クリスマスSS 2015
ゆいねとやえ
棚に置かれた小さなラジオから、クリスマスソングが流れている。ここは迷家のキッチン。イチゴとチョコと生クリームと、焼けたスポンジケーキの甘い匂いが漂う。
迷家 唯音は朝から十夜 八重と一緒に、手作りのクリスマスケーキにチャレンジしていた。
「世界一おいしいクリスマスケーキ作るぞー! ゆいねとおねーさんの愛の結晶だねっ」
唯音ははりきっていた。
思い出に残したい。来年も再来年も、またその次の年にもクリスマスは来るけれど、今日は八重と過ごす初めてのクリスマスなのだ。だからこそ、気持ちがこもった手作りのケーキで祝いたい。
慎重に搾り器の口をスポンジの上に降ろして、緩く泡立てた生クリームを絞りだしていく。美味しくなーれ、美味しくなーれ、と心で唱えながら。
十夜 八重は、姉のようなまなざしで唯音のデコレーション作業を見守っていた。
「ふふ、ほっぺたについちゃってますよ?」
指の先で頬についた生クリームをとる。迷わず口に含んだ。
「ふぁ?」
「うふふ、とっても美味しそうだったから味見しちゃいました」
茶目っ気たっぷりに微笑む八重。
唯音の頬がじんわりと、赤い赤いクリスマスカラ―に染まっていった。
迷家 唯音は朝から十夜 八重と一緒に、手作りのクリスマスケーキにチャレンジしていた。
「世界一おいしいクリスマスケーキ作るぞー! ゆいねとおねーさんの愛の結晶だねっ」
唯音ははりきっていた。
思い出に残したい。来年も再来年も、またその次の年にもクリスマスは来るけれど、今日は八重と過ごす初めてのクリスマスなのだ。だからこそ、気持ちがこもった手作りのケーキで祝いたい。
慎重に搾り器の口をスポンジの上に降ろして、緩く泡立てた生クリームを絞りだしていく。美味しくなーれ、美味しくなーれ、と心で唱えながら。
十夜 八重は、姉のようなまなざしで唯音のデコレーション作業を見守っていた。
「ふふ、ほっぺたについちゃってますよ?」
指の先で頬についた生クリームをとる。迷わず口に含んだ。
「ふぁ?」
「うふふ、とっても美味しそうだったから味見しちゃいました」
茶目っ気たっぷりに微笑む八重。
唯音の頬がじんわりと、赤い赤いクリスマスカラ―に染まっていった。
