
暗躍する七つ星
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――2015年8月30日 21時19分
東京のビジネス街にあるビルの一つ。地上を見下ろせる階層に、一人の男がいた。
紺を基調としたスーツを着こなし、その胸ポケットには黒の万年筆がさしてある。右手で葉巻を吸い、左腕に光る銀の腕時計が蛍光灯の光を反射している。高級な身なりをしているが、その雰囲気は顔に刻まれた傷によりすべてが反転していた。
この者は社会のエリートではない。荒事で成り上がってきた王なのだと。正道ではなく、邪道で伸し上がった男。それでいて法の目をかいくぐり、あるいはねじ伏せて今の地位を確固たるものとしていた。
男は部下の報告書を読み続ける。今月の収益、新たな『事業』、そして今の世情……二十五年前の『逢魔化』以降、世間は揺れ動いている。こういう時世だからこそ、学なくとも成り上がるチャンスが生まれたのだ。男はとにかく情報を仕入れ、そして突き進んできた。そしてこれからも。
男は報告書の一つに目を止めた。十数枚の報告書の中の、僅かな一文に。
「新たな覚者組織の可能性?」
その男はその一文に眉をひそめた。京都に自分たちの知らない覚者組織の可能性があるという報告だ。
「はい。京都の事件発生率が減少しています。夢見を有する組織が暗躍しているものと思われます」
――覚者組織の確認は、容易ではない。夢見の予知により事件を事前に止めるため、事件そのものの確認ができないからだ。仮に発生しても被害は小規模に抑えられ、目に留まらない。
「近畿か。たしか何とかっていう古妖が大量発生したよな。すぐに収まったが」
「すねこすりですね。詳細は不明ですが、一週間程度で収まりました。……まさか、それも」
「だとすると、数百人規模で動いている可能性があるな」
「どうします?」
葉巻を吸う。瞳を閉じ、思考を行う。それだけの覚者を有する集団。いくつか候補を絞り、そして結論を出す。
「調査を続けるよう指示をしろ。しばらくは様子見だ」
「様子見ですか? 攻撃せずに?」
「正体不明の組織に戦力を割く余裕はない。今はプランXC優先だ。夢見の情報優先で動け」
「了解しました」
部下は一礼して去っていく。その音を聞きながらその男は肺の中の空気を吐き出した。
(数百人程度の覚者をせん滅する戦力はあるが……さすがに金と時間がかかる。殺すよりは取り込む方が有益か)
男は頭の中で損益を計算し、そう判断した。戦争は金がかかる。そこまでして滅ぼさなくてはならない相手ではないだろう。源素の力を使い、この国を取る。そのためには自分の扱える覚者の数は多いに越したことはない。その組織の情報を仕入れ、取り込むほうが目的に近づく。
「この『七星剣』がこの国を支配する。その組織がその礎となるか生贄となるか……あるいは壁となるか」
唇が笑みに代わる。傷だらけの顔が、雄々しく鋭くなる。
男の名前は『無道』八神勇雄(やがみ いさお)。
隔者組織『七星剣』の王。
※2015年9月8日現在、この情報はPL情報となります。プレイヤーは「複数の情況や組織がここ最近の近畿での動きを注視している」という状況のみ知らされている状態です。
東京のビジネス街にあるビルの一つ。地上を見下ろせる階層に、一人の男がいた。
紺を基調としたスーツを着こなし、その胸ポケットには黒の万年筆がさしてある。右手で葉巻を吸い、左腕に光る銀の腕時計が蛍光灯の光を反射している。高級な身なりをしているが、その雰囲気は顔に刻まれた傷によりすべてが反転していた。
この者は社会のエリートではない。荒事で成り上がってきた王なのだと。正道ではなく、邪道で伸し上がった男。それでいて法の目をかいくぐり、あるいはねじ伏せて今の地位を確固たるものとしていた。
男は部下の報告書を読み続ける。今月の収益、新たな『事業』、そして今の世情……二十五年前の『逢魔化』以降、世間は揺れ動いている。こういう時世だからこそ、学なくとも成り上がるチャンスが生まれたのだ。男はとにかく情報を仕入れ、そして突き進んできた。そしてこれからも。
男は報告書の一つに目を止めた。十数枚の報告書の中の、僅かな一文に。
「新たな覚者組織の可能性?」
その男はその一文に眉をひそめた。京都に自分たちの知らない覚者組織の可能性があるという報告だ。
「はい。京都の事件発生率が減少しています。夢見を有する組織が暗躍しているものと思われます」
――覚者組織の確認は、容易ではない。夢見の予知により事件を事前に止めるため、事件そのものの確認ができないからだ。仮に発生しても被害は小規模に抑えられ、目に留まらない。
「近畿か。たしか何とかっていう古妖が大量発生したよな。すぐに収まったが」
「すねこすりですね。詳細は不明ですが、一週間程度で収まりました。……まさか、それも」
「だとすると、数百人規模で動いている可能性があるな」
「どうします?」
葉巻を吸う。瞳を閉じ、思考を行う。それだけの覚者を有する集団。いくつか候補を絞り、そして結論を出す。
「調査を続けるよう指示をしろ。しばらくは様子見だ」
「様子見ですか? 攻撃せずに?」
「正体不明の組織に戦力を割く余裕はない。今はプランXC優先だ。夢見の情報優先で動け」
「了解しました」
部下は一礼して去っていく。その音を聞きながらその男は肺の中の空気を吐き出した。
(数百人程度の覚者をせん滅する戦力はあるが……さすがに金と時間がかかる。殺すよりは取り込む方が有益か)
男は頭の中で損益を計算し、そう判断した。戦争は金がかかる。そこまでして滅ぼさなくてはならない相手ではないだろう。源素の力を使い、この国を取る。そのためには自分の扱える覚者の数は多いに越したことはない。その組織の情報を仕入れ、取り込むほうが目的に近づく。
「この『七星剣』がこの国を支配する。その組織がその礎となるか生贄となるか……あるいは壁となるか」
唇が笑みに代わる。傷だらけの顔が、雄々しく鋭くなる。
男の名前は『無道』八神勇雄(やがみ いさお)。
隔者組織『七星剣』の王。
※2015年9月8日現在、この情報はPL情報となります。プレイヤーは「複数の情況や組織がここ最近の近畿での動きを注視している」という状況のみ知らされている状態です。