クリスマス2018 SS


 

 じーっと。
 レシピとにらめっこしていた桂木・日那乃は、視線をボールへと戻す。

 材料は、合っている。
 分量も、バッチリ。

 シャカシャカと、ボールの中身をかき混ぜた。


 大きな窓からは、寒いけれど柔らかな昼の陽射しが降り注ぐ。
 寮暮らしの為、学園の調理実習室を借りて、クリスマスケーキ作りをしていた。

 去年は1つだけ買った、クリスマスケーキ。
 今年は、手作り――。

 まだ、なんとなく、だけれど。
 将来は『調理師』になろうかなと、思案中。

 まだ腕前は、素人レベルだけれど。
 イベント時には、それに合った料理やお菓子を作ったりもしていた。


 ふよふよと、宙を泳ぎながら。
 守護使役のマリンが、心配そうにその様子を覗き込む。

「順調、よ。心配ない」

 完成したケーキは、マリンと2人で食べる予定。

 すでに焼けているスポンジも、砂糖で作った飾りも。
 日那乃にしては上出来だ。


 今は、まだ。
 自分達で食べるものばかり、作っているけれど。

 食べた人を喜ばせられるような、いつか、そんな料理を作れるようになれればいい。

 混ぜ終わったクリームを指に取って、ペロリと味見。
 マリンにも、指先に取ったものを差し出して。

「こんなもの、かしら?」

 体全体で頷くマリンに、頷き返して。
 いよいよケーキの仕上げ。

「サンタさんは、こっち。これは、ここ?」

 相談しながら、盛り付けを完成させていく。
 未来の調理師の、そんなクリスマス――。

●発注キャラクター●
桂木・日那乃

担当ST:巳上倖愛襟
イラスト:紫月

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