バレンタイン&ホワイトデー2018 SS
「遥君。はい、これ」
言葉とともに数多が差し出した、ラッピングのされた箱。
それが何であるかは“そういう時期である”事から予測がついた。
「ウオオオオッ! チョコだー! センパイからチョコもろたーー!!」
受け取ると同時に、大喜びでチョコを掲げながら、文字通り跳ね回る遥。
「義理だから! 義理チョコだから!」
「嬉しすぎるーっ!」
「聞けよ!」
本命じゃなくても、チョコをもらった事実が、ただただ嬉しい。
と、跳ね回っていた遥が、ピタッと動きを止めて数多へ向き直る。
「ありがとうセンパイ! 大好きだー!!」
そして、言うが早いか、チョコを片手に持ったまま両手を広げて数多に向かっていく遥。
そこへ、数多が反射的に繰り出した拳が、顔面にクリーンヒットした。
「だだだだ抱きつこうなんざ100万年早いわ! 小僧!」
赤く染まった頬は寒さのせいだけではない。遥がずっと向けてくれている純粋な好意は、まんざらでもないのだ。
けれど、数多の大好きな人は別にいるから、気持ちに応えてはあげられない。
遥の恋はまだ実りそうにないけれど。それでも、表裏のない純粋な“好き”はしっかりと届いている。
殴られて鼻血まで出ているくせに、遥から笑顔が消えたりすることはない。それが数多には、とても温かかった。
言葉とともに数多が差し出した、ラッピングのされた箱。
それが何であるかは“そういう時期である”事から予測がついた。
「ウオオオオッ! チョコだー! センパイからチョコもろたーー!!」
受け取ると同時に、大喜びでチョコを掲げながら、文字通り跳ね回る遥。
「義理だから! 義理チョコだから!」
「嬉しすぎるーっ!」
「聞けよ!」
本命じゃなくても、チョコをもらった事実が、ただただ嬉しい。
と、跳ね回っていた遥が、ピタッと動きを止めて数多へ向き直る。
「ありがとうセンパイ! 大好きだー!!」
そして、言うが早いか、チョコを片手に持ったまま両手を広げて数多に向かっていく遥。
そこへ、数多が反射的に繰り出した拳が、顔面にクリーンヒットした。
「だだだだ抱きつこうなんざ100万年早いわ! 小僧!」
赤く染まった頬は寒さのせいだけではない。遥がずっと向けてくれている純粋な好意は、まんざらでもないのだ。
けれど、数多の大好きな人は別にいるから、気持ちに応えてはあげられない。
遥の恋はまだ実りそうにないけれど。それでも、表裏のない純粋な“好き”はしっかりと届いている。
殴られて鼻血まで出ているくせに、遥から笑顔が消えたりすることはない。それが数多には、とても温かかった。
