バレンタイン&ホワイトデーSS 2016
椿花がやるのだ
「よし、ばっちり混ざったぞ!」
ガナッシュの入ったボウルを前に、胸を張る『天衣無縫』神楽坂 椿花(CL2000059)。
香月 凜音(CL2000495)は横目にボウルの中身を覗き込むと、椿花に聞こえないよう小さく溜め息を吐いた。
チョコと生クリームの混合体の表面には、まだ少しばかりチョコの破片が浮いている。
「お、だいぶいい感じだな。あとは俺が――」
「あー! 駄目だぞ、椿花が最後までやるのだ!」
今日の椿花は特別強情である。
包丁を使う作業は凛音がすると言ったときも、随分ゴネたものだ。
普段から一緒にお菓子作りをする仲ではあるが、今回のようなことは初めてかもしれない。
「よほど大切な人にあげるチョコってことか……」
「ん? おにぃ、何か言ったか?」
「いや、何でもねぇ。もうそれくらいで大丈夫だ、バットに流し込むぞ」
――――――。
――――。
――。
一時間後。
「できたぞー!」
冷蔵庫から取り出した生チョコを切り分け、ココアパウダーをまぶした椿花は、嬉しそうに完成品を頭上へ掲げた。
「あとはラッピングだな! リボンはどうやるのだ?」
「そうだな……厚みがあるわけじゃないし、ここをこう、平行にして――」
「あーあー! 椿花がやるんだぞー!」
奪い取るようにしてリボンを結ぶ椿花。
出来栄えは――少しばかり不格好ではあるが、精一杯の頑張りが感じられる。
「それじゃ――おにぃ! 受け取るのだ!」
「え、俺?」
面食らったような顔の凛音。
だが、椿花の浮かべる満面の笑みに負け、少し照れくさそうにチョコを受け取った。
ガナッシュの入ったボウルを前に、胸を張る『天衣無縫』神楽坂 椿花(CL2000059)。
香月 凜音(CL2000495)は横目にボウルの中身を覗き込むと、椿花に聞こえないよう小さく溜め息を吐いた。
チョコと生クリームの混合体の表面には、まだ少しばかりチョコの破片が浮いている。
「お、だいぶいい感じだな。あとは俺が――」
「あー! 駄目だぞ、椿花が最後までやるのだ!」
今日の椿花は特別強情である。
包丁を使う作業は凛音がすると言ったときも、随分ゴネたものだ。
普段から一緒にお菓子作りをする仲ではあるが、今回のようなことは初めてかもしれない。
「よほど大切な人にあげるチョコってことか……」
「ん? おにぃ、何か言ったか?」
「いや、何でもねぇ。もうそれくらいで大丈夫だ、バットに流し込むぞ」
――――――。
――――。
――。
一時間後。
「できたぞー!」
冷蔵庫から取り出した生チョコを切り分け、ココアパウダーをまぶした椿花は、嬉しそうに完成品を頭上へ掲げた。
「あとはラッピングだな! リボンはどうやるのだ?」
「そうだな……厚みがあるわけじゃないし、ここをこう、平行にして――」
「あーあー! 椿花がやるんだぞー!」
奪い取るようにしてリボンを結ぶ椿花。
出来栄えは――少しばかり不格好ではあるが、精一杯の頑張りが感じられる。
「それじゃ――おにぃ! 受け取るのだ!」
「え、俺?」
面食らったような顔の凛音。
だが、椿花の浮かべる満面の笑みに負け、少し照れくさそうにチョコを受け取った。
