思い出ピンナップ
うららかな昼下がり。軽やかな音楽が流れるビアカフェ『Beer Cafe Malt』。
店長の阿久津 亮平(CL2000328)はカウンターに座る賀茂・奏空(CL2000955)と賀茂 たまき(CL2000994)――そして紅崎・誡女(CL2000750)の三人の為に作ったアップルパイを置いた。
「やっぱり亮平さんのアップルパイはサイコー!」
「ふふ……! 阿久津さんのアップルパイは、確かに絶品ですが、そんなに頬張ると、喉に詰まってしまいますよ……?」
「そんなこと言ったって、これだけ美味しかったら……けふっ!」
「もう、しょうがないですね」
慌ててパイを食べてせき込む奏空の背中を擦るたまき。その後に二人は小さく笑う。
「そんなに喜んでもらえてうれしいよ」
コップを磨きながら亮平は二人の様子を見ていた。こうして笑っていられるのも、戦いが終わったからこそだ。源素をめぐる戦い。それが終わり、妖は消えた。犠牲もあったが、世界は新たなる時代を迎えたのだ。
「……アップルパイ。誡女さんにも届きますように」
亮平はカウンターに置かれた三つ目のアップルパイを見る。そこには誰もない。少なくとも亮平にはそこに誰かがいるようには見えなかった。
「ええ、届いてます。食べることはできませんが、阿久津さんの温かい心は伝わっています」
たまきの視線は誰もいない椅子を見ていた。正確には、そこにいる誡女の姿を。
<ありがとうございます。亮平さん>
そこにいるのは、FiVEの戦いの中で命を落とした誡女の霊体。彼女がここにいるのは果たせなかった約束に対する謝罪と、そして友に別れを告げる為。死人は蘇らない。だから共に歩むことはできない。
<奏空さんもたまきさんもお疲れ様。無事でよかったわ。これからも見守ってますね>
仲睦まじい二人を見て、安堵するように誡女は頷く。激しい戦いの中、二人が無事でよかった。こちら側に来なくてよかった。それを見ることが出来て満足だ。FiVEが護りぬいた光景のなんと眩しいことか。
「そうか。なら良かった」
たまきの言葉に頷く亮平。霊が見えない亮平は誡女の姿を見ることはできないが、彼女が喜んでくれるのならそれでよかった。瞳を閉じて彼女の笑顔を思い出し、満足げにほほ笑む。
「うん。紅崎さんの為にも、俺達は頑張らなくちゃ!」
パイを頬張りながら奏空は頷いた。犠牲は確かに悲しいことだけど、だからこそそれを無駄にしないように生きなくては。いつか誡女に会う時に、築いた世界と幸せを告げる為に。
それは覚者達が護りぬいた新たなる世界。そこにある穏やかな一頁――
店長の阿久津 亮平(CL2000328)はカウンターに座る賀茂・奏空(CL2000955)と賀茂 たまき(CL2000994)――そして紅崎・誡女(CL2000750)の三人の為に作ったアップルパイを置いた。
「やっぱり亮平さんのアップルパイはサイコー!」
「ふふ……! 阿久津さんのアップルパイは、確かに絶品ですが、そんなに頬張ると、喉に詰まってしまいますよ……?」
「そんなこと言ったって、これだけ美味しかったら……けふっ!」
「もう、しょうがないですね」
慌ててパイを食べてせき込む奏空の背中を擦るたまき。その後に二人は小さく笑う。
「そんなに喜んでもらえてうれしいよ」
コップを磨きながら亮平は二人の様子を見ていた。こうして笑っていられるのも、戦いが終わったからこそだ。源素をめぐる戦い。それが終わり、妖は消えた。犠牲もあったが、世界は新たなる時代を迎えたのだ。
「……アップルパイ。誡女さんにも届きますように」
亮平はカウンターに置かれた三つ目のアップルパイを見る。そこには誰もない。少なくとも亮平にはそこに誰かがいるようには見えなかった。
「ええ、届いてます。食べることはできませんが、阿久津さんの温かい心は伝わっています」
たまきの視線は誰もいない椅子を見ていた。正確には、そこにいる誡女の姿を。
<ありがとうございます。亮平さん>
そこにいるのは、FiVEの戦いの中で命を落とした誡女の霊体。彼女がここにいるのは果たせなかった約束に対する謝罪と、そして友に別れを告げる為。死人は蘇らない。だから共に歩むことはできない。
<奏空さんもたまきさんもお疲れ様。無事でよかったわ。これからも見守ってますね>
仲睦まじい二人を見て、安堵するように誡女は頷く。激しい戦いの中、二人が無事でよかった。こちら側に来なくてよかった。それを見ることが出来て満足だ。FiVEが護りぬいた光景のなんと眩しいことか。
「そうか。なら良かった」
たまきの言葉に頷く亮平。霊が見えない亮平は誡女の姿を見ることはできないが、彼女が喜んでくれるのならそれでよかった。瞳を閉じて彼女の笑顔を思い出し、満足げにほほ笑む。
「うん。紅崎さんの為にも、俺達は頑張らなくちゃ!」
パイを頬張りながら奏空は頷いた。犠牲は確かに悲しいことだけど、だからこそそれを無駄にしないように生きなくては。いつか誡女に会う時に、築いた世界と幸せを告げる為に。
それは覚者達が護りぬいた新たなる世界。そこにある穏やかな一頁――
