クリスマス2017 SS
「寒いのに付き合ってくれてありがとう」
環 大和は白い息を吐きながら同行する軍人の青年――今は軍装ではないが――時任 千陽に話しかけた。
「いえ、星ももちろん美しいですが、美しい女性に誘われるのは男子としては光栄の至りです」
赤いマフラーを巻きなおしながら、千陽は気障な台詞をまじえて返答する。
「お上手ね、本当は友人を誘うつもりだったのだけれども、彼女はこの代わり映えしない空にすぐに飽きてしまうだろうなとおもったの」
大和の友人。自分にとってもよく知る少女を思い浮かべるとまた千陽も苦笑し、たしかに、と答える。呼ばれたのはこぐまの流星群のささやかな星辰の振る夜。
「双子座流星群より規模が小さいけれど空気が澄んでいてとても綺麗な星空だからどうしても見たくて」
言いながら、大和は両手を天に持ち上げふわりと回転する。まるで夜空からおりたほうき星を真似るかのように。その後ろをまるで星の女神を称えるように一筋の流れ星が銀の糸を曳き瞬き消えた。
「ええ、とても美しく思います。あ、今流れたのを見ましたか?」
「えっ?」
千陽の指が指し示す方向を振り向くがそれは既に消えたあと。
「見逃してしまったわ、残念。つぎこそは」
見逃さなかった星の女神は目の前に。千陽は声には出さないがそう思うのだった。
環 大和は白い息を吐きながら同行する軍人の青年――今は軍装ではないが――時任 千陽に話しかけた。
「いえ、星ももちろん美しいですが、美しい女性に誘われるのは男子としては光栄の至りです」
赤いマフラーを巻きなおしながら、千陽は気障な台詞をまじえて返答する。
「お上手ね、本当は友人を誘うつもりだったのだけれども、彼女はこの代わり映えしない空にすぐに飽きてしまうだろうなとおもったの」
大和の友人。自分にとってもよく知る少女を思い浮かべるとまた千陽も苦笑し、たしかに、と答える。呼ばれたのはこぐまの流星群のささやかな星辰の振る夜。
「双子座流星群より規模が小さいけれど空気が澄んでいてとても綺麗な星空だからどうしても見たくて」
言いながら、大和は両手を天に持ち上げふわりと回転する。まるで夜空からおりたほうき星を真似るかのように。その後ろをまるで星の女神を称えるように一筋の流れ星が銀の糸を曳き瞬き消えた。
「ええ、とても美しく思います。あ、今流れたのを見ましたか?」
「えっ?」
千陽の指が指し示す方向を振り向くがそれは既に消えたあと。
「見逃してしまったわ、残念。つぎこそは」
見逃さなかった星の女神は目の前に。千陽は声には出さないがそう思うのだった。
