桜吹雪の中舞う古妖
●舞いには芸で応えよう
ある日、F.i.V.E.を訪れようとしていた覚者。
その入り口に、ドヤ顔で立っている『芸術はえくすぷろーじょんですよ』新城 都(nCL2000091)の姿があった。
「ちょーっと待つのですよ」
いや、今から依頼の話を、ちょっと野暮用が。だが、ごーいんぐまいうぇいな都がそれを聞いてくれるはずもなく。
「都の芸術活動に一役買ってくれるんですね、わかります。では行きましょう」
結局、捲くし立ててくる都に圧倒され、覚者はずるずると彼女に引きずられていくのである。
向かった先は、桜の名所。
若干見ごろを迎え終わっている感があり、桜の花びらが散り始めている。
『花見にはちょっと遅いんじゃない?』
そんな覚者の問いに、都はちっちっと指を振った。
「違うのですよ」
都が覚者達を連れてきたのは、その一角に置かれたビニールシート。そこでは、すでに『薄幸の男の娘』菜花・けい(nCL2000118)が数人の覚者とお留守番をしていた。
「すごいのじゃ……」
けいは正面を向いて何かに見とれている。この場の覚者達もまた、ぽかーんと口を開けていた。
「ちょっと見ているといいですよ」
都に促され、しばしそこで座っていると。舞い散る桜の中で何かが動き始める。
やってきたのは、半透明で桃色の姿をした小人達。それらは花びらの雨の中、幻想的な舞いを見せてくれる。
「この時期だけ、姿を現してくれる古妖だという話ですよ」
都が言うには、『舞桜』と呼ばれる精霊のような存在なのだとか。
桜の時期に姿を現す彼らは桜が散る頃にのみ姿を現し、こうして散る桜を惜しむように踊るのだとか。知る人ぞ知る美しい光景なのだと都は言う。
「ただ、彼らも観客がいたなら、別に芸を見たいという要望があるようなのですよ」
そこで、都はどこからか、イーゼル……絵画用のスタンドを用意し始める。彼女はそのまま、この光景をキャンパスに収めようとデッサンを始める。
『……おい、途中で説明放棄して芸術活動始めんな』
覚者のそんな声にも、都はマイペースに絵と向き合う。その表情だけ見れば、確かに都は芸術家なのだと覚者は再認識していた。
「……つまり、この光景を見るのじゃったら、何かこちらも一芸をということらしいのじゃ」
そこで、嘆息するけいが都の説明をカバーして語る。
皆で楽しもうということなのか、見るなら見物料ということなのか。舞桜と呼ばれる古妖達がその理由を語ることはないが、ジェスチャーでそれらを求めているのはなんとなく解った。
「うちらも何かしようと思うのじゃが、何も準備してきてないのじゃ」
見て、聞いて、楽しませるものであれば、何でもよいらしい。現に、都が絵を描いている姿だけでも、古妖達は物珍しそうに眺めている。
「それじゃ、ちょっとだけ見物しながら待っていてほしいのじゃ」
とりあえずは交替で芸の準備を。けいは最初にいた覚者達と共に、一旦F.i.V.E.へと戻っていくのだった。
ある日、F.i.V.E.を訪れようとしていた覚者。
その入り口に、ドヤ顔で立っている『芸術はえくすぷろーじょんですよ』新城 都(nCL2000091)の姿があった。
「ちょーっと待つのですよ」
いや、今から依頼の話を、ちょっと野暮用が。だが、ごーいんぐまいうぇいな都がそれを聞いてくれるはずもなく。
「都の芸術活動に一役買ってくれるんですね、わかります。では行きましょう」
結局、捲くし立ててくる都に圧倒され、覚者はずるずると彼女に引きずられていくのである。
向かった先は、桜の名所。
若干見ごろを迎え終わっている感があり、桜の花びらが散り始めている。
『花見にはちょっと遅いんじゃない?』
そんな覚者の問いに、都はちっちっと指を振った。
「違うのですよ」
都が覚者達を連れてきたのは、その一角に置かれたビニールシート。そこでは、すでに『薄幸の男の娘』菜花・けい(nCL2000118)が数人の覚者とお留守番をしていた。
「すごいのじゃ……」
けいは正面を向いて何かに見とれている。この場の覚者達もまた、ぽかーんと口を開けていた。
「ちょっと見ているといいですよ」
都に促され、しばしそこで座っていると。舞い散る桜の中で何かが動き始める。
やってきたのは、半透明で桃色の姿をした小人達。それらは花びらの雨の中、幻想的な舞いを見せてくれる。
「この時期だけ、姿を現してくれる古妖だという話ですよ」
都が言うには、『舞桜』と呼ばれる精霊のような存在なのだとか。
桜の時期に姿を現す彼らは桜が散る頃にのみ姿を現し、こうして散る桜を惜しむように踊るのだとか。知る人ぞ知る美しい光景なのだと都は言う。
「ただ、彼らも観客がいたなら、別に芸を見たいという要望があるようなのですよ」
そこで、都はどこからか、イーゼル……絵画用のスタンドを用意し始める。彼女はそのまま、この光景をキャンパスに収めようとデッサンを始める。
『……おい、途中で説明放棄して芸術活動始めんな』
覚者のそんな声にも、都はマイペースに絵と向き合う。その表情だけ見れば、確かに都は芸術家なのだと覚者は再認識していた。
「……つまり、この光景を見るのじゃったら、何かこちらも一芸をということらしいのじゃ」
そこで、嘆息するけいが都の説明をカバーして語る。
皆で楽しもうということなのか、見るなら見物料ということなのか。舞桜と呼ばれる古妖達がその理由を語ることはないが、ジェスチャーでそれらを求めているのはなんとなく解った。
「うちらも何かしようと思うのじゃが、何も準備してきてないのじゃ」
見て、聞いて、楽しませるものであれば、何でもよいらしい。現に、都が絵を描いている姿だけでも、古妖達は物珍しそうに眺めている。
「それじゃ、ちょっとだけ見物しながら待っていてほしいのじゃ」
とりあえずは交替で芸の準備を。けいは最初にいた覚者達と共に、一旦F.i.V.E.へと戻っていくのだった。

■シナリオ詳細
■成功条件
1.花見で一芸を披露する。
2.まったりと桜の花々を眺める。
3.なし
2.まったりと桜の花々を眺める。
3.なし
幻想的な古妖の舞いは何とも素敵ですが、
どうやら、ただじゃ見せてはくれないようです。
●参加方法
基本的にはどちらかを選択の上、
参加を願います。
1.一芸披露!
何でもいいので、自身の得意とする芸を披露してみてください。
MVPに選ばれた方には、ご褒美があります。
最低でも1人は芸をする人が欲しいところですが、
都が一芸披露してくれているので、
よほどのことがなければ失敗はしません。
2.桜の花を見ながらまったり。
騒がしいのが苦手な方などはこちらへ。
少し離れた場所でまったりとした一時が過ごせます。
お1人で、あるいは大切な誰かとどうぞ。
●NPC
菜花・けい、新城・都が参加します。
都の一芸といえば、イラスト。
この日の為にと本物と見まごう桜並木の絵を披露します。
けいは童話の読み聞かせをと考えているようです。
●注意
公共の場ですので、公序良俗に反する行いはお控えください。
また、未成年の飲酒喫煙描写は出来ませんので、
予めご了承くださいませ。
●イベントシナリオのルール
・参加料金は50LPです。
・予約期間はありません。参加ボタンを押した時点で参加が確定します。
・獲得リソースは通常依頼難易度普通の33%です。
・特定の誰かと行動をしたい場合は『御崎 衣緒(nCL2000001)』といった風にIDと名前を全て表記するようにして下さい。又、グループでの参加の場合、参加者全員が【グループ名】というタグをプレイングに記載する事で個別のフルネームをIDつきで書く必要がなくなります。
・NPCの場合も同様となりますがIDとフルネームは必要なく、名前のみでOKです。
・イベントシナリオでは参加キャラクター全員の描写が行なわれない可能性があります。
・内容を絞ったほうが良い描写が行われる可能性が高くなります。
それでは、よろしくお願いいたします。
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:1枚
金:0枚 銀:0枚 銅:1枚
相談日数
6日
6日
参加費
50LP
50LP
参加人数
7/30
7/30
公開日
2017年04月27日
2017年04月27日
■メイン参加者 7人■

●古妖を楽しませる一芸を!
桜の花が舞い散る名所へと戻ってきた覚者達。
そこでは、全ての者がやってきた客であり、演者でもある。
華やかな、そして少しだけ散り際のせつなさを覚えさせる舞いを踊る古妖「舞桜」達。彼らは覚者達へと期待の視線を向けていた。
「……めでたしめでたし、なのじゃ」
丁度、けいが童話の読み聞かせをしていたのが丁度終わったところ。普段、F.i.V.E.にて依頼説明を行う彼はすっかり語り聞かせるのがうまくなったらしく、舞桜達も心地よく話を耳にしていたようだ。
そこへ、中学校音楽教師の御菓子が現れる。
「一芸……、ここはとっておきを見せるとしようかな♪」
手にギター、背中にバスドラム、スネアドラムにシンバル。口には、笛、ハーモニカ、カズーと呼ばれるブーテキのようなもの。
さらに、足にタンバリン、鈴と全身を楽器に包み、彼女は全身を使ってそれらを器用に演奏しながら、かのミュージカル映画でも有名な、ワンマンバンドを披露する。
「リクエスト頂戴ね♪」
そこで、次々に要望のある曲。御菓子はスローなバラードから、アップテンポなジグまで、様々な曲調を難なく弾いてみせる。けいが手拍子するのに合わせ、皆が音頭を取り始めると、御菓子は気を良くしていたようだ。
「えっと……、恥ずかしい腕前なのですが」
御菓子の歌が続く中、結鹿が続いて一芸披露する。
「今回は比重の違う液体を混ざらないようにシェーカーに静かに注ぎ、重ねるフロートという技法を使うんです」
まず、ザクロなどの果汁に砂糖を加えた赤いグレナデンシロップをグラスに注ぎ、氷の後、オレンジジュース。最後に、カキ氷のブルーハワイ味などで使用されるブルーキュラソー・シロップを、マドラーでグラスへと添わせて淹れる。
「……あら、不思議! 色が変わったように見えちゃうという演出なんです」
これぞ、プロでも難易度が高いとされるレインボーカクテル。ノンアルコール版なのは、今回の参加者が未成年者ばかりだからという気遣いからだ。
不思議そうに舞桜達が見つめるそのグラスへ、桜の花びらが舞い落ちてきていた。
●花見でまったり
ところで、この場には一芸披露をしているメンバーを遠目で見ている覚者の姿もある。
「ちょっと時期を逃しちゃったと思ったけど、こんな機会があってよかったわ」
ヤマトと一緒にこの場へやってきたありすは、ひらひらと舞い落ちる桜の花々を見つめていた。
ただ、ヤマトは花より団子なようで。
「団子も、桜の下で食べると、また一味違う感じだな」
「……もう、お団子より花を楽しみなさいよ」
ありすが呆れていると。団子を食べ終えて一息つくヤマトが彼女へと声をかけ、お姫様抱っこしてみせた。
「え、えっ? ちょっと!?」
「上から見ると、もっと綺麗だから、一緒に見ようぜ」
翼を羽ばたかせ、ヤマトは舞い上がる。
「上から見るのは良いけど、だからってこの体勢っ!?」
嬉しさよりも恥ずかしさが上回るありすは思わず暴れそうになるが、落下が怖い為に仕方なくヤマトにしがみつく。
「大丈夫。絶対離さないから」
「……うるさい、大丈夫とかそういう問題じゃないの。後で覚悟しなさい」
少しだけむくれるありす。ただ、空から見る桜の木々は下からとは違った美しさがあって。
「花見の特等席だな」
「……綺麗。こんな風になってるんだ」
普段見ることのない光景に、目を奪われるありす。
「散っていく花びらも上から見ると、なんだか川というか、波みたいね」
ヤマトはしばしありすの様子に喜んでいたが、桜に夢中な部分は少しばかり妬いてしまう。
「何だか、夢を見ているみたいね」
「なぁ、もう少し、このままじゃダメ、かな?」
髪の赤い2人のほのぼのとした一時に、舞桜達もほんのり頬を赤らめるのである。
「桜が散る頃にのみ、姿を現す古妖さんですか……。なんだか綺麗で可愛らしい方達ですよね」
ラーラはまったりと皆の演技を見ていた。
とはいえ、一人一芸というのに、唸っていた彼女はというと。
「ほら、ペスカの尻尾って、すごくふわふわしてて癒されるんですよ……!」
そう言って、彼女が古妖らに見せるのは、守護使役のペスカだ。
「こうやって、尻尾でもふもふしてるとすごく癒されるんですよ」
すごくほのぼのするのはいいのだが。舞桜達は顔を見合わせてしまって。
「うん……、わかってます。なんかちょっと、一芸とは違うなってことくらい」
それでも、ラーラはペスカと似た色の舞桜達へ、ペスカの尻尾に触ってみるよう促す。その触り心地に、古妖達もご満悦のようだった。
●再び一芸タイム、そして
次に一芸披露するのは、裾の長い立ち襟半被にねじり鉢巻きをつけた翔、奏空コンビだ。2人は和太鼓でのよさこい踊りに臨む。
「さって、古今東西! これより、和太鼓による演舞演奏を披露するよ。ずずずぃーと、御覧願います!」
「さあ、いっくぜー!!」
奏空の口上に続き、翔が掛け声を上げてバチを握り、演奏を開始する。桜が立ち並ぶ場所に身震いするほどの音が響き渡る。
「ハッ!」
覚者の2人はただ、太鼓を叩くだけではない。時折2人は互いの位置を替え、また、互いが演奏する間、水平に回転し、ステップを踏みながらもアクロバティックに宙返りしてみせた。その際、桜に当たらぬよう配慮を忘れない。
バチを握る2人の手は汗ばんで。全身からも爽やかな汗を流し、2人は力強く踊り、演奏する。
しばし、この場の全員が彼らの演舞に見とれる。古妖達は少しばかり驚いていたが、慣れればその心地を楽しんでいたようだ。
「な、良かったら一緒に踊ってみねー?」
翔が舞桜達に促すと、彼らも太鼓の音に合わせて踊り始めた。
楽しくも激しい演舞も終わりに近づき、奏空はバチを宙にくるくると投げ飛ばして自らでキャッチする。
翔と一緒に両手のバチを構えてビシッとポーズを決めると、周囲からは拍手が巻き起こった。
「ふー、できたのですよ」
その絵は、舞い散る桜と共に宙を踊る古妖「舞桜」の様子。その幻想的な様子を都は見事にキャンバスへと収めて見せた。
古妖達はそれを喜ぶものの。残念ながら、彼らにそれを持ち帰ることはできない。ただ、彼らは御菓子の弾き語りに気を良くしていたようだ。
「では、記念に持って帰るとよいのですよ」
都は舞桜の要望に応え、御菓子へとその絵を渡す。
しかしながら、元々たくさんの楽器を用意していたチビッコ教諭にとってはありがた迷惑だったようで。
「誰か、手伝ってください~」
絵画を持ち運べず、彼女はこの場の覚者達に助けを求めると、桜湯を飲んでいた男性陣がサポートに入っていたのだった。
桜の花が舞い散る名所へと戻ってきた覚者達。
そこでは、全ての者がやってきた客であり、演者でもある。
華やかな、そして少しだけ散り際のせつなさを覚えさせる舞いを踊る古妖「舞桜」達。彼らは覚者達へと期待の視線を向けていた。
「……めでたしめでたし、なのじゃ」
丁度、けいが童話の読み聞かせをしていたのが丁度終わったところ。普段、F.i.V.E.にて依頼説明を行う彼はすっかり語り聞かせるのがうまくなったらしく、舞桜達も心地よく話を耳にしていたようだ。
そこへ、中学校音楽教師の御菓子が現れる。
「一芸……、ここはとっておきを見せるとしようかな♪」
手にギター、背中にバスドラム、スネアドラムにシンバル。口には、笛、ハーモニカ、カズーと呼ばれるブーテキのようなもの。
さらに、足にタンバリン、鈴と全身を楽器に包み、彼女は全身を使ってそれらを器用に演奏しながら、かのミュージカル映画でも有名な、ワンマンバンドを披露する。
「リクエスト頂戴ね♪」
そこで、次々に要望のある曲。御菓子はスローなバラードから、アップテンポなジグまで、様々な曲調を難なく弾いてみせる。けいが手拍子するのに合わせ、皆が音頭を取り始めると、御菓子は気を良くしていたようだ。
「えっと……、恥ずかしい腕前なのですが」
御菓子の歌が続く中、結鹿が続いて一芸披露する。
「今回は比重の違う液体を混ざらないようにシェーカーに静かに注ぎ、重ねるフロートという技法を使うんです」
まず、ザクロなどの果汁に砂糖を加えた赤いグレナデンシロップをグラスに注ぎ、氷の後、オレンジジュース。最後に、カキ氷のブルーハワイ味などで使用されるブルーキュラソー・シロップを、マドラーでグラスへと添わせて淹れる。
「……あら、不思議! 色が変わったように見えちゃうという演出なんです」
これぞ、プロでも難易度が高いとされるレインボーカクテル。ノンアルコール版なのは、今回の参加者が未成年者ばかりだからという気遣いからだ。
不思議そうに舞桜達が見つめるそのグラスへ、桜の花びらが舞い落ちてきていた。
●花見でまったり
ところで、この場には一芸披露をしているメンバーを遠目で見ている覚者の姿もある。
「ちょっと時期を逃しちゃったと思ったけど、こんな機会があってよかったわ」
ヤマトと一緒にこの場へやってきたありすは、ひらひらと舞い落ちる桜の花々を見つめていた。
ただ、ヤマトは花より団子なようで。
「団子も、桜の下で食べると、また一味違う感じだな」
「……もう、お団子より花を楽しみなさいよ」
ありすが呆れていると。団子を食べ終えて一息つくヤマトが彼女へと声をかけ、お姫様抱っこしてみせた。
「え、えっ? ちょっと!?」
「上から見ると、もっと綺麗だから、一緒に見ようぜ」
翼を羽ばたかせ、ヤマトは舞い上がる。
「上から見るのは良いけど、だからってこの体勢っ!?」
嬉しさよりも恥ずかしさが上回るありすは思わず暴れそうになるが、落下が怖い為に仕方なくヤマトにしがみつく。
「大丈夫。絶対離さないから」
「……うるさい、大丈夫とかそういう問題じゃないの。後で覚悟しなさい」
少しだけむくれるありす。ただ、空から見る桜の木々は下からとは違った美しさがあって。
「花見の特等席だな」
「……綺麗。こんな風になってるんだ」
普段見ることのない光景に、目を奪われるありす。
「散っていく花びらも上から見ると、なんだか川というか、波みたいね」
ヤマトはしばしありすの様子に喜んでいたが、桜に夢中な部分は少しばかり妬いてしまう。
「何だか、夢を見ているみたいね」
「なぁ、もう少し、このままじゃダメ、かな?」
髪の赤い2人のほのぼのとした一時に、舞桜達もほんのり頬を赤らめるのである。
「桜が散る頃にのみ、姿を現す古妖さんですか……。なんだか綺麗で可愛らしい方達ですよね」
ラーラはまったりと皆の演技を見ていた。
とはいえ、一人一芸というのに、唸っていた彼女はというと。
「ほら、ペスカの尻尾って、すごくふわふわしてて癒されるんですよ……!」
そう言って、彼女が古妖らに見せるのは、守護使役のペスカだ。
「こうやって、尻尾でもふもふしてるとすごく癒されるんですよ」
すごくほのぼのするのはいいのだが。舞桜達は顔を見合わせてしまって。
「うん……、わかってます。なんかちょっと、一芸とは違うなってことくらい」
それでも、ラーラはペスカと似た色の舞桜達へ、ペスカの尻尾に触ってみるよう促す。その触り心地に、古妖達もご満悦のようだった。
●再び一芸タイム、そして
次に一芸披露するのは、裾の長い立ち襟半被にねじり鉢巻きをつけた翔、奏空コンビだ。2人は和太鼓でのよさこい踊りに臨む。
「さって、古今東西! これより、和太鼓による演舞演奏を披露するよ。ずずずぃーと、御覧願います!」
「さあ、いっくぜー!!」
奏空の口上に続き、翔が掛け声を上げてバチを握り、演奏を開始する。桜が立ち並ぶ場所に身震いするほどの音が響き渡る。
「ハッ!」
覚者の2人はただ、太鼓を叩くだけではない。時折2人は互いの位置を替え、また、互いが演奏する間、水平に回転し、ステップを踏みながらもアクロバティックに宙返りしてみせた。その際、桜に当たらぬよう配慮を忘れない。
バチを握る2人の手は汗ばんで。全身からも爽やかな汗を流し、2人は力強く踊り、演奏する。
しばし、この場の全員が彼らの演舞に見とれる。古妖達は少しばかり驚いていたが、慣れればその心地を楽しんでいたようだ。
「な、良かったら一緒に踊ってみねー?」
翔が舞桜達に促すと、彼らも太鼓の音に合わせて踊り始めた。
楽しくも激しい演舞も終わりに近づき、奏空はバチを宙にくるくると投げ飛ばして自らでキャッチする。
翔と一緒に両手のバチを構えてビシッとポーズを決めると、周囲からは拍手が巻き起こった。
「ふー、できたのですよ」
その絵は、舞い散る桜と共に宙を踊る古妖「舞桜」の様子。その幻想的な様子を都は見事にキャンバスへと収めて見せた。
古妖達はそれを喜ぶものの。残念ながら、彼らにそれを持ち帰ることはできない。ただ、彼らは御菓子の弾き語りに気を良くしていたようだ。
「では、記念に持って帰るとよいのですよ」
都は舞桜の要望に応え、御菓子へとその絵を渡す。
しかしながら、元々たくさんの楽器を用意していたチビッコ教諭にとってはありがた迷惑だったようで。
「誰か、手伝ってください~」
絵画を持ち運べず、彼女はこの場の覚者達に助けを求めると、桜湯を飲んでいた男性陣がサポートに入っていたのだった。
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
『絵画:桜と舞桜の舞踏』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:向日葵 御菓子(CL2000429)
カテゴリ:アクセサリ
取得者:向日葵 御菓子(CL2000429)

■あとがき■
リプレイ、公開です。
MVPは楽器を用意し、
この場の人々を魅了する
歌と演奏を披露してくれた先生へ。
今回は参加していただき、
本当にありがとうございました!!
MVPは楽器を用意し、
この場の人々を魅了する
歌と演奏を披露してくれた先生へ。
今回は参加していただき、
本当にありがとうございました!!
