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　ホワイトデー当日の放課後。
　成瀬 翔（CL2000063）は相棒である麻弓 紡（CL2000623）を、『ラ・フォレ』へと呼び出す
　そこは、紡の親友でもあり、翔の従姉のレストラン。
　ここに紡を招待したのはもちろん、先月もらったチョコのお返しをする為だ。
　長い金髪を三つ編みサイドテールにし、カーディガンを纏うその姿は女子高生にも見える紡。
　何だろうと店内に入る彼女がテーブルにつくと、その前に翔が差し出したのは、黒い鉄製フライパン付パンケーキだった。
「おおおーっ」
　思いもよらぬ物が出てきて、紡は目を丸くする。
　パンケーキの上にはたくさんのカットフルーツがトッピングされて非常に豪華だ。そばには、ホットドリンクとシロップ瓶も並べられていた。
「へっへー！　オレだって、これくらい出来るんだぜ？」
　渾身の出来に、制服の上から青いエプロンを付けた翔もドヤ顔で胸を張る。
「翔、すごいすごいっ！　絵本のまんまなホットケーキだっ」
　キャーッと喜び、紡は手をパチパチ。
　以前、彼女はこれを食べてみたいと話していたのだ。
「冷める前に食えよなっ」
　翔はこの為に、このイラストが載った絵本を借りてきてまで、従姉にこれを作りたいと頼み込んだが、間違いではなかったと実感する。
　翔の初めての手作りホワイトデーは大成功に違いない。
「ところで、それ……」
　紡は彼が右手をずっと隠したままなのが気になり、指さす。
「あっ、いや、これは……」
　絆創膏まみれの右手に気づかれ、翔は思わず愛想笑いしてしまうのだった。