クリスマスSS 2015
クリスマスプレゼント
クリスマスソングが賑やかな、雪降る夜。
幸せ顔の人々が行きかう大通りで、成瀬 翔は実家にいる妹へのプレゼントを探していた。
煌びやかなショーウィンドウの中では、様々な品が赤や緑や金色、銀色のリボンをつけられて飾られている。
ある窓の中に、赤と緑のリボンを首に巻いた大きなクマのぬいぐるみが、口をへの字に曲げてふんぞり返っていた。ぽってりとした腹がモフモフで、頭を乗せるといい感じに沈んでとっても気持ちがよさそうだ。すっと夢の中へ入っていけそう。
(「……これ、好きだろうな。買って帰ったら喜ぶぞ」)
翔はクマの足の前に置かれた値札を見た。
「高すぎ……」
桁が一つどころか二つも多い。完全に予算オーバー。コツコツ貯めたお小遣いでは到底手が届かない。
ちぇ、と独りごちて顔を上げた。
一度は窓から離れたものの、あきらめきれずまた窓の中を覗きこんだ。もしかしたら、数字を読み間違えたのかしれない。もう一度、値札を確かめよう。
すると――
『メリークリスマス♪』
大きなクマのぬいぐるみの斜め下で、二回りほど小さなクマのぬいぐるみがつぶらな黒い瞳を輝かせながら翔を見上げていた。赤いリボンを首に巻いて。
幸せ顔の人々が行きかう大通りで、成瀬 翔は実家にいる妹へのプレゼントを探していた。
煌びやかなショーウィンドウの中では、様々な品が赤や緑や金色、銀色のリボンをつけられて飾られている。
ある窓の中に、赤と緑のリボンを首に巻いた大きなクマのぬいぐるみが、口をへの字に曲げてふんぞり返っていた。ぽってりとした腹がモフモフで、頭を乗せるといい感じに沈んでとっても気持ちがよさそうだ。すっと夢の中へ入っていけそう。
(「……これ、好きだろうな。買って帰ったら喜ぶぞ」)
翔はクマの足の前に置かれた値札を見た。
「高すぎ……」
桁が一つどころか二つも多い。完全に予算オーバー。コツコツ貯めたお小遣いでは到底手が届かない。
ちぇ、と独りごちて顔を上げた。
一度は窓から離れたものの、あきらめきれずまた窓の中を覗きこんだ。もしかしたら、数字を読み間違えたのかしれない。もう一度、値札を確かめよう。
すると――
『メリークリスマス♪』
大きなクマのぬいぐるみの斜め下で、二回りほど小さなクマのぬいぐるみがつぶらな黒い瞳を輝かせながら翔を見上げていた。赤いリボンを首に巻いて。
