水は一度沸騰させて塩分を飛ばす。その後に冷ましたものを再度温める。
　５０度の温度でじっくりとお茶の旨みを引き出すお茶。渋みを抑えるために７０度で淹れるお茶。渋みと香りを引き出すために１００度のお湯で一気に成分を引き出すお茶。
　お茶請けだって大事だ。見た目で見せる為に明るい色ばかりを集めては意味がない。美味しく、それでいて体にいい物を選ばなくては。金柑の砂糖漬け、棗、龍眼、月餅、胡麻団子、菊花酥。忘れてはいけない杏仁豆腐。
「シャロさん、如何ですか？」
　お茶を注ぎながら天堂・アガタ（CL2001611）は椅子に座っている者に問いかける。かつて非合法組織に組していたアガタを救ってくれた人。などのその恩返しとばかりにこの中華アフタヌーンティーを催したのだ。毒を扱っていた知識から薬膳系はお手の物である。
「うん、流石ワタシのアガタだ」
　お茶を口にしたシャーロット・クィン・ブラッドバーン（CL2001590）は静かに頷く。殺伐とした覚者の戦いの仲アガタと出会い、彼女を癒すうちにシャーロット自身も癒されていた。アガタとお茶の味に頬を緩める。
「ありがとうございます。まだまだありますよ」
「ああ、楽しませてもらうよ」
　愛をまだ知らぬ鴉と、愛を与える剣士。
　そんな二人のお茶会は、穏やかに過ぎていく。