クリスマスSS 2016
明かりを消した部屋の中、テレビに映し出された映画の光だけが2人を照らしていた。
DVDプレイヤーで再生されたそれは、数多のチョイスした外国のロマンス映画。
部屋が暗いのは、せっかくだから映画館のように雰囲気を出しましょ、なんて言い出した数多に、千歳は笑顔でいいよと返したからだ。
「ロマンチックが止まらないまま、にーさまが映画の恋人同士のように私を……きゃーっ」
なんて言いながらDVDのケースをぎゅっと抱いてもじもじしていた数多だが、それも30分ほど前の話。
「まだまだ花より団子って事なのかなあ……」
そう口にして、千歳の膝に頭をあずけて寝息を立てている数多の髪をそっと撫でる。
「にーさま……好き……」
数多は夢の中でも、現実と変わらずに、愛情を向けた千歳へと気持ちをぶつけている。家族としてではなく1人の男性として。
その気持ちに応えてあげられないからこそ、千歳は数多には幸せになってもらいたいのだ。
「……まぁ、いいか」
起こして自分の部屋へ帰してあげようかとも思ったけれど、映画が終わるまではこのままでいようと思った。
映画を流したままここにいれば、画面の中では最後に幸せな結末が訪れる。その時に、夢の中の数多にも幸せな結末が訪れる気がしたからだ。
夜は更けていく。
2人だけの世界に、すれ違ってはいるけれど、確かにお互いの愛情が満ちていた。
DVDプレイヤーで再生されたそれは、数多のチョイスした外国のロマンス映画。
部屋が暗いのは、せっかくだから映画館のように雰囲気を出しましょ、なんて言い出した数多に、千歳は笑顔でいいよと返したからだ。
「ロマンチックが止まらないまま、にーさまが映画の恋人同士のように私を……きゃーっ」
なんて言いながらDVDのケースをぎゅっと抱いてもじもじしていた数多だが、それも30分ほど前の話。
「まだまだ花より団子って事なのかなあ……」
そう口にして、千歳の膝に頭をあずけて寝息を立てている数多の髪をそっと撫でる。
「にーさま……好き……」
数多は夢の中でも、現実と変わらずに、愛情を向けた千歳へと気持ちをぶつけている。家族としてではなく1人の男性として。
その気持ちに応えてあげられないからこそ、千歳は数多には幸せになってもらいたいのだ。
「……まぁ、いいか」
起こして自分の部屋へ帰してあげようかとも思ったけれど、映画が終わるまではこのままでいようと思った。
映画を流したままここにいれば、画面の中では最後に幸せな結末が訪れる。その時に、夢の中の数多にも幸せな結末が訪れる気がしたからだ。
夜は更けていく。
2人だけの世界に、すれ違ってはいるけれど、確かにお互いの愛情が満ちていた。
