焼き肉たべにいく依頼
焼き肉たべにいく依頼


●だから焼き肉たべにいく依頼だっつってんだろ!
「皆、焼き肉屋の優待券を貰ったんだが、用事があって有効期限が切れそうなんだ。折角貰ったものを破棄するのももったいないし、興味があれば誰か行ってきてくれないか。ついでお金は出すから」
 中 恭介(nCL2000002)がポケットから財布出しながらンなことを言ったので、床で絨毯と一体化していた文鳥 つらら(nCL2000051)がぺらりと起き上がった。
「ひゃひにく……うさぎしゃんのにくでひゅか……」
「うしさんの肉だ」
「いきまひゅ……」
 動物さんたちと協力(という名の邪魔)しながら頑張って立てた小屋が謎の火事で全焼したばかりである。ならばと野草をうまうまして過ごしていたが、食べられる草が近くに無くなってきたので絶賛ピンチ中である。
 さておき。
「焼き肉食べるだけで帰るのもナンだろう。その後の予定やなんかを話し合って、適当に楽しく過ごしてくれ。まあ、これも保養の一環だ。皆はいつも頑張ってくれているしな」


■シナリオ詳細
種別:通常
難易度:簡単
担当ST:八重紅友禅
■成功条件
1.焼き肉をたべる
2.なし
3.なし
 このシナリオは特に巨大な目的もなくただ焼き肉を食い、皆で『このあとどーするー?』とか言いながら軽く終電まで(もしくは明日の始発まで)過ごすきわめてダラダラした依頼です。なので命数が回復します。経験値も入ります。誰かとダラダラ過ごすってーのは人生の経験値になるんだよ。

 焼き肉屋。
 ランチだったら600円で食べられる程度の、そして夜だったら1200円くらいから食べられる店の五千円券を二枚貰っています。定員マックスでも7人なので、かるく一食分食べたり飲んだりしてください。
 その後だらっと楽しむためのお小遣いを貰っているので、テキトーに過ごして帰りましょう。
 どう過ごすかは相談で決めてください。別に全員そろって居なくてもいいですし、2つか3つに分かれて過ごして貰ってもそれはそれで構いません。テキトーにとのことなので。
 なるたけ楽しんで過ごしたいですね。うまいこと仕切れたらMVPとか色々考えます。
状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:3枚
(3モルげっと♪)
相談日数
7日
参加費
100LP[+予約50LP]
参加人数
6/6
公開日
2017年04月07日

■メイン参加者 6人■

『星唄う魔女』
秋津洲 いのり(CL2000268)
『在る様は水の如し』
香月 凜音(CL2000495)
『花屋の装甲擲弾兵』
田場 義高(CL2001151)
『五行の橋渡し』
四条・理央(CL2000070)
『デアデビル』
天城 聖(CL2001170)

●町と店と煙と
 雑踏と空の茜色。
 駅前からすこしばかり歩いた商店街の端に、その焼き肉屋はぽつんと存在していた。
 『星唄う魔女』秋津洲 いのり(CL2000268)は手書きの地図を頼りに、駅前に堂々と鎮座するパチンコ屋やさびれたカラオケショップを通り抜け、焼き肉屋の前までやってきた。
 夕方にかかる時間ゆえか、外には赤い提灯が下がっている。場合によっちゃあお酒を飲みに来るような場所なのだろうか。いのりにはまるでなじみのない空間だった。
 ふと見ると、同じようになじみのなさそうな子供がひとりふたり。
 文鳥 つらら(nCL2000051)と『黒い太陽』切裂 ジャック(CL2001403)が若干気まずそうに並んでいた。
 ジャックはジャックで軽くこの子の存在を忘れていたらしくぼうっといのりたちを待っているし、つららはつららでこの人誰だろう話しかけてこないけど別のグループの人かなという顔でちらちら見ていた。
「こんばんわ。二人とも、お待たせしてしまいましたかしら」
 いのりはにこやかに、二人に向かって手を振った。

「なんだ、店の前で待ってたのか。先に入ってればいいのに」
 『慧眼の癒し手』香月 凜音(CL2000495)が首の辺りにてをやったままてらてらと現われた。
 すごいどうでもいいんだけど、よく男子がボーズの一環としてやる首の後ろに指をそえるやつ、どういう心情なんだろう。神経質で首が頻繁にこることを示唆しているんだろうか。
「子供だけで入るのがイヤだったんじゃない? おっさんがくぐるタイプののれんだよソレ」
 店構えを指さしてえらいことを言う『異世界からの轟雷』天城 聖(CL2001170)。
 その横では『花屋の装甲擲弾兵』田場 義高(CL2001151)が黙って腕組みしていた。
 どうやら凜音とは別ルートからやってきたようで、店の前でばったりと出会った形になってしまった。
「もう全員そろってる? 何人?」
 ちっちゃいバッグ片手に現われた『五行の橋渡し』四条・理央(CL2000070)が、メンバーを端から順に見回していく。
「全員いるね。じゃ、入ろうか」

●例えば当たり前の
「よく世間じゃひとの金で焼き肉食べたいなんて言うけどさ、なんで焼き肉? 寿司とかケーキとかじゃダメなのかって……あっそれ焦げそう。もらうね」
 タレにちょいちょいつけたカルビ肉をはぐはぐしていく聖。
 脂ものが苦手なのか、油の落ちたものを好んで食べていた。
「焼き肉って大体のひとが好きだろうし、日常的に食べそうだからわかるけど……あっタンちょうだい。レモン汁とってレモン」
 レモン汁とおろしポン酢をそれぞれ用意して牛タンをとっていく聖。
「でさ……えっと、私なに言おうとしたんだっけ?」
「すまん。よく聞いてなかった」
 横で黙々と肉と白飯のローテを繰り返していた義高がちらりと顔をあげた。
 そのまた横ではつららがひたすらに白飯をかっ込んでいる。
 プレイングが白飯状態だった義高はともかくとして、誰も触れてないつららの出番は今ここで終わったことをご報告しておきたい。
「私、ホルモン中心に焼いていきたいかな。そういえば皆、焼き方こだわるほう? 直箸イヤとか」
 一旦顔を上げる理央に、聖や凜音がいやいや別に気にしないというジェスチャーをした。
 割と最初からそうだったが、今回は皆好き勝手に焼いて好き勝手に喰うパターンになったようだ。
 格式張った所でもないので、こんなもん好きに食えばいい話である。
「このお店、内臓系沢山置いてるんだね。でもとりあえずは……」
 じわじわ焼いてる理央の姿を、いのりはじーっと観察していた。
「えっと、めずらしい?」
「焼き肉屋さん、初めてなんです。自分でお肉を焼くんですね。なんだか不思議な気分ですわ」
「そっか。じゃあ、焼けたらあげるから、もう少し待っててね。生焼けは危険だから」
 別に細かい話をするわけじゃないが、焼き肉店は扱う食品のデリケートさと低価格化のしわ寄せとして食中毒事件が頻繁に起きていた。生肉すすっても平気そうな高級肉店ならまだしも、安いお店でよく火を通さずに食べるのはあんまりよろしくない。
「いのりも、タンをいただいても?」
「いいよ。焼けてるから、こっちね」
「これも初めてですわ。タンシチューはあっても、薄く切って焼くだなんて……」
 レモンをつけてはむはむやるいのり。
 その様子を、理央は保護者みたいな視線で眺めていた。
 保護者といえば。
「ちゃんと焼き方覚えてきたから、任せてな! 肉は女の子と同じやき、ちゃんと焼いてあげれば、ちゃんと見ていてあげれば、ちゃんと育ててあげれば、美味しくなるってもんよ。美しい熟女にしてやるよ。美味しくなあれ……」
「おまえ、どこで覚えてきたんだそんなフレーズ。ほら、服汚すぞ、ナプキンかけとけ」
 ノリノリで肉を焼くジャックを、凜音が保護者みたく面倒をみていた。
 いつもの凜音であり、いつものジャックである。
 『カルビください』とか注文してる凜音をよそに、ジャックはひたすらに解説を続けていた。
「表面に脂が浮いてしたときが返しどきやき。それまでは赤子泣いても蓋とるなというやつだ……って、お? なんで俺のとこに肉持ってるの?」
「お前薄っぺらいんだから、どんどん食べて肉つけとけ」
 ジャックの頭をわしゃわしゃやると、凜音は彼の更に肉を盛りつけていった。
 さらにはご飯をおかわりさせていた。
「あ、たべますたべま……子供扱いか! ああっ、焼き肉と一緒に食べる白米ってどうしうしてこんなに美味いんだろうな!」
「よしよし。沢山食べとけ」
 ろくに抵抗せずにされるがまま、というか出されるがままに食べていくジャック。
 途中から凜音に焼いてもらって食べるサイクルになっていったが、ピーマンを置かれたあたりでぴたりと手を止めた。
 具体的にはサンチュ巻いていた手を止めた。
「ピーマンいらない! やだ!」
「いいから食えよ。あーんしてやろうか」
「くっ……」
 とかなんとかやりながら、皆好き好きに肉をお腹いっぱい食べた。

●三々五々
「テッチャンというのも、気に入りました。コリッとしていておもしろい食感ですわね。」
 まだ焼き肉の余韻がある中、いのりはうっとりと焼き肉の感覚に浸っていた。
 お肉を食べるというのは人体にとってそこそこ特別なことのようで、身体に暫くお肉っぽいブーストがかかった感覚が残るものだ。
 子供のうちはその辺がわかりにくいが、三十代過ぎるとなんとなーくその感覚になってくる。普段から弱っているのだろうか。
 ゆーても若者揃いのこのメンバーにはそういう感覚はないようで。
「この後どうする」
「甘い物食べたいな!」
 凜音がなんとなく発した問いかけにジャックがかぶせ気味に応えた。
「凜音の家、なんかある?」
「パンケーキくらいならすぐ焼ける。アイスでも添えて喰うか」
「くう!」
 この二人は早速なじんだようで、凜音はジャックをつれて家へ帰るようだ。
「ああ、俺は明日も仕事だからな、悪いがここで抜けるわ」
 小さく手を上げた義高が遠回しに『預かったお小遣いは好きに使ってくれ』と封筒を手渡してきた。
 つららも似たような理由で帰るようで、一旦バイバイしてからいのりと聖、でもって理央が残る形になった。
 二次会ってえのは必然的に人がへるもんである。
 聖が視線だけで『どうすんの?』と投げかけると、理央は小さく手を振った。
「さっきまでは普通にご飯だったから、ここから本格的にお酒を飲みに行こうかなって思うよ」
 流石に大学生というだけあって、ナチュラルに一人酒の飲み方を知っていたようだ。もしくは、こういう時だからちょっと冒険したくなったのか。
 ともかく、理央は封筒の中身を分けるようにして聖たちと分かれて駅方面へと歩いて行った。

 残されたのは聖といのり。
 いのりはまだまだ遊び足りないといった様子で、聖はさすがにこの子一人で置いていったらダメだよなあという空気を肌で感じていた。
「どっか行きたいとこある?」
「ゲームセンターというところに行ってみたいですわ!」
 目をきらきらさせるいのり。
 聖は積まれた煙草の積み上がった灰皿と麻雀筐体をふわっと想像して、そのイメージをかき消した。たぶんこっちじゃない。
「ぬいぐるみをとるゲームがあると聞いたので」
「だよねえ」
 昨今のゲームセンターはそういうところだよねえ。
 19歳のわりに感覚がズレている聖である。
「私も久しぶりに行ってみようかなー。あっちの方にあったはずだから、でかいとこ」
 いのりと一緒になって歩いて行くと、いかにもデートのためにありますよって具合なオープンなゲームセンターがあった。
 マジックアームカワイイキャッチ(忍殺でみかけた権利関係にふれない便利ワード)が無数に並んでいる。奥の方にはプリントシール筐体(一見してなんのことか分からない不便なワード)の密林ができていた。
 アームが動いてぬいぐるみを取ったり取らなかったり(大体はとらない)するさまを見せながら、聖はいのりに操作方法を説明していく。
 といっても、やっぱデートに使われるだけあって誰でもすぐにわかるような作りだった。
「ここを押して動かせばいいんですね」
「それぞれ一回しか押せないから気をつけて……っていうか、気楽にやって。とれないのが当たり前みたいなもんだから」
 聖は封筒の中身をそっと確認してから言った。

「お酒に酔うって、どんな感じなんだろ。ジュース飲んでるときとあんまり変わらないな」
 身体が温かくなるのは気持ちいいかなあ、とか思いつつ、理央は一人グラスを傾けていた。
 ジャズの流れるバーのカウンターである。
 ここ最近、ちょっとばかり慌ただしい事件が重なったけれど、自分の中ではさほど世界が動いたようには見えていない。むしろ、自分の関わった事件があのあとどう進展していくのかのほうが気になっていた。
「大地の遺跡、気になるな。はやく続報、来ないかな」
 もういっぱいのカクテルを注文しつつ、理央はとっくりと頬杖をついた。

 それから暫くして。
「今日からあなたはうちの子ですわ!」
 大きいぬいぐるみをぎゅうっと抱きしめて、いのりは駅にむかう道を歩いていた。
 横では聖が苦笑しながら頭の後ろに手を組んでいる。
 あれから『アームが弱すぎますわ!』とか言いながらひたっすらリトライし続けていたが、挑戦が十回を超えたあたりから店員がそーっと寄ってきてめちゃくちゃ落としやすい位置に動かしてくれた。買ったほうが安いくらいになるといっそ獲らせるという、ゲーセンあるあるである。
 落とした瞬間もそうだが、まあ本人がえらく喜んでいるので、聖としては何もいうことはない。
 なんだか、ごく普通の休日を過ごしたような、そんな気分だ。
 明日の予定はなんだっけ。

■シナリオ結果■

成功

■詳細■

MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし




 
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