クリスマスSS 2016
夜に支配された時間、静まり返った並木道。
腕時計へと視線を落とす。
「あと5秒、――2、1」
ゼロを口にせず、代わりに並木道へと視線をやる。
そして。
並木道中の樹という樹に、弾けるようにして7色の光が一斉に灯った。
まるで散りばめた七色の宝石に光が反射しているかのよう。
「――――」
そのあまりの綺麗さに千陽は言葉を失った。
「特定の時間になるとこうなるんだ。魔法みたいだろ」
言って、無邪気そうに笑う。
「……君はいつだって、俺に色々なものをくれる」
一呼吸置いてそう口にした千陽に、ジャックが続ける。
「どんな兵士だって楽しみがあって、笑顔がある。思い出があって、人生がある」
千陽は無言のまま耳を傾ける。
「この一瞬だって、お前の為にある」
無邪気そうな笑顔のまま、けれど真剣な眼差し。
「いつかお前が組織に戻る日が来たとしても、忘れないでおいてな」
いつか居なくなる親友の為に用意した一瞬。
「俺も、忘れないから」
「はい、はい」
僅かに震えた声は悟られているだろうか。
たまらず、大きく息を吸って、返した。
「忘れません。約束です」
そうせずに言葉を続けていたら、涙を零してしまう気がしたのだ。
離れ離れになる未来を受け入れ、理解し、なお寄り添ってくれることへの感謝がそうさせようとしているかのようだ。
2人並んで並木道へ向き直る。
忘れたりしない。
うっすらと濡れた瞳に、2人で見たこの光景を焼き付けたかった。
腕時計へと視線を落とす。
「あと5秒、――2、1」
ゼロを口にせず、代わりに並木道へと視線をやる。
そして。
並木道中の樹という樹に、弾けるようにして7色の光が一斉に灯った。
まるで散りばめた七色の宝石に光が反射しているかのよう。
「――――」
そのあまりの綺麗さに千陽は言葉を失った。
「特定の時間になるとこうなるんだ。魔法みたいだろ」
言って、無邪気そうに笑う。
「……君はいつだって、俺に色々なものをくれる」
一呼吸置いてそう口にした千陽に、ジャックが続ける。
「どんな兵士だって楽しみがあって、笑顔がある。思い出があって、人生がある」
千陽は無言のまま耳を傾ける。
「この一瞬だって、お前の為にある」
無邪気そうな笑顔のまま、けれど真剣な眼差し。
「いつかお前が組織に戻る日が来たとしても、忘れないでおいてな」
いつか居なくなる親友の為に用意した一瞬。
「俺も、忘れないから」
「はい、はい」
僅かに震えた声は悟られているだろうか。
たまらず、大きく息を吸って、返した。
「忘れません。約束です」
そうせずに言葉を続けていたら、涙を零してしまう気がしたのだ。
離れ離れになる未来を受け入れ、理解し、なお寄り添ってくれることへの感謝がそうさせようとしているかのようだ。
2人並んで並木道へ向き直る。
忘れたりしない。
うっすらと濡れた瞳に、2人で見たこの光景を焼き付けたかった。
