バレンタイン&ホワイトデー2017 SS

 

 宮神 羽琉(CL2001381)はカフェの中。
 手前には明石 ミュエル(CL2000172)が、カラン、と氷と水を揺らすグラスを見つめていた。
 ……何故か落ち着かない雰囲気の中。羽琉は顔を上げ、切り出す。
「えと、日付的にお分かりとは思いますが」
 羽琉はずっと隠し持っていた、小さなショッパー。
 今日がなんの日であるか察していたミュエルだが、あえて何も言わずに包みを解いていく。
「あ……これって」
 最後の包みを開けた時、顔を出したのは。

 ――いつの時か。
 店頭に出て輝いていたあの時計に、二人の目が奪われたのは――。

 
「貯めてたお小遣いで、なんとか」
「じゃあ、羽琉くんはもう片方を……?」
「ちょっと届きませんでした、あはは」
 照れを隠しながら笑う羽琉。その時計、本当はペアであるのだが……片割れは今、ミュエルの細い腕に巻かれて時を刻むのが、彼にはとても嬉しいことであった。
 それを察してか、微笑の中に幸せを秘めながらミュエルは語る。
「アタシの分だけでも用意してくれて、ありがとう」

 今はまだ――

「い、いずれはですね、ちゃんとペアで……贈りたいなと」
「えっ」

 ――遠い先の話かもしれないけれど。

「……がんばりますから」
「……うん」

 ふたつでひとつの時計を並べるとき、それは二人の男女の両手も繋がれる時なのかもしれない。

●発注キャラクター●
宮神 羽琉
明石 ミュエル

担当ST:工藤狂斎
イラスト:

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