バレンタイン&ホワイトデーSS 2016
心を込めて…
「あと少し……あと少しなのに、届かないです」
放課後の下駄箱。
制服姿のたまきは、精一杯に手を伸ばす。可愛らしくラッピングされたチョコレートを、こっそり相手の靴箱へと入れようとするけど、その小さな身体では僅かに高さが足りなかった。
「ううう~」
思わず涙目になりながら。
必死に爪先立ちになって、身体がぷるぷると震える。まさか、こんなことになるなんて。ああ、早くしないと――
「あれ? 俺の下駄箱で何しているの?」
「……奏空さん」
――こういうことになる。
奏空は不思議そうに奇妙なポーズで固まる少女を見つめるが、ハート型のチョコレートに気づいて全てをすぐに悟った。
「それ、俺に?」
「う、うん」
二人は正面から向かい合う。
目と目が重なり合い、自然に手と手が触れ合う。
「これ、私の気持ちです」
「ああ、ありがとう。すごく嬉しい」
たまきは顔を赤くして、恥ずかしそうにチョコレートを手渡しした。キリッと奏空は顔を引き締めて心を込めた贈り物を受け取る。
「良かったです。ちゃんと渡せて」
(良かった! ちゃんと貰えて!)
少女は先程までと違って満面の笑み。
少年は格好良い表情を何とか保つ。心の中で嬉し涙を流していたのは、絶対秘密にしておかないと。
放課後の下駄箱。
制服姿のたまきは、精一杯に手を伸ばす。可愛らしくラッピングされたチョコレートを、こっそり相手の靴箱へと入れようとするけど、その小さな身体では僅かに高さが足りなかった。
「ううう~」
思わず涙目になりながら。
必死に爪先立ちになって、身体がぷるぷると震える。まさか、こんなことになるなんて。ああ、早くしないと――
「あれ? 俺の下駄箱で何しているの?」
「……奏空さん」
――こういうことになる。
奏空は不思議そうに奇妙なポーズで固まる少女を見つめるが、ハート型のチョコレートに気づいて全てをすぐに悟った。
「それ、俺に?」
「う、うん」
二人は正面から向かい合う。
目と目が重なり合い、自然に手と手が触れ合う。
「これ、私の気持ちです」
「ああ、ありがとう。すごく嬉しい」
たまきは顔を赤くして、恥ずかしそうにチョコレートを手渡しした。キリッと奏空は顔を引き締めて心を込めた贈り物を受け取る。
「良かったです。ちゃんと渡せて」
(良かった! ちゃんと貰えて!)
少女は先程までと違って満面の笑み。
少年は格好良い表情を何とか保つ。心の中で嬉し涙を流していたのは、絶対秘密にしておかないと。
