● 誰ですか、あなた達。 勝手に話しかけてこないで下さい。 人、人を呼びますよ。 やだもう、来ないで。 たすけて。 いや! ぼ~ん!! ● 「……と言う事態がおきつつある。今回の以来は、一般人の保全と革醒者の保護」 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は、いつもどおりの無表情。 若干のためらいのあと、モニターに革醒者の写真を出す。 おっとりふんわりした感じの美少女。とはいえ、ごく普通の女子高生。 「彼女、今、わりと不幸。この子、とある有名女子高の生徒なんだけど、近隣男子校の文化祭で公表された『勝手に決める@@女学院美少女ランキング』で上位になってしまった。以来、複数の男子に付きまとわれている。写メ撮られたり、人ごみの中からピンポンダッシュのごとく名前呼ばれたり。髪の毛一本抜かれたり。特に実害がないので、警察にも届けられない。本人は理由が分からない。ストレスマックス」 世に美少女の悩みは尽きまじ。 「彼女は、これから数十分後に革醒する。これは回避不可能。放置した場合、彼女は自らの能力で付きまとってた男子高生もろとも一般人十数人を爆破、死傷させてしまう」 現場の模式図がモニターに表示され、きわめて単純な同心円にバツ印がちりばめられている。 「その負荷から精神に異常をきたし、無差別爆破を繰り返すフィクサードが誕生する」 そうなったら、わりと不幸じゃすまない。と、イヴ。 「現場は駅。かなり大きなターミナル駅。通学の関係上、問題の男子校の生徒との接点はここのみ。よって、今彼女のストレスの象徴ともなっている。今から急行すると、彼女の革醒現象がほぼ終息している状況。ここで、調子こいた男子高生が彼女にちょっかいかけるのが爆破の引き金。推奨行動としては、男子高生から彼女を護り、彼女の攻撃から男子高生を護り、男子高生にはお灸をすえて、彼女のカタルシスを促すのがいいんじゃないかと思う」 モニターに映し出される男子高生の山。 現場にいるのはごく一部だろうけど。 「いうまでもないけど、今、彼女、高校生くらいの年回りの男子、生理的に大嫌いだから」 男子は、彼女の周りをうろうろしないのが吉。 「とにかく彼女を落ち着かせて。かなりの興奮状態。放置すれば、EP尽きるまで無差別爆破。革醒したてでも、複数回の発生は免れない」 いきなり、体が、心が、変質するのだ。 事前から予測していればまだしも、何も知らなければ、取り乱さないでいろと言う方が無理だ。 「革醒するのは仕方ないけど、それが不幸の引き金になるのは阻止しなくちゃいけない」 革醒者にだって、幸せになる権利はある。 「識別名……」 イヴが言いよどんだ。 そういえば、いつもは最初に言う識別名をまだ聞いてなかった。 「沙織命名『イヤボンヌ』 決めたの、私じゃない」 室長、イケメンで御曹司で金持ちだけど、時々致命的にネーミングがひどい。 「私じゃないから」 大事なことなので、二度言いました。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田奈アガサ | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 2人 |
■シナリオ終了日時 2011年11月02日(水)22:43 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 2人■ | |||||
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● 友達は、ごきげんようと言いながら、一人、また一人といなくなっていく。 この駅で改札を出たあとバスに乗らなくてはいけない。一人で。 乗り換えの友達の背を見つめていても始まらない。 改札に向かった。 来栖・小夜香(BNE000038)と『永御前』一条・永(BNE000821)の両名は、イヤボンヌと速やかに接触するため、駅改札内で待機している。 「それにしても、識別名どうにかならなかったのかしら?」 『愛煙家』アシュリー・アディ(BNE002834)は、資料に目を落としながら、タバコの灰を携帯灰皿に落とす。 「時村室長って、えらい人で、いけめんで、お金持ちで、いけめんで、いけめんなのに、ネーミングセンスぶはっ」 『中身はアレな』羽柴 壱也(BNE002639)、吹きださざるをえない。 「イヤボンヌだなんて、すごいネーミングセンスしてるよね! いやがってボン、ぱりじぇんぬ!」 「鳳仙花ってあれよね、種がぽーん、って弾けるの。うちのが小学生のときに育ててたわ。花言葉は『わたしに触れないで』 ……こっちにしてあげればよかったのに」 『レーテイア』彩歌・D・ヴェイル(BNE000877)も資料に目を落とす。 だって。 室長が、通りすがりに、笑いながら、「イヤボンヌだな、これ」って。 「男って、ほんとバカ……。ヒュアキントスが借りられたら、ものすごい世界へトリップさせるのに……!!」 思春期真っ只中の潔癖具合は山より高い。 『インフィ二ティ・ビート』桔梗・エルム・十文字(BNE001542)の脳裏に、確かな絆で結ばれた親友の晴れやかな笑顔が浮かぶ。 「やってることは小学生男子並なのだね。進歩もなにもない。進歩されるよりはマシなのだけど」 変な方向に進歩するということは、ストーカーという別の世界への旅立ち。 『カチカチ山の誘毒少女』遠野 うさ子(BNE000863)は、『Star Raven』ヴィンセント・T・ウィンチェスター(BNE002546)のエスコートつきだ。 少し離れたところで、小夜香は仲間に手を振る。 「ほんと、男の子よねぇ。やり過ぎた感はあるけど……でも爆破されちゃうって言うのもやり過ぎよね」 お姉さんなので若干余裕。 「彼女がフェイトを得れた事だけが不幸中の幸い、かな。なんとしてでも救いたいわ。彼女も、男の子達もね」 ああ、今、こうしている間にも。 世界の枝が揺れて震えて、恩寵と新たな世界を彼女に与える。 どうか、よき革醒でありますように。 世界にとっても、彼女にとっても。 ● ひどいめまいがして、その場にうずくまる。 貧血? そういえば、このごろ夜に上手く眠れない。 ふと窓ガラスに映った自分が目に入る。 髪と目の色が、ありえない色になっている。 目がおかしくなった? いやそんな訳がない。それ以外のものはまったく変わりなく見える。 否。 女の子。 さっきもそこに人待ち顔で立っていた女の子に。 背中のやや下の辺りから、純白の大きな翼が生えている。 壁との微妙な隙間はあの翼のスペースのためだったんだ。と、合点が行く。 考えるまでもない論理の帰結だ。 女の子がこちらに向かって歩いてくる。 どうして、誰も振り向かないの? ストレスで頭がおかしくなっちゃった? その発想は、どちらかというと、現実逃避だ。 思考回路は驚くほど正常だ。 急に目の前が啓けた感じがする。 今、混乱しているのは、状況を正確に判断するための材料が不足しているだけ。 ただ、そんなことを急に考え付くようになっている自分が空恐ろしい。 みるみる内に、自分とその女の子の間から人がいなくなった。 人が近寄ってこない。 何か壁があるみたいに人がおそらく無意識に避けて通っている。 羽根を生やした女の子の脇に、前時代的セーラー服を着た女の子が並ぶ。 左右を見回し、羽根のある女の子と頷きあうと、目の前に立って、礼法の先生みたいに頭を下げた。 「もし。少々お時間をいただいてもよろしいでしょうか? 私、一条永と申します」 彼女は、状況を把握している。判断するための材料を持っている。 一も二もなく、頷いた。 「落ち着いて、話を聞いてほしいの。変な男子どもに、嫌な目に遭わされた?」 ほんと失礼しちゃうよね! と近づいてきた中学生くらいの女の子。 なんだかちょっとほっとする雰囲気の子だ。 でも、なんだかすごい色の髪や目をしてる。 「わたし、桔梗。あなたと同じ革醒者」 革醒者? 「己が内に強い力を感じるかと存じます。そして、私達の内にも同じものがあるとおわかりになるでしょう」 永がそう言って、周囲を見回した。 「詳しい事は後程に。まずは、あの男の子達をどうにかしてしまいましょうか」 まずは、それから。と、微笑む彼女は、きっと見た目どおりの年ではないと思う。 「貴女、近くの男子校で話題になっているそうですよ。女子校に可愛い子がいると」 「男の子って、見た目以上に子供よね。皆が皆そうじゃないけど」 小夜香と名乗った女の子が、近寄ってきた@@高の男子に何か投げるそぶりを見せた。 「これ、効果あるのよ」 幻よ、本物じゃないから。と、念押しされる。 「大丈夫、私達が守ります。貴女は力を使わずに、されど意思をはっきりと伝えてください」 ● 革醒したての彼女のために、外的ストレスの除去も大事なプロセス。 予想された悲劇を回避するためにも、ここは体を張るぜ、リベリスタ。 「AKC49候補生! 白石明奈とはワタシのことだ! 未来のアイドルなんだぜ!?」 輝く笑顔は、勇気の印! 地域密着型アイドルグループの一人に名前を連ねんとしている『ミサイルゴッデス』白石 明奈(BNE000717) 、慈愛の心ですべてを許して赦し尽くす寛容の女神様だ。 お嫁にするならこのタイプだけど、高校生って分かりやすい美少女が好きだよな。 男子生徒Aも、明奈を華麗にスルーした。 「おい、無視すんなよ! アイドルが目の前にいるんだぜ? ワタシを見ろワタシを!」 生徒A、ふらふらと誘蛾灯に群がる虫のよう。 結界をものともせず、驀進中。 (くっそー、まだまだ知名度が低いんだな。このままでは来る選挙には勝利できないっ!) いや、まだ投票対象になってないでしょ、白石候補生。 ちょん。 ヒールステップです。足引っ掛けて転ばせてやろうとか思ってないですよ、いえ、嘘です。 だって。 (下手に力込めたらヤバいから、やさしーく) 女神様の優しさ。 「おっと、あぶない」 彼の顔が地面と激突しないように、細心の注意をこめた。 羽交い絞めにして。 男子生徒Bの目の前を拳銃が通過していった。 避けても避けても同じ方向に避けてくる女の子。 何度目かに強行突破したら、その女の子の足に引っかかったらしくて、盛大にこける。 ぱっかり開く通学かばん。 出てくる出てくる、女のかばんは魔法のかばん。 かしゃーんと音を立てて、床に落ちる拳銃。 「見たわね」 女の子は少しも慌てず、それを拾い上げ、引き金を引く。 しゅぼっ! 銃口から赤い炎がチロリと舌を出した。 「私はいいけど、たまに本物が混じってるから。火遊びは程々にしないと、いつか地獄を見るわよ?」 ささやかれる意味深な台詞。 (闇の攻性女子高生組織とかあるの? 存在を知ったら消されちゃうの? あの子、なんかやばい? この女の子、至近距離で見るとすっげくかわいくねぇ? 俺の人生で一番長い一日、ハジマタ?) 意味深な視線を投げ続ける女の子、彩花。 夢見がちな生徒Bの脳裏では、「第一話 始まりは拳銃」とサブタイトルがついた。 男子生徒Cの前に現れたのは、中学生くらいに見える女の子。 彼女は、満面の笑みを浮かべていた。 「こんにちわぁ、いけめんくん。この辺でかっこよくて有名だよね」 うふふっと笑う彼女の手には、携帯情報端末。 「名前、身長、体重、靴のサイズ、視力、好きなブランド、愛用の香水、昨日の夕飯、帰り道、家族構成、最近買ったもの、誰と仲がいい、今はまっていること、こないだのテストの点数、携帯の番号、メアド、よく行く服屋、君の事ならなんでも知ってるよ!」 明るく元気に告げられて、「あ、そうなんだぁ」で済ませられる人間がいるだろうか、いやいない。 今すぐダッシュで帰宅、お布団かぶって寝てしまいたいくらい気色悪い。というか、家までついてきそうで、怖い。 「君もあの女の子に同じことしてるんだよ? ミーハーなのはいいけど、やりすぎは注意しなきゃ」 人の振り見て、我が振りなおせ。 俺、人から見ると、こんな気色の悪い奴なんだ。 知りたくなかった、自分再発見。 相手のプロフィール調べていいのは、小学生までだよね~。 「お仕置きしちゃうから。君の事なら、なんでもわかるんだからね?」 女の子、壱也が浮かべた笑みは、生徒Cの背筋を凍らせて余りあるものだった。 「ほらほら、散った散った」 やたらと貫禄のある外人のお姉ちゃんが、男子生徒Dを片手であしらった。 「高校まで進んだ学生がなに小学生のようなことをやってるのよ」 ちょっと脳筋にきび面思い込んだら命がけ系男子高生。 「んだと、こら?」 背が低いアディーにすごんで見せる生徒D。 カウボーイの家系に生まれ、凶悪犯と立ち回りをしていたアディーには、精々カトゥーンのネズミにすごまれているようなものだろうか。 ひょいっと、目の前に中身を空にしたコーヒー缶。 「はーい注目、ここにスチールの缶コーヒーがあるわよね?」 スチール缶はアルミ缶とは違う。 ちょっとやそっとじゃ曲がらない。 ぺしゃ。 素手でウエハースみたいに缶を握り潰しつつ、にこやかに微笑む。 「数秒後の貴様らの姿だ」 笑顔に合わないどすの聞いた声。 (発砲してない分、本場より温厚よね?) ステイツ流交渉術は、生徒Dの顔色を、コーヒーに落とすミルクのように白くした。 永久凍土のような顔色になったのは、男子生徒E。 『節制なる癒し手』シエル・ハルモニア・若月(BNE000650)が『ヒマラヤの頂でかき氷を食べている位の気持ちを男子に抱かせる眼差しで』微笑 んでいるから。 「この中に彼女の髪の毛をひっこ抜いちゃった方居られます? 髪は女の命……そういう事……イケナイです」 ごめんなさい。もう、しません。ママに誓ってしません。 男子生徒Fは、ひょっとすると一番不幸だったかもしれない。 「お姉さんが困ってるし、お兄さんたち構わないで欲しいのだよ」 憧れの女子に今日こそ声をかけようと突進仕様としたところを、ぱっと見小学生としか思えない女の子に通せんぼされて、説教食らっているのだ。 「日本語分からない? じゃあ英語で話せばいいの?」 ほんとに英語しゃべりそうで怖い。 「お前、何の関係あんの」 「そういうことを言うのだね」 次の瞬間、女の子の姿が目の前から掻き消えた。 そのとたん、首筋にしゅるるんっと全身が総毛立つ感触。 どこからとも鳴く落下してきた黒猫が襟足を通って、どこへともなく去って行く。 息を吸い込むと、こんどはくしゃみがとまらない。 空から百合の花束が落ちてくる。 収まって、顔を上げると、顔になんか掛かった。 今起きたことをありのまま話すぜ。 空飛ぶ小便小僧が現れて、痛恨のウォーターシュートかましやがった。 もちろん、世界が彼を村八分にし始めたわけではない。 ヴィンセントの幻影によるフォローである。 神秘の秘匿というか、余計にポルターガイストというか……。 革醒者ビジョンでは、うさ子が手に猫じゃらしだのこしょうだの水鉄砲だの持って好き放題やっているだけだ。 (思う存分どうぞ。いや、やり過ぎたら止めるべきなのでしょうか……?) ヴィンセント、自問自答中。 「このっ!?」 だがこのくらいの障害ものともしないのが、恋の道だ! 生徒F、強行突破を試みる。 「こりないね」 こんと足首を蹴られた感触があった。 一瞬、完全に宙に浮いた。 びたんっと鼻からリノリウムの床に激突。 「彼女の半径5m以内には近づけさせない。お兄さんたちのためにもね」 ● 説明は、荒唐無稽だと笑いたかったけれど。 ぞっとするほど合理的で、どう反証しようにも騙されているという結論には達しえなかった。 ……ということは、これは一過性の病気ではなくて。 もうずっとこのまま。 うるさいくらい深度を深め、平行展開される思考も止まらないということ。 自分からは逃げられないから。 元に戻るなんて事はなくて。 この先の人生、ささやかな夢。穏やかな一生。 漠然と考えていた全てが崩れ始めていく。 この間テレビで起こっていた、肌をぴりぴりさせるような怖い現実が。 より近くにまで迫ってきていた。 「どうかな? さっきみたいに困ってる子を守る正義の仕事、してみない?」 桔梗と名乗った子が、ニコニコと言う。 正義。 残念ながら、そんな言葉で胸を高鳴らせることが出来るほど子供ではない。 ただ、髪や眼の黒い色素と一緒になくなってしまったものが多すぎて。 耳鳴りと、激しくなってくる呼吸と心臓の音が止まらない。 「色々な事が起こって吃驚でございましょう……ともあれ……仲間の話をきいてあげて下さいませんか?」 羽根が生えている人がまた一人増えた。 動物の部分が生えたり、髪や目の色が変わるのは、比較的変化が少ない部類だそうで、中には機械の見た目になる人もいるそうだ。 何の慰めにもならないが。 「まあ、私があれだし、あなたが今の生活を手放さなくていいように願ってはいるけれど、これだけは言っておかないと」 そう言って近づいてきた女のこの様子を見て、悲鳴を喉で殺す。 サングラスの下から、機械の目。 ヘッドフォンではなく、頭から金属が生えている。 「滅多なことではその力を無理矢理抑える手段と言うのは存在しないから。こういう時、やっちゃった後で『あれは正当防衛』 とか『つい暴発して』 とかいう言い訳は効かないの」 現実だ。 それが現実だ。 今聞いた話が本当なら、この人たちが来なければ、今頃は血の海の中で呆然としていたかもしれない。 「あ、このっ!」 「あとからあとから湧いてきてっ!」 結界という力だと聞いた。 今、ここには特に用を感じなければ、存在さえ忘れてしまう暗い影が薄い場所になるそうだ。 そこに、@@高の男子がなだれ込んでくる。 みんな目がおかしい。 「なんでですか」 口が勝手に動く。 違う、これはわたしの意志だ。 「なんでわたしなんですか」 とめられない。 違う。とめたくない。 「わたしはそんなの望んでません」 ああ、だめだ。 今まで溜め込んでいた涙や愚痴や。 そんなものが、みんな溢れてしまいそう。 「いやなんです」 たすけて。 こわいの。 わたし、そんなたいしたものになんかなれない。 「こっちにこないで」 誰もわたしに触らないで。 ああ、もう、もうだめ……。 「落ち着いて、ゆっくり息を吐くんだ!」 力強い声が降ってきた。 声の強さに、溢れそうになっていた涙もびっくりして引っ込んだ。 「ワタシも最初は大変だった。兄貴を病院送りにしたりしちゃったからなあ。だからこそ、みんな無事でいて欲しいんだ!」 あ……。 今、わたし、わたしのために来てくれた人たちも巻き込んで、ひどいことをしようとしていた。 @@高の人たちをかばうようにしてたっている女の子達。 息を吐けといってくれた女の子と目が合った。 すごく明るい笑顔で、頷いてくれた。 「気になるのは分かるけど、相手が嫌がってるのに追いかけるのは紳士的じゃないぜ? 精神的にもイケメンになれ、男子諸君!」 そう言って、優しく~、優しく~と、近づいてくる男子をぽいぽいぽいとあしらう。 それはいつの間にか回りに集まっていたほかの女の子達も同じで。 気がついたら、わたしはたくさんの人に守られていた。 「興味本位で関わるのは程々になさいませ。これ以上の悪ふざけは学校へ抗議させていただく事になりますが、よろしいですか?」 永さんが言うより早く、知らない通りがかりの誰かが報せてくれたようだ。 @@高の人達は、駅員さんに連れられていった。 「詳しい話はアークってとこで教えるからさ。ワタシみたいなフツーの子もいる所だから大丈夫!」 ピカピカ笑顔の人、明奈は、そう言って全てを赦すピカピカの笑顔を浮かべる。 「その力は抜き身の刃。無闇に振るえば誰かや己を傷付け、最後には折れる」 永さんが言っている言葉は本当のことだ。 先程湧き上がった目の前が真っ赤になるような感覚は、恐ろしいものだった。 「無かった事にはできませんが、使い方を教えて差し上げる事はできます。ですから――」 リベリスタは、新たな革醒者を歓迎する。 「貴女の名前を、教えてはいただけませんか?」 そうだった。わたし、まだ自分の名前も言っていない。 「しのぶです。佐伯、しのぶと言います。あの、一つ聞いてもいいですか?」 みなさん、やさしく頷いてくれた。 「わたし、ずっとこんな調子で男の人が寄ってくるんでしょうか……?」 そんなことはない、大丈夫と言ってもらって。 わたしは、ようやく安心した。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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