クリスマスSS 2015
キミと一緒の、きよしこの夜
あまり良くないことだとは分かっているけれども、淡い虹色の体毛を持った羊は、演壇に登って古びた教会を見渡した。ほんの数時間前までは賑わいも見せていた教会の中も、普段通りの寂れた様子に元通りだった。隙間風がびゅうと吹いて、羊はぶるりとからだを震わせた。そんな羊の背中に、いくらか大きな影が覆いかぶさった。
「ひとりではない。そうは言っても、賑やかな騒ぎの後は寂しく感じるものだ」
『金狼』ゲイル・レオンハート(CL2000415)がまだ残っている。それに気が付いた羊は演壇をひょいと降りて、ゲイルの足によりそうようにそのからだをゆすった。
刀傷の走る眼を細めながら、厳めしい顔にいくらか柔和な表情を浮かべ羊の柔らかな体毛を撫でた。もっとして。と言うように羊は、かつて共にいたシスターよりもいくらかごつごつとしたゲイルの手にからだをこすりつける。その心地よさと羊のじゃれつく様子に、ゲイルは小さく笑った。
「パーティは楽しかったか」
羊はこくりと頷いた。
ささやかな、けれども楽しい時間。
過ぎ去った時間。
今だってそうだ。
いつか終わる時間。
しばらく羊を撫でていたゲイルも、やがて立ち上がる。どこか寂しそうに、羊はゲイルを見つめた。困ったようにゲイルは頬をかいて、苦笑した。ゲイルとて帰るのは名残惜しい。しかし、いつまでも共にいることは出来ない。
「そうだな。じゃあ、次を約束しよう。それなら、お前も我慢できないか?」
羊は首を傾げる。ゲイルは羊に優しく語りかける。
「今度は俺の友達を連れて来る。「桜」と「ナハト」と言うんだ。お前みたいにふわふわで、甘えん坊さんだ。きっと仲良くなれると思う。だから」
ぴょこぴょこと、羊は嬉しそうに跳ねた。ゲイルはもう一度その背中を優しく撫でた。
これからゲイルは日常へと帰る。妖を、不当に力を扱う者を倒す、お世辞にも平和とは言えない仕事だ。この境界とは最も程遠い職業にも思える。ひょっとすると、命を落とすことだってありうる危険な仕事。
それでも、守る約束が出来た。
「また会おう」
羊は小さく頷いた。
「ひとりではない。そうは言っても、賑やかな騒ぎの後は寂しく感じるものだ」
『金狼』ゲイル・レオンハート(CL2000415)がまだ残っている。それに気が付いた羊は演壇をひょいと降りて、ゲイルの足によりそうようにそのからだをゆすった。
刀傷の走る眼を細めながら、厳めしい顔にいくらか柔和な表情を浮かべ羊の柔らかな体毛を撫でた。もっとして。と言うように羊は、かつて共にいたシスターよりもいくらかごつごつとしたゲイルの手にからだをこすりつける。その心地よさと羊のじゃれつく様子に、ゲイルは小さく笑った。
「パーティは楽しかったか」
羊はこくりと頷いた。
ささやかな、けれども楽しい時間。
過ぎ去った時間。
今だってそうだ。
いつか終わる時間。
しばらく羊を撫でていたゲイルも、やがて立ち上がる。どこか寂しそうに、羊はゲイルを見つめた。困ったようにゲイルは頬をかいて、苦笑した。ゲイルとて帰るのは名残惜しい。しかし、いつまでも共にいることは出来ない。
「そうだな。じゃあ、次を約束しよう。それなら、お前も我慢できないか?」
羊は首を傾げる。ゲイルは羊に優しく語りかける。
「今度は俺の友達を連れて来る。「桜」と「ナハト」と言うんだ。お前みたいにふわふわで、甘えん坊さんだ。きっと仲良くなれると思う。だから」
ぴょこぴょこと、羊は嬉しそうに跳ねた。ゲイルはもう一度その背中を優しく撫でた。
これからゲイルは日常へと帰る。妖を、不当に力を扱う者を倒す、お世辞にも平和とは言えない仕事だ。この境界とは最も程遠い職業にも思える。ひょっとすると、命を落とすことだってありうる危険な仕事。
それでも、守る約束が出来た。
「また会おう」
羊は小さく頷いた。
