クリスマスの夜。満天の星空が輝く下で、深紅の衣装に身を包む三人の少女が賑わう、さまざまな飾り付けがなされている五麟の街を駆ける。白いマフラーをたなびかせ、真っ先に飛び出した少女は、『独善者』月歌 浅葱(CL2000915)だ。足元に袋を置いて、ぐわっと思い切り掴む。
「ふっ、天が呼ぶ地が呼ぶ人が呼ぶっ。プレゼントのお時間ですっ！　よい子になったらプレゼントっ、悪い子にはお仕置きですよっ！」
サンタクロースと言うよりはむしろ古い特撮を思わせる彼女の口上と共に星を模した飾りやリボンが振り撒かれ、風に吹かれて宙を舞う。どこか外れた口上も、可憐な外見と自信に満ちた彼女の表情から放たれれば、それは聖夜を彩るに相応しい。
「ゆいねサンタがいい子のみんなにクリスマスプレゼントをお届け！悪い子はおあずけだよっ！」
それに少し遅れて、ウェーブのかかるピンクの髪を揺らして『ママは小学六年生（仮）』迷家・唯音(CL2001093)は肩に担いだ白い袋から、色とりどりのプレゼントを取り出した。両手いっぱいに抱えるように持って、軽くジャンプをすると同時に力いっぱい放り投げる。ディフォルメされた猫のぬいぐるみが、小さなプレゼント箱が宙を舞う。
それを見ながら、『Ｑｕｅｕｅ』クー・ルルーヴ(CL2000403)は手元に一瞬視線を落とした。浅葱と唯音はああ言っているが、きっとこの夜に悪い事をする者は居ない。多分、二人もそう思っている。でなければ、こんなに賑やかにクリスマスを祝うことは、笑顔を浮かべてプレゼントを振りまくことなど出来ない。それはクーも同じだ。両手で抱える、衣装と同じ赤い布地と白いファーのついた靴下を見て微笑をひとつ。
「メリー、クリスマスです！」
そのままトスをするように、靴下ごとプレゼントを放り投げる。
クリスマスの夜。満天の星空が輝いている。イルミネーションも、ツリーに飾られた星も負けないくらいに綺麗だ。けれども、どんな輝きも、どこまでも真っすぐで、どこまでも楽しそうに笑う三人の笑顔にはかすんでしまう。