
血ノ雨ノ夜と百鬼襲撃
ゲームで遊ぶにはサイドメニューよりログインが必要です。
ユーザー登録がお済でないお客様は新規ユーザー登録をお願いします。
※旧作「バロックナイトイクリプス」でプレイされていたお客様も新規に登録が必要です。※非ログイン状態でも一部コンテンツは閲覧可能です。

新規ユーザー登録

中・恭介(nCL2000002)の頬から零れた汗が、何枚も並べられた書類を濡らした。
一分、十分をこれほどまでに長く感じるのは久しぶりであろうか。
昨年、ヒノマル陸軍の京都襲撃や、古妖狩人を壊滅させた時と同じような緊張感が部屋を覆いきっていた。
「緊急依頼の報告だぜ!!」
久方相馬(nCL2000004)が部屋へ飛び込んで来る。恭介は待っていたとばかりに席を立った。
「情況は!!」
「恭介さんの胃痛にならない報告だぜ! 安心して聞いてくれ!
送電線を爆破しようとした部隊は、止める事ができた!! 雨宿……っつー百鬼を捕まえたそうだぜ!
アーケードの中央広場に居た百鬼も、撃退できて、一部捕縛したって連絡も来た!! こいつらは捕虜って感じだな!」
「良好だ」
「河川敷に忍んでいた百鬼も、なんとかできたって報告が来た! ベーカリー前で発生したおっきな戦闘も、百鬼が撤退したって話だ。ただ、百鬼一人、死亡が確認されたんだぜ。
大学キャンパス内を直接狙って来た百鬼と黎明も、退けたって! 敵側に二人程死者は出たようなんだ。あ、構内はそんな被害無かったらしい。
街を襲撃していた百鬼・鬼崎百江も撤退したそうだ、ちょっと街が損壊したらしい。これで、今、予知ができた案件については全部だ!!」
「成程。逢魔ヶ時紫雨君が覚者を誘導したが、こっちはこっちで問題無さそうだな。このまま、見える範囲でも百鬼を抑え込んでいこう。
相馬君、街で戦ってくれた子達へ救護班を頼む」
「おっけー!」
「血雨の部隊が、戻ってきました!!」
相馬と入れ替わり、久方真由美(nCL2000003)が部屋の扉を開けながら、雪崩れ込むように入ってくる。
「情況は!? 血雨はどうなった!? 皆は!? 紫雨君は!? 真由美君、すぐに救護班を!!」
「は、はい!」
真由美はすぐにまた部屋を出て行った。入れ替わりで、『紅戀』酒々井 数多(CL2000149)が足を引きずりながら、入って来る。
「ハロー! 恭介! 血雨は、逢魔ヶ時智雨は倒したわ。だから、今までの血雨はもういないのだわ」
「そうか!! そうか……よくやってくれた。今迄どうにもならなかった厄災を、よく」
戦いでは多くの魂と命が燃えていった。常人では、FiVE以外では、成し遂げられなかっただろう厄災退治だ。
感極まった恭介だったが、それで終った訳では無い。
また新たな不穏はすぐに、目の前に。
『戦場を舞う猫』鳴海 蕾花(CL2001006) は部屋に入りながら、椅子に深く座り込む。重度の怪我を追いながら、それでも立って帰ってきた。
「呪具の方。八尺は、あのくそったれに奪われた。畜生、アイツ……馬鹿にしやがって!! どんだけ力有り余ってやがんだ」
「そうか、紫雨くんが持って行ってしまったか」
血雨とは、破綻者と呪具の混合物。
破綻者の方を倒したが故に、従来の血雨は討伐されたのは事実だが。
恐らく一番渡ってはいけない手に、八尺は渡ってしまったと言っても過言では無い。
最後に部屋へ入った『柔剛自在』榊原 時雨(CL2000418)。見て来たものを、見て来たままに報告した。
「『龍心』っていう特殊な技と、黒札というアイテムにより、八尺は呪具からただの武器に成り下がったと見てええやろうな、不完全な状態で」
「龍心か……紫雨君が、編み出した生きる術のように聞こえる。多くの呪具への耐性があるからこそ、天才と呼ばれる所以はそれか」
「せやろなぁ。自律したままの呪具を扱えば破綻者に陥る可能性が高いん。うちも……破綻者になりかけたわ」
「そうか。無事に戻ってきてくれて、良かった。その龍心があれば今後もFiVEを助けてくれそうだが……」
恭介は冗談だと軽く笑った。
が。
数多がピースサインしながら立っていた。
「まさか」
「そうよ。そのまさかだわ」
「すぐに解析班の所へ行ってくれるか!!」
「え! おにーさまにまだ会えない感じだわこれ!!」
蕾花は親指の爪を噛んだ。血と灰の香りに紛れて、紫雨の臭いが段々とこちらに近づいてきているのが感じて取れた。
彼はFiVEへ王手(チェックメイト)をかける為、休息を与えずにやって来るだろう。
百鬼を従え、炎を撒いて、終夜を踊り、希望を潰す。
だが……希望も彼へ王手をかける為、静まり返った街の中で静かな鼓動を鳴らしていた。
一分、十分をこれほどまでに長く感じるのは久しぶりであろうか。
昨年、ヒノマル陸軍の京都襲撃や、古妖狩人を壊滅させた時と同じような緊張感が部屋を覆いきっていた。
「緊急依頼の報告だぜ!!」
久方相馬(nCL2000004)が部屋へ飛び込んで来る。恭介は待っていたとばかりに席を立った。
「情況は!!」
「恭介さんの胃痛にならない報告だぜ! 安心して聞いてくれ!
送電線を爆破しようとした部隊は、止める事ができた!! 雨宿……っつー百鬼を捕まえたそうだぜ!
アーケードの中央広場に居た百鬼も、撃退できて、一部捕縛したって連絡も来た!! こいつらは捕虜って感じだな!」
「良好だ」
「河川敷に忍んでいた百鬼も、なんとかできたって報告が来た! ベーカリー前で発生したおっきな戦闘も、百鬼が撤退したって話だ。ただ、百鬼一人、死亡が確認されたんだぜ。
大学キャンパス内を直接狙って来た百鬼と黎明も、退けたって! 敵側に二人程死者は出たようなんだ。あ、構内はそんな被害無かったらしい。
街を襲撃していた百鬼・鬼崎百江も撤退したそうだ、ちょっと街が損壊したらしい。これで、今、予知ができた案件については全部だ!!」
「成程。逢魔ヶ時紫雨君が覚者を誘導したが、こっちはこっちで問題無さそうだな。このまま、見える範囲でも百鬼を抑え込んでいこう。
相馬君、街で戦ってくれた子達へ救護班を頼む」
「おっけー!」
「血雨の部隊が、戻ってきました!!」
相馬と入れ替わり、久方真由美(nCL2000003)が部屋の扉を開けながら、雪崩れ込むように入ってくる。
「情況は!? 血雨はどうなった!? 皆は!? 紫雨君は!? 真由美君、すぐに救護班を!!」
「は、はい!」
真由美はすぐにまた部屋を出て行った。入れ替わりで、『紅戀』酒々井 数多(CL2000149)が足を引きずりながら、入って来る。
「ハロー! 恭介! 血雨は、逢魔ヶ時智雨は倒したわ。だから、今までの血雨はもういないのだわ」
「そうか!! そうか……よくやってくれた。今迄どうにもならなかった厄災を、よく」
戦いでは多くの魂と命が燃えていった。常人では、FiVE以外では、成し遂げられなかっただろう厄災退治だ。
感極まった恭介だったが、それで終った訳では無い。
また新たな不穏はすぐに、目の前に。
『戦場を舞う猫』鳴海 蕾花(CL2001006) は部屋に入りながら、椅子に深く座り込む。重度の怪我を追いながら、それでも立って帰ってきた。
「呪具の方。八尺は、あのくそったれに奪われた。畜生、アイツ……馬鹿にしやがって!! どんだけ力有り余ってやがんだ」
「そうか、紫雨くんが持って行ってしまったか」
血雨とは、破綻者と呪具の混合物。
破綻者の方を倒したが故に、従来の血雨は討伐されたのは事実だが。
恐らく一番渡ってはいけない手に、八尺は渡ってしまったと言っても過言では無い。
最後に部屋へ入った『柔剛自在』榊原 時雨(CL2000418)。見て来たものを、見て来たままに報告した。
「『龍心』っていう特殊な技と、黒札というアイテムにより、八尺は呪具からただの武器に成り下がったと見てええやろうな、不完全な状態で」
「龍心か……紫雨君が、編み出した生きる術のように聞こえる。多くの呪具への耐性があるからこそ、天才と呼ばれる所以はそれか」
「せやろなぁ。自律したままの呪具を扱えば破綻者に陥る可能性が高いん。うちも……破綻者になりかけたわ」
「そうか。無事に戻ってきてくれて、良かった。その龍心があれば今後もFiVEを助けてくれそうだが……」
恭介は冗談だと軽く笑った。
が。
数多がピースサインしながら立っていた。
「まさか」
「そうよ。そのまさかだわ」
「すぐに解析班の所へ行ってくれるか!!」
「え! おにーさまにまだ会えない感じだわこれ!!」
蕾花は親指の爪を噛んだ。血と灰の香りに紛れて、紫雨の臭いが段々とこちらに近づいてきているのが感じて取れた。
彼はFiVEへ王手(チェックメイト)をかける為、休息を与えずにやって来るだろう。
百鬼を従え、炎を撒いて、終夜を踊り、希望を潰す。
だが……希望も彼へ王手をかける為、静まり返った街の中で静かな鼓動を鳴らしていた。