クリスマスSS 2016
「あの時は、ありがとうございました。まだまだ気が抜けない日々が続きますね」
「今後の日本はどうなるのかしらね」
先日の雷獣騒ぎの時のお礼も兼ねて、千陽は大和を呼び出して談笑しながら公園を一緒に歩いていた。
ホワイトクリスマスになるかもしれないという日和。冷たい冬風が頬を撫でると同時に、どこからか温かく甘い匂いが漂ってくる。
「あ、たい焼きの露天が出ていますね」
「安納芋たい焼き、って書いてあるわね」
見つけたのぼりに、二人は顔を見合せる。
千陽は軍服に外套姿、大和はコートにマフラーを巻いているとはいえ。この寒空に、この暖は魅力的だ。
「これ美味しいのよ」
「あ、どうも」
購入した大和が、出来たての半分を手渡す。
千陽がもらった頭の部分からは、もくもくと熱い湯気が立ち上っていた。
「……」
「?」
受けとった相手の様子が、どうもおかしいことに大和は気づく。
たい焼きと目があって、千陽は食べるのを一瞬逡巡していたのだ。じっと見つめ合っている軍人青年に、尻尾の部分を手にした少女はふんわり笑いかけた。
「千陽さん、大丈夫よ。たい焼きはかみついたりしないわ」
戦いは続く。
けれども、こんな日々だって決して途切れることはない。
「今後の日本はどうなるのかしらね」
先日の雷獣騒ぎの時のお礼も兼ねて、千陽は大和を呼び出して談笑しながら公園を一緒に歩いていた。
ホワイトクリスマスになるかもしれないという日和。冷たい冬風が頬を撫でると同時に、どこからか温かく甘い匂いが漂ってくる。
「あ、たい焼きの露天が出ていますね」
「安納芋たい焼き、って書いてあるわね」
見つけたのぼりに、二人は顔を見合せる。
千陽は軍服に外套姿、大和はコートにマフラーを巻いているとはいえ。この寒空に、この暖は魅力的だ。
「これ美味しいのよ」
「あ、どうも」
購入した大和が、出来たての半分を手渡す。
千陽がもらった頭の部分からは、もくもくと熱い湯気が立ち上っていた。
「……」
「?」
受けとった相手の様子が、どうもおかしいことに大和は気づく。
たい焼きと目があって、千陽は食べるのを一瞬逡巡していたのだ。じっと見つめ合っている軍人青年に、尻尾の部分を手にした少女はふんわり笑いかけた。
「千陽さん、大丈夫よ。たい焼きはかみついたりしないわ」
戦いは続く。
けれども、こんな日々だって決して途切れることはない。
