バレンタイン&ホワイトデーSS 2016

兄の居ぬ間に

「はいどうぞ! ほのか特製ホワイトチョコケーキですよ~」
 阿久津 ほのか(CL2001276)は切り分けたケーキを小皿に乗せ、『ゴシップ記者』風祭・誘輔(CL2001092)に手渡した。
 誘輔は人を駄目にしそうなソファにゆったりと背中を預けながら、それを受け取る。
「すげーな、売り物みたいじゃねーか! さすが女の子だねぇ」
「ささ、どうぞどうぞ。うやうやしく食べちゃって~」
「それじゃ遠慮なく」
 姿勢そのままケーキを口に運ぶ誘輔は、傍目に見れば少しばかり行儀が悪い。
 だが、ほのかはそれを指摘しなかった――彼の人となりが、杓子定規に測れるものではないことを知っているのだ。
 ケーキの一片を口に入れた途端、誘輔の目が見開かれる。
「おお、うめーな! いい嫁さんになるぜ、きっと」
「えへ~、そんなに褒めたってお替わりしか出ませんよう」
 誘輔の言葉に、ほのかは上機嫌で紅茶を淹れる。
 青色の人魂も心なしか弾んでいるかのようだ。
「ほんとほんと。あーあー、俺がもう十歳若けりゃな」
「こらこら、女子高生をからかわないの~」
 語尾に音符を踊らせて、ほのかはほんのりと頬を赤らめた。

●発注キャラクター●
風祭・誘輔(CL2001092)
阿久津 ほのか(CL2001276)
担当ST:さくらもみじ
イラスト:ひゅの

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