クリスマスSS 2015
初めてのお料理&クリスマス
プレゼントの代わりといってはなんだけど。望みはこのままここにいて、彼と料理をして、温かくて居心地のいいキッチンでいっしょに味わうこと。
あぶなっかしい手つきでニンジンを刻む由比 久永を、鈴白 秋人は口を出さずにただ優しく見守っていた。
普段から料理をする秋人と違って、久永は包丁を握るのも初めてだった。それを見越してまだ日の高いうちから下ごしらえを始めたのだが、さて、サンタクロースがやって来る時間までに何品仕上がるだろう。
テーブルの上が華やかに賑やかになるかどうかは、秋人の頑張りとフォロー次第。
「そうそう。軽くこぶしを握って、指先を丸めて……もう少し左手を前に」
久永の頑張りは手や指に張られた絆創膏の数に現れていた。だけど、トントンとリズミカルな包丁の音が聞こえてくるのはまだまだ先のことになりそうだ。
「料理は難しいなぁ……」
「だけど楽しいでしょ? それに――」
秋人はミトンをはめると、オーブンからターキーを取りだした。鈴白のキッチンに食欲をそそるいい匂いが広がる。
「ふたりで作る料理ですから、絶対においしいですよ」
久永は、がんばる、といって真剣なまなざしでニンジンを刻んだ。
あぶなっかしい手つきでニンジンを刻む由比 久永を、鈴白 秋人は口を出さずにただ優しく見守っていた。
普段から料理をする秋人と違って、久永は包丁を握るのも初めてだった。それを見越してまだ日の高いうちから下ごしらえを始めたのだが、さて、サンタクロースがやって来る時間までに何品仕上がるだろう。
テーブルの上が華やかに賑やかになるかどうかは、秋人の頑張りとフォロー次第。
「そうそう。軽くこぶしを握って、指先を丸めて……もう少し左手を前に」
久永の頑張りは手や指に張られた絆創膏の数に現れていた。だけど、トントンとリズミカルな包丁の音が聞こえてくるのはまだまだ先のことになりそうだ。
「料理は難しいなぁ……」
「だけど楽しいでしょ? それに――」
秋人はミトンをはめると、オーブンからターキーを取りだした。鈴白のキッチンに食欲をそそるいい匂いが広がる。
「ふたりで作る料理ですから、絶対においしいですよ」
久永は、がんばる、といって真剣なまなざしでニンジンを刻んだ。
