クリスマスSS 2015

四月一日 四月二日(CL2000588)が赤祢 維摩(CL2000884)の研究室を、大量の菓子と酒を共に訪れたのは夜も更けたころだった。外はぱらぱらと雪が降り、全ての音を吸い取ってしまったかのように世界は静かだ。
ぶつぶつと文句を言いながらも維摩は彼を応接用のテーブルへと通した。並ぶようにして座った二人はスナック菓子はもちろんのこと、ホールケーキやフライドチキン、到底食べきれないような数のそれをつまみに、酒をあおりながら夜を過ごす。
「赤祢くんさぁ」
「なんだ」
ウィスキー、ビール、日本酒とちゃんぽんをして出来上がり、すっかり上機嫌な四月二日に対し維摩は黙々と文庫本を読みふけり、四月二日の絡みに、持ち込んだビールよりも辛口の返事をする。
あまりにも普段通りな維摩の様子に、四月二日は大袈裟にため息をついた。
「今日はあれだぜ、クリスマスだ? もうちょっと楽しんだらどうだい?」
「バカ言え。クリスマスではしゃぐ歳でもないだろう……ああ、お前のおつむはそのくらいだったか」
「あのなぁ、楽しんだもの勝ちだぜ。こういうのはさ。ほら」
四月二日は懐から小さな三角の布を取り出した。真っ赤な布地に白いポンポン。俗に言うサンタ帽子を維摩へと見せる。僅かに眉根を潜める維摩を見て四月二日はニヤリと笑う。
「そいつはなんだ」
「帽子」
「なぜ俺に見せる必要がある」
「いや、絶対似合わないと思ってさ」
「だからなんだ」
「赤祢くんがつけたら、面白いかなーって。どう?」
「本当にお前のおつむはガキのままか」
大袈裟に維摩はため息をついて、ウィスキーの注がれたロックグラスに手を伸ばす。中の氷がカランと揺れる。琥珀色の液体を維摩は一気に流し込む。口許に浮かんだ歪みは、喉を灼く快感にか、それとも。
「勝手にしろ」
呆れたような維摩の言葉に、四月二日はいたずらっ子のように無邪気な笑みを浮かべた。

●発注キャラクター●
四月一日 四月二日(CL2000588)
赤祢 維摩(CL2000884)
担当ST:文月遼、
イラスト:櫻ゆうか

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