「やはり、こうなったか」
「ああ、やはり戦う運命だったんだな」
　二人の屈強な男が今、対峙するその場は卓球台。
　ここはFiVE村。温泉旅館完成を祝う卓球大会の会場。
　観客の熱気も最高潮に高まる中、今まさに決勝戦が行われようとしていた。
　決勝にコマを進めたのは見た目にも逞しい二人の勇猛な男たち。ゲイルと村長の辰巳である。
　二人とも緒戦から一切の妥協をせず、全力で相手を打ち倒してきた。
　浴衣からちらりと覗くその筋肉はすでに程よくパンプアップされ、うっすらと上気した体からは汗が滴り落ちる。二人の肉体は決勝戦を前に完璧に仕上がっていた。
「どっちが勝っても恨みっこ無しだぜ」
「当然だ。本気でいかせてもらうぞ」
「あったりまえだ。真剣勝負だぜ！！」
　開始と同時に雄叫びを上げながら打ち合う二人。その勢いに載せられるかのように熱気を帯びた声援を送る観客たち。
「たぁぁーーーーー！！！」
「なんのっ！！！！」
　観客の声援と球を打つラケットの音が響く中、一進一退の攻防は続く。
「うぉーーーーーー！！！」
「とりゃぁぁーーーー！！」
「村長がんばれーーー！！」
「ゲイル負けるなーー！！」
　そしてとうとう優勝者が決した時には──
　決勝はお昼過ぎに始まったにも関わらず、すでに日はとっぷりと暮れていたという。