クリスマスSS 2015

 ちらちらと、視界を過ぎるのは粉砂糖のような雪だった。今夜はホワイトクリスマス――もこもこのコートを着て暖かくしていったクーと八重は、地面に腰掛けてふたり仲良く天体観測をする。
 傍らには、お供の天体望遠鏡を置いて。星図とにらめっこしつつ、クーは夜空の星を次々に指し示し――それを八重が覗き込んでは「おーっ」と感心したように何度も頷いていた。
(……あ)
 ――ふたりの距離は、吐息を感じられるほどに近い。八重の首元が寒そうだと、クーが一緒にマフラーを巻いてくれたから、冬の夜の寒さも気にならなくなった。
 見上げる夜空には、今にも落ちてきそうな星々が一杯に広がっている。ちかちかと瞬く光は冬の澄んだ空気の中、宝石のように煌めいて――その巡りを見つめながら星と星を結んで、ふたりは古の星座の物語に想いを馳せた。
 今こうして見ているのは、遥か昔の光が届いたもので――今はもう、其処に星は無いのかもしれないけれど。幾千幾万の時を越えた光は、今確かに自分たちの目の前に広がっているのだ。
「素敵な星空……ふふ、クリスマスの贈り物はこれで十分って想えちゃいますね」
 大人しめに見える八重だが、この綺麗な星空に興奮している様子がクーにも伝わってきて。クーも柔らかな表情で星空を眺めて、ほぅと白い吐息を吐き出した。
「聖夜の贈り物ですね、素敵な夜になりました」

 もう一度星空を見上げて、ふたりは同時に囁く。――メリー・クリスマス。

●発注キャラクター●
クー・ルルーヴ(CL2000403)
十夜 八重(CL2000122)
担当ST:柚烏
イラスト:SY

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