バレンタイン&ホワイトデーSS 2016
赤鈴 炫矢に続いて雛見 玻璃が専用エレベーター乗り込むと、後ろでドアが閉じた。ほかに誰も乗ってこなかった。ふたりだけの貸し切りだ。
大展望台に向かってガラスの箱が上昇を始めた。冬の淡い光がエレベーターの中に差し込むと、ふたりは眩さに目をしばたかせた。
「いい天気だな」
「そう? ちょっと雲が出ているジャン?」
どこに、とガラスに顔を寄せる炫矢の横で、玻璃は景色に背を向けてガラスにもたれかかった。
視界がぐんぐん高くなるにつれて、鼓動もどんどん高まって行く。
告白の言葉は朝からずっと舌先にあった。チョコレートもちゃんと用意してある。チャンスさえあればいつでも、と思っていた。
それなのに――。
「どうした? さっきから様子が変だぞ」
告白の瞬間をいつまでも引き延ばせるものではない。ドアが開けば、この小さなふたりの世界は崩れてしまう。
玻璃は意を決すると、横から顔を覗き込む?矢の大きな手にピンク色の小袋を押し込んだ。
一拍の間。
とくん、と心臓が大きく跳ね上がる。
エレベーターが止まって、ガラスのドアがゆっくりと開いていく。
炫矢はゆっくり指を閉じると、手の中にチョコの袋ごと玻璃の指を包み込んだ。
「……風が心地いいな」
「……うん」
ふたりはまっすぐ前を向いたまま、手を繋いで大展望台へ出た。
大展望台に向かってガラスの箱が上昇を始めた。冬の淡い光がエレベーターの中に差し込むと、ふたりは眩さに目をしばたかせた。
「いい天気だな」
「そう? ちょっと雲が出ているジャン?」
どこに、とガラスに顔を寄せる炫矢の横で、玻璃は景色に背を向けてガラスにもたれかかった。
視界がぐんぐん高くなるにつれて、鼓動もどんどん高まって行く。
告白の言葉は朝からずっと舌先にあった。チョコレートもちゃんと用意してある。チャンスさえあればいつでも、と思っていた。
それなのに――。
「どうした? さっきから様子が変だぞ」
告白の瞬間をいつまでも引き延ばせるものではない。ドアが開けば、この小さなふたりの世界は崩れてしまう。
玻璃は意を決すると、横から顔を覗き込む?矢の大きな手にピンク色の小袋を押し込んだ。
一拍の間。
とくん、と心臓が大きく跳ね上がる。
エレベーターが止まって、ガラスのドアがゆっくりと開いていく。
炫矢はゆっくり指を閉じると、手の中にチョコの袋ごと玻璃の指を包み込んだ。
「……風が心地いいな」
「……うん」
ふたりはまっすぐ前を向いたまま、手を繋いで大展望台へ出た。
