● 「集団お見合いとセキュリティチェックと無料モニターのいずれかをお願いしたい」 手にチケットの束を持った『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は、意味がわかりませんという顔をしたリベリスタの顔を見て、ああ、とポンと手を打った。 「今度開館する民俗歴史博物館のプレオープンに行ってきてほしい。ここはアークがアーティファクトを購入するとき用の隠れ蓑。自治体所属の機関だと信用も段違い。ただいつまでも実体がないのは問題だし、近隣の市町村にも示しが付かないし、この秋めでたくオープン」 うん、そこが抜けてたね。 あらためてと、イヴは三つのモニターにそれぞれの詳細を映し出した。 「一つ目、先日とある収集家から大量の刃物系アーティファクトを購入して来た。で、錆び落とし作業をリベリスタにしてもらったんだけど、何組かのアーティファクトとリベリスタが意気投合した。リベリスタが経験をつんだアーティファクトを使うことで戦力アップするのはアークとしてもやぶさかではない」 そういう訳で。とイヴは言う。 「本公開前に、みんなの中の希望者と顔合わせ。意気投合したらアークから貸し出す。何らかの理由でアークから離脱するときは返してもらうけど、それでよければ。それから、今回メンテナンスの関係上、刃物しかない」 ちなみに一番最初の特別展示は、「古今東西刀剣展」だそうだ。 「ただし、必ずめぐり合えるとは限らない。というか、そういうご縁はなかなかない。でもじっくり色々な武具を見るのはいい経験になると思う」 「二つ目。時々はアーティファクトも展示するから、リベリスタとしてセキュリティチェックをお願いしたい。もちろん最高のセキュリティはついてるけど、あそこから面接着を使ったら入れそうだとか、ここの窓物質透過できるくらい薄いとか」 イヴは、内部の見取り図を配り始めた。 「これに書き込んで提出して。お礼に博物館の一年間フリーパスポート上げる」 それは……嬉しいような嬉しくないような。 「三つ目。一応観光スポットとして考えてるから、カフェとかも作ったみたい。その目玉企画のデザートビュッフェの試食をお願いしたい。対象はカップル……というか、女性がターゲット。ケーキとかフィンガーサンドとかそんな感じ。オープンテラスもあるし……」 もちろんモニターなので、アンケート用紙が配られた。 「どれがおいしかったか書いてね。やめといた方がいいのも書いてくれると更に良い」 説明が終ったイヴは、今度はタイムテーブルを出した。 「残念ながら今回はプレオープンなので、開館時間が非常に短い。どれか一つするのが精一杯だと思う。行動は一つに絞ってね」 というか……と、イヴはリベリスタの顔をぐるりと見回した。 「デートの最中刀や建物の構造に釘付けになって、結果振られてもアークは責任持てない」 デート目的とは限らないと思うけど。と、無表情。 「ご家族、ご近所お誘い合わせの上、ご協力お願いします」 やけに丁寧に頭を下げられて、リベリスタ達は何をするか相談を始めた。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田奈アガサ | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年10月14日(金)23:28 |
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■メイン参加者 0人■ |
●博物館、開館 秋晴れ。 真新しい民族歴史博物館に 、続々とリベリスタが集まり始めていた。 ●集団お見合いゾーン 展示ケースのガラスは取り払われている。 触り放題、話しかけ放題。 こないだ12人のリベリスタが魂削りながらお手入れした別嬪ぞろい。 にもかかわらず、お手入れセット持参で来たリベリスタ、結構いた。 「デートの邪魔をするなとかどういうことですか! 刀とか! あたし! 刃物! 苦手! なんですけど!!」 夢乃、自分の胸に手を当ててよく考えてごらん。 「刀剣展に押し込まれた……ってうわあ、剣だ、刀だ!? あたしの敵がいっぱいです!!」 君が刀の天敵だろう。びびせなきゃだめじゃないか。というか、館内武装禁止。 吊るされちゃうよ? (民族歴史博物館の諸々の仕事というが、歴史あるアーティファクトと触れ合えるとはそういう機会はなかなかないからな、楽しみだ) 錆び落しはすでに済ませてある。 自前の錆び落し道具を持参してきた雪継は少々拍子抜け。 古い薙刀を手に取り、サイレントメモリーで途切れ途切れの記憶をたどる。 後はゆるゆると朽ちていきたい薙刀の気配を察し、雪継は一礼した。 そんな雪継に声をかけるのは、雪。 「私は目の保養に。面白い話が聞けるだろうとおもって」 「古道具というものは、自分より遥かに年上な物だ。遥かに……」 「武器は使われてこそ華だけれど。使われない武器もまた月見草ですから 」 ステイシーのアプローチは、いとしい男にささやくように濃密だった。 「神秘もざわつくこの場所で寡黙も突き通す貴方ぁん? 馴染むのは年経て得る深みがなせる業、刀身の勲章は歴戦を潜りぬけて護り生き抜いた証……渋いわぁん♪」 防御用短剣。 学芸委員の目が光っていなければ、口付けをささげたいところだ。 「そんな貴方が一緒ならぁ、自分は幸運も運命も生存もつかめるわぁん。貴方を眠らせたくないのよぉん。自分と往きましょぉ?神秘と戦場とNEW WORLDへ」 カイは、ひっそりと展示ケースに添え置かれた『無銘の苦無』の前で立ち止まっていた。 (……どうでしょう、この世界を守る為……名も知れぬ人々の平穏を踏み躙らんとする脅威に立ち向かう為に、再びその身を修羅の巷に踏み入れてはくれないでしょうか? どうか、この忍びくずれの僕と共に戦ってはくれないでしょうか?) 凍夜は、太刀を捜していた。 (一刀で人を殺せる、バスタードソード程度の長さの太刀。人の血を知っていれば尚好ましい) 人を斬る覚悟。己を斬る覚悟。血に塗れる……覚悟。 自分に足りないのはそれだ。 静かに心を落ち着け、気配遮断を用いて自身の気配すら殺し、じっくりと武器の気配を探る。 屍山血河のその向こうを見る為に刃の折れ、身の果てるまで共に行く道連れを探した。 那雪はふらふら歩いていたが、ふと立ち止まり、じっと見つめた。 2時間魅入った後、そっと紅い暗殺針を手に取った。 (やっぱりお腹すいたって、ずっと言っていたのは貴方……ね。 魂魄……? …お勧めしない、わ? 貴方…きっと甘いものすき、絶対。……え? そんなに言うなら食べに連れて、いけ……?) 那雪は、くるりと辺りを見回した。 (私は構わないけれど……あの人達(がいいっていったら……ね) 光は、磨き用クロスを置くと満足そうに午前中の仕事を振り返った。 「野菜のサンドウィッチだ! 美味いぞ!」 お相伴に預かる桐は、展示間違いの鰻的鞭にコナかけられたくらいだ。 (なんかすべりそうでしたし? 海洋生物っぽいのがほしかったのに……) そんな桐の鬱々具合など、どこ吹く風。 「仕事の後のご飯は美味い! 午後からもがんばって錆びてる道具はどんどん磨くぞ!」 光はやる気満々だった。 アラストールも手入れ道具を持ち込んだ一人だ。 (戦いの道具の手入れをするのは、武人の務め) 何時でも誰かが必要とした時、彼等を振るう事が出来る様に。 (剣や刀は殺める為に作られた物だが、それ以外の意味と想いも確かに込められている。剣は道を切り拓く物だ、使い手の心を映す鏡。願わくば、私と共に歩む誇りを宿した剣が応えてくれる事を) リは、一声ギャと言った。 (私の所有しているチェンソー剣君、首落とそうとすると、切断面がズタズタに荒れてしまうんですよねぇ……。そんな理由で、スマートに延髄をぶち抜ける獲物と出会えればお慰みだしと思ってやってきましたし?) なんとなく何が言いたいのか、何を求めているのかは伝わる。 (斬首用の古道具……そうそう「ギロチン」って言いました? 刃部分だけ取り除いて斧みたいになってる獲物があれば、とても素敵でしょうし……断頭台から零れた刃なんてのも、転がった頭同様とても愛らしいでしょうし? そういった手合いがあれば、最高ですし?) リルは、お目当てを見つけて手に取った。手には磨き用クロス。 (トルメンタ。暴風って呼ばれてる西洋剣みたいっスね。名前の由来は、偏った重心から使い手はまるで暴風のように踊り狂うからっスか。面白いっスね) 手にして磨くうち、ますます心が傾く。 (リルはトルメンタと友達になりたいんス。リルと一緒に踊ってくれる戦友に) リルは周囲をきょろきょろ見回した。 辺りに人影は無し。 (踊るっス。実際にリルの踊りを感じてもらいたいのと、触れただけで終わるなんて生殺しっスから) 軽やかなステップ。様になっている剣舞。 (ところで、イメージ映像若作り過ぎじゃ……って暴れるなッス! トルメンタは若いっスね! まだ290歳代っスし! ) 数分後、振り回しているのをみつかり、大目玉を食らうことになる。 雫の手には、銘を備州長船住祐定。という短刀。 「初めて……見ますが……刃紋とは……きれいなものですね……」 まぁ……愛の逃避行はしませんけど……。 斬乃には、チェーンソーがある。 ゆえに、この場は誰が武器を手にするかのアピール合戦を、横から眺めて楽しませてもらうことにした。 (こういうお祭りは見物しておくのが一番面白いんです。あ、ポップコーンあります?) 展覧会場は、飲食禁止です。 翠華は、あれこれ投擲用ナイフを見て回る。 (まぁ、いつまでも『借り物』で戦う訳にも行かないし……良い機会よね? 『借り物』から『自分用』への意識改革が目標よ) せめて第一歩と、試せるだけ試してみた。 「ダメね。中々、良い物が無いわね……?」 (色々、種類があるのは良いけど、アイツの物より良い物は、簡単には見つからないわね?) 「まぁ、アイツのナイフより良い物が簡単に見つかっても……」 ふと我に返って、頬を赤らめざるを得ない翠華だった。 ツァインは、うろうろ歩き回っている。 (日本刀にハルバードにクレイモア! うんうん、分かる! 浪漫感じるよねぇ) 刀剣の華。鋭さ、おおきさ、複雑さ。 (……で、お前の所は皆素通りって訳か。まぁ、そうだよな。いかにも剣ですって形してるしな。なんというか華がないんだよな……) 適度に切れて、防御に優れた短さで、ただひたすらに頑丈で……。 そんな剣の前でツァインは立ち止まった。 (でも俺は知ってるよ。兵士が戦い抜く為に極限まで考え抜かれた剣だって事を。ありふれてるってのはさ、信頼されてたって事だよな? 『グラディウス』) アークの担当さんに土下座する心の準備はOKだった。 エーデルワイスは、銃火器が見たかったのだ。 (あれ? これは確か大戦時の銃剣。銃と離れ離れになっちゃったのね) それだけでは、精彩に欠ける。 (2つで1つ。一緒じゃなきゃ可哀想。安心して。私が貴方の相方を見つけてあげる。私でも素敵に思える貴方だもの。貴方の相方はきっと素敵な銃ね) エーデルワイスの覚悟は決まった。 (一緒に行こ。今日から私達はチームよ。レッツ愛の逃避行) 数分後。 アークの手練によって、エーデルワイスは吊るされた。 (ごめんね。私の力不足で。貴方を連れ出せなくて) ぶら~ん。 魂を削りながら、刃物を研いだリベリスタ達がいた。 蔵の中で、おずおずと心を寄り添わせようとしたリベリスタ達がいた。 そんな彼らも、博物館に来ていた。 ランディは、くどく女の前に立った。 「よう、また逢ったな」 前回逢った片手斧、今日はじっくりとな。 「その鍾乳石の様な手触り…惚れ惚れする程の良い女だ」 丹念に錆を落としながら語りかける。 (――ラ・ベール・カルマン―― お前の国で美女、俺の好きな紅と言う色。紅い美女) 「往こうぜ、ラベール。俺と共に」 が、ラベールはいい女に違わず、安売りしない女だった。 あたしだけの男になるなら、考えてあげる。 守羅は、その刀の前で呟いた。 (答えを、訊きに来たよ) 前回同様に刀の手入れをしつつ、話しかける。 (あたしが一方的に気に入っただけだしお互いの同意が無いとダメだよね?) そっと、刀身を抱きしめる。 (日本刀だから人が斬りたいのかと思ったけど、違うのね。意味のある戦いこそを求めてるんだ。 あたしも人を殺した事実を世界を守るという大義名分に摩り替えただけ。只の人殺しだと断じられることが怖いの、人には絶対に言わないけど) 人に言えない思いを、物言わぬ刃に明かした。 (外へ出て、探しに行こうか、あたし達が求めるものを。あたしなら大丈夫。背中の荷物が一つ増えるだけだから ) 刀は、「待つ」と言った。 自分を荷物と感じない程度に成長するまで待つ。と。 虎美は、最近猟奇的だ。 アーク屈指の二丁拳銃使いが、男女関係の縺れの末に振るわれたと言うチェーンソー剣、「Sudden Death」君の前に立っている。 (人のモノを取っちゃう泥棒猫は解体だよね、うふふあはは) 丁寧に体を磨いてあげながら、胸に湧き上がる親近感。 視線を時々兄に向けたりしつつ、 「まだ…まだだよ。突然やるから効果的なんだ」 とか意味不明な事を呟いていた。 (……って、いけない、このままじゃ前の二の舞だね。さすがにあの時みたいに錯乱しないけどさ) 高ぶる感情を探査された虎美が、カウンセリングのお誘いを受けるのはこれから三分後のことである。 (前回出会った一伍さんを勧誘に行くよ☆ 他の刃物さん達にも挨拶に行くよ♪) 自分が磨いたものに挨拶しつつ、終は一本の刀の前に立つ。 (こんにちは☆ 一伍さん、あれから調子どうですか? 今日はお願いがあってきたんですよ) 表情を引き締め、刀に向き直る。 (一伍さん、オレに力貸してくれないですか? オレね、強くなりたいんだ。一伍さんが前のご主人護りきったみたいに、オレもいろんな人護りたいよ。オレまだ未熟だし、経験のある一伍さんが力貸してくれたら凄く心強いんだ) 誰一人死なせる事なく無辜の主を護りきり、その後抜かれることはなかった小太刀からは、孫を見るようなやわらかい波動。けれど応えはない。 (えーと、ダメ……?) 若い者が、自分のような火事場の馬鹿力で名を成した刀で強くなろうと思ってはいけないと、やんわり答えが返ってきた。 とらは、刀剣の片隅に参考展示されている、タイタニックからサルベージされた銀のカトラリーに愛をささやきに来ました♪ (ねぇね、こんなトコで骨董品みたいに飾られるより、とらと世界に船出しない?) つやつやと光る銀食器。 (とらと一緒に来たら、夜な夜なねちこく、キラキラに磨いてあげるよ? おばあちゃんになるまでだよ? とらがしつこいの、知ってるでしょ? 名前はねぇ、「カトちゃん」でどう? 嫌? じゃあ、「カットりーぬ」) にこにこと話しかけるとらに、カトラリーの本懐は白いテーブルクロスの上に並べられ、ふさわしい料理を楽しんでもらうことだと答えた。 とらがそういう晩餐を開けるようになったら、迎えにおいでとフォークは言った。 舞姫は、とある小太刀の前。 (過日は取り乱したところをお見せし、真に失礼致しました) 下着姿でヒャッホーダイブは、取り乱したで済ませて良いのか審議が必要だ。 (世之介殿……、貴殿のような古強者が斯様な穴蔵に隠居するなど、なんと腑抜けたことか 貴殿には戦場(いくさば)こそが相応しい。わたしには判る。同じ魂を持つ戦士であると……!ともに、いざ参らん! この素晴しき世界に!!) 徐々に説得に熱がこもる。 「美女と巨乳、幼女にぺたん娘、男の娘、セクシーダイナマイツも清楚なスレンダーも、鎖骨もうなじも絶対領域も……」 腕を上から下に振り上げる独特のジェスチャーも加わる。 「輝きに満ちた世界が、わたしたちを待っています!! ヒャッハー!!」 じいちゃんは乗り気だったけど。 ここで、アーク職員の肩ポン。 公共の場所でそんなことゆってたらだめだゾ! エロジジイとつるむのは、18歳を越してから。 永が来たのは、改めて御挨拶するため。 「先日は良き経験をさせていただきました。その後はお変わりございませんか?」 一本一本丁寧に。 「無茶をする子も多うございます。何卒、面倒を見てあげてくださいませ」 祈るような気持ちで話しかける。 (静かに眠りたい方もおりましょう。威を振るいたい方もおりましょう。なれども、私達の前に続く道は苦難を極めます。冥府魔道を歩もうと、正道を見失う事が無きように。どうか、そのお力をお貸しください) アイリは、質素だが品のある剣の前で立ち止まる。 柄から切っ先まで、澄んだ青色をしたショートソード。 その分類は美術品。 命を奪うために拵えた物ではないそれに惹かれた。 どんな理念でこれを打ったのか。剣に触れる事でそれを感じ取りたい。 天と地ほどの差はあれど、私とて物を作る人間なのだ。 心で語りかける。 ダンスの誘いのように。優雅に、しとやかに。 (もし良ければ、私と踊ってはもらえないだろうか?) 血に染まらないことを望まれて生まれた儀礼の剣ですので、そのようにして朽ちていきたい。 剣の波動がそう告げた。 座敷・よもぎは、賑やかな雰囲気に誘われてふらりと来場。 「こんなにも沢山の武器が……壮観だね、見れたという事だけでも良い思い出になりそうなくらいだ」 途中、蜘蛛の巣の細工が凝らされたナイフを発見 手に馴染む感覚に妙な懐かしさを感じる……初めて触るのに不思議だ。 (あとは皆がどんなものと出会い、選んだのかを眺めていたい。とても大切な瞬間だと思うんだ。 だから、なるべく目に焼き付けておきたいな、と。あとは知り合いを作るきっかけになれば……嬉しい。うん) さあ、勇気を出して話しかけよう。お友達への第一歩! 女木島 アキツヅ、感無量だった。 (先立つ物が心許無い上、借金(10000GP)までこさえてる身なんでな。有り難~~~い話に涙と鼻血を禁じえないぜ、こりゃ) なんでそこまで困窮しているんだ。 (個人的に興味があんのが『未展示品。未公開品』。研ぎ減りしすぎているだとか、折れているだとか、展示物としては失格だとか。日の目に出なさそうな寂しい奴がいい。主催側の人間に聞いてみるかねぇ) ……元は厳選された個人コレクション。 そういうのは好みじゃなかったみたい。と、肩ポンされるまで後二分。 迷子は、短刀の辺りをうろうろしていた。 (できるだけ退屈してそうな奴を選ぼう) ふと目に止まる一振りを手に取ってみる。 衣擦れのような鞘走りの後に百は息の根を止めそう。 (まだ、その時ではない) 来るべき日が来たら。と、人なら鮫のようにと形容される笑みの波動が迷子に伝わった。 ヴァージニアは、ジャパネスクを堪能していた。 (せっかく日本にいるんだし本場の日本刀を中心に見て回ろっと) 髪や瞳と同じ色の輝きに惹かれて、澄み渡るような深緑色の刀身、日本刀「翠閃」を手に取った。 (さむらいそーどすいせんかぁ) 「日本刀」と書いてサムライソードと読む。 それが、外国人クオリティ。 竜一は、誰にも選ばれそうに無い剣たちをいそいそチェックしていた。 「ついに出会えたか、前世の友よ!かつて俺とお前は、時空戦争に巻き込まれ、戦場をともに(略)」 と、脳内妄想を駄々流し中。 見事な厨二だろ? これでリア充なんだぜ? (剣をうまく脳内ワールドに洗脳してみせよう。なでなですりすりぺろぺろ。……長剣だし、鉄味か) 見事なぺろリストだろ? これで(以下略) 「思い出せ、お前の名は、時空剣アザーだ!」 なめられちゃった剣、涙のSOS発信。 魂かけて、拒否! そんなもんだったことは1マイクロ秒もない! 竜一、念願どおり吊るされ……るために簀巻きにされたまま、忘れられた。 冬路は、やる気満々だった。 「お主らの昔話、余す所無く聞いてやろうではないか、この耳で!」 うさ耳、ぴこぴこ。 タワー・オブ・バベルを用いて刀剣の言葉を通訳。集音装置で聞き漏らし無し。 (そうじゃの、この軍服に似合うような、昔の軍の指揮刀(サーベル)をのう。お主のような……ん? 女好きじゃと? 軍隊上がりのくせに破廉恥な! なに、そんな昔話が、ふむふむ、そうか……辛かったじゃろうな……分かった、お主と共に戦おう!) 「凛月」という軍刀、舞姫ケースが戦闘中に勃発するとたまらんので、持ち出し禁止になった。 楓は口が寂しかった。 全館禁煙。ノースモーキング。イエー。 (ともあれナイフや短刀の類を色々手にとって振れてみてフィーリングを確かめて見るのだョ命を預けるモノだからね、お互い合うモノが良いのだよー。器物百年云々つくもがみというし、モノにも心があるサ) 「小生と一緒に来る?」 (多くの人目に付きたがらない恥ずかしがり屋も居ると思うのだよ、そう言う子を、連れて行って上げたいのさ) 御龍の足取りは軽やか。 「博物館♪ 博物館♪」 見かけによらず、博物館好き。 その中でも目を引いたのが『斬龍刀』。 会場で一番ごつくて巨大。刀というよりももはや鉄塊にしか見えないぃ。 「すごくぅ……太くてぇ、大きい……ですぅ……」 なんで赤面してるの、お姉さん。 「持てるかなぁ? ちょっと持ってみようぅ。お? おおぉ? 意外と軽い……?」 あたりに構わずぶんぶんと振ってみたりして。 危ないことしちゃ、だめだゾ! お仕置きに吊るされるまで、あと30秒。 ●模擬怪盗ゾーン アークの穴を探るのに、心血を注ごうという輩もいた。 アークも鉄壁の守りを固める。 (俺の名前は新田快。アークの総合職手練(なんでもありバイト)。反則行為をした人の後ろに先回りし拘束。天井に吊るしておく。本部指示なので。たとえ誰が相手でも!) なんで君の友達みんなキャッキャウフフしてるときまで働こうとするんだ。 誰か誘ってケーキ食べに行けよ、酒屋の息子。 ここの照明、影が出来にくい博物館仕様だよ。 「危なそうな所は写真に収めておくよ、刀剣も」 影潜みに挫折した縁、写真を撮って、見取り図にぺたぺた。 三千、天窓を見ながら想定中。 (例えば、複数人で空を飛んで、それぞれの窓から同時に侵入……) 窓には、格子がついている。 そういえば、普通に最高級セキュリティつけてるって言ってたっけ。 でもまあ、透明化して、機器遮断すれば間に合うかな。 (そうすると、警備の人たちは、どこを守りに行っていいか混乱してしまいますよね。そこで、予め博物館の中に、お客さんとして紛れ込んでいた仲間が、行動開始です。警備の人たちが右往左往している間に、堂々と目標のものを盗み、正面から出ていく、というものです。まさか避難していくお客さんが、犯人の一味だとは思わないでしょうからね) いや、その場合、お客さんには一箇所に集まってもらうことになると思うよ。 事情聴取とかあるし。 かなり大掛かりなチームならありだな~。 「はいはい、お仕事ですよ、と」 彩歌さんは、電子の妖精を用いてネットワークに侵入中。 (うーん、ネットワーク的にはどうなんだろ、これ。警報はアークに繋がってるのよね? 警報装置が一つ無効化されたら他のが反応するようにして、電子の妖精対策にブービートラップを仕込んで、と) 提案書にこりこり書き込み。 (あ、あの辺カメラの死角ね。何とかしておいてね) こりこり。 (物は相談だけど、その、一日券二人分もらえたりしないかな、なんて……) 備考に書いてみたりして。 恵梨香さんは、アークの手練である。 (ESPと千里眼を活用して巡回を行い、索敵) あの? 今日はあれですよ? ここが危ないよって用紙に書き込んでもらうのが主で。 敵なんか出てこないよ? (侵入者があれば待ち伏せて不意を突く。刀剣展、見たかったけど時間がない。次から次へと吊るさなきゃ) そう。今のところ、みんな恵梨香さんに吊るされている。 (恵梨香さん真面目なのはいいけど、何かちょっと趣旨勘違いしてないかな?) 「いや、その人リベリスタだからね? ほどほどにね?」 同僚新田、背中に声かけてみたりして。自販機の温かいカフェオレどうぞ。 「適度に息抜きも必要だよ。デザートビュッフェには連れていけないから、そいつで勘弁してくれ」 「やあ、ご苦労様です。これは差し入れです」 立ち入り禁止区域の警備に声をかけて差し入れを渡す鬼ヶ島さん。 「あ、はい。ご丁寧に」 当たり前のように中にはいろうとする鬼ヶ島さん。 ブロックする警備員。 「セキュリティチェックです」 「立ち入り禁止区域です」 入ろうとする鬼ヶ島さん。 ブロックする警備員。 「正規のセキュリティチェックの振りをした偽者の役です」 「だったら余計に『中に入れない』で正解ですよ。吊るしてもらいます」 (厳重なシステムも運用をキチンとしなければ機能しませんからな) 自分があわよくばなんて考えていない鬼ヶ島さんは、アーク職員の愚直さを知った。 ぶら~ん。 影潜みで潜入中のアウラール。 そう。趣旨を間違ってます。 誰が擬似泥棒に入れと言ったのだ。 「機械だけ騙せてもダメだぜ?」 そこに人肌の塊があるのは、ばればれよ? 人間サーモグラフィー、手練、新田、参上。 「え~!? この後超幻視で展示ケース壊して人目を引いた隙に、本命盗んで、バイクで陽動。人にまぎれて華麗に逃走するつもりなのにー!?」 キリエ、そんなアウラールの片棒担ぎ。 閉館時間になったらって手はずだったのに、やけに早い連絡。 とりあえず出る。 「ばかめ、アウラールは吊るしたわ」 バイクで逃走! 近所迷惑だろうから、速めに降参した。 そしたら、相棒はもう吊るされてた。 「アウラール、少しやり過ぎかな?ま、一緒に叱られてあげるよ」 逃走者、掲揚。 「騒がせたお詫びに、レポートくらいは提出するよ」 よし、A4びっしり、50枚以上で。 ぶら~ん。 (おにーさんはまっとうな職業の人なんだけどね。ピッキングマンとか持ってるし、たまには真面目にはたらかないと。神秘に頼らないような部分のセキュリティチェックをしていこうか) ちょいまて、趣旨からずれてるぞ、リスキー。 (うーん……うーん……どこを見て回るのが面白いか) 趣旨からずれてるぞ、リスキー。 (女性職員用の更衣室とかないかな? ほら展示物も大事だけど、女性を護るためのセキュリティーとか大事じゃない? やましい気持ちもないしセキュリティの穴を見つけても報告しないとかないよ? 本当だよ? ) よし、吊るす。 ぶら~ん。 ●お一人様ゾーン。 お一人様、割と大きなメインテーブルに案内される。ちっちゃいテーブルではカップルがいろいろハート飛ばしているし。そんな連中目立つところには案内できないね! 天乃と綾香、たまたまお隣。 ちらちらと、お互いが取ったケーキ流し目で見てたりして。 「ショートケーキ、はシンプルだけど、良かった」 天乃、ボソッと言う。 頷いた綾香、ショートケーキ一個余分に持ってきて、天乃のお皿の上にちょこんと乗せた。 「カレーケーキ、は迷走しすぎ」 「とらないでよかったよ」 スイーツ友達になれるといいね! エリスの前には、ベイクドチーズケーキ。 飲み物はアールグレイのストレート。 ケーキを食べては、口の中でケーキの甘さを感じつつ、紅茶を飲む。 ケーキを食べては、口の中でケーキの甘さを感じつつ、紅茶を飲む。 じりっじりっとケーキが削られ、じりっじりっとカップの水位が下がる。 味わっている。すごく味わっている。 そしてたっぷり時間をかけて一個のケーキを楽しんだ後、胃も心も満たされてその場を後にした。 シエルは、大テーブルの反対側。 「うん……この手作り最中と緑茶は合いますね……。中はオーソドックスなこし餡でもよいし、マスカットのシロップ漬けを入れてたべるのも瑞々しくて美味しい……。でも果実のシロップ漬けの場合、最中の皮が長くもたないから、作ったらすぐに食べないとべちょべちょになることには注意でしょうか」 有紗も、おひとりさま。 「周りはカップルでらぶらぶデートでデザートかあ、うらやましーひゅーひゅー」 (ですが甘い。デザートは戦場だ!周りの恋人達に見せ付けてあげるよ、食べるということは生きるということだと!) デザートは最後のフロンティア! お食事的な意味で! 一品につき3つとり、1個食べてゆっくり味わう。で、それをちゃんとメモする。 あくまで優雅に。デザートは心の救世主。 「あ、おかわりお願いします」 味に厳しいといえば、凪沙もマジだ。 (この、丸富食堂の看板娘にして神の舌を持つ少女、衛守凪沙がしっかり味を確認させてもらうよ) どっぱーんと断崖絶壁バックに食堂の女将さん。 (たまにはスイーツ以外のレビューにしよっか) それで出てきたBLTサンド。 (これなら割といけるんじゃないかな) ふと目に入る、やばそうな名前のメニュー。 (見なかったことにしとくよ) しかし、あえてそこに突っ込む人もいる。 イセリアは、黙々とそのゾーンへ通っていた。 (このキンツバパイは、良いものだ。餡の風味、皮の香ばしさ。飽きぬ多層の歯ごたえ。そしてこれは、栗か!? なんと、緑茶と良く合うことよ!見栄えも刀剣の鍔とは! 粋ではないか!) 昨今の流行に対応し、緑茶も各産地取り揃えてございます。 (だがこちら、タルト・オータムブレイド。お前は許せない。いや、お前が悪いのではない。だが無理なのだ。スイーツと秋刀魚は、ダメだ。どちらも好きなものなのに。なぜ世界にこのような悲しみを振りまくのか! ) 要、改善。 彩花お嬢様は、モニカさんと陽菜さんと一緒にテーブルを囲んでいる。 「良い感じなのはガトーショコラかしら? 程良い甘味の上質なチョコレートを用いているようですわね」 優雅だ。 「駄目なケーキは……とりあえず、このバナ納豆ケーキというのはやめた方がよろしいかと。プリンに醤油かけてウニケーキとかいうのもダメです! っていうか、そもそもウニ味のケーキっていう時点で間違ってますわ! しかもそれ迷信ですし!」 ならば、何故それをとってくるのだ、おぜうさま!? 「私は味覚が安上がりというか……お嬢様曰く、馬鹿舌だそうで。何を食べても大抵うまいとしか言いません。全く参考にならないと思います。ぶっちゃけ菓子なら煎餅が一番おいしいと思います」 そういうモニカの前には赤々としたケーキ。 陽菜によって投下された悪戯ホット・チリ・ケーキを、適当に持ってきてしまったのだ。 「このケーキ、周りの赤いのが残念でしたね。まあ、悪くないですけど」 (悪戯成功なの、失敗なの、リアクションが乏しい! もっとこう、み、水~ぅ。とかないの!?) 内心ちょっとめそめそしながら、アッサムティーを入れる陽菜。 表面上は、お嬢様のティータイムはつつがなく続いた。 (中学途中まで一緒だったあの娘。明日ケーキ屋さんに行こうって誘ってくれた。急にいなくなっちゃったけど……) 智夫、ちょっとしんみり。 (あの娘が好きだった、チョコレートシフォンケーキ) 二人分のケーキを並べ、ちょっと思いをはせる。 (杉の木の下で告白とか、絶対イケるってコスプレを勧められたのも、今ではいい思い出かも。いつかまた会えるかな) チョコレートシフォンケーキのようにほろ苦くふわふわしたあの子との思い出に捧げる昼下がりだった。 ●お砂糖ゾーン・リア僕は覚悟を決めよ。 こじりと夏栖斗、羽音と俊介は、ダブルデートと決め込んでいた。 全員が椅子に座った瞬間を狙って、夏栖斗が二人に目配せする。 「こじりさん! 誕生日おめでとー!!」 ちょっと遅いけど10/4はこじりの誕生日。3人でこっそりお祝いしようっていっていたのだ。 「びっくりした? こじりさん、この世界に生まれてきてくれてありがとう」 「花言葉は『真実の愛』だってさこれからも、カズトと『真実の愛』を育んでね…♪」 「誕生日おめっと!これからも親友でいてな、こじりサマ?」 金木犀のプチブーケ、中身はこじりだけが知ってるプレゼント、そしてサプライズが贈り物。 あとは楽しい食べ放題だ。 「一度してみたかったのよね、こういう事」 こじりは、抹茶ぜんざいを一口すくい、羽音の前に。 「はい、蘭さん。あーん」 「わぁ、ありがと……あーん♪ じゃあ、あたしからも……抹茶のムース、どうぞー」 「はのとこじりさんがあーんしあうとか見てるだけで御褒美なんだけど] うっとり。 「カズト、はいあーん……」 「おにーたんこっちもまけな…ってやんねえよ!」 「え? 俊介とカズトはやらないの?」 「何? 男同士で? BL? 許可します、出撃の準備を」 アリスとミルフィも満喫中。 トライフルのみにカップを持って、ご満悦。 「英国の言葉で『つまらないもの』という意味のお菓子で作るのも簡単ですから、言葉通り適当なものになりがちですけど、しっかりと手が込んでいてとても……」 「そうですわね、、どれも絶品でしたけど、ただ、この『キャロットのケーキ』はちょっと頂けませんでしたわね。 にんじんの甘味や風味が全く引き出せておりませんでしたわ。こほん、わたくしキャロットケーキには少々うるさいですわよ?」 兎だけに。 桜小路・静は世話やきだ。 「苺ショートにザッハトルテにフルーツタルトにっと。これもあれも美味しそうだ!」 と、玲のトレーに乗せまくる。 それを薦められるままに、玲はもぐもぐきゃっきゃ。 嬉しそうな玲の食べっぷりをみて、静にこにこ (玲が可愛すぎて、ケーキの味を忘れちゃいそうだぜ) あひるとフツは、朝ごはん抜いてきた。 あひるはフツの手を引っ張ってテラス席へ。 「フツ、あそこ、空いてる……! 早く、行こ行こ……っ」 それぞれ別のケーキをとって来た二人は少しずつ分けっこして、一緒に食べ始めた。 「オウ、あひるのケーキ、ウマそうだな。ちょっとオレにも食べさせてくれよ」 「そっちのも、美味しそう……一口、頂戴……?」 (すげえ贅沢な感じがして楽しいぜ。あひると一緒だし、なおさらな) (フツの幸せそうな顔が見られたら、あひるは満足。ケーキも美味しいけど……フツの笑顔が一番のごちそうね) 甘い物は好きな方だけど、男一人だとどうも行き難いし ルアくんが一緒でよかった、有難う。 「洋ナシのモンブランや木苺のケーキ。どれも可愛くって食べるのが勿体無いね」 「今日は二人でビュッフェの全メニューを制覇しよう、ボクたちなら余裕だよ!」 秋限定サツマイモと栗と南瓜と焼き林檎のタルト、とな? (贅沢に使いすぎじゃ……あ、良い具合に其々のバランスが取れてて、予想外に美味しい!) 「ルアくん、あーんして。ね、美味しいでしょ?」 「うに?……あーんっ……んっ、あまーいっ♪ ほっぺが蕩けそうなぐらい美味しいねっ! スケキヨさんも、はい、あーん!」 疾風もケーキ物色中。 「どれも美味しそうだよ、愛華ちゃん。折角だからこの赤いラズベリーソースのケーキを選ぶよ。甘酸っぱい中にこの生クリームの甘さが良い感じだね。」 「いっぱい食べちゃいますよぉ♪ ミルフィーユ。普通にショートケーキ。いちごパフェ。抹茶パフェ」 ハートが飛んでるのが見えるんだぜ。 「愛華ちゃん、このケーキ食美味しいよー。あ~んしてみる?」 そう言って向き直ると愛華の頬が引きつっていた。 (んんっ? これは……スタミナパフェ?! 疾風さんの快気祝いだし試してみるべき? めちゃくちゃにんにく乗ってるし……疾風さんと一緒の時ににんにくなんて食べれないぃ!) いや、それ以前の問題だ。 モノマ、スプーン片手にやや葛藤。 壱也のために取ってきたチョコケーキとかチョコプリンとか。 (次々と壱也の口にねじこませて……) はぷはぷするとこ、見てみたい。 (ってのは、いかんな。流石に粗暴すぎるから思うだけにしておこう) 普通に食べやすいサイズに切ってから、 「あーんっ」 「い、いただきますっ」 ぱくっ。 モノマ、壱也の頭なでながら、 「どうだ、うまいか?」 壱也、モノマがそんなこと考えてるの知らない。 「おいしいです~っ!ほっぺが落ちるとは、この事ですね!!まだまだいっぱい食べましょー!」 壱也、モノマの手をとっておかわり。 「先輩とビュッフェ、し、しあわせですっ! は、はつでーと、ですっ!」 (ん、初デートって事になんのかな。壱也が楽しんでくれりゃ何よりだぜ) (幸せすぎて、食べすぎないように……がんばろっ! 腹八分目! ) ねじ込んでも大丈夫かもしんない。 ●更に生クリームゾーン。リア僕、憤死しろ。 「あら、御厨くん、唇にクリームが付いてるわ」 [ふふっ、俊介……口にクリーム、ついてる」 「あ、ミルフィ、ほっぺにクリームが……」 「玲のお勧めのケーキはどれだ?」 「静さんが一番好きー!」 「えっ? ほっぺについていますかぁ?」 「ほら」 「このいちごパフェはぜ~んぶ私の物なのですぅ クリームを取ってくれた疾風の指ごとぱくっです!」 「クリームのついたルアくんの指、美味しそうだね……ほらね、やっぱり甘い」 後にメニューにこんなページが追加された。 「このカフェのナプキンはふわふわです。どうぞクリームがついた際にお試し下さい」 お口で取っちゃ、だめ。絶対。 ●博物館、閉館。 昼下がりで閉館。 展示された刀剣達は、リベリスタ達の勧誘に興味を引かれながらも、今少し亡くなった元の持ち主の喪に服すと言う。 この次、もし、まだ覚えていてくれたなら。 民族歴史博物館で、刀剣達は夢見ながら待っている。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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