不吉の前兆

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 山中に鳴り響いていた銃声が止んだ。
 銃を構えていた男達は慎重な様子で、動きを止めた異形の獣に近づく。
「活動停止を確認した。周辺の捜索に当たれ」
 確認に向かった男の声に、ようやくその場にいた者達は安堵の声を漏らす。
 彼らはAAA、国家が設立した対妖怪組織の隊員だ。かつては圧倒的な力で、この国に現れた化生の類を討ち取って来た。
 だが、今や数多くの難局を経て、すっかり組織力は疲弊してしまっている。フリーや民間の組織の協力があってようやく神秘にかかわる治安維持が為されているというのが実情だ。
 事実、この晩に奈良県山中に現れた妖。多数の怪我人を出しながら撃退した訳だが、妖としてはランクの低い部類に属している。
 そんなAAAのメンバーだが、今彼らを悩ませていることがあった。
「これで今週、何回目の出動だ? どう考えても普通じゃない」
 ここ最近、奈良県の山間部で動物系妖発見の報告が増えている。ついでに言えば、その結果妖を発見して戦闘が発生したケースも枚挙に暇がない。
 それもそう広くない範囲でだ。
 AAAの者達にも分かっていた。
「この山の何処かに何かあるってことだ。いや、『いる』ってことかもな」
 そう、疑いようがない。そして、もう1つ分かっていることもある。今の彼らにとって、『それ』に対応しきれないということもだ。増援など、望むべくもない。
 忌々しげに空を見上げると、そこには大きな月が浮かび上がっていた。
 あたかも、人々の努力を嘲笑うかのように……。



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