バレンタイン&ホワイトデーSS 2016
初めてのバレンタイン
今年に入ってすぐ。三峯・由愛は雪のちらつく窓の外を眺めながら、大好きなルームメイトのためにチョコレートを作ろうと決意した。
手際よくチョコレートを刻んでボウルに入れて、湯煎する。なかなかの手際の良さだけど、実はチョコレートを手作りするのはこれが初めて。
だから時間をも繕っては、同室の彼女に気づかれないように道具や材料を揃えて回った。チョコの形やデコレーションは、ラッピングはどうしようか、なんてことを楽しみながら考えていたら、一月はあっという間に過ぎ去って二月になり、気がつけばバレンタインは目前に迫っていた。
「ええっと、次は」
チョコレートをかき混ぜながら、スタンドに立てかけたレシピ本をめくる。
彼女はファイヴの依頼でお出かけ中。帰りは遅くなるから、と言っていた。焦らなくてもまだ時間はある。
(「あ、でも、帰ってくる前に換気をしないといけませんわ。そのあとで部屋を暖かくしておかないと……」)
彼女が帰ってきたときのことを思い浮かべると、心がチョコレートの甘い香に溶けてキッチンいっぱいにひろがった。
せっかくだから甘い香りを残したまま、彼女をお出迎えしよう。
笑顔を添えた手作りのチョコレートとともに。
手際よくチョコレートを刻んでボウルに入れて、湯煎する。なかなかの手際の良さだけど、実はチョコレートを手作りするのはこれが初めて。
だから時間をも繕っては、同室の彼女に気づかれないように道具や材料を揃えて回った。チョコの形やデコレーションは、ラッピングはどうしようか、なんてことを楽しみながら考えていたら、一月はあっという間に過ぎ去って二月になり、気がつけばバレンタインは目前に迫っていた。
「ええっと、次は」
チョコレートをかき混ぜながら、スタンドに立てかけたレシピ本をめくる。
彼女はファイヴの依頼でお出かけ中。帰りは遅くなるから、と言っていた。焦らなくてもまだ時間はある。
(「あ、でも、帰ってくる前に換気をしないといけませんわ。そのあとで部屋を暖かくしておかないと……」)
彼女が帰ってきたときのことを思い浮かべると、心がチョコレートの甘い香に溶けてキッチンいっぱいにひろがった。
せっかくだから甘い香りを残したまま、彼女をお出迎えしよう。
笑顔を添えた手作りのチョコレートとともに。
