クリスマスSS 2015
おい、なんだこれは
「……これは、クリスマスツリーの飾り付けなんだな?」
「うん、そうだよー。いい感じでしょ!」
聖のクリスマスツリーの飾り付けを手伝わされながら、静護はこれで数度目となる疑問を口にしていた。
クリスマスツリー。確かにモミの木が使われているから、この物体をクリスマスツリーと認識することはできる。しかし、あちこちには短冊が吊るされていて、頂点には星ではなくみかんが輝いている。それは後数日後に訪れる別なイベントで飾られるべきアイテムの象徴だというのに、だ!
「いや、全くそう思えん。大体、クリスマスとはキリスト教の祭だろう。これではどう見ても和洋折衷……いや、和の成分が強すぎる」
「えー、何その固定観念! 行事としては海外のものでも、日本でするんだから日本風でいいでしょ!」
「ススキに、このサンタ人形は鬼の面を付けているのか? これではクリスマスはもちろん、他の行事に対する冒涜だ。大体、君はいつも――」
「私がこうしたいって言ってるんだから、別にいいでしょ! 静護にあれこれ言われたくないんだけど!」
聖は手に持ったてるてる坊主をぶんぶん振り回しながら憤慨する。最早、とにかくなんでも吊るせばいい、というような感じになってしまっている。現に机の上にはこれから吊るされるであろう干し柿があった。――繰り返すが、これはクリスマスツリーだ。
「なっ、人に付きあわせておいて、なんて言い草だ。あんまりわからないことを言っていると、こっちにも考えがあるぞ」
「ふーん、何なの? 静護なんかに怒られてもぜーんぜん怖くないんだけどー!」
「これを飾る。これだけ付き合ってやったんだから、僕が用意した物も飾る権利はあるだろう」
「そ、それは……!」
「そう、近所の和菓子屋のキャラクター、こし・あん子ちゃんのマスコットだ。和菓子を買いに行ったらもらってな」
「クリスマスツリーをこし餡なんかで穢さないでー!!!」
今日一番の絶叫が教室に響き渡った。
「うん、そうだよー。いい感じでしょ!」
聖のクリスマスツリーの飾り付けを手伝わされながら、静護はこれで数度目となる疑問を口にしていた。
クリスマスツリー。確かにモミの木が使われているから、この物体をクリスマスツリーと認識することはできる。しかし、あちこちには短冊が吊るされていて、頂点には星ではなくみかんが輝いている。それは後数日後に訪れる別なイベントで飾られるべきアイテムの象徴だというのに、だ!
「いや、全くそう思えん。大体、クリスマスとはキリスト教の祭だろう。これではどう見ても和洋折衷……いや、和の成分が強すぎる」
「えー、何その固定観念! 行事としては海外のものでも、日本でするんだから日本風でいいでしょ!」
「ススキに、このサンタ人形は鬼の面を付けているのか? これではクリスマスはもちろん、他の行事に対する冒涜だ。大体、君はいつも――」
「私がこうしたいって言ってるんだから、別にいいでしょ! 静護にあれこれ言われたくないんだけど!」
聖は手に持ったてるてる坊主をぶんぶん振り回しながら憤慨する。最早、とにかくなんでも吊るせばいい、というような感じになってしまっている。現に机の上にはこれから吊るされるであろう干し柿があった。――繰り返すが、これはクリスマスツリーだ。
「なっ、人に付きあわせておいて、なんて言い草だ。あんまりわからないことを言っていると、こっちにも考えがあるぞ」
「ふーん、何なの? 静護なんかに怒られてもぜーんぜん怖くないんだけどー!」
「これを飾る。これだけ付き合ってやったんだから、僕が用意した物も飾る権利はあるだろう」
「そ、それは……!」
「そう、近所の和菓子屋のキャラクター、こし・あん子ちゃんのマスコットだ。和菓子を買いに行ったらもらってな」
「クリスマスツリーをこし餡なんかで穢さないでー!!!」
今日一番の絶叫が教室に響き渡った。
