どくん。どくん。
　心臓が脈打つ音が、自分でもわかる。
　『裏切者』鳴神 零（CL2000669）は１人、ベッドの上に横たわっていた。しかも、ほとんど全裸に近い状態で。
　正確には全裸ではない。自身の豊満な身体に赤いリボンを巻きつけ、胸元にはそれをリボン風に縛っている。リボン中央にはピンクの薔薇で装飾して。
　頬を真っ赤にしているのは、純粋に恥ずかしいのだろう。だが、赤い瞳が潤んでいるのは、恥じらいの為ではない。
　右目の上下に走る大きな傷。その瞳は閉じている。そして、械の因子持ちの零は、球体関節となった腕を隠すように、赤い手袋と赤いアームカバーを付けている。
　これらは、零にとって、コンプレックスでしかない。
（…………嫌われたり、しないかな？）
　自身をプレゼントとして差し出したいと思う反面、自分に自信を持てない零。拒絶されるかもしれないという恐怖で、涙を浮かべているのだ。
　どくん、どくん。
　鼓動と共に、身体が火照って。その感情の裏側は恐ろしさで満ち溢れている。
　だが、もうじき……。
　自身の鼓動の高まりを感じつつ、零はじっと、その時を待つ……。