クリスマス前の休日、淡い雪がふわふわと舞う夜の街。
　如月・蒼羽（CL2001575）は麻弓 紡（CL2000623）とともに、相棒へのプレゼント選びに出かけていた。その帰り道のこと――。
「今日はありがとう」
　紡がとつぜん、人の流れの真ん中で足をとめた。
　半歩進んだ先で振り返る。
　と、胸にラッピングされた紙包みが押しつけられた。
「はい、これ。メリークリスマス！」
　紡の澄んだ瞳をまっすぐ見つめ返しながら、クリスマスプレゼントを片手で受け取った。
　微笑みながらコートのポケットに反対側の手を入れ、リボンがかけられた小さな箱を取りだす。
「僕からも。メリークリスマス、つーちゃん」
　恋愛感情にはなりきらない距離。仲のいい友達以上恋人未満っていうのは、きっとこんな雰囲気をいうんじゃないだろうか。二人の間に流れる、甘酸っぱくて胸が浮き立つような感覚……。
　お返しは予想外だったようだ。
　呆然とする紡の目の前でリボンを解き、箱の中から小さな青い石がひとつ揺れる白いファー付きのチョーカーを取りだした。
「……わぁ、可愛い！」
　親友の妹の首の後ろへ手を回し、チョーカーをつけてあげる。
　照れてはにかむ紡の前で、彼女がプレゼントしてくれたタータンチェックのマフラーを首に巻いてみせた。
「お礼も兼ねてのサプライズ、だったのになぁ……」
「ふふ、十分驚いたよ。ありがとうね、つーちゃん」
　さあ、家に帰ろう。
　境界線を越えないまま、甘酸っぱい思いを胸に秘めて――。