緊急依頼

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 夕焼けが沈む、逢魔時。
 『紅蓮轟龍』逢魔ヶ時紫雨(nCL2000061)の支配する時間が、やってきた。
「さァて、そろそろ始めるとするか。FiVEも今日で終わりだ。
 長らく待たせたなァ、俺様の百鬼ども!! その牙を突き立て、葬ってやろうぜ。
 何が正義だ、新興組織だ。芽吹く前に摘み取るのが俺様の役目ってやつだろ、七星剣としてなァ!!
 有力な情報と、物は全て奪え。
 抗う奴は全員殺せ。
 使えそうな奴は俺様の所に持って来い。
 智雨の討伐なんざ、ついでだ、ついで。
 俺様は……血雨と一緒に囮ってやつ?? 身体はってんだよ。お祭りに参加できないなんて、俺様悲しい、あー早く百鬼ちゃんの所に帰りたい!!」


 今、この五麟市は、覚者の数が何時もより少ない。
 ――というのも、血雨という厄災を倒す為に、相応数の覚者達が出払っているからだ。
 そんな中、
「本当なんだって!!」
 久方相馬(nCL2000004)は声を荒げて訴えていた。
 彼は視たのだ、夢を。
 それは。
「まさか……な」
 中・恭介(nCL2000002)は前髪をぐしゃりと掴みながら、溜息を吐いた。
「間違いは、無いのか」
「無いっての!!」
 再度、相馬は声を荒げる。
「はい。間違いは、ありません……。残念ながら、あと数時間のうちにこの五麟市は、七星剣幹部逢魔ヶ時紫雨と、その部下禍時の百鬼に襲撃されます」
 久方 真由美(nCL2000003)が語るのは紛れもない事実だ。
 五麟中の夢見が視た夢は、この五麟市が、FiVEが襲撃される夢。
 あの逢魔ヶ時紫雨が率いる禍時の百鬼に、だ。
 それも協力組織として迎えていた『黎明』という覚者組織は、禍時の百鬼であるという事実と共に。
「くそっ。じゃあ、あのヒノマル陸軍の京都の事件は、俺達が助ける事を踏まえ、あえて黎明を襲わせたっていう事か」
「はい……そうなります。けれどもまだ、彼等は私達が夢によって先に気づいている事を知らない。これから、外部より百鬼が五麟市内に侵入してきます。せめて、血雨討伐部隊が戻るまで、彼等が起こす事件を止めつつ、百鬼を本部へ近づけさせないように撃退するのが最善でしょう」
 黎明組織はまだ化けの皮を被った状態だ。我々FiVEが百鬼を迎え撃つように行動すれば、一緒に戦うと言うだろうが、どのタイミングで裏切ってもおかしくは無い。
 敵は外にも、内にも控えているという事だ。
「分った。考えている暇は無いようだ……百鬼を迎え撃つ。この街も、組織も、情報も、奴等に奪われる訳にはいかない。すぐに皆に伝達してくれっ!」

 ――緊急依頼! 五麟市内に残っているFiVE覚者に告ぐ。
 総員、速やかに侵入者を制圧せよ。そして、血雨の部隊を一刻も早く呼び戻せ――!!


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