うちの子はそんなこと言わない!
●ユアワ・ナビ子(nCL2000122)はそんなこと言わない!
「みんな、大変だよ! 悪い古妖が人々を襲ってるの!」
扉をバーンってあけてナビ子がそんなことを言い始めた。
二度見する覚者たち。
「古妖の放つ『キャラ崩壊ビーム』を浴びるとついキャラじゃない言動をしてしまうんだよ。
このままじゃ罪も無い人々が次々にキャラじゃ無いことをし始めて不審がられちゃう!」
熱でもあるのかなこの子と思って冷えピタ取り出す人や、頭を打ったのかなと病院に電話してみる人や、ついにソシャゲ課金のしすぎで頭がやられたかとツイッターにつぶやく人々が居るなかで、ナビ子はしっかりとした足取りで会議室にお布団を弾き始めた。
「みんな、早くこの古妖を止めて!
そして罪も無い人々を守って!」
お布団に入ってアイマスク(目がガッてなるやつ)をつけて掛け布団をかけた。
「じゃーそーゆーことでしくよろー」
いつものナビ子だ。皆安心してバケツの水をナビ子めがけてひっくり返した。
「みんな、大変だよ! 悪い古妖が人々を襲ってるの!」
扉をバーンってあけてナビ子がそんなことを言い始めた。
二度見する覚者たち。
「古妖の放つ『キャラ崩壊ビーム』を浴びるとついキャラじゃない言動をしてしまうんだよ。
このままじゃ罪も無い人々が次々にキャラじゃ無いことをし始めて不審がられちゃう!」
熱でもあるのかなこの子と思って冷えピタ取り出す人や、頭を打ったのかなと病院に電話してみる人や、ついにソシャゲ課金のしすぎで頭がやられたかとツイッターにつぶやく人々が居るなかで、ナビ子はしっかりとした足取りで会議室にお布団を弾き始めた。
「みんな、早くこの古妖を止めて!
そして罪も無い人々を守って!」
お布団に入ってアイマスク(目がガッてなるやつ)をつけて掛け布団をかけた。
「じゃーそーゆーことでしくよろー」
いつものナビ子だ。皆安心してバケツの水をナビ子めがけてひっくり返した。

■シナリオ詳細
■成功条件
1.もぅマジむり、古妖たぉす
2.なし
3.なし
2.なし
3.なし
このシナリオではキャラが盛大に崩壊します
ベルリンの壁もかくやという崩壊っぷりに歴史的かつレジェンドな衝撃にショックを受けるかも知れませんがこんな毎日はエブリデイなのでご心配にはノープロです。
清くおおらかかつ大胆な気持ちでお楽しみください。
ただし絶対に崩壊したくない人は『死ぬ気でビームを避ける』と書きつつ避けまくるプレイングに徹してみてください。がんばるから。
●古妖『名前決めてないやつ』
町中に現われたこの古妖は人々に『キャラ崩壊ビーム』を浴びせてキャラじゃねーことをさせる悪い古妖なのです。
崩壊具合は口調のズレから始まって価値観や日頃の行動や文体に至るまでガンガン崩壊していきます。ダメージは、まあその、ちょっと? ある? かな? みたいな?
っていうかこういう妖怪? いますよね実際。
こいつをボコボコにして『もぅマジむり』ってさせるのが目的です。
別にぶっ殺さなくてもいいので、ボコして捕まえてどっかそれらしいとこに収容しましょう。いいとこに心当たりあるんで。
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:3枚
金:0枚 銀:0枚 銅:3枚
相談日数
7日
7日
参加費
100LP[+予約50LP]
100LP[+予約50LP]
参加人数
6/6
6/6
公開日
2017年06月06日
2017年06月06日
■メイン参加者 6人■

●二度と仕事ができなくなってもいいという覚悟
親指で鼻頭を払う『雷切』鹿ノ島・遥(CL2000227)。
「悪い古妖が出たって? そいつは……」
上半身裸でミニスカートだけはいて身構えた。
「どれくらいの強さなああああああああああああにしてくれてんだべえええええええええええええにいいいいいいいいいいい!」
ジャンピングダブル後ろ回し蹴り(コマンド:124+KK)が知らないおっさんに直撃した。
はべしと言って倒れた赤いテーラードスーツの男。ネクタイを掴んで引っ張り上げる。
「これは俺の黒歴史だぞ! やっていいことと悪いことがあるだろ!」
「なんですって?」
記憶をたぐるように斜め下を見やる赤いおっさん。
「行間を読み間違えたミスは認めるが、なにか悪いことをしただろうか……」
「言葉でわからねーなら身体にわからせてやんよオラー!」
キャノシマ流空手奥義、ネクタイをキューって絞めるヤーツをかまして泡を吹かせると、一瞬でいつものコスチュームに戻った。
いつものキャノシマパイセンってどんなだったかな?
そう、下半身キャタピラだね!
あと腕ガトリングと肩から生えた壱弐○ミリキャノン砲だね。キャノシマ計画で作られた三機のうちのひとつ、キャノタンクだね。
「うち、屋上あるんだけど……焼いてかない?」
いつものキャッチフレーズと共に射程12のキャノン砲が唸るぞ!
「……鹿ノ島がやられたか」
「早かったね」
開幕早々キャラ崩壊ビームを浴びて男前なバトルマニア鹿ノ島からキャノタンクに転身してしまったさまを見た探索者たちはSAN値チェック。成功で1D6、失敗で1D100の正気度喪失です。
「あああああしまったあああああああ!」
地面にさいころ転がしていた『もう、どうにでもなれ……』工藤・奏空(CL2000955)は膝から崩れ落ちた。
その様子を見ていた『音楽教諭』向日葵 御菓子(CL2000429)が分厚い本のページをめくってみせる。
「一時的狂気に陥っちゃったね。狂気の種類をダイスロールで決めてね」
「せめてロールしやついやつこい……! 妄想みたいなやつこい……!」
巨大な六面ダイスをえいって投げる奏空。
なにがでるかなのテーマがひとしきりかかったあと、観客席のそばで止まったダイスには――『ゴリラ』。
「はいゴリラになりまーす。ウッホウッホウホウッホゴリラ!」
「「ウッホウッホウホウッホゴリラ!」」
ダイスを掲げて観客に変なネタを披露する小堺氏。
席に戻ると奏空ゴリラがバナナの皮をむきながら静かに人生について考えていた。
「というわけでね奏空さん。今日のテーマは『正義!』なんですけども。最近正義について考えたことありますでしょうか」
「ウッホウホ」
「そーですかあ。スパロボのスマホアプリがエロすぎるのは、客層を考える限り妥当な線じゃないですかねえ」
「ウホオウホオ! ウホホウッホ! ウホゴリラ!」
「ゴリラキューブの伏線が未だに回収されないのはイベシナですら流れるくらい需要がないからじゃないですかねえ」
「ウホッ!?」
「いい男」
「殺らないか?」
ベンチでツナギのファスナーを下ろすキャノシマパイセン。
その横でお色気キャラについて真剣に勉強しようとしている御菓子センセーがノートにメモしながらキャノシマの胸板や乳首からわずかに生える毛を観察していた。
「私……分かったわ。お色気キャラになりたかったけど、引き出しをあけたら『胸を押しつけて抱きしめる』『投げキスをする』しか入ってなかった昔の私とは違う」
「御菓子先生」
「違うわ! 私は新向日葵御菓子よ!」
背景に『新向日葵御菓子』と墨汁で書かれた垂れ幕をさげ、壁に『355』の風船をくっつけてデコりはじめる新御菓子せんせー。
「任せて。今の私は伊藤ライフが空想する姉系美少女の更に上を行く存在よ」
「せきくん、僕嫌な予感がする」
「ああ……逃げておくか」
ギャグはともかくエロや下ネタは事務所NGの『新緑の剣士』御影・きせき(CL2001110)と『歪を見る眼』葦原 赤貴(CL2001019)。
サッときびすを返すと全力で撤退した。
しかしまわりこまれてしまった!
「よみです」
『自殺撲滅委員会』神々楽 黄泉(CL2001332)に!
「このまえ、貞子VS伽耶子をみたんですけど……結末喋ってもいいですか?」
「やめて」
「じゃあ、その……ジャージのズボンとか、もってませんか」
「じゃあの意味がわからん」
けど親切に貸してあげる赤貴きゅんである。
オネショタマニアたちが涎を垂らして狙っているのも頷ける紳士さである。
よぶ? 品川さん。やめとく?
「やめろ。関係ないキャラをこれ以上増やすな」
カメラに向かって釘を刺す赤貴。
その後ろにぬるっと現われる御菓子。
「大丈夫。せんせーがいるからねー」
ローション(一般的な化粧品を指す)を手にOKサインみたいなのを出す御菓子。
「させるかっ、奏空バリア!」
「うわああああああああああああああ!」
ローションを塗った手で御神輿みたいにワッショイワッショイされる奏空に背を向けて、赤貴はニヒルにココアシガレットをくわえた。
「事務所NGは絶対のルール。神(ゴッズ)でさえ破ることは許されない。そうだろう、きせき」
ふりかえるときせきがいた。
古妖を柱にくくって足下に火をつけるきせきがいた。
ついた火に塩を塗った鮎やアルミホイルに包んだサツマイモを添えるきせきがいた。
「せきくーん! 焼き芋やけるよー!」
「サイコパスかよ!」
充血した目を限界まで見開く赤貴。(たぶん今回のなかで一番彼らしくないリアクション)
そんな背後にスライドイン・ザ・ヨミヨミ。
「だって、私も女の子だから……れ、恋愛とか、興味あるの」
「だっての意味がわからん、というかこの脈絡で出てくるな! 誤解されるだろうが!」
「でも、動いたらスカートみえちゃうし」
「でもの意味が……おいまてオレがさっき渡したジャージはどうした」
スッと振り返る黄泉。
身体を傾けて見やる赤貴。
ファスナーを下ろすキャノシマ。
「ウホ……」
奏空ゴリラがジャージをはいていた。
あとマイクを握ってスイッチを入れた。
「それでは聞いてください。奏空ゴリラで……『正義っていいな』」
オルガン伴奏を始める御菓子。
ライトの当たるステージで、奏空ゴリラは歌い始めた。
『正義っていいな』
詞:例の人
曲:新向日葵御菓子
はずみでしかけた核戦争
お金を出したの大統領
大陸も焼けてまた荒野 また荒野
いいないいな 正義っていいな
おいしい話に群がる暴徒
殺して奪えば簡単だろな
暴露暴露政策欺瞞
全員公務員化で国崩壊
「イギリスの無茶な政策は古くは第一次世界大戦から脈々と続く連鎖の先に見えていた、いわば予定された欺瞞だったんだ。国民を第一に考える政策は、結局のところ国庫を空にして他国に明け渡す自爆のようなもの。税金が零円になってみんながみんな公務員の世の中は素敵だけど、本当はただの地獄なんだ。僕らはそれをよく考えて行動しなきゃ行けない」
「ながい」
真っ白になった顔で短く呟く赤貴。
エロゲ塗りされた顔で頷く御菓子。
エロゲ塗りされた顔で俯く黄泉。
エロゲ塗りされた顔で唸るキャノシマ。
古妖の手首を縛ってぶら下げて足の裏をたき火であぶるきせき。
「しってる? こびとに取り替えられた子供はこうすると返して貰えるんだって」
「サイコパスかよ!」
「あとその説明今いらない!」
黄泉が頬を染めてはにかんだ。
「あ、ありがとうございます……えへへ」
「なにがありがとうなのか分からん」
「あのね、先生気づいたことがあるの」
会話どころか物理的に割り込んで、バイブ(一般的なマッサージ機を指す)を握りしめる御菓子。
「この依頼の趣旨って、キャラをいたずらに崩壊させてみるんじゃなくて、本来はやりたかったけどキャラやプレイヤーの都合上やろうにもできなかったことをやらせてみる、いわばスピンオフ企画なんだって」
「ウホ!?」
「キャノ!?」
同時に振り返る奏空ゴリラとキャノタンク。
御菓子は親指を立てて言った。
「だから待ってて! いま先生、普段は頼むことすら躊躇してたお色気ピンナップを作ってくるから!」
「やめてせんせー! それは傷跡がふかすぎる!」
足首にしがみついてひきとめる奏空。
御菓子は力尽くで振り払った。
「離しなさい! グリカにするわよ!」
「先生、このゲームグリカないです!」
「なあ、ちょっといいか」
両手をスッと掲げてステイステイの構えをとる赤貴。
「どうした、ユウハクでいうところのヒエイポジの赤貴」
「いたずらにバイアスをかけるのをやめろ」
「で、なあに?」
新御菓子先生に引きずられながら振り返る奏空に、赤貴は言葉を選ぶようにして言った。
「例えばだが、この世界がファンタジーRPGのような世界だと仮定したIFストーリーだとか、戦国時代を舞台にしたIFストーリーだとか、全員アメコミヒーローになっているIFストーリーがあったとしたら、やりたいか?」
「えっ……と……どういうこと? エイプリルフールの企画ってこと?」
「あれはあからさまに嘘だろう。その分本腰が入らない。別の世界戦を覗くという前提で、『うちの子が西部開拓時代の住人だったらこんなキャラになるかなあ』と空想し、それをプレイングにする。ある意味、自主的なスターシステム制度だ」
「え、どうかな……でもアメコミヒーローになってる自分って、想像するとはかどりそう」
若干素を取り戻しつつ空想する黄泉。
そんな彼らを、呼ぶ声。
「みんなー」
振り返る赤貴。
振り返る奏空。
振り返る黄泉。
振り返るキャノシマ。
振り返る新御菓子先生。
「古妖、倒すよー!」
きせきが古妖を首から下を土に埋めてノコギリを首に当てていた。
古妖に向き直るきせき。
「僕の名前を言ってみて?」
「えっしらなぎゃああああああああああああああああああああ!!!!」
リプレイで
血しぶきあびる
真顔かな
――赤貴、心の俳句。
古妖はは死んだ。明日はない。
親指で鼻頭を払う『雷切』鹿ノ島・遥(CL2000227)。
「悪い古妖が出たって? そいつは……」
上半身裸でミニスカートだけはいて身構えた。
「どれくらいの強さなああああああああああああにしてくれてんだべえええええええええええええにいいいいいいいいいいい!」
ジャンピングダブル後ろ回し蹴り(コマンド:124+KK)が知らないおっさんに直撃した。
はべしと言って倒れた赤いテーラードスーツの男。ネクタイを掴んで引っ張り上げる。
「これは俺の黒歴史だぞ! やっていいことと悪いことがあるだろ!」
「なんですって?」
記憶をたぐるように斜め下を見やる赤いおっさん。
「行間を読み間違えたミスは認めるが、なにか悪いことをしただろうか……」
「言葉でわからねーなら身体にわからせてやんよオラー!」
キャノシマ流空手奥義、ネクタイをキューって絞めるヤーツをかまして泡を吹かせると、一瞬でいつものコスチュームに戻った。
いつものキャノシマパイセンってどんなだったかな?
そう、下半身キャタピラだね!
あと腕ガトリングと肩から生えた壱弐○ミリキャノン砲だね。キャノシマ計画で作られた三機のうちのひとつ、キャノタンクだね。
「うち、屋上あるんだけど……焼いてかない?」
いつものキャッチフレーズと共に射程12のキャノン砲が唸るぞ!
「……鹿ノ島がやられたか」
「早かったね」
開幕早々キャラ崩壊ビームを浴びて男前なバトルマニア鹿ノ島からキャノタンクに転身してしまったさまを見た探索者たちはSAN値チェック。成功で1D6、失敗で1D100の正気度喪失です。
「あああああしまったあああああああ!」
地面にさいころ転がしていた『もう、どうにでもなれ……』工藤・奏空(CL2000955)は膝から崩れ落ちた。
その様子を見ていた『音楽教諭』向日葵 御菓子(CL2000429)が分厚い本のページをめくってみせる。
「一時的狂気に陥っちゃったね。狂気の種類をダイスロールで決めてね」
「せめてロールしやついやつこい……! 妄想みたいなやつこい……!」
巨大な六面ダイスをえいって投げる奏空。
なにがでるかなのテーマがひとしきりかかったあと、観客席のそばで止まったダイスには――『ゴリラ』。
「はいゴリラになりまーす。ウッホウッホウホウッホゴリラ!」
「「ウッホウッホウホウッホゴリラ!」」
ダイスを掲げて観客に変なネタを披露する小堺氏。
席に戻ると奏空ゴリラがバナナの皮をむきながら静かに人生について考えていた。
「というわけでね奏空さん。今日のテーマは『正義!』なんですけども。最近正義について考えたことありますでしょうか」
「ウッホウホ」
「そーですかあ。スパロボのスマホアプリがエロすぎるのは、客層を考える限り妥当な線じゃないですかねえ」
「ウホオウホオ! ウホホウッホ! ウホゴリラ!」
「ゴリラキューブの伏線が未だに回収されないのはイベシナですら流れるくらい需要がないからじゃないですかねえ」
「ウホッ!?」
「いい男」
「殺らないか?」
ベンチでツナギのファスナーを下ろすキャノシマパイセン。
その横でお色気キャラについて真剣に勉強しようとしている御菓子センセーがノートにメモしながらキャノシマの胸板や乳首からわずかに生える毛を観察していた。
「私……分かったわ。お色気キャラになりたかったけど、引き出しをあけたら『胸を押しつけて抱きしめる』『投げキスをする』しか入ってなかった昔の私とは違う」
「御菓子先生」
「違うわ! 私は新向日葵御菓子よ!」
背景に『新向日葵御菓子』と墨汁で書かれた垂れ幕をさげ、壁に『355』の風船をくっつけてデコりはじめる新御菓子せんせー。
「任せて。今の私は伊藤ライフが空想する姉系美少女の更に上を行く存在よ」
「せきくん、僕嫌な予感がする」
「ああ……逃げておくか」
ギャグはともかくエロや下ネタは事務所NGの『新緑の剣士』御影・きせき(CL2001110)と『歪を見る眼』葦原 赤貴(CL2001019)。
サッときびすを返すと全力で撤退した。
しかしまわりこまれてしまった!
「よみです」
『自殺撲滅委員会』神々楽 黄泉(CL2001332)に!
「このまえ、貞子VS伽耶子をみたんですけど……結末喋ってもいいですか?」
「やめて」
「じゃあ、その……ジャージのズボンとか、もってませんか」
「じゃあの意味がわからん」
けど親切に貸してあげる赤貴きゅんである。
オネショタマニアたちが涎を垂らして狙っているのも頷ける紳士さである。
よぶ? 品川さん。やめとく?
「やめろ。関係ないキャラをこれ以上増やすな」
カメラに向かって釘を刺す赤貴。
その後ろにぬるっと現われる御菓子。
「大丈夫。せんせーがいるからねー」
ローション(一般的な化粧品を指す)を手にOKサインみたいなのを出す御菓子。
「させるかっ、奏空バリア!」
「うわああああああああああああああ!」
ローションを塗った手で御神輿みたいにワッショイワッショイされる奏空に背を向けて、赤貴はニヒルにココアシガレットをくわえた。
「事務所NGは絶対のルール。神(ゴッズ)でさえ破ることは許されない。そうだろう、きせき」
ふりかえるときせきがいた。
古妖を柱にくくって足下に火をつけるきせきがいた。
ついた火に塩を塗った鮎やアルミホイルに包んだサツマイモを添えるきせきがいた。
「せきくーん! 焼き芋やけるよー!」
「サイコパスかよ!」
充血した目を限界まで見開く赤貴。(たぶん今回のなかで一番彼らしくないリアクション)
そんな背後にスライドイン・ザ・ヨミヨミ。
「だって、私も女の子だから……れ、恋愛とか、興味あるの」
「だっての意味がわからん、というかこの脈絡で出てくるな! 誤解されるだろうが!」
「でも、動いたらスカートみえちゃうし」
「でもの意味が……おいまてオレがさっき渡したジャージはどうした」
スッと振り返る黄泉。
身体を傾けて見やる赤貴。
ファスナーを下ろすキャノシマ。
「ウホ……」
奏空ゴリラがジャージをはいていた。
あとマイクを握ってスイッチを入れた。
「それでは聞いてください。奏空ゴリラで……『正義っていいな』」
オルガン伴奏を始める御菓子。
ライトの当たるステージで、奏空ゴリラは歌い始めた。
『正義っていいな』
詞:例の人
曲:新向日葵御菓子
はずみでしかけた核戦争
お金を出したの大統領
大陸も焼けてまた荒野 また荒野
いいないいな 正義っていいな
おいしい話に群がる暴徒
殺して奪えば簡単だろな
暴露暴露政策欺瞞
全員公務員化で国崩壊
「イギリスの無茶な政策は古くは第一次世界大戦から脈々と続く連鎖の先に見えていた、いわば予定された欺瞞だったんだ。国民を第一に考える政策は、結局のところ国庫を空にして他国に明け渡す自爆のようなもの。税金が零円になってみんながみんな公務員の世の中は素敵だけど、本当はただの地獄なんだ。僕らはそれをよく考えて行動しなきゃ行けない」
「ながい」
真っ白になった顔で短く呟く赤貴。
エロゲ塗りされた顔で頷く御菓子。
エロゲ塗りされた顔で俯く黄泉。
エロゲ塗りされた顔で唸るキャノシマ。
古妖の手首を縛ってぶら下げて足の裏をたき火であぶるきせき。
「しってる? こびとに取り替えられた子供はこうすると返して貰えるんだって」
「サイコパスかよ!」
「あとその説明今いらない!」
黄泉が頬を染めてはにかんだ。
「あ、ありがとうございます……えへへ」
「なにがありがとうなのか分からん」
「あのね、先生気づいたことがあるの」
会話どころか物理的に割り込んで、バイブ(一般的なマッサージ機を指す)を握りしめる御菓子。
「この依頼の趣旨って、キャラをいたずらに崩壊させてみるんじゃなくて、本来はやりたかったけどキャラやプレイヤーの都合上やろうにもできなかったことをやらせてみる、いわばスピンオフ企画なんだって」
「ウホ!?」
「キャノ!?」
同時に振り返る奏空ゴリラとキャノタンク。
御菓子は親指を立てて言った。
「だから待ってて! いま先生、普段は頼むことすら躊躇してたお色気ピンナップを作ってくるから!」
「やめてせんせー! それは傷跡がふかすぎる!」
足首にしがみついてひきとめる奏空。
御菓子は力尽くで振り払った。
「離しなさい! グリカにするわよ!」
「先生、このゲームグリカないです!」
「なあ、ちょっといいか」
両手をスッと掲げてステイステイの構えをとる赤貴。
「どうした、ユウハクでいうところのヒエイポジの赤貴」
「いたずらにバイアスをかけるのをやめろ」
「で、なあに?」
新御菓子先生に引きずられながら振り返る奏空に、赤貴は言葉を選ぶようにして言った。
「例えばだが、この世界がファンタジーRPGのような世界だと仮定したIFストーリーだとか、戦国時代を舞台にしたIFストーリーだとか、全員アメコミヒーローになっているIFストーリーがあったとしたら、やりたいか?」
「えっ……と……どういうこと? エイプリルフールの企画ってこと?」
「あれはあからさまに嘘だろう。その分本腰が入らない。別の世界戦を覗くという前提で、『うちの子が西部開拓時代の住人だったらこんなキャラになるかなあ』と空想し、それをプレイングにする。ある意味、自主的なスターシステム制度だ」
「え、どうかな……でもアメコミヒーローになってる自分って、想像するとはかどりそう」
若干素を取り戻しつつ空想する黄泉。
そんな彼らを、呼ぶ声。
「みんなー」
振り返る赤貴。
振り返る奏空。
振り返る黄泉。
振り返るキャノシマ。
振り返る新御菓子先生。
「古妖、倒すよー!」
きせきが古妖を首から下を土に埋めてノコギリを首に当てていた。
古妖に向き直るきせき。
「僕の名前を言ってみて?」
「えっしらなぎゃああああああああああああああああああああ!!!!」
リプレイで
血しぶきあびる
真顔かな
――赤貴、心の俳句。
古妖はは死んだ。明日はない。
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
『サイコパスかよ!』
取得者:御影・きせき(CL2001110)
『正義っていいな』
取得者:工藤・奏空(CL2000955)
『格ゲー進出が待たれる』
取得者:鹿ノ島・遥(CL2000227)
『ギャグ漫画に一人はいる』
取得者:葦原 赤貴(CL2001019)
『お色気の可能性を秘めしもの』
取得者:向日葵 御菓子(CL2000429)
『清純派の可能性を秘めしもの』
取得者:神々楽 黄泉(CL2001332)
取得者:御影・きせき(CL2001110)
『正義っていいな』
取得者:工藤・奏空(CL2000955)
『格ゲー進出が待たれる』
取得者:鹿ノ島・遥(CL2000227)
『ギャグ漫画に一人はいる』
取得者:葦原 赤貴(CL2001019)
『お色気の可能性を秘めしもの』
取得者:向日葵 御菓子(CL2000429)
『清純派の可能性を秘めしもの』
取得者:神々楽 黄泉(CL2001332)
特殊成果
なし
