あれから──５年。
　お出かけ日和の初夏の休日。ショーウィンドウの前で足を止める一組の男女。
　それは成瀬 翔（CL2000063）と麻弓 紡（CL2000623）。
　互いに隣にいるのが当たり前。ずっと唯一無二の相棒だった二人の間にも変化が生じていた。
　当たり前の様に腕を絡ませる紡と、それを少し照れながら受け入れる翔。二人が正式に付き合い始めてもう１年半。過ごした時間はそれなりにあるはずなのだが、未だ初々しさが残る。
「わぁー、ひらひらふわふわだねぇ……」
　紡が目を輝かせるのはショーウィンドウに飾られた純白のドレス。それは女の子の誰もが憧れるもの。
「(……紡にはアレ、似合いそうだな)」
　はしゃぐ紡とは対照的に、ぼんやりとそれを眺めていた翔から思わずこぼれた言葉。
「ねぇ、翔……？　それって、ボクに着て欲しいってコト？」
　無意識に洩れたであろう翔の心の声に即座に反応する紡。
「へ？　……ッ！　（口に出してた……！？　これじゃまるで……！！）」
　思わず口を押さえ赤面する翔。あたふたも動悸も止まらない。
　そんな翔の様子をほんの少しだけ意地悪そうな顔で見つめる紡。
「ふふふ、楽しみにしてる……ね？」
　
　遠くない未来。
　間違いなく紡は、純白のドレスを纏う事になる。
　そしてその横には勿論──翔がいる。