいる住人からも聞きましたが、旦那さんが入院するまでかなり苦労されていたそうです」
 奏空は地面に視線を向け、少しだけ瞳を伏せた。
「そして、捨てられた烏は古妖になってしまたようです」
 と、九重 蒼玉は付け加えた。
「それでは」
 ハッとした表情で両慈は霊園に視線を向けた。

 太陽が頭を出す頃。
 9人の覚者達は、霊園に生えた大木の根元に設置された墓石の前に立っていた。
 夜が明け、空が闇色から白へと変わる中で野生のカラス等の鳥が鳴き声を響かせた。
 巨大な翼を広げ、一羽のカラスが『岡崎家之墓』と書かれた墓石の上に一本だけの足で止まる。
「あんたらがしてる事の調べはついとるで。何でそんな事すんのか理由を聞かせてくれんか?」
 凛が一歩前に出て赤い着物を身に纏った『無縁』を見据えた。
「鴉さん達、2人の縁を結んでいた指輪を奪っておいて、今度は何をしにいらしたんですか? もしも2人が共に眠るこのお墓に何かしようというのなら、容赦はしません」
 ラーラは煌炎の書を手にした。
 問答無用で攻撃をするならば、敵対心があるとみなして戦う覚悟は出来ている。
「ワシら夫婦の大切な人だから、だけではダメでしょうか?」
 と、無縁は静かにゆっくりとした口調で答えた。
「わたしが良くても、他の方はちゃんとお話しをしないと納得しないと思います」
 想良は無縁を真っ直ぐに見つめたまま言う。
「何、自分の価値観だけで勝手にしちゃってくれてんの? 俺等が……あの婆さんがいつそんな事頼んだんだよ」
「恐怖、それで縛られた人は哀れ……忘れさせてあげるのが一番じゃないでしょうか?」
 青い着物を着たもう一羽の古妖『無憶』が地面に降り、直斗を見上げた。
「嗚呼、唯の悪人の方がまだマシだ……こんな偽善な自己中野郎は俺は大っ嫌いでね! つー訳だ、貴様等は敵だ、即刻その首狩ってやんよ」
 直斗は吠えながら、妖刀・鬼哭丸沙織を鞘から刀身を抜き古妖へと向けた。
「こんな事はやめてほしいの! 誰にだって大切な縁、思い出があるの! それを一方的に失くしちゃうなんて…そんなのあんまりなの! だからお願い! おばあさんの指輪も返して、もうこんな事やめてほしいの!」
 鈴鹿が必死に声を上げた。
「子供が、母親の願いを聞いて何が悪いのですか?」
 直斗は思わず足を止めた。
「母は、私達を助けました」
 動向が猫の様に細くなった瞳で直斗は睨むが、無憶はその姿を瞳に映したまま呟いた。
「母は、父を助け兄弟も助けてくれました」
「誰も、昔話は聞いていないんでね!」
 直斗が妖刀・鬼哭丸沙織を振り下ろすと、無憶は微動せずに大人しく斬られた。
「そして、兄弟は死に絶えました……残ったは父と私。母は慈しみを込めて私達の世話をしていただきました」
 片方の羽がぼとりと、地面に落ちても無憶は直斗へ優しい瞳を向ける。
「大丈夫ですか!?」
 異変に気が付いたラーラは、直斗と無憶の間に割り込んだ。
「少し、離れようや」
 凛は直斗の手首を掴み、妖刀・鬼哭丸沙織を鞘に納刀する様に目配せをする。
「もともと、このお墓に入ったおばあさんは、お優しい方とお伺いしました。あなたたちは、このおばあさんを心配していたのですか?」
 燐花は2羽に問う。
「もちろん。全て見ていた、聞いていた……」
「捨てられた後も、か」
 両慈はゆっくりと瞬きをした。
「いいえ。その事実を知った母は、直ぐに私達を回収しこの霊園の隅でお世話をしてくれていました」
「だから、知っていたのですか?」
 想良は、のこ2羽が古妖となったもしくは古妖だったのを老婆が知っていたのだろうか? と疑問を抱いた。
「いいえ、ワシ達のイタズラだと思ったのでしょうな」
 と、言って無縁は首を横に振った。
「おばあさんのほうは、そういう古妖が墓地に出るっていう話を聞いてるだけかもですけど」
 首を傾げながら想良は疑問を口にした。
「それが、聞き込みをしてきたんだけど……誰も忘れた事にも気付いてないし、古妖が居るとは思ってもみなかったそうだよ」
 その疑問に奏空が答える。
「そう。忘れさせたのは、全部母が私達にその話をしていたからです」
「……あーあ、本当に偽善者で反吐が出るね」
 と、吐き捨てる様に直斗は言った。
「古烏は、生前に評判を悪い人の墓を荒らし、その死体を喰らうと言い伝えられています」
 蒼玉が覚者達に『古烏』の説明をした。
「では、何故この様に記憶とか縁を切るという事をしているのでしょうか?」
 ラーラが無憶の手当てをしながら問う。
「簡単だ。昔は土葬で、今は火葬だからつつく物がない。だから縁や記憶を消す事にした……そうだろう?」
「ええ、そうです」
 両慈の言葉を聞いて、無憶はこくりと頷いた。

『沢山人が居る中で話せない事があるかと思います。ですから、こうして声を届けています』
 と、送受心・改で奏空は無縁に語り掛ける。
『……そう、か』
『どうして、この様な事をしているのかお話をして下さい』
 奏空は優しい声色で言う。
『お嬢さんが忘れてしまった願い、と言ったことろじゃ』
『忘れてしまった?』
『そう、命の灯が小さくなっていく旦那がな……昔の優しい人に戻り、お嬢さんはそれを嬉しそうにしていた』
 無縁は声を震わせながら言葉を紡ぐ。
『だが、お嬢さんも病で倒れて忘れてしまった。嫁に来た当時の頃に戻ってしまった』
『そんな……』
 奏空は悲しいようなやるせないような表情を見せた。
『墓に旦那が居るのは理解している様子だが、生きているのに近いんじゃ。また、家に、男に、縛られるのが見ていられなかった』
『でも、やっぱり記憶を消すのはやり過ぎだと思います。イヤな事もあったかもしれません……でも、それよりも幸せだったのかもしれません』
 奏空は、無縁がどんな思いをして、どんな気持ちで老婆に対しての気持ちが伝わる。
『そして誰だってどんな想いであれ記憶はその人が生きた証、望まぬ限りそれを奪う事は良くないよ。悲しむ顔を見ればわかるはずだ。どうかお婆さんに指輪を返してあげて欲しい』
『人はいずれ死にゆく、ワシらは古妖となりずっと見続けなければならぬ。コレを返してもお嬢さんは帰っては来ない』
 無縁が奏空を見上げ、古ぼけた着物の懐から古ぼけた指輪を取り出す。
『いいえ、アナタ達が覚えていれば生きてのと同じです』
『だが、時が過ぎれば皆忘れていくのも事実』
 奏空の言葉に無縁はため息を吐きながら答えた。

「私は、たとえ辛い結果になったとしても。自分の大切だと思うものや記憶を、誰かに好きにされたくはありません」
 燐花は首元に付いているチョーカーに手を添えた。
「おばあさんの記憶が消えなかった理由、分かっているんですよね? おじいさんは評判が悪かったのかもしれません。ですが、おばあさんにとっては大切な人だったんです」
 羽根ごと包帯で体を巻き終えたラーラは、2羽の烏達の話を聞いて優しい声色で言う。
「だからどうか、指輪や記憶を、もうこの世にはいないおばあさんに返してくださいませんか……? 忘れてしまうのは、何よりも悲しいものだと、思いますから……」
「そこまで、皆さんがおっしゃるのでしたら……」
 無憶は無縁に視線を向けた。
 鈴鹿の掌に無縁は古ぼけた指輪を置いた。
「ほら、婆さん。あんたの大事な結婚指輪だ……精々、あの世では思い焦がれてた爺さんと仲良くな」
 と、言って直斗は古ぼけた指輪を墓前に置いた。
「夫婦の事は夫婦にしか解らんよな」
 凛はお墓に向かって手を合わせた。
「それがですね……」
 悲しいようなやるせないような表情で奏空は口を開いた。
 2羽の烏が見た光景、感じた悲しみ、そして現在に至るまでの話を仲間に話した。
「ごめんなさい」
 事情を知った燐花は、無憶の体を優しく抱きしめた。
「私……親しい人に忘れられたら、悲しいです……ごめんなさい、涙が」
 ラーラは守護使役『ペスカ』に顔を埋めながら言う。
「忘れられたんじゃ。これからどするんや?」
「分かりません。このまま此処に居て害をなす古妖として、そちらとしては不都合でしたら……」
 無憶は寂しげな声色で言いながら、『母』と呼んでいた老婆が眠る墓を見上げる。
「……古妖さんたち、縁を切って欲しいひとがたくさん来るところへ、行けばいいんじゃないでしょうか?」
 想良は提案をする。
 その力、必要な場所があれば世の中の役に立つのでは? と思った。
「九重さん、そういうところ、知りませんか?」
「縁といえば出雲、烏の神使であれば熊野でしょうね。たとえ、出雲に八百万の神々が集まる場所であっても古妖なので受け入れてくれるかは不明です」
 想良の問いに蒼玉は答えた。
「俺は、時には忘れた方が救われる事もある……それに、近所の住人も『忘れて何も知らない状態で良いのです。あんな思いを二度とさせたくない』と」
 と、言って両慈は瞳を閉じた。
「それでしたら、小さな社を作って守り神の様に此処を見守って行けばいいじゃないですか?」
 ラーラは大木を指しながら提案した。
「わたしと約束なの!」
 マイナスイオンで気持ちを落ち着けさせながら鈴鹿は、無憶と無縁の2羽と視線の高さを同じにして見つめた。
「母の傍に居られるのでしたら」
「なら、ここで生きて逝った人間を忘れずにいよう」
 2羽は頷いた。
「決まったなら、あたしは社を作って来るで」
 凛が笑顔で言った。
「私もお手伝いします」
 燐花は凛の後を追った。
「俺は帰る」
 戦う理由も無くなり、逆に和やかなムードになりつつあるこの場から直斗は足早で去った。
「あとは、霊園の管理人さんに許可をいただかなければなりませんね」
「そうですね。その時に、この2羽の話をしてあげたいです。悪い古妖ではないって事を」
 ラーラと想良は2羽の烏を見つめた。
「2人は、わたしが見るの」
「一人じゃ心配だから俺も残ろう」
 両慈が鈴鹿の手を取り、大木の近くに置かれているベンチへに座り膝の上には2羽の烏。
「では、行きましょう」
「家はコチラです」
 ラーラと蒼玉は管理人の家へと向かった。
 こうして、覚者達は出来る限りの事をした結果。
 無憶と無縁は『霊園を守る』という仕事をしつつ、その地で人々を見守りそして消して忘れぬようにと約束をした。

■シナリオ結果■

成功

■詳細■

MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし



■あとがき■

今回はリプレイが遅くなって申し訳ありません。
そして、シナリオに参加していただき本当にありがとうございました。
皆さんの『記憶』や『縁』に関するそれぞれの思いが、見れてとても楽しかったです。
楽しんでいただけたら幸いです。




 
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